うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「消灯時刻」感想

「日々生き生き元気に行きましょう!」

それが空元気であれ、な前置き。

 

 

 

えー、今回は杏仁どーよ(http://anninhanare.web.fc2.com/)さんところのフリーゲーム「消灯時刻」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

全クリまで数時間ほどのBLノベルゲーム。

ですが恋愛事よりも、この世界設定や独特の雰囲気をどっぷりと楽しむ作品という印象でした。例のルートに入らなければ一般向けでも十分通じそうな気もしますが……どうなんでしょう。

ともあれ、魅力的な点など。

 

 

終末が定められている世界設定

何よりもビビっときたのはここ! 終末は絶対に抗えないという前提のもとで話が展開していきます。

穏やかに終わりを待つ一族も居れば、終わるのだからと好き勝手する輩もいて……それぞれの一族の考えや文化・風習の違いも楽しめます。まさに一つの世界が息づいている感じ!

特に、とある1ルートで明かされる世界の全貌には痺れました。少しずつ引っかかりつつも後回しにされてきた部分が、わっと一気に襲いかかってくるカタルシス。たまらん!

後日談が見たい、そんな気持ちを黙らせてくれるあのエンドタイトルも魅力的です。

余談ですが、消灯一族の言う、「火点し頃」「星宿し頃」っていう時間の呼び方が大好きです。雰囲気出てて良いよなぁ。

 

 

ほの暗い世界で笑顔が光るキャラ達

世界の滅亡を止めるとか抗うとかではなく、終わりまでどう過ごそうかと考える、この一般人な感じがとても好きでした。

消灯一族の方言バリバリな感じがほっこりします。「あほだーけ」はアホたわけ、かな? クリアした今となってはあの口癖が忘れられませんw

主人公含め主役級のキャラが皆、致し方ないことは目を瞑る大人らしさと、根っこの良い人らしさを併せ持っているので、展開としては悲惨でもどこか希望が残される気もします。悲惨でも。ええ。鬱展開ありがとうございます。どの子も、見守りたい・見届けたいと思わされるキャラたちでした。

キャラデザの民族調な感じも魅力的ですよね。立ち絵もポーズ変化が多くて生き生き感じられました。

 

 

 

気になる点としては、メッセージ履歴を見た後ゲームに戻る際、右クリックで戻ってしまうと文章が再表示されなくなることでしょうか。でもこちらも、素直に戻るボタンで戻れば支障はありませんのでご安心を。

 

あと、クリアした後は「かいそう」ページを見るのもお忘れなく! この世界観を一目で表す、ぞくりと切ない一枚絵が見られます。

 

とまあこんな感じで。

静かな夜や冬にプレイするのがしっくりくる作品だなーと思います。明るいけれどもの悲しい終末世界、ピンとくるなら是非ともプレイしてみて下さい。

追記からは各エンドの感想など。ネタバレがっつり注意です。

 

 

 

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フリーゲーム「オヒルギメヒルギ」「狢アウトサイド」「輸送艦ちぐさ殺人事件」「はてしない与太話」感想

「薄皮剥がせば悲劇の始まり」

人体も同じことな前置き。

 

えー、今回は猿合想海(http://ryohsargassum.web.fc2.com/index.html)さんところのフリーゲーム「オヒルギメヒルギ」「狢アウトサイド」「輸送艦ちぐさ殺人事件」「はてしない与太話」の感想を書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

感想文記事としては一気にアップしてしまいますが、どれも単独で遊べます。システムが斬新だったり、お話がトリッキーだったりするものが多い印象。

というわけで、さっそく各作品について。

 

 

 

 

『オヒルギメヒルギ』

【概要】

選択肢型の短編ノベルアドベンチャー。要素はコズミックホラー、ジャングルサバイバル、鬱展開、生物などなど。あんまりクトゥルフ知らなくても「狂気を引き起こすヤバイもの」って認識があればたぶん大丈夫。

 

【感想】

星、定義、ヒトゴロシ等々。

初めにキーワードをどんと持ってきて、探索が進むと共に意味がわかってくるこの流れが気持ち良かったです。段階を踏ませるのが上手で、次のプレイヤーの動きを読まれてる感じにぞくぞくしました。ED3とかね、ちょうど問い詰めに行こうとしたところであれだからね。震えます。

探索時間の配分も絶妙でしたね! ちょうど全部のピースを揃えたところで時間切れ!って時があって、いやーあれは熱かったです。

個人的に好きなのはED5。ああいう、どうしようもない暴力衝動にふらっとくる展開に萌えます。

そして、何よりも私が推したいのはおまけ部分!特に生物図鑑のあのノリがめっちゃ好きです。蟹さんの説明文にもう笑うしかなかったです。好き! また、おまけではノベル調でエピソードも見れます。キャラ重視心理描写大好きな自分には涎ものでした…! わぁいヤンデレヤンデレ

 

【小ネタ?】

このゲームは何周もうろうろして掴んでいくのが楽しいゲームだと思うので、これを書くのは無粋な気もしますが……。見つけてちょっと楽しかったので書かせて下さい。以下反転注意。

 

・特定の殺伐行為をし、かつ記憶が全然戻っていない状態でイヴに会うと、お世話を焼いてもらえる。わぁいおねえちゃーーーん!

・記憶が戻っていない状態で起こる山でのイベントはランダム?

・やまねこの解説を聞いておくと文章が追加されるポイントがいくつか

・やまねこをやっちゃっても灯りは手に入る

 

以上ネタバレ終わり。

 

 

【一言】

虫好きさん、狂愛好きさん、ゲームブックな感じの探索ゲー好きさん向け。

 

 

 

 

 

『狢アウトサイド』

 

【感想】

さくっと終わる一本道ホラーノベルゲーム。実は元ネタをまったく知らないまま挑んでしまいました。が、粋な感じの語り口調と薄闇広がる画面、雰囲気が出ていて良い具合のぞくっと感を味わえました。さりげなく“お嬢さん”の性格付けが感じられるのもにまにまします。

 

 

 

輸送艦ちぐさ殺人事件』

 

【概要】

犯人当てありの一本道ミステリノベル。要素は宇宙船、人造人間、連続殺人などなど。

 

【感想】

何より推したいのが、犯人当てのバリエーションです。トゥルーエンドに行った後、好奇心で色々試してみたら想像以上にがっつりと反応が返ってきて驚きました。

登場人物こそ多いですが、それぞれ個性づけがはっきりしているのですぐ馴染めます。キャラだと竜美君が好きです! ネジの外れた陽気キャラは良いものだ……。

事件どうこうも勿論ですが戦闘種族の価値観等々も興味深くて、色んな方面のツボを突っつかれまくりでした。

立ち絵はポーズ違いのもの含め全キャラ数種類用意されています。一応シルエット表示にもできますが断然立ち絵表示がオススメです。寧子の立ち絵が特にお気に入りでした。表情豊かさな子は立ち絵変化が映えますよね。ただ、あえて言うなら実里だけウィンドウに隠れちゃうのが惜しかったかなあ。

肝心の事件についてはネタバレに抵触しそうなので次項目で伏せ字にしますね。

 

【ネタバレ】

以下伏せ字。

タイトル!まさにタイトル!思わず拍手しました!

肝心の犯人当てについてはチャプター9辺りでようやく「犯人はまさか…!?」ってなったんですが、遅すぎかなぁw この手のゲームは他の既プレイの人にどこで気付いたのか聞きたくなりますね!

本編でキャラたち自身が論議して少しずつ可能性を狭めていって、キャラを通じてメタな説明を受け取りつつ唯一解へ辿りつく感じがとても気持ち良かったです。

あと展開としては、なんというか、見事に気に入ったキャラから退場していったのでぞくぞくしました。

子宮に脳を~等々、よくよく読みこむとえげつないSF兵器要素もあって、これがまた後々効くという。書籍の選択肢で見れる戦闘種族の情報や世界背景にも想像が膨らみました。

以上伏せ字終わり。

 

【一言】

ミステリ好きさんや、軍事兵器案などにうきうきする方へオススメ。

 

 

『はてしない与太話』

 

【概要】

“プレイヤー”が世界を救うメタフィクションノベル。

 

【感想】

なんというか、妖精が隣人で魔法があって魔王が居て勇者はいない、その手の王道ファンタジーが好きな人に(斜め上の方向から)勧めてみたい一作です。物語のおやくそく、みたいなものにピンと来る方向け。

システムとストーリーがパーフェクトに噛み合っていて、これぞゲームだよなあという感じがしました。プレイヤーの選択にお話が答えてくれるというか。難易度としては人によりけり、自分は即気付いた派ですが一切の事前知識無しで挑むとなると難しいのかも。

それでも飽きさせないようになっているのが、日付ごとにリセットされる会話と選択肢分岐の多さだと思います。全部の選択肢を試してみたかったので、なんだかんだとクリアを先延ばしにしてしまうなど。ごめんよ村長!

主人公のクーリート君が最後までしっかりとチョイ役らしいところもまた、味があって良かったですねぇ。ラストは泣くやら笑うやらで顔面が大騒ぎになりました。まったくもう! 時間かけてクーリートと話したかいがあったよなあとも思います。クーリート珍道中好評連載中。

具体的な魔法語が具体的過ぎるところや、幼女ステーキ、破壊的リズミカルノックなど、到底忘れられそうにないスペシャルワードやが飛び交うのも見どころです。尖った文章が叩きこまれるこの快感、これだからフリゲはやめられませんね!

 

【一言】

物語が好きな方、世界を救いたい奇特な方へ。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

気持ち良い!と思えるゲームばかりで楽しかったです。

 

余談ですが『少年と少女の真実』があまりに難しくって未クリアだったりします……我ぞクリアせし者、という方の感想をお待ちしてます。

フリーゲーム「白狼恋歌」感想

「舐められたくないけど甘やかして欲しい」

複雑乙女心な前置き。

 

 

 

えー、今回はPhysical Room C.S.K.さんところのフリーゲーム「白狼恋歌」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

前作「白狼隊士記」

shiki3.hatenablog.com

の続編ということで、前作既プレイ前提の文章になります。興味が出てきた方は前作品の記事を覗きにいってもらえると嬉しいです。

 

 

というわけで前作との違いなど。

 

 

 

女性主人公、ほんのり恋愛要素あり

前作が男主人公で友情と熱い展開が中心だったのに対し、今作は女主人公(ヒロイン)で、恋愛な雰囲気も楽しめます。

共通ルートの間に攻略キャラを決めることになる分、想いを募らせる日々云々の恋愛的な心理描写は薄めです。しかしながら、前作同様章ごとに各キャラがメインを張るため、「このエピソードで彼に惚れた!」というポイントは掴みやすいです。要は、シンプル王道で妄想が捗るストーリーな印象でした。

エンド数の多さは健在、ほのぼの寄りなのも同様です。大筋が決まっていた前作と比べ、今作では後日談のバリエーションがキャラごとに変わってくるので内容がより濃くなっています。

 

ただこれ、私としては一点気になるところがありまして。ネタバレになるのでそっと追記に畳んでおきます。とりあえず、前作で気になるキャラがいた方や恋人未満くらいのほんのり淡い恋愛要素を楽しみたい方向けかなあと思います。

 

 

 

細かく種類の多い会話選択肢

また今作では、共通ルート内でも会話分岐がたくさん仕込まれています。選んだ選択肢によってキャラの好感度が上下することも。選んだ後はSEが入るので、その場ですぐ正否がわかるのは助かりました。

選んだ内容によってヒロインの反応も変わってきます。初めはなるべく好印象の選択肢を選んで真面目で一生懸命なヒロインとして頑張ってもらっていたので、二周目以降であえて選択肢をミスした時の不真面目ドギツイ台詞にぎょっとさせられましたw

選択を外しまくっても章最後のキャラ選択を一貫させていれば目的のエンドに行けるので、難易度も易しめです。

 

 

戦闘難易度の引き下げ

負けイベントや戦闘中断イベントは健在ですが、是非は前作で熱く語ったので割愛。

ポイントはボス戦、かなり強さが軟化されています。刀のレベル上げさえしておけば雑魚敵を避けまくっても十分安心できるくらいです。一方で、呑気に通常攻撃だけしてるとやられちゃう程度には固いので、普段RPGしない人にちょうど良いくらいの難易度になってるんじゃないかなと思います。

雑魚敵のシンボルシステムも少し変更され、倒すと敵が一時後退するようになりました。ただ、後退した敵が行き先を塞いで結局再戦、ということがしばしばあったのでちょっと残念だったかなと。レベル上げがキーになるゲームなら無限湧きもありがたいんですが、このゲームはストーリー進行で勝手にレベルが上がってくれるので……。

とはいえ、ストーリーを考えると今作は説得メインな印象だったので、難易度が下がったのも物語の流れに合ってるなー、なんて。

 

章ごとに入れられるスチル

キャラの立ち絵は一新され、さらにほぼ毎章スチルが挿入されるようになりました。さらに加えて、ミニゲームで特別な一枚絵も鑑賞できます。

長屋がなくなった代わりにセーブがいつでもできるようになったので、ひょっとして章ごとのアイキャッチもなくなったのかなあとどきどきしていましたが、こちらも健在でした! これは嬉しい。このシリーズのアイキャッチ大好きなんですよね。

9章アイキャッチが特にお気に入りです。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

前作のおさらいが序盤にあるので単品でも遊べるとは思いますが、両方遊んでおくとより味わい深くなるのは確かです。

恋も戦も頑張るような感じのストーリーが好きな方に向いてる一作でした。

 

 

 

追記ではネタバレ込みの感想。

ご興味ある方はどうぞ。

 

 

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フリーゲーム「白狼隊士記」感想

「健全な精神に恋愛は毒です!」

ひとまず後回しにしていきたい前置き。

 

 

 

えー、今回はPhysical Room C.S.K.さんところのフリーゲーム「白狼隊士記」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

ツクール製の和風アドベンチャーゲーム。全体的な雰囲気は女性向けですが、恋愛要素はほとんどなく、ストーリー自体は少年漫画さながらの熱い展開です。なので一般向けとして紹介したいところですが……作中の女装シーンやクリア後のおまけwebページのことを考えるとやっぱりBLゲーな気もするので、うーん。両方いける人向けってことになるのかなー、なんて。

 

とりあえずジャンルについてはさておき、魅力的な点など。

 

 

 

 

システムとストーリーがぴったり噛み合う演出

 

真っ先に挙げたいのがこの演出面です。

話を聞く時はノベルゲー調、妖怪退治をする時はキャラを操作してフィールドを駆けまわれるように、聞き込みをする時は場所を選択してシティアドベンチャー風に、などなど――とにかくあちこちのシステムとストーリーがぴったり噛み合ってるんですよねぇ。

確かにRPGとして見るのであれば、負けイベントが多かったりキャラクターの強化タイミングが限られていたりと、少々気になる点もあります。が、むしろそれはこちらの見方が間違っている!と断言したい! あくまでバトルも演出の一部であり、求められているのは敵に勝つことではなく主人公のストーリーを見届けることなのです。

そういった意味で、一貫して演出重視の一作だったなーと感じました。

 

 

 

読むだけでなくしっかりプレイできるADV

 

さて一方で、ただストーリーを見るだけでなく、きちんとしたゲーム要素も揃っているのがこの作品の良いところです。気を抜いて遊んでいると、序盤の聞き込み捜査で焦ることになるかもしれませんw

レベル上げのタイミングは少ないですが、その分、武器の強化が重視されています。毎章1レベルずつは最低でも上げておかないと戦闘は厳しいかもしれません。ラスボス戦ではそれこそ手に汗握る難易度の戦いを楽しめました。

また、金魚すくいなどのちょっとしたミニゲームも搭載されています。アクション苦手な自分はこれがなかなかw いつかは黒虎隊の皆さんに褒められるほどの腕前になってみたいものです。

 

 

 

四季と共に巡る熱く感動のストーリー

 

妖怪による事件の解決から始まり、不穏な黒幕の登場、そして仲間の危機と終結。全体的な流れがもうすごく、少年漫画の王道だと思うんですよね。期待する熱い展開に全力で応えてもらえて嬉しかったです。お約束の主人公覚醒展開もありますしね!

一方で、幕府内の力関係や組織図、諜報活動等々の設定部分もきちんとしていて、純然としたお話としても読みごたえがありました。終盤でさりげなく情報整理パートがあったことにも感動しましたね!プレイヤーへの配慮がありがてぇ……二周目用に整理を飛ばす選択肢があるのもまた助かりました。

さらに挙げたいのが作中で細かく表現される四季の移り変わりです。章初めの花の種類に始まり、サブキャラとのさりげない会話などに季節感が出ていて、和ゲーをしてる感がひしひしきます。四季の移り変わりに沿って物語が進み、キャラクター同士の親密度が深まっていくのも嬉しかったです。

 

 

 

お気に入りパートナーを選べるマルチエンド

 

さて、これだけしっかりしたストーリーに加えてマルチエンドと来るんですよ皆さん。しかもまさかの12種類。おったまげました。

物語の基本的な流れは同じですが、エンドだけが変わるのではなく終盤以降から選んだ相手がパートナーとして活躍してくれる他、中には追加イベントが起こるキャラもいます。

友情モノや熱い信頼、家族愛などにぐっとくる方は特にビビっとくるんじゃないかなー、なんて。

 

 

 

こちらのプレイを察するかのようなサポート

 

セーブがある程度制限されてはいますが、これがまた良いタイミングで入ってきてくれるんです。物語の区切りにびしっと合わせて、プレイ時間としても丁度、いやぁ大変助かりました。

展開上、街に行けなくなっても必ず仮の休憩施設や回復アイテム補給所ができているので、詰むこともありません。帰還不可の場合は事前に警告までしてくれる親切設計です。

次の目的地等もわかりやすく、誘導もスムーズ。プレイヤーの動線を読まれているかのようにすいすいイベントが進んだのでとてもやりやすかったです。

とにかくプレイヤーに対して親切なシステムづくりでした。

一方、立ち絵の表示や矢印の速さなど、動きがもっさりしているところもあります。ただこれが高速化してもそれはそれで雰囲気が出ないと思うので、うーん。ここばかりは一長一短ですねぇ。また、周回プレイをするとなるとどうしても不便なところは出てくるのですが……こればかりはツクールの仕様上仕方のないところもありますし、全クリにさえこだわらなければ楽しくプレイできるかと思います。

 

 

 

種類豊富なグラフィック

 

まず驚きなのがモブキャラを除く全キャラクターに立ち絵があること。しかもキャラによっては複数種類があって、最後まで見飽きることがありませんでした。勿論表情変化も完備です。なんて細かい仕事なんだ……!

また物語の区切りに出てくるアイキャッチも章ごとに違っています。これの何が嬉しいって、ロードした時にどの章をプレイしていたのかが一目でわかることなんですよね。もちろんセーブデータに章名はあるんですが、数字一つ書かれているのと、その話のメインキャラが一発でわかるのとは記憶の蘇り具合が段違いです。そういう実用的な面でもありがたい配慮でした。

 

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

これからプレイする方には、特にこだわりがなければ実時“以外”をパートナーに選んでクリアすることをオススメしたいところです。おまけシナリオの実時ルートがデフォルトで開いていたり、場面上、替えのパートナーが必要な場面だと実時が来てくれるので……。

勿論、実時のキャラにピンと来た方はそのまま彼に一直線して頂ければと思うんですけどね! いやー、実に良い上司ですゆえ。

あと、お祭りはチカちゃんと回ると終盤のストーリーがより自然に見えるかなあと思います。

と、書いても未プレイの方には何が何やらかもしれませんね……w

 

何にせよ、昔ながらの名作と噂なだけはある一作でした。

現在はリメイク計画が進行中、らしいのですが。続報に期待ですね。

 

同作者様の他フリーゲーム感想↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

さて、追記にはネタバレがっつりで、私が攻略した範囲でのキャラの感想などを書きますね。ご興味ある既プレイの方は続きよりどうぞ。

 

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フリーゲーム「幽霊探偵~最後の事件~」感想

「二日間って何日間?」

水曜日って何曜日な前置き。

 

 

 

えー、今回は、睡眠忘街 -眠らない街へようこそ!-

さんところのフリーゲーム「幽霊探偵~最後の事件~」(http://suiminbougai.web.fc2.com/yuurei/index.html)の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

RPGツクール製の探索重視なSFサスペンスゲー。あらすじは公式サイトで見て頂くとして。

 

探偵・事件とあるのでミステリと誤解されがちですが、いわゆる犯人当てのようなことは起こりません。探索ゲーらしくパスワード推理や少しの謎解きはありますが、意識せずともストーリーさえ進めれば最低限の真実は明かされます。

 が。この真実こそが曲者です。なんてこった。

 

このゲームはストーリー上のネタバレを一切見ずにプレイするのが良いと思うのですが、一方で、公式サイトの雰囲気だと絶対に伝わらないであろう点があるので、ネタバレ野郎と罵倒を受ける覚悟も踏まえてこれだけ書かせて下さい。

 

鬱 展 開 好 き は 是 非 と も。

 

 

さて、では魅力的な点を挙げていきますね。

 

 

 

明るく救いのないエンディング

エンディングは全部で3つ、のはず。はず、とわざわざつけたのは、それだけびっくりするほど救いがないからです。勿論当ブログでは褒め言葉です。

いや、序盤のノリがかなり明るく賑やかだったので、もしかするとなんて希望を抱かずにいられないくらいなんです。これは凄い。不穏な仕掛けは随所にあるのに、それを意識させないストーリー回しが凄まじいです。

終わり方としては3種共に見事な締めで、どれも異なる意味で震えがきます。生き生き会話するキャラクター達に愛着が湧いた頃を見計らって叩きこまれるのでなおさら心にきました。

 

 

 

思わず頷く構成力

舞台は別惑星に向かう宇宙船内。

ストーリーの構成が時系列通りではなく、キャラクター達が宇宙船に乗る経緯や自己紹介のシーンは回想の形で後回しにされています。キャラも6人と多めなので、プレイ初めの時にちょっと混乱したのは確かでした。

しかしながら、情報はキャラクタープロフィールやスキットシステムのおかげで整理できるようになっているので、プレイヤーのフォローはばっちり効いています。

そして、わざわざこの初めのシーンを後回しにするのにもきちんと理由があるのです。時間軸弄られると読みづらいんだがなあ、なんて偉そうに考えていた自分が浅はかでした。これはもう、上手い!

他にも、トゥルーエンドでは悲劇が悲劇だとわかりやすいように、かつラストにぐっさりと刺さる伏線が仕込まれていたり。些細な会話に見えるシーンが後々かなりの毒を持っていると発覚したり。とにかく構成が上手いです。やられました。

 

 

 

随所に散らばる小ネタと真相の手がかり

媒体にツクールを選んでいるだけあって、探索ポイントはとても細かく設定されています。同じ場所でも時期が違うとコメントが変わったり、見つかるアイテムに変化があったり。キャラの会話もちまちま変わるので、声をかけにいくのが楽しいです。

一方、これにはデメリットもあります。何よりアイテムをかなり見逃しやすい! 中には何もない場所を調べなければならないこともあり、時期限定のものが多いので、難易度はかなり高めです。とはいえ幸い有志の方が攻略ページを作って下さっているので、そこさえ見ればコンプ自体はできます。ありがてぇ。

そして、見つかるアイテムは苦労して集める甲斐が十分すぎるほどあります。なんてことないインタビュー記事等がどう繋がるのか、わかった時のぞくぞく感はたまりません。ただでさえぐっとくる真相の魅力が倍増します。これからプレイする予定の方には是非とも隅々まで艦内を歩きまわって欲しいところです。

 

わかっているのに震えてしまう、驚異の演出力

さて、さんざん書いてきた真相の凄さについてですが、それでもおそらく勘の良い人には先が読める展開かと思います。これは隠し方が下手とかではなくて、とてもシンプルにどんでん返ししてくれるからこそです。

じゃあこれが悪いのかというと、むしろ逆。演出面での巧みさがこの先読みを見事に増長してくれます。「なんとなく嫌な予感がする」このざわざわ感が嫌ってほどに盛り上げられちゃって、正直、トゥルーエンドではわかっていながら恐怖で泣きました。

たぶん、溜めや間の使い方が上手いからこういう恐怖感が演出できているのだと思うのですが。他にも、探索面の項目であげた小ネタなど、色んな箇所にさらっととんでもない演出が混ざっていてもう最高でした。

 

とまあ、こんな感じで。

他にも、透明感のある絵柄で惜しみなく入れられるスチルや、驚きのムービーなど見どころはたっぷりです。ツクールでムービーって作れるんですね……。OPは公式サイトでも確認できるので、気になった方は是非に。

 

探索ゲーが好きな方、心抉られる展開に覚悟がある方、メリバがお好きな方に超オススメの一作でした。

 

ネタバレありの感想は追記から。

 

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フリーゲーム「悪党領主」感想

「殺せと言われたからには生かす方向で」

より苦しむほうを積極的に考えていく前置き。

 

 

 

えー、今回はこの節操なし!!さん製作のフリーゲーム「悪党領主」(http://inuchikushouta.e-dog.to/Game.html)の感想をつらつら書きますね。

リンク先どちらもR-18のBLサイトですので、年齢制限引っかかる方ご注意ください。

 

ジャンルはBLランダムダンジョンRPG、公式曰く「昔ながらの不親切なRPGです」とのことで、それなりにRPG慣れてる人向けの難易度になっているかと思います。

 

なお先んじて書いてしまうとこの感想文、実は未クリアの状態で書いております。はい。半端な状態で感想書いてしまって申し訳ないです。でも備忘録書かずにはいられないんです……。レビューでなくあくまで感想文ということで大目に見て頂ければと思います。

 

というわけで良かった点など。

 

真剣な口調であほえろをやらかす度胸

冒頭からしてかなりシリアス、かと思いきや。わりとお固いぞと覚悟を決めて正座で読み込み始めたところに、ふと飛び出てくる「卑猥神」の一単語に崩れ落ちました。笑いました不覚にも。これはずるいw

他にも、技名が四十八手だったり武器名がどこぞのAVのようなもじりだったりと、随所にあほえろっぽい要素が滲みでています。おかげでこちらもあまり難しいことは考えずにさくさく悪党を捕まえてざくざく凌辱できます。こういうふっ切れた世界観も時には良いですよね。遠慮なくやらかせて頂きました。

 

止めと溜めが印象的な文体

かなり文体が独特です。体言止めと――の多用があるからそう感じるのかな。他には無い語り口調で面白かったです。

真価を発揮するのはやっぱり濡れ場イベントですね。悪党調教ばっかり見てました。第三者視点に特化してひたすら状況描写を重ねていくタイプの書き方で、あまり痛がるそぶりはなかったおかげで、鬼畜ものもわりとフラットに読めます。内容はわりとドギツイ特殊プレイ多めなイメージでした。

 

ひそかに進展するサブキャラクター達

RPGに欠かせないのがNPCとの会話。家臣からのアプローチや、寝室警備の衛兵たちがじわっと仲を進展させていくのが面白かったです。萌えるぞ門番ズ!

彼らと夜伽したらパワーアップする、という、えろRPGならではのステータスアップ方法も興味深かったです。

 

 えろ向きな絵柄と決めれる個性

言ってしまえば汁ダク絵が合いそうな絵柄です。なるほど納得の18禁感。ボーイズよりがっちりした成人男性のあれそれにピンとくる方向けのグラフィックです。

主人公がメカクレなのも嬉しかったですねー。主役級のキャラにメカクレ属性がつくのは貴重な気もします。ありがたいです。

あと亜人キャラが多いので、人型の人外や特殊耳に萌える人はたまらないかと。

攻め受けは比較的妄想次第でなんとかなったり、仲間キャラの台詞オンオフができたりするのも固定厨な自分としては助かりました。

 

ボコスカ殴れて楽々回復のバトルシステム

 ターンごとにその種族によって恩恵を受けれる特殊システムが面白かったですねぇ。初めはこんなに毎ターン回復していいのか!?と驚きましたが、それでもなかなか手ごわい難易度なのがまた燃えます。

また、連続攻撃が可能になるアクセサリを併用することで、20連撃なども余裕で起こせます。戦闘スピードもある程度早いので、ざくざくざくざくっと敵のHPバーが削れていく様は見ていて大変スカッとしました。

弱点属性や耐性などがかなり重視されているので、雑魚敵でもある程度対処していかないとけっこうキツイところがあります。が、逆に攻略法さえ見つけた時の爽快っぷりはたまりませんでした。

 

 

 

一方難点としては、

 

 

全画面のメッセージウィンドウ

メッセージ表示が毎回大画面表示なので、ちょっとした一文お知らせで画面が切り替わるのはちょっと気忙しかったかなと。ルーン取得や技術書取得も普通のアイテムと同じように右上表示のほうが助かったなーと感じました。

 

押しても取れない悪党

これは仕様なのかわかりませんが、逃げ回るアイテム扱いのキャラが捕まえられないことがしばしば……? どうもジャンプしている時にエンターを押しても反応されないようなのですが、後半になると常に皆がぴょんぴょんしているので、回収にかなり手間がかかります。逃げ惑う市民を無理やり手篭めにすると考えれば萌え要素はありますが、多少作業感は否めませんでした。

 

 

倒しても消えない敵キャラ

そして敵キャラ。看板型の倒せば消えるキャラと、シンボル型の倒しても消えないことがあるキャラの二種類います。

まず共通して言えるのが、逃げるコマンドの意味がほとんどなくなっていること。特に前者の場合、逃げても無敵時間のようなウェイトがないので、メニューを開く間もないまま再戦になってしまいます。ボス前のフロアになると敵の数もかなり多いので、10連戦等々も余裕で起こります。耐性や戦い方がある程度わかってきても、エンカウントがこう多いとちょっと大変でした……。

続いて後者、消えない敵について。いや、何度か殴れば消えはするんですが、強敵なので避けるべきです。が。ただでさえ狭い道が多いランダムダンジョン、このタイプの敵複数匹に出入口を塞がれて、ほぼ詰んでしまうことも。

ただでさえアイテムも階段も全部動き回るシンボルシステムなうえ、障害物が多い&敵が多い&逃げられない、でなかなかダンジョン探索が楽しみきれませんでした……。

作業感が強かったのでもうちょっと逃げる隙が欲しかったなあと思いつつ、女性向けに珍しいハードめの難易度なので、需要があるにはあるのかもしれないとも感じつつ。少なくとも自分にはちょっと合わなかったみたいです。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

BLとしてもゲームとしても上級者向け、大人のゲーマーなお姉さま方に向いている一作だなあと感じました。

 

 

 

さて、最後に現在のプレイ状況などめもめも。ネタバレ入るので追記に畳みますね。

 

 

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フリーゲーム「MerryMerry」「モタモタバレンタイン」感想

「身近にいるからたくさん増える」

そのうち当たり前になる前置き。

 

えー、今回はへもへもさんところのフリーゲーム「MerryMerry」「モタモタバレンタイン」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

どちらも女性向けの短編恋愛ゲームです。思わず一気にプレイしてしまったので、紹介もセットで失礼。といっても相互に関連性はなく、それぞれ単品で楽しめます。

 

というわけでさっそく順番に。

ぼかして書いてはいるつもりですが、念のためネタバレ注意です。

 

 

 

『MerryMerry』

 

 

[概要]

サンタな少女とその師匠がミニゲームしつつドタバタする、女性向けクリスマスゲー。

 

[ストーリー]

イロモノキャラ注意の説明書き通り、序盤からなかなかにどぎついです。中には世知辛いエンドに現実を思わされることも。とはいえ誤解なきよう、序盤のエンドはとことんギャグコメディに走っていますし、全体的にもイケイケハイテンションな雰囲気でした。

何より初めの号令が本当ツボですw 演出もあいまって吹き出しました。

一方、回想シーンになると一気にシリアスへ変わります。あの始まりからこんな味も出せるのかーと驚かされました。

やっぱり鬱展開好きとしてはメリの背景事情に注目したいところ……。今、彼女がくるくる表情変えてにっこにこしてるのは救われますね。

公式の紹介にある通り、確かに糖度は控えめ。けどこの二人はそのくらいの距離がベストと思わされる、いい感じに家族愛も含めた明るくあったかい話でした。

 

[システム]

通常のノベルパートの他、2つのミニゲームと1つの探索要素があります。

ミニゲームはけっこう鬼門で、手ごわかったです。アクションのほうがクリアできない一方で、ランダムのほうは逆にいつも勝ってしまうというw いやー苦戦しました。

探索のほうは、単に調べるだけじゃなくって回想も絡めてあって、進めていくとどんどん二人の思い出がわかるようになっていくシステムです。これぞ乙女ゲームって感じがしましたねぇ。二人の関係性がわかるといっそう萌えます。

その他基本システムも勿論充実してました。

 

[一言]

師匠×弟子ものや、ラブコメ、家族愛、クリスマスゲーをお求めの方向け。

 

 

 

 

 

『モタモタバレンタイン』

 

 

[概要]

ファンタジー学園ものが舞台の恋愛調合ノベルゲー。吸血鬼×狼娘なカップリングになってます。幼馴染萌えの方も是非に。

最近吸血鬼萌えが激しいので思わずガッツポーズしました。

 

[ストーリー]

説明書きにはほのぼのとありますが、個人的にはやっぱりこの作品もコメディ要素が強かった印象でした。一部のギャグエンドが強烈だったからかな。いわゆるイロモノネタもちょこちょこありはしますが、何でもありな超展開こそ調合ゲーあるある、これはこれで笑いながら楽しませてもらいました。

既にヒロインのモカには想い人がいる設定なので、そのぶん片想い・片想われな描写が多めです。特に片想われをヒロイン視点で描写するのは難しそうなイメージですが、サブキャラのエリンが良い動きをしてくれてました。さっすが良い親友だ。片想いならではの健気なエピソードも多くて、ぐっときますねぇ。

基本的にどのエンドもあっさり味かコメディ風で終わりますが、唯一の恋愛エンドでは糖度がかなりたっぷりです! 見惚れてしまいそうなスチルと共にあんな台詞を言われちゃそりゃあ、きゅんときますね。見ているこっちが照れてしまうくらいロマン溢れる展開でした。

 

 

[グラフィック]

調合ゲーということで組み合わせによるエンド数が多く、それに合わせてスチルも多めです。ぶっとんだものからほのぼの癒されるものまで多種多様でした。お手手つないでるスチル――って書いたら既プレイの方には伝わるかな。あれがお気に入りです。

また、おまけの立ち絵閲覧モードが素敵です! ゲーム内では見られない全身図が確認できるので、思わず舐めまわすような視線を向けてしまいました。アレンジが効いてはいてもエリンと一緒の制服ではあるんですねぇ。着る人が違うとこうも違って見えるのかー。

立ち絵だとナルシスト全開のドヤ顔が大好きです!!!

なお、全クリすると起動画面に変化が起こります。すごくうっとりできる、ロマンチックな雰囲気なのでお見逃しなく!

 

[攻略・システム]

システム自体は3つのアイテムから好きなものを選んで組み合わせる、オーソドックス調合ゲーです。攻略も公式サイトに記載されているので詰まることはないかと思われます。

一直線に全エンド回収を目指すと、貴重な会話変化をちょこちょこ見逃すことになってしまうので、何度か色々試してから見るといいかもしれません。

 

[一言]

幼馴染萌え、吸血鬼ネタ、ラブコメなどピンとくる方向け。

 

 

 

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