「歯が浮くセリフを高らかに」
笑ってくれれば重畳な前置き。
えー、今回は川崎部さんところのフリーゲーム「結晶石と錬金銃」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
プレイしたのはver1.50a6。
バンバン銃を撃ちまくりながら、色んな人たちの物語に触れていくゲー。メインのストーリーが一本あり、実績を解放して解放されるエピソードで補完をしていくタイプです。
この手のジャンルなんていえばいいんでしょうね。シークレットファイル型?
とにかく、かなり面白かったので、さっそく感想など。いつもに比べて自分語り要素多めです。
アクション苦手でも銃器知識ゼロでもウェルカム仕様
この作品、ガンシューティング?アクション?の要素がバトルのメインと聞いて、しばらくプレイをためらっていた作品でもありました。軍事系や国家情勢系の文章を読むのがかなり苦手なんですよね……。
でもなんでダウンロードしたかってそりゃ、「帝国魔導院決闘科」および「召喚指揮候補生」がものすごく、ものすごーーく好みだからです!! どちらの作品もですね、システムとフレーバーテキストとキャラが本当心の中心をズガンと射貫いてくれたんですよ。
ですので、やっぱりやってみよう!と思いプレイを始めたところ大正解。エピソードと言い、要所の言葉遣いといい、ノリと言い、もうめちゃくちゃ熱くて気持ちよかったです。
なので、私のようにプレイヤースキルやジャンルでためらっているプレイヤーさんがいるなら、物は試しをおススメしたいです。帝国のノリは良いですよ!
なにぶんこんな感じでこの作品に手を付けたので、前作前々作をプレイしていなくても楽しめるかといわれると謎ではあります。少なくとも世界観と設定用語は濃いので、この作品にピンと来るなら他2作もプレイしてみてほしいなあという気持ちです。
なんかエッセイ的なことを書き散らかしてしまったのでちゃんと、アクション苦手な人でも触れれるという点についてもう少し書き加えておきますと。
まず、銃の種類がたくさんあります。ただの無機質な装備品ではなく、職人とのサブイベントや改造時のコメント等のおかげで、「よくわからないけどこの人好きだから使ってみよう」という取っつきやすさが生まれてくれます。カラシニコフが大好きです!
私は連打や敵の反応に合わせた動きをするのが苦手なので、マウス押しっぱなしでも発射される銃や、細かな調整無しで一撃必殺出来る武装を愛用していました。プレイヤースキルを補える装備を選べれるのもいいところ。
さらに言うと、難易度自体はこの手のゲームの中でもおそらく易しく設定されているんだと思います。実際、武装強化さえしていれば終盤はかなりさくさくでした。強い武器を出し惜しみしなくてよいというのもありがたい点です。
公平に難点も上げるとすれば、シンボルエンカウントの点でしょうか。
私は鬼ごっこも苦手なので、狭い道での敵シンボルはもう少し減らすか判定を甘くするかして欲しかったのが本音ではあります……。また、面によっては回復手段なしで突き進むのを求められるので、シビアなところがあったのも確か。
でも、負けた戦闘でもノーリスクでそのバトル開始時からコンティニュー可というのはかなり助かりました。アクションゲーにおけるやり直しのリスクってめちゃくちゃ恐ろしいものがあるので……。また、さんざっぱら撃ち合いをしたのでプレイヤースキルが上がった、の、かも、だといいな、という感じもあります。
雑魚戦でのメリットはほぼ無いと言っても過言ではないのでシンボルはほどよく避けましょう、というのもシンボルエンカウント制の潔さを感じました。
意味深・メタ読み上等のセリフ回し
やっぱり痺れたのがテキスト面だったので、そこにも触れておくと。
主人公はお助け屋的な動きをするので、初めのうちは人助けをして人と交流を深めていくRPGなストーリーなのかなーと思わされます。
が、エピソードが解放されていくと、じわじわと出てくる意味深なセリフやキャラ同士だけで通じ合う単語、符牒めいた反応等々が気になり始めます。話もどんどん壮大に、個人から世界を巻き込んでいく展開へ。情報の出し具合や、エピソードの解放条件の調整が実に絶妙です。
謎が一気に答え合わせとして開放されるのは終盤も終盤なので、「わからない」状態が苦手な方にはかなりきついかもしれません。
しかしですね!
このセリフ回しがまたかっこよく、ほどよく中二心が疼き、魂が揺さぶられるんです。ぶっちゃけ、中身がよくわかってなくても熱い想いが伝わるんですよ! 置いてけぼりにならないのがすごいと思う!
難しいこと考えながら全体像を想像するもよし、リアと一緒に「おれもよくわかんねぇ!」とへらへらしながら勢いに乗ってしまうもよし。
なんだかんだで最後には熱く盛り上がれる、気持ちいいストーリーでした。
要所要所でセンスの高いセリフはそれこそ山ほどあるのですが、中でも最終戦のロランのセリフが大好きです。
恩を恩で返す、優しい世界観
キャラは皆和気あいあいとしています。ただ、上記の通り暗躍したり舞台裏で激しく動いたりしているので、雰囲気はところどころ殺伐です。ぎょっとする展開も来ます。辛辣な言葉が飛び交いますし、キャラがキャラに失望する展開もあります。
が、それでもやっぱり優しい世界だったなーと思います。
武装強化した時のコメント達と言い、終盤の展開と言い、「こちらこそ!」と大声で叫びたくなりました。
こう、プレイヤーのプレイに返してくれるゲームって本当、嬉しいですよね。演出が熱いけど過剰じゃないというか、感動させにくるんじゃなくてあくまで釣られてこっちが熱くなってしまうような構成なのもぐっときました。
配役ぴったりのボイスと、ここで決めるSE
また、立ち絵の絶妙な表情変化など語りつくしたい点は山ほどありますが、中でも注目したいのは音面でした。
まずボイスについて。バトル中の要所要所でしか聞けはしませんが、配役ぴったりの演技で、決めボイスがとにかくハマってるんです。バトルの出来によって、褒めてくれたり心配してくれたり、あるいはぶーたれたりするのも可愛いところ。ボイスを聞きたいがために意味もなく過去ステージを練り歩くこともありました。
ジャックの「スタンバイ」がかっこいいんだよなあ!
聞いてて気持ちよかったのは白猫さんです。紹介PVではキンキンボイスがちょっと苦手だなあと思っていたのですが、ゲーム中ではほどよく気の抜けたのじゃロリボイスで、中でも「ゲージが余っとるぞーい」にはありがとうありがとうと言いながらぶっ放してました。
次にSEについて。ダダダダダダダッという爽快な連射感はあの銃撃音あってこそだなあと思います。ミーシャを使い始めた時は圧倒的なにぎやかさに吹き出してしまったことも。
音量調節って素敵ですね。
最後にBGM。曲がぬるっと戦闘用に切り替わり、ぬるっと通常マップ用に戻るので、雰囲気や勢いを保ったまま挑めてよかったです。終盤でこの曲調(?)を使うのか!と感嘆させられたところもありました。
前々から聖国のテーマ曲などは好きだったんですが、やっぱり曲幅広くて楽しいなあと思います。おまけのテーマ曲のタイトルも好きです。
一方、気になった点としては、
イベントバグ・進行バグ
ウディコン掲示板等を見るに、私のプレイしたver1.50だとかなりのバグは駆逐されているようなのですが、それでもちょこちょこあります。バトル中にエラーの緑帯が出てくるのはわりと慣れました。技師サブイベントを後回しにしようとすると詰むこともあるので要注意です。また、敵シンボルとの接触判定がうまくいかず、行き止まりなのに敵と戦えないので抜け出せないといった状態に陥ったことも。
掲示板は閉まっているようなので、サポートがどうなるのかはわかりませんが……ある程度の挙動の不安定さは踏まえたうえで、セーブは小分けするのをオススメします。
上記に合わせて、マップの難易度もかなりステージによって異なります。敵がいても避けやすくて一直線に行けるマップと、ぶつかりまくったりギミックがややこしかったりのマップとで差が極端だったかなと感じました。特にマップギミックがある場合はどうしても時間がかかるので、ある程度マップの広さは制限してほしかったです。
そしてこれは本当、文字通り気になった点なんですが……
エピローグいかに。いやこういうところを直球でつつくのは野暮だと知っているんですが、うーんうーん。召喚指揮候補生はひっそり増えてましたし、帝国魔導院はなるほどな行き方だったので何かあったら嬉しかったなあという気持ちです。
とまあ、こんな感じで。
エピソード回想・音楽鑑賞も完備で、SS含むおまけ充実度と達成感がたっぷりの一作です。ボス戦前の空薬莢の音にぞくぞくする、熱くてCOOLな一作でした。
追記からはネタバレがっつりの感想など。
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