うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

フリーゲーム「棺の魔女」他3作品感想

「幾度となく生誕し幾度となく消滅し、希望ばかりが降り積もる」

概念は朽ちずそこにある前置き。

 

 

えー、今回は高野M明さんところのフリーゲーム「I am ...」「CLEAS(綴りワカンネ)」「Re-birthday -再誕の日-」「棺の魔女」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ノリ含め諸々容赦なくVIPRPG。魔法具現化ネタ多め、でもよくある設定よりは独自設定はい説も多め。ある程度慣れてる人向けかなと思います。

台詞や言い回し自体は厨二マシマシ退廃上等のすっごく好みな雰囲気です。

 

目次はこんな感じ。容赦なくネタバレします。

 

 

 

実際の私のプレイ順は前後するんですが、個人的にこの順番でプレイするのが理解しやすいな~と思ったので記載順は変えてます。一番初めに「ごめん、まだわかんないや(以下『ごめん、』)」をプレイしておくと、キャラの伏線っぽいセリフや全体像が理解しやすいかも。

せっかく別記事も書きましたし、『ごめん、』をプレイ済み前提で書いていきますね。

 

 

 

『I am ...』

 

[概要]

一本道探索。凸シェイドⅢメイン、他シェイドがサブ、そのほかミルミなど『ごめん、』キャラと、餡軍が少し。さくさく行けば10分強でクリア。

 

 

[システム・演出]

 

あちこち回って調べればいい感じにストーリーが進行していくタイプ。謎解き等はほとんどなく難易度低め。

唯一あるバトルシーンがすごく好きです。RPGじゃないゲームでRPGのバトルを上手いこと使ってる作品、心から好き。勝ち負け殺し殺されではなく、あくまで誕生として演出されているように感じられるところも好きです。この方のシェイドⅢの持ち歌みたいになってる例の曲も、元々すごい好きなので嬉しかったり。

 

 

[そのほか感想]

 

『ごめん、』プレイ済みだとものすごく響くシーンが多かったですね。あれは『ごめん、』の前日譚およびバッドIFってことでいいのかな。特にミルミのシーンが印象的。『ごめん、』だと見えづらかったミルミの内面がダイレクトに伝わって、かなり刺さりました。ああいう、後からモブがざわざわ不名誉な好き勝手を塗りたくっていくタイプの鬱展開、しんどいけど好きなんですよね。どうしようもない感じが……。

 

全体的には凸シェイド創生記。

まさに影ながらみんなの道筋を少しだけ変えていく、運命の糸に干渉するような構成と距離感が好きでした。『ごめん、』キャラ達の行く末といい、後述する「CLEAS」と比べて凸シェイドⅢの誕生経緯が異なることといい、あらゆる作品群よりも一つ上の次元に本作の凸シェイドがいるような設定ですよね。ですよね(やや自信がない)。こういう、万華鏡みたいな形の作品って色々と考え事が増えて好きです。

あと小さいお人形たちが可愛くてよき。

登場するどのキャラも鬱展開まっしぐらな雰囲気ですが、その中で生まれることを選んだシェイドⅢという構図がとても美しかったです。

 

 

[一言]

全体的にサイレント寄りなところや仄暗さがとても好きでした。

 

 

 

 

『CLEAS(綴りワカンネ)』

 

[概要]

おっksgかな? と思いきや本編はしっかりがっつり良作。凸シェイドⅢと棺シェイドメイン、魔王様一家と魔王VS勇者がサブメイン。探索ゲー。

 

 

[システム・演出]

 

導入のksg部分はまあ、その、お疲れ様でございます。いつもありがとうツクラー様方。

置いておいて本編。アイテムが自動仕様ではなく、使えそうなところで選んで使う必要があるところがポイント。通常なら面倒に感じるところですが、本作で自動仕様だとあまりにお使いゲーと化すだろうことは予想がつきます。アイテムを使う時のシェイド二人の掛け合いや、使った後の会話反応をしっかり仕込んであるところなども細やか。なのでこと本作においてはこの仕様が好きです。

どうでもいい場所にもセリフを仕込んで、探索を楽しくさせてくれる探索ゲーって大好き。同じイスというオブジェクトに対してもきちんと椅子の数だけ反応が違っていて笑いました。

 

演出面だとED曲、というか挿入歌?のタイミングが引っかかりましたねえ。この作者様恒例、EDテーマとして持ってこられる曲が展開と比べてけっこう明るくて雰囲気がブレイクするんですよね。歌詞重視で選んでそうだなあという印象は受けるんですが、BGMの力がなくとも雰囲気作りがかなり上手な作者様なので、ここだけは惜しまれます。

あとこっちは良い点、細かい演出として注目したいのが終盤の凸シェイドⅢの顔グラ。停止する→理解できない→理解して目を見開く、という流れが無言の顔グラ切り替えで言わずとも伝わってきて、見ているこちらもはっと息を呑みました。

 

 

[感想]

 

全体的に鬱展開。希望なんてなかった。好き。

ただ本作はシェイド二人の掛け合いがテンポよく明るいので、「I am…」と比べて陰鬱さは薄れています。ただ、こうして愛着を持ってしまうとより辛くなる人もいるかもですね。

 

「I am…」で誕生を選んだ凸シェイドⅢの魂のうちの一つが、この世界に顕現することを選び、嫁様の手によって凸シェイドⅢが具現化したって感じなのかな。向こうでも勇者達にお姉さまなシェイドⅢがやられていましたし、土台となる舞台設定は共通なのかもしれません。

どうしてもプレイヤーの立場が片方に寄っているので、一方的に被害者になってしまっているところは少しだけもやっとしたかも。どこかで2000年前の話も出るんでしょうかねー。

 

凸シェイドⅢの倒置法っぽい独特な喋り方や、システムメッセージも彼女が喋ってくれるところがほんとすごい好きでした。

 

 

[一言]

あちこち調べるのが好きな方、にやにや笑いでジョークをかますシェイドⅢが好きな方向け。

 

 

 

 

 

『Re-birthday -再誕の日-』

 

[概要]

凸シェイドⅢ、わてりがメイン。フレイムⅢとトルネードⅢ、そのほか魔法具現化がサブ。ラストだけイベントバトル、そこで3つのエンドに分岐する探索ゲー。

 

 

[システム・グラフィック]

 

まず注目したくなるのがグラフィック面。

よく見かけるものとは違った絵柄の歩行グラ、英語表記の名前欄、オリジナルなメニュー画面など、かなり独自性を感じる出来です。この自作グラがストーリー上で影響しているところも好きなんですが、そこは後述するとして。

操作方法が一目でわかるデザインがすごく好きなんですよね。探索スタートの画面下枠といい、メニュー画面といい、すっきりした画面構成なのもまた良い。自作戦闘画面もそうですね。どことなくゲームボーイな雰囲気を感じる気もします。

 

キャラクターを切り替えて進んでいく形になりますが、基本的に難しいところはなく、ざっくりとお使いゲー。マップもほどよい狭さなのでうろうろしつつ色んなキャラに合えるのが嬉しかったし、話しかけるキャラによってセリフ分岐があるところも楽しかったです。

BGMの入りも良いし、エンド後も三様にセリフ無しで進行するので色々と考える余地もあって、かなり好みでした。

 

 

[ストーリー]

 

エンド三種がそれぞれ別作品の世界軸に繋がっている気はしています。ざっくり『ごめん、』世界に通じるものと、「CLEAS」世界の結末を書き換えないまま凸シェイドの運命が閉じて終わるものと、何か別作品?金髪の子の世界に通じるものって感じ。こういう繋がっていく話好き。

自分は「I am…」が時系列の最初だと思っているので、あの作品でシェイドⅢが産まれることを選んだ以上、意地でも嫌でも何かしらの形で産まれ続けてしまいどんな鬱展開でも止めることができない的な業を背負っている、という流れだといいなあと考えています。なので生存ルートをトゥルーとして推したい所存。トゥルーだのそうじゃないだのの分類にはならない気もするけれど。

 

地上に出る、というか、再び誕生することで歩行グラも見慣れたものに変わる演出がとても上手かったです。私たちのよく見かけるもしもワールドの次元に戻ってきたんだなあと、言われずとも伝わってくるこの手腕よ。

 

何故四人全員で最後まで進めなかったのか、邪魔してきた白い物体は何者だったのかという謎も残りますが……。

まず途中で脱落するキャラについては、代用品が手に入っちゃうところが痛々しい演出で素敵でした。アイテム持ってたら自動使用してくれるから、キャラを切り替える必要すらなくて、逆に進行上は便利になるんですよね。酷い話で、その皮肉さがなんかとても好きです。

元々あの場は一人しか脱出できないようにできていたのかなあ。キャラが自覚しているしていないに問わず、紫クリスタルみたいな上位存在?からの制限によって無理やり消されたってイメージがあります。実際襲ってきたのは、一瞬映るシェイドの元になった白饅頭みたいなやつなんだろうけど……それがいなくてもそうなってしまうようにできているみたいな……それ。

 

あの白饅頭的な物体がそもそも何なんでしょうね。

あの紫クリスタルが凸シェイドⅢに言ってたことを考えると、白物体・シェイド・凸シェイドの三つで本来完成形だったはずなのかな。だから『ごめん、』で凸シェイドの具現化に三回もかかった(不完全だった)のかもしれません。そういう解釈にしておこう。

 

 

[一言]

演出やグラフィックがしっかりお話と噛み合っていて気持ち良かったです。

 

 

 

 

『棺の魔女』

 

[概要]

凸シェイドⅢが主人公、ウォーターⅠとミルミがサブ、かな。別作者様の作品『黄昏の冒険記』を思い浮かべるキャラがいるものの、未プレイでもおそらくはOK。

基本的に街を行き来しながら行けるところにいけば物語が進行する、謎解き無しのおつかい探索ゲー。

 

 

[システム・グラフィック]

 

まず気になった点から。BGMの切り替えにラグ?があるのと、助けてカットインの主張が激しすぎるところは合いませんでした。カットインの頻度は『黄昏の冒険記』リスペクトなのかなあ。ノイズ暗転→ノイズ暗転メッセージ→ノイズ暗転メッセージ立ち絵、みたいな感じで回数を追うごとに変化があればすっきりした気がします。

続いて好きな点。お金を表示させる欄が所持アイテム数になってたり、装備品にフリガナがついていたりするやり方は好きです。

顔グラがなぜあの顔で統一されていたのかは疑問ですねー。『ごめん、』の世界線だと立ち絵表示で顔グラがなかったからかなー、なんて。世界線ごとに顔グラを統一している印象はあります。

イベントバトルの演出方法やコマンド名なども、この作者様独特の味があって大好きです。オートを「踊る」と称すセンスが最高。

 

 

[ストーリー]

 

いやあ鬱展開でしたね!

狂気じみた哄笑で〆るところがたまりませんでした。痺れる。

言い訳しようもあるだろうに、凸シェイドの性格からしてしないだろうなあというところも含めて潔くて大好きです。

性格と言えば、『黄昏の冒険記』はほぼ無口主人公だったのに対して、本作はきっちり「ごめん、」シリーズの性格が出てるセリフ選択肢が多くて嬉しかったです。あの煙に巻くようでいて貶めはしないセリフ回し好きなんですよね。

 

ばたりと倒れ伏すミルミも、再会する彼女もそうですが、皆が皆恨みつらみを泣き言にせず矜持とともに死んでいく姿がとても好きでした。

この後の凸シェイドⅢはどうなるのかな……。棺桶があればとも思いましたが、残量的に絶望的な気がしますね。

 

 

[一言]

棺を背負って歩く少女というのは実に絵になる良いものです。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

この作者様は各ゲームがパラレル、あるいはスターシステム的に繋がっているのですが、特にここで取り上げた四作は凸シェイドⅢの誕生にまつわる話が多く詰まっているので、一つ気に入ったなら一連プレイするのをおススメします。

 

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「力に溺れるも罪、伏して為さぬも罪」

中庸とはかくも遠しな前置き。

 

 

えー、今回は飼育小屋製作委員会さんところのフリーゲームウルフズエデン」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

育成ゲーな雰囲気の、選択肢分岐ノベルゲー。難易度は作中のヒントさえ見れば簡単。

というわけで、良かった点など。

 

 

各種神話や名作へのリスペクトを感じる作品

 

アダムとイブが楽園を去り、とある少女が楽園へ流れ着いたところから本格的にお話が動き出します。となるとやはり思い浮かぶのは失楽園。物語の途中からは賢き蛇も登場し、いやあかくもかくたるやの様相です。

しかしながら、興味深いのは失楽園に留まらず、オマージュ作品を複数取り揃えている点でした。シートン動物記オオカミ王ロボ、天岩戸、北欧神話などなど。文学や神話に詳しいとされるオタクの心をくすぐってくる小ネタが多く盛り込まれています。

もちろん、これらはあくまで元ネタのラインを感じさせるのみであり、それらを全く未読であっても影響はないかと思います。ただ、元ネタを感じさせつつもオリジナルの話を構築する、造詣の深さがあちこちに見られるという意味でかなり好印象な作品でした。

 

 

 

罪を重ねて業を負う神づくりシステム

 

さて、育成ゲーと述べさせていただいた本作ですが、システムはシンプルです。七つの大罪のうち、どれを食べるか。これだけ。ややこしいリソース管理やフラグはなく、手を付けやすいプレイ感です。

エンド分岐もわかりやすく、ゲーム内に攻略ヒントまで用意されている親切っぷり。おそらくトゥルーの位置づけであろうエンド1も、連想が得意な方は直行できるかと思います。

そして面白いのが、このシンプルさに反してエンドの内容がかなり多岐に渡ることなんですよね!

育てる少女、白露の性格はもちろんのこと、変化は結末のみならず彼女の立ち絵や文体にまで大いに影響します。ギャグエンドもあり人類滅亡エンドもあり、実に楽しく回収させて頂きました。好きなエンドは追記にて。

 

 

 

無知の知を感じさせるストーリー

 

お話の面にももう少し突っ込んで好きなところなど。

七つの大罪を身に含んでいくことで変化していくのは白露もそうですが、ロボも同様に彼女を見て心境を変えていきます。育てる対象だけでなくて自分も変わっていく──むしろお話としては一貫してロボが主人公になっている──この切り口がすごく新鮮でした。

力を持ち、知恵を有し、何でもできる大神ロボ。オープニングや彼の立場からして、初めはどことなく超然とした上位存在のように思えますが、読み進めるとその実彼にも迷いがあり欠けがあるのだというのが見えてきます。

神様、なんでもできるもの、そこまでの存在であってもイコール賢者とはならない。この哲学めいた展開を、ロボや白露の親近感あふれるやり取りで感じさせてくれるところが面白かったです。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

神憑りな雰囲気を感じさせてくれる壮大なお話や、人外×少女、エンド分岐で多彩なパラレルワールドが広がるノベルゲなどが好きな方に強くオススメです。

追記ではエンドネタバレ感想。

 

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フリーゲーム「春の幻影」感想

「能ある魔法使いは杖を見せず」

そぶりも無ければより恐ろしい前置き。

 

 

えー、今回は水温25℃さんところのフリーゲーム「春の幻影」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

乙女向け男女恋愛ノベルゲ―。

主人公はケモミミ狼娘。色んな種族や魔法が存在するファンタジー世界ですが、基本的にはまったり日常話です。ただ公式にある通り時々死にます。でもメインはやっぱりほのぼのあたたかいお話です。

 

というわけで、良かった点など。

名前や立場は出しませんが、隠しキャラの存在にも触れはしますのでご了承を。

 

 

違うからこそ尊重できる

 

獣人と人、魔法使いと素養無し、世間知らずと旅人、狼と羊、などなど。

メインとして登場するキャラは全員が違う種族で、魔法の素養もそれぞれ違います。そしてそれらの描写の仕方が、なんだか優しいなーと感じる作品でした。

例えば主人公は肉食を嫌う狼ですが、肉食をする仲間たちを嫌悪しているわけではなくてあくまで言いなりになれと強制されるのを嫌っているんです。片方を否定するんじゃなくて、無理やり一元化するのが嫌。こういう作品全体のスタンスが好きでした。

このポイントが回想シーンや、彼と姉との違いからきちんと伝わるようにできているのも、上手い描写なんですよねぇ。某バッドエンドとトゥルーエンドを分ける夢のイベントも、差の付け方がすっごく好きです。何でもかんでも同じになりたいわけじゃないってことだったんだろうなあ……。

 

 

 

恋よりも穏やかな関係性

 

口説かれたり甘い言葉をささやかれたり、という意味では糖度低め。ですが、お互いのことをよく知り合い、心地よい関係性を築けているという意味では糖度高めだと思います。

片や幼馴染、片や師弟関係で、お互いをよく知っているといえるからこそエンドが響きました。お互いの理解者になったというより、元より良い理解者であったことを再確認した感じ。

 

特に先生ルートの収まり方が好きなんですよー。明確な恋人という枠組みを遣わずに、でも意識し合ってて心地よい関係。形容するのに良い言葉が思いつかないのも、彼らだけの特別な関係を築いているからだろうと思うとにこにこします。

キールの自律心がきちんと育っているのもポイントですよね。素直で良い子で流されやすいけど、おかしいなと思ったらきちんと言えるし、相手のことをよく見てる。口調が特徴的な子だなあと思っていたんですが、「あなた」という丁寧な二人称と「~だ」という一見ぶっきらぼうな文末が多用されるこの口調に、キールらしさが全部詰まってていいな~と思います。

 

 

 

力を持つからこそ考える

 

公式にあるとおり、たまに死にます。ほのぼのした世界観ですがわりと本当に死にます。

ただ、陰鬱さや超展開感は少なく、仄暗さが見えるのもそのワンシーンだけなので全体的にはやっぱり明るい作品です。

なんというかこう……私の嗜好的にここってめちゃくちゃ語りたいけど語るのがものすごく難しいポイントでしてね! もっともっと見たいけど公式がここで留まってくれているからこその良さとして語りたいというか、ここを推しすぎると誤ったマッチングを起こしそうというか。なので追記に伏せます!

 

ともあれ、本筋として語りたいのは力の使いどころについて。

先生は魔法の力、キールは狼の力、そして某キャラは──。

メインキャラそれぞれがそれぞれの形で力を持っていますが、だからこそ力で全てを台無しにしてしまうことの危うさもよくよく自覚しているなあと思える描写が多かったです。だからこそ、表に出したがらなかったり、強く強く罪悪感を抱いたり。

こういった価値観の描写ってすごく大事だと思うんですよね。駄目だと思っている、そっちに比重があるからこそ映えますし。

尊重と暴力が同時に成り立っている貴重な作品だと思います。

 

 

とまあ、こんな感じで。

のんびりとした語り口で、少し危なっかしいところがありつつも、見守りたくなる関係性が楽しめました。

追記では各エンドやキャラクターについてなど。

 

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フリーゲーム「灰色庭園」「園庭色灰」感想

「四肢が捥げても羽根が折れても、負けてたまるか女の維持よ」

さあ肉塊遊びを続けようかな前置き。

 

 

えー、今回は海底囚人さんところのフリーゲーム「灰色庭園」「園庭色灰」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

「園庭色灰」は番外編なので追記の一番下に格納します。

というわけで、「灰色庭園」について。

エンド分岐有り、ツクール製RPGで戦闘もあるんですがプレイ感はADV、動かすノベルゲ、見るゲな印象です。

 

そして本記事はちょっと変則的に、まず人を選びそうな──もとい事前にそういうものだという情報があったほうがよりプレイしやすいかもと感じた点から語ります。

 

 

うちのこ系創作の文脈を感じる展開

 

一言でいうと本作は、大人数によるキャラゲーだと思っています。

群像劇と言うほうがおそらく聞こえはいいんですが、キャラと各自の関係性が織りなすドラマにこそ魅力があると感じるので、やっぱりキャラゲーと銘打って語ります。

 

というのもですね、かなり「うちのこ創作」の雰囲気を感じるんですよ!

 

まずキャラの掛け合いが第一。プレイヤーに伝えること以上にキャラ達がそのキャラらしく生き生きと動くことを重視されている印象です。過去の事情や思わせぶりな台詞、それらは伏線として機能する時もあれば別作品に繋がる時もあり。定期更新ゲー界隈の方には伝わるんじゃないかなあと思うんですが、どうでしょう。うーん。

プレイヤー置いてけぼりってわけではないんですよ。きちんと自己紹介してくれますし、最低限の説明も入れてくれますし。にやにやできる、そりゃもうにやにやできる掛け合いを思う存分味わえるので、キャラへの愛着も持ちやすいです。

ただ、全てが明かされないことも確か。特に主要人物の過去話や、敵サイドの事情などについてはプレイヤーが推測・補完しながら進めていくところが大きかったです。

 

まとめると、キャラ萌え重視の方向け!

そんでもって考察するというよりは妄想を広げてにやにやする人向けかもです。

 

 

 

雑魚戦全逃げ推奨

 

戦闘はありますがほぼほぼイベント的な楽しみ方になります。雑魚戦全逃げしても強制戦闘には勝てます。勝ちました。

シンボルエンカウントになってるのでこの辺りわかりやすくて助かりましたねー。むしろ雑魚を倒して回ろうとすると徒労に終わるかもしれません。

といっても、バトル自体に意味はあるんですよ。演出としてはほんと良くて、ボス戦は熱いし、戦闘前にカットインが入るのもカッコイイし。仲間キャラもスキルごとにドットが全部違っててめちゃくちゃ凝ってて好きです。ロベリィちゃんのどこまでも物騒な感じがラブ。

なのでまあ、RPGとしてバトルを求めるとちょっと期待とズレちゃうかも。負けイベントからバッドエンドに分岐することもあり、盛り上げとして戦闘機能が使われている印象でした。

余談、キャラごとのステータスの違いを見るの好き。

同レベルでも数値違ってるとニヤッとしますね。

 

 

と、この二点がRPGだと思って構えるとズレちゃう点ですね。

続いて魅力的な点語っていきましょう!

 

 

 

天使と悪魔が仲良しの世界観

 

舞台は天使と悪魔が手を取り合う、灰色村。

天使と悪魔って時点でもう好きなんですよねー。キャラによって羽根の大きさが違ったり腰から生えてたり角の形が違ったり。歩行グラで違いをはっきりチェックできるのも嬉しくて、まさに羽根っ子好きのための作品って感じでした。

 

お話は花畑から始まり、序盤はほのぼのとしたきゃっきゃうふふが楽しめます。破壊や戦いの描写や、ちょっとグロいのがデロっとすることもあるんですが、根幹に仲良しと愛とパワーがあるので読後感は爽やかです。

 

何よりキャラ同士の掛け合いがほんっと可愛いんですよね! 私のようなCP厨は絶対合います。サブキャラ含めCPが乱立していて、当て馬はいても原則固定寄りです。ありがてぇー!

百合も男女愛もあるんですが、そもそもそういう性別論にこだわりがなさそうな世界観な気もしています。「女の子なんだから」という言い方をしてくるのは異世界キャラだけですし。好きな子は当然好きな子同士でくっつく、みたいな安定感がありました。

 

 

 

インフレしつつもピラミッドは保つバランス

 

展開としては群像劇寄り。操作キャラも場面もよく変わりますし、登場キャラもかなり膨大です。

 

で、着目したいのがキャラの覚醒シーンについて!

ありとあらゆるキャラがとにかく覚醒しまくってくれるのが本作の好きなところなんですよ! 熱いじゃん! テンション上がるじゃん! 「えっあの子にあんな面が……!?」みたいな驚きがあるじゃん! 好きです!!

ついでに言うとなんかね、弱気な子もカッとなることがあるし、能天気な子もさすがの状況だと怯えるし、超強そうなTHE悪役もカラオケ行っちゃうみたいな、この人間臭さが好きです。

 

そんな中で、最強キャラは揺るがず堂々と最強の座を獲得している、このヒエラルキーの作り方も魅力的でした。序盤から魔王様と神様が普通に常駐してますし、言ってしまえばインフレ上等の造りなんですよね。そのうえガンガン覚醒しまくってめちゃめちゃ強いキャラがさらに強くなるもんだから、どうなるのかなと思うじゃないですか。

でも、パワーバランスはきっちり整理されてるんですよ。

強いキャラがやられる時はそれ相応の理由が用意されてるし、キャラがどの程度負傷してるのかバトル前にちらっと匂わせる台詞があるし。しっかり強さのピラミッドが裏で用意されてるんだろうなあと思います。インフレバトル、いいよね。

 

 

 

スチルたっぷり景観グッド

 

起動画面からして白黒灰な構成ですが、蓋を開けてみると長閑な草花もあり激しい炎もあり、様々な色が楽しめる作品でした。移動にけっこう時間のかかりがちな本作ですが、それでもむしろ探索を楽しめたのは、こういった背景から世界観を色濃く感じるからかもしれません。

ロケーションによって景色が全然違うんですよね! 朝昼夕の森が好きだなあ。

行くべき道には基本誘導がありますし、行かなくてよい横道はサブイベントも全くないので、あまり迷わずに済むところも助かりました。

一枚絵も立ち絵も多いうえに、クリア後は思う存分見返せる豪華仕様。戦闘前カットインが見返せるのがめちゃくちゃ嬉しかったです!

 

何よりキャラデザが良いんですよね~。二次創作がにぎわってるのも納得、ぱっと見てぎゅっと心を惹かれるデザインが多いなあと思います。ヨザファイアちゃんの唯一無二感が素晴らしすぎる。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

CP萌えしがちな方、天使と悪魔、グロと暴力を愛とパワーで吹っ飛ばす元気いっぱいの作品が好きな方にオススメです。

 

追記ではキャラクター語りや、気になっている謎などについて軽く覚え書き。

 

 

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フリーゲーム「鏡の国の姫君」感想

「あなたのためにを疑わない、なぜなら視点はあなただけ」

三者から見るとヘンテコに見えるかもしれない前置き。

 

 

えー、今回は水温25℃(すいおん25ど)さんところのフリーゲーム「鏡の国の姫君」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ややミニゲーム風の選択肢分岐有り、攻略対象一人の男女恋愛ノベル。乙女ゲ。

通りすがりの旅人に守られながら、別の国のパーティへと向かうお姫様のお話です。

というわけで特徴的な点など。

 

 

天然ワールドの繰り広げる少し不思議展開

 

全体的にふわふわほのぼのとしたグラフィックの本作。内容もその雰囲気に違わず、まったりふんわりなストーリーです。

なんだか不思議な生き物が飛び出してきたり、世間にスレたねこちゃんと出会ったり。

何より推したいのが、メイン二人のド天然さ! 

二人でにこにこと大暴投していくので、うっかりプレイヤーの私まで「めでたしめでた……あれ?」と流されてしまうところでした。はっはっは。

お互いがときめいたシーンがわかりやすいのも微笑ましいところ。相手はそこに気付いていなさそうな点も含め、にこにこほのぼのできちゃいます。

 

 

複数経路と親切システム

 

本作の特徴ともいえるのが、旅路にどどんと据えられたミニマップです。

敵やら手掛かりやら、あるいはよくわからないものまで、経路を選んで色々なものと出会いながら旅が進行していきます。このゲームブックな感じ楽しかったですねえ。

起こったイベントがアイコン表示されたり、一度見たものは何が起こるかマップにメモされたり、プレイヤーにも優しい仕様。周回プレイでメモをしなくてもよいというのは大変助かるシステムでした。クイックスタートまで搭載、至れり尽くせり。

何より嬉しかったのは、セーブデータのデザインです!

アイコンも表示されるので特定のエンドを狙う時にすごくやりやすいんですよ。エンドのヒントもゲーム内に記載されていますし。それにそれに別経路でも既読のイベントはスキップできるとか……もうね、挙げ始めると止まりませんね! さりげなくプレイヤーのことを手厚く慮ってくれている、実に親切な設計でした。

 

 

わたしは私であなたは二人

 

続いてキャラと設定についてももう少し。

冒頭からアピールされるとおり、お姫様は二人います。それも瓜二つ、影武者でも姉妹でもなんでもなくただ、鏡の国のお姫様です。

ここの設定が私はとても好きでしてね!

もともとドッペルゲンガーやらレプリカやら、同じ人が二ついる、というシチュエーション自体にぐっとくる性質なんですよ。認知が狂う感じが好き。

 

で、本作ではどうだったかというと──専用のエンドはあるものの、やや消化不良。というのが正直なところかな。かなり意外性のある展開だったので、ここの設定や彼女の過去こそをメインに据えたお話が見たかった気持ちがありました。自己の決別、成長ということで、設定自体が物語映えする良質さですしね。

それに「私が二人いるの」というある意味有り得ないはずのことが、「なんだそうなのか」とあっさり流されていくので、プレイヤーとしては置いてけぼりになりがちだったのもあります。

 

といっても本作は、魔法が存在してよくわからないものがいる世界なのに加えて、公式サイトにも超展開寄りの旨明記されていますので。あくまでこれらは私の好みを言うなら、という点。お話の雰囲気は一貫していましたし、こうして前置きを置いてくださっていることにも好感の持てる作品でした。

鏡設定を深めず今後の展望のみ示したことで、むしろほのぼのの形を保ったまま綺麗に締めれた、と言えるのかも。

 

 

立ち絵好きもにっこりのクリア後要素

 

クリア後おまけも欲しいところが全て揃っていて、やっぱりそつなく完成度の高さを感じます。特に達成度、表示されてるとコンプした時に嬉しくなれて好き。へへへ。

特に驚いたのは、全身表示と立ち絵カスタムがあること。全身絵のままで表情変えれるのってかなり珍しい気がします。ランダム表示で遊べるのも嬉しい。

 

リズロットが頭の先から足の先まで全部ぽわぽわパステルカラーなところ、すごく好きでした。他のキャラは刺し色や濃い色もいっぱいあるから、なおさらリズロットのふわふわ感が目立つんですよね。ああ~かわいい!

 

そういえば、グラフィック面でいうと、ゾルガ。タイトル画面も立ち絵も右から見た構図なので、せっかくの左頬のペイントが目立たなくなっててもったいないなーって気になっていました。で、荒っぽさを隠す為なのかなあとか思ってたんですが、もしかすると剣の背負い方の関係なのかもと思うなど。左から見た構図にすると剣の柄が邪魔になっちゃう、みたいな?

 

ともあれ、キャラデザがすっごく好みな攻略対象で嬉しかったです。フェイスペイントいいよね! 巨大な剣を振り回す~とかも好きですし、あの特技にもニヤッとさせられました。せっかくならあの特技が生かされるシチュエーション、妄想しちゃいたいですね!

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

ほのぼので独特のふわふわ感が楽しめる、メルヘン乙女ゲーでした。

 

 

 

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フリーゲーム「Holy†Hell」感想

「手を取り均衡取れぬのならば、手を刺し均衡めざすべく」

天秤の左右を揺らし続ける前置き。

 

 

えー、今回は夜宵空ノ果テ。さんところのフリーゲームHoly†Hell」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

エンドは分岐無し、ただし天使軍になるか悪魔軍になるかで道中の展開や会話分岐が変化する、分岐ありダンジョン探索ゲーです。ジャンルとしてはハクスラ、でいいのかな? 

 

公式ブログで明言されている通り、世界樹の迷宮をオマージュした作品です。

私は新世界樹の迷宮のみ既プレイでして、せっかくなので多少比較しながら書かせて頂きますね。

 

というわけで、良かった点など。

 

 

リスペクトを感じる元ネタ要素

 

例えば、ランダムエンカウントで迷宮をうろつく強敵(FOE)のみシンボルエンカウントだったり。キャラ外見が男女2種ずつ×職業でかなり多彩に選べたり。道中のイベントがゲームブック風だったり、などなど。

随所に世界樹の影響を見られる要素があり、とっても楽しめました! 世界樹を知らない人でも、シンボルマークや事前説明が簡素で、ぱっと見て理解しやすい構成になっていると思います。

 

一方で、もちろん本作独自に削られたり追加されたりしている要素もあります。「初めからマップが開示されている」「ボスは初見対策なしでも撃破可能」など、全体的に世界樹よりは難易度を緩和している印象でした。ただ公開された当時は難しいという声も散見しましたので、もしかすると現在(ver2.4)で大幅調整が入ったのかも? 

部位縛り技やドロップアイテム集めなどもありませんが、ここはむしろ短編ゲーとして良い削り具合だと感じます。

リスペクトや影響は感じるけれど、きちんとオリジナル作品としても成り立っている良作でした。

 

 

 

天使と悪魔の物語

 

天使より先に、あるいは悪魔より先に、神剣を手に入れるべく迷宮を探索するというのがプレイヤーの目的となります。

本作で嬉しいのはこの、悪魔と天使どちらにつくのか選べるところです! 本筋こそ変わりはないものの、特に序盤のダンジョンやホームの雰囲気などは全く異なっています。こういう陣営の違いって大好きなんですよね~。

私は悪魔側から始めたんですが、興味本位で2周目をやってみたところ、やっぱりなんだか楽しくて天使側もおまけまで含めて全クリしてしまいました。へへへ。

基本は黙々と探索を進めるゲーになりますが、ホームに戻れば自軍の大将とお話しできますし、道中ではキーキャラクターとの掛け合いなどがあり、ストーリー面もガッツリ実装されています。なのでキャラ重視・ストーリー重視の私も楽しめました!

 

 

 

制限と自由が噛み合うキャラメイク

 

何より強いのがキャラグラフィック!

いやー、どの職業もキャラデザが最高なんですよ! ここまでどのキャラもストライクな見た目してるゲームはめったにない、本当嬉しかったです。どういう感じって言ったらいいんだろうな、あえて暗い色を多めに使っている感じ? 片目隠れやメカクレ、ダークサイドなキャラが好きな方はグッとくるデザインが多いと思います。

ただ一点、気になるのは顔グラの拡大率かな。戦と癒は顔がドアップに見えたので、メニュー画面で並ぶと少し気になりました。それでもキャラデザ自体がほんと好みで、ステータス画面で全身絵見れるのもすごくすごくすごーく嬉しかったです。

剣と奇は特にグラフィックが全種類好きで、剣のみパーティや奇のみパーティを作ろうかと一瞬悩んでしまうくらいには魅力的でした。

 

また、面白みがあるのはスキル構成もですね。

例えば戦タイプは盾にも大火力にもなれますし、癒タイプも一応殴りメディックの道が用意されています。回復手段もアイテムや全員覚える応急手当があるので、癒タイプなしでもクリアできました(経験談)。

つまり、初心者向け玄人向けはあるにせよ、どのキャラをどう入れてもある程度戦えるようなスキルが用意されています。ゲームに自信がある方は完全に顔で選んでOKです。すごい嬉しい。

 

 

 

レベルを上げれば上げるほど損するスキル

 

さて一方、ここは合わなかった点として。

スキルをレベルアップすると威力は上がりますが、一方で消費コストもドカンとでかくなります。中にはコストが高すぎて使えなくなるスキルや、上げてもMPばかり取られて効果量はあまり実のないスキルなどもあり、やや大味なバランスの印象でした。

コストが上がること自体は良いんですよ。ゲームバランスとして必要なデメリットだと思いますし、MPTP全消費してロマン砲を放つ快感はわかりますし、一部キャラはコスト削減スキルも覚えるので、キャラクターの組み合わせによるシナジーもよく考えられていると思います。

 

ただせめて、レベルを上げる前にスキルの性能とコストがどう変化するかを知りたかった! ここさえわかっていれば、デメリット込みで威力を取るか、育成方針をどう組み立てるかがかなり明確になって、より自信をもって名作と言えます。

本作もパロ元の世界樹も、スキルポイントを振り直しできないんですよね。だからこそ、愛着の生まれたキャラクターが使いづらくなってしまうことを防ぎたい。癖のあるスキルも癖があるという点を事前に了承したうえで愛を持って育てたかった、と感じました。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

天使と悪魔、ダンジョン探索、世界樹ライクなどにピンとくるかたへおススメです。

追記では私のメンバーや軽い攻略情報など。

 

 

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フリーゲーム「たまゆらの華」感想

「良と悪を問う前にその定義から語り聞かせてくれまいか」

自分良ければすべて良しでいい気がしてきた前置き。

 

 

えー、今回は雨天星月さんところのフリーゲームたまゆらの華」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

エンド分岐有り、攻略対象一人の乙女向けノベルゲー。

複数のスタッフさんによる共同制作サークルのようなんですが、プラットホーム的なサイトリンクが見当たらなかったので、暫定でゲームページのリンクのみ繋げておきます。

 

さて本作、ぶっちゃけるとかなり合いませんでした!

なのでまあいつもよりも批判気味に書きます。お好きな方は避けたほうがいいかも。

本編のエピソードのネタバレも含みます。

 

というわけで、特徴的な点など。

 

 

ノルマをこなすために動くキャラクター

 

一番合わなかった点が、キャラクターの動き方についてです。

どうもやりたい展開が先行しているような印象で、特にヒロインの行動が一貫しておらず、見ていてもどかしく感じました。

例えば、はぐれた攻略対象を心配するシーン。イザークが怪我をしたのではと思い、いてもたってもいられず自分の身がボロボロになるまで走り回り、その過程で彼が好きだと自覚する──。このシーンだけ切り取れば、必死さが恋の芽生えに繋がる良シーンと言えます。

しかし問題は直後。見知らぬ女性と出会い自分の過去の手掛かりが掴めることになるや否や、ヒロインは攻略対象のことを放って、グイグイ自分のことばかり聞き始めます。おいさっきの心配はどうした!?

ここだけでなく、似た展開が何度も起こるのでどうにもため息。

一つ一つは色々な意味を持っている良いシーンが多いんですが、作中でやらせたかったのであろう展開が終わるとこれまでの積み上げが雑に放り捨てられてしまうことが多く、惜しまれます。

 

まとめると、やりたいことはわかる。しかし整合性がないからキャラクターの魅力を損なっている。こんな感じですね。

 

 

 

健気と思いやりがズレたキャラクター

 

先んじて書いておくと、私守られヒロインや性善説ヒロイン大好きです。箱入り娘どんとこい、無知な女の子が成長したり逆に甘やかされたりするのは実に良いものです。

なので本作のヒロインもそれっぽくて嬉しいな~と始めは感じていたんですが、いやあ残念期待を裏切られました。

 

なんというかこう、行動する時の原動力が基本的に自分勝手。寿命が縮むとさんざん脅されていた能力を、暗くて見えなくて怖いから使うとかいう軽い理由で乱用してあげく使い物にならなくなりますし。ヒロインが自己犠牲となるバッドエンドも、助けてもらえない私をアピールするモノローグで終わりますし。

殺されそうになっても相手を心配する──という善心自体は私も好きなんですが、殺すなって言ったのに、と責めるような感情を抱くモノローグにはかなり違和感がありました。駄目だダメだというばかりで自分から別の解決方法を提示しようとしないのが自己中。

こうなるとどうしても、「敵をも守ろうとする清らかなヒロイン」ではなく「自分が荒事を見たくないだけのワガママなヒロイン」に見えてしまいます。

 

続いて、攻略対象のほうもなかなかにけっこう強引です。ネタバレを隠す言い方をしますが、騙されたかと思いきや騙されていたししかも騙されていたという展開にはちょっと笑ってしまいました。策士~。

「君を意志を尊重したかった」というような台詞が多く出てくるんですが、実際のところは「いいえ」に当たる選択肢を選んでもだいたいが強引に「はい」的なルートへ強制されてしまいます。

 

ただここは、見ようによっては良点でもあります。

というのも本作、一つヤンデレに当たるエンドがあるんですよ。ええ、私の好きな。なので、彼の本性が実は強引に自由意思を誘導して絡めとるタイプなんだという前提さえあれば、ヤンデレ萌え的な見方ができるかもしれません。

 

 

 

暗に圧を感じる意志の尊重と無茶な設定

 

引き続き相手を尊重することについて。けっこう作中で強調されているので、テーマの一つなのかなあと思うのですが……。焔とアスラビアで異文化交流を見せるかと思いきや、実際のところは押しつけが多く辟易しました。首筋のキスを暗に強要するところもそうですし、事前説明なく焔の風習を取り入れて民衆を騒がせたこともそうですね。風習だけでなくとも例えばアベルが渡した銃にしても、本人が操作方法を覚える気のない劇物を押し付けるというのは逆に、イザークを陥れたいのかと思いますし。

 

あと一番突っ込みたかったのは、過去話について。焔に知られると一族が悪用されるかもしれないから守ろう→守られる側の一族の意志も尊重しよう。ここまでは納得。

からの、やっぱり焔に一族の場所を打ち明けよう、で思わず爆笑しました。なんでや! 悪用されるかもって気づいてたじゃん! 

本編では、致し方ない事情により……みたいな書きぶりだったのでなおさら温度差にガクっときました。

 

また、浄天眼が「真実の愛チェッカー」みたいな扱いをされているところも残念。なんというか、誰か(プレイヤー)に対して「これは本当の愛なんです!騙されているわけじゃないんです!」って叫んでいる感じがして逆に萎えてしまいましたねー。これ仮に欠点が嘘だったって話になったらどうするんだろう。このヒロインだと破局しかねないから尚シュール。

 

あっでも、浄天眼という名前自体はめちゃくちゃカッコよくて好きです!

敵側にもそうなるに至った経緯がある、という言い分や、怪しいと思っていたキャラクターが実は……という流れも好き。この辺りはプレイヤーとしても驚きがいがあって楽しめました。

なのでなおさら、ヒロインの受動っぷりと身勝手計画ブレイカーっぷりが目立ったというのもあるんですけどね……。紅蓮はあれだけ頑張ってるのにさんざん言われて偉そうな説教まで受けて報われんなあ。

 

 

 

美麗なグラフィックと異国感

 

魅力的なのはやっぱり立ち絵やスチル、グラフィック全般です。それこそプロとして活躍されていてもおかしくないほどの画力で、どのスチルも実に美しく惚れ惚れしました。

 

ただごめんなさいここも気になるところとして、イラストの構図が気になります。

注目したいのが、公式サイトトップ画像およびタイトル画面。これは誤解が起こっても仕方なかろうなあと感じました。

というのも、どうもTwitterアカウント等や必読を拝見するに、「紅蓮は攻略対象ではないのですか」という質問が起こっているようなんですよね。そりゃそうだろうなあ。せっかく攻略対象一人の相思相愛ものなわけですし、イザークをもっとアピールして欲しかったかなと感じます。

私、紅蓮大好きですよ! 三つ編みも金目も好き要素ですし、クーデレで不器用な優しさがあるところも素敵。なので彼が思いっきり前に出てくれているのはすごく嬉しいです。そこは誤解なきよう。ただ需要のミスマッチは起こるだろうな、という感じです。

同様に、ゴリゴリ中華風な作品をイメージしていたので、それよりもアスラビアやヒガン一族など多様な異国情緒の方がメインだったのも少し期待とズレていた印象です。

ついでに細かいところ。花嫁衣裳や王子様衣装もかっこいいんですが、灼熱の国で露出の高い衣装を身にまとって屋外パーティをするというところも気になりました。

 

でもほんと、しつこいようですが、グラフィック自体はクオリティ高くてすっごいんですよ! スチルもねー、濃密な雰囲気が香り立つようで、見惚れちゃいました。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

クリア特典のキャラプロフがインタビュー調なのは斬新だったかな。棗が好きです。

ストーリーの流れより糖度重視の方や、グラフィック重視の方には合うかもしれません。