うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「ドリル魔王」感想

「お約束を蹴り飛ばして王道路線をカーブで逸れて」

それでもハッピーエンドへ一直線な前置き。

 

 

えー、今回はみぎかたさがり(とうふ)さんところのフリーゲーム「ドリル魔王」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

寄り道要素いっぱい、エンド分岐有り、全クリ全コンプしようと思うとおそらく30時間くらいは超えた、長編RPGです。とことんギャグとハッピー。

 

というわけで、良かった点など。

 

 

たるを調べがちなあなたに

 

民家に入るとまず住人よりタンスを調べる、そんなプレイヤーにおススメしたい作品だなあと感じました。

いやもう、探索ポイントがこれでもかというほど詰め込まれてるんですよ! あまりの凝りよう、芸人魂、寄り道要素やちょっとしたネタ会話に辛苦と命を燃やす意気込みが垣間見えました。

本作は経験値が廃止されていて、強敵を倒すともらえるレベルスターで自動的にレベルアップしていく仕組みなのですが……探索をすることでレベルスターに属するスターダストなるものを手に入れることもできます。

アイテムが手に入るうえに会話もたのしい! これはおいしい! ……ということをキャラ自身が喋っていてもおかしくない、メタギャグも盛りだくさんです。

 

 

 

かわいさとプロペラとシュールギャグが暴れ狂う展開

 

内容はざっくりといえば勇者魔王もの。女勇者と言うとカッコイイ響きですが、実際はなんと13歳の少女。しかも進むうちにプロペラが生えたり超重量系要塞になって魔王に撃ち落されたりします。未プレイの方はわけがわからないと思いますがプレイしてもわけがわかりません。そこがいいんだよなあ!

「どうしてこうなった!?」って言いたくなるシュールなギャグが目白押しなんですよ。ツッコミが追いつかない。それでいてこう……笑わせてやろうみたいな意気込みのものでもなくて……粛々と勢いよくトンチキなことが起こりまくります。

妙に冷めたメタギャグや、いそいそとなかったことにしたがる物言いたげなウェイトの取り方など、頭のどっかで冷静な雰囲気がより笑いを誘ってくれました。ぬ。

 

 

 

良妻賢母ヤンデレポンコツクールビューティ魔王様

 

ギャグシーンが重なるにつれ、キャラの意外な一面が見えるところも魅力の一つ。特に、意外なキャラがアグレッシブにヤンデレ属性を開花させてくれた時は、そりゃもう嬉しすぎて小躍りしました。

かっこいいだけ、かわいいだけで終わらないキャラがたくさんいます。カッコイイお兄さんは歴戦のエロゲプレイヤー、謎の魔女様は残念技量のなろう作家、クールな魔王はカレーに一本釣り。不敵な中ボスはしれっとお笑いキャラになってたり。この、登場人物の隙の作り方が上手いなーと思いました。

隙があるとキャラに親しみが持てるんですよね! ああもうこいつは仕方ないなあ、みたいな、つい身内びいきの視線で見ちゃうなど。何が何でも重苦しいシリアスは投げ捨ててギャグに走り抜けるんだという気概も感じました。

ヤンデレ娘やゲーマー・オタクキャラや男女カプが好きな人はきっと幸せになれます! そう私! ありがとうございました!!

 

 

 

ここぞという時のSE

 

トンデモトンチキな面を推して参りましたが、効果音もなかなかの鬼才を放っています。

例えば、スキルを習得する時ってなんとな~く、ピキーン!とかフワァアアアアみたいな、天啓が降ってくるっぽい効果音が多い気がするんですよ。本作はここすらも発想が違います。実際の音は聞いて頂くとして……。いやー、プレイしてて笑っちゃいました。そういうとこだよ。

この手の衝撃が一発ネタで終わらず延々と続いてくれるところも大好きです。あと他にも、タダータダータダーみたいな幼女声の効果音が好きです。かわいい。

奇想天外な会話に、愉快な効果音、さらにはスタイリッシュでクールなキャラチップが加わり、シュールギャグがより鋭くキレを増しているように感じました。

 

 

 

バフデバフインフレ999祭り

 

さて、本作のもう一つの特徴がバトルの難易度。

本作は5章構成なんですが、4章辺りからは999ダメージがバカスカ飛び交うインフレゲーと化します。加えて状態異常の数も異様なほど多く、スキルや装備品の説明に書いてない(書き切れない)効果が起こることもしばしば。バフデバフが勝利の鍵、特に序盤はこっちが耐性上げるより相手の耐性を下げる方が重要な感じでした。

バフデバフゲーというと装備品でパズルするイメージもあるんですが、本作は最終的に状態異常耐性もインフレして全防御できるようになるので、そこまで頭を悩ませることはなかったかなと思います。

要は、スキルが重要!

能力や耐性を上げて下げて状態異常かけて延々とぶん殴り続ける感じのバトルでした。この手のバフデバフさえしとけばいいくらいのコマンドバトル好き。

 

といっても、上記で述べた通り雑魚敵で経験値稼ぎができないため、難易度はかなり高めです。

スキルやアイテムの多くや探索と寄り道要素で手に入るので、本筋だけ追おうとすると逆に詰んでしまう可能性もあります。かくいう私も序盤のワンワン戦で2度ほど全滅しました。へっへ。

ただ逆にいえば、探索さえしていれば十分にクリアできます。繰り返すように、たる調べ隊なRPGプレイヤーには垂涎ものの一作とも言えるでしょう。私なんかはキャラ重視なので、好きなCPの会話を回収してたらいつのまにか最強キャラが生まれてたみたいな感じになってて、感慨深かったです。愛、重量級。

 

 

 

プレイ前に了解しておいたほうがいいかも

 

未プレイヤーの方に誤解を与えないよう、ちょっと事前に書きおいておきたいことも挙げておきますね。

 

  • 手間のかかる謎解きあり
  • 時限イベントあり
  • 時事ネタ、他ゲーネタ、パロネタもりだくさん
  • 飛空艇で飛ぶときにバグが起こるので事前セーブ必須
  • 撃破しても魔物図鑑に載らない敵がいる

 

こんな感じ。といってもバグバグしいゲームではなく、基本は楽しく勢いよくがっつりプレイしたくなる良作なので誤解なきよう! ただ、冷める人と熱中する人が極端に分かれるかなとは思います。

RPG好きならむしろお約束をわかったうえでネタを楽しめるかと。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

  • メタネタ・シュールギャグ・ツッコミ不在展開が好き
  • RPGには飛空艇が欠かせないと思う
  • タルとタンスはくまなく調べたい
  • 相棒っぽい関係の男女コンビやラブラブカップルが好き
  • 真面目で重たい展開は見てて恥ずかしくなっちゃう
  • 元気いっぱいハッピーエンドで締めたい

 

そんなあなたにおススメしたい良作でした!

 

なお、取り逃がし嫌いな方やRPGに自信がない方は心が折れないように、「攻略wikiは躊躇せず頼る」「エンド1・2は(ラスボスの難易度的に)2周目にとっておく」あたりをおススメしておきます。

 

 

追記ではネタバレ感想。

 

 

 

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フリーゲーム「見えないし触れない」感想

「夕食の材料を二人分買ってきてしまった」

もう一人暮らしなのにな前置き。

 

 

えー、今回はスパイスキャットさんところのフリーゲーム見えないし触れない」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ツクールMV製ホラゲ。びっくり要素、鬼ごっこ要素あり、謎解きは無し。終盤の行動によりエンド分岐しますが、分岐前のセーブポイントに注意書きがあるので攻略としてはわかりやすいかと思います。

初めはアツマールだけだと思い込んでいたのでなかなかプレイできなかったんですが、DL版があると知って大喜びでDLしてきました! ブラウザゲーのDL版用意してくださる作者様ほんとありがたい……好き……。感謝です!

 

いつもの流れだと長々と良かった点を語るんですが、本作は冒頭1分程度で感じる「あれ?」が魅力の始まりだと思うので……。いつもより簡素にまとめて、代わりにネタバレ感想に尺を取りますね。

というわけで、良かった点簡略バージョン。

 

 

選択肢が大いに力を持つ構成

 

探索中のギミックや選択肢の効果、時々フラッシュバックする不穏な過去など、手法自体は有名なものが多めです。ホラーフリゲに親しんでる方なら「○○で見た」と言いたくなるかも。ただ、注目したいのはその使い方。どこかで見た手法を、見たことも無い演出でオリジナルストーリーに組み込むやり方が上手いなあと感じます。

 

 

 

キャラの好きと嫌いを見せつけられる

 

これは同作者様の他作品『四人の王国』でも顕著でしたが、キャラの嫌な面も良い面も余すところなく両方描かれきっています。この人間らしさ、業と情の深さが素敵です。

立ち絵がぷにぷにかわいい系だから、ついついキャラも属性やテンプレに当てはめてみようとしちゃいがちなんですよね。でも実際はすごく生々しい。ここも上手かったです。

 

 

タイトルを含むダブルミーニング

 

プレイヤーの立ち位置、タイトルの意味、キャラの二面性、神は誰も救わないが確かに誰かが救われる展開などなど、あちこちに二重の意味が含まれているのも本作の特徴です。ギャップともまた違うんですよねえ。根本が一つで、プレイしていくうちに見え方が変わっていく感じがとても面白かったです。

特に、様々な登場人物達がそれぞれ違った意味で何かを「信じて」いるところがとても素敵。本作のテーマは信じるということなのかなと思っています。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

プレイしていくうちに物事の捉え方が変わり、恐怖の意味合いが変わり、それでも普遍的に誰かを信じたくなる良作ホラゲでした。感情移入するタイプの私みたいな人はきっと楽しめる、はず。

 

追記ではネタバレ感想。

追記かなり長いです。 

 

 

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フリーゲーム「pico - 夢語りの冥府下り - 」感想

「さあさ天使を引き戻せ、冥界よりも暗き淵まで堕ちろ」

天地も不明になっていく前置き。

 

 

えー、今回はセンイチライラさんところのフリーゲームpico - 夢語りの冥府下り - 」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

大切な人の死者蘇生を巡る、一本道ノベルゲーム。

恋愛要素も一応はあり、百合と見れる描写も有り。といっても萌えが主軸ではない気もしており、ジャンルタグをどうしようか悩んだ作品でもあります。

 

 

ともあれ、良かった点など。

 

 

イジメ、不仲、戸口の噂の仄暗さ

 

全体的に暗い雰囲気の本作。率直に書くと(喜ばしいことに)鬱展開があります。

主人公はいじめられっ子、起承転結のキーが非道徳的ということで、物語も裏でこそりこそりと動きます。この不穏さ、表立っては何も言えないのに確かに事が進んでいって、表に出た時はどうしようもない沼の奥にいる感じがとても好きでした。

 

ネタバレにならない範囲で語れるのはやっぱりイジメの描写かなあ。

イジメって虐められる側に責任は絶対にありませんが、きっかけはあると私は思っている人なので、イジメの描写の仕方もどことなく納得がありました。理由付けがそれらしいというか、ああ確かに“やられる”タイプだろうなあという気持ちはあるんですよ。良し悪しは勿論別としても。

他、虐めの標的がずれていく、主導者はいるけどクラス全体の雰囲気がまず先導を決める、こういうポイントが掴んであることにも感服でした。

 

 

 

根っからの悪人も、裁く使者もいない

 

さて、繰り返す通り、本作のキーワードは死者蘇生です。反魂の法、人体実験などなど。作中では教会や神父様が登場するためなおさら、これらのネクロな異常性が強調されることとなります。

となれば、神様あるいはそれに倣う使者が悪を裁いて大団円ともなりそうですが──そうならないところが本作の一番の魅力だと私は思っています。

語ってしまうとエンドのネタバレになってしまうので、詳しくは追記にて!

 

 

 

家庭環境は理由にならない

 

メインキャラはけっこう皆、悪い子です。

そして、家庭環境に難を抱えています。

ただ興味深いのが、それを全くもって言い訳にしない、それどころか時には利用までしてしまうところ。ここすごく潔くて好きでした。

イジメのくだりと少し被りますが、悪役が「実は俺にも事情があって……」って言いだすのってけっこう賛否が分かれると思うんですよ。理由があっても、それをどう扱うかで悪役の色は別物になるというか……。

その点、本作はとてもフラットでした。家庭環境はたぶん、要因の一つではあるんですけど、誰も(本人ですら!)可哀想だねとか仕方ないよねとかそういうことは言わないんですよね。煽りに使われることはありますが。

明るい家庭だからといって後ろ暗いことをしてないとは限らないし、極端な“悪人”や“悪い家庭”があるのではなく、どちらに振り切れるかは人による。ここが妙に生々しくて好きです。

 

 

 

閑話休題の上手さ

 

展開の主な動きが暗躍ということもあり、終始緊張感のあるお話でもあります。誰を信用できるか、あるいは誰にバレるか。主人公がどんどん悪に染まっていく姿を見ることにもなるので、サスペンスと言えるのかも。

そんな中でうまいのが、気の緩ませ方なんですよね。

独りぼっちのいじめられっ子が主役で、さぞ重々しいだろうと思いきや、軽くコミカルなシーンが入るんですよ。この、ほっと息をつく感じ。シーンにも愛嬌があってキャラを好きになれますし、そこから落とされるのも楽しかったです。

あと、作中では反転を意識させる描写がいくつかありまして。素直な良い子が悪いことを、居心地の悪い場所がいつのまにか馴染みよく、などなど。この辺りの変化を自然と受け入れられたのも、閑話休題のシーンのおかげだと思います。

 

 

 

OP映像やBGM選曲のセンス

 

グラフィックやBGMにも触れておきたいので少しだけ。

なんとOPが動画で再生されます。もうこれだけで凄い。立ち絵も豊富で、ちょっとした端役にも全身絵がきちんと用意されています。

背景やメニュー画面の雰囲気も古書めいて統一感があって、世界観はばっちり。グロな展開もありはするのですが、ここはうまく映さずに視覚的な描写を控えているところも好印象です。

 

それと特筆すべきシステムは、登場人物欄。登場キャラが多いので助かるという点も勿論ですが、それ以上に、演出としても良く効いていて好きなんです。物語の進行に応じて変化するというギミック自体が好き。変化自体はシンプルでそう頻繁でもないんですが、そのぶん、気づいた時のゾクッとした雰囲気が癖になります。エンドロール入る直前は特に必見です。

 

そしてBGM

私、エンドロールで使用された曲が凄く好きなんですよ! この曲を、この結末に、ここで使う、このセンス! もうすごい好き、震えました。

 

 

 

惜しかった点

 

最後に軽く、惜しいなあと感じた点。

  • ロード後のメッセージウィンドウ表示がブレて数クリック分の文字が読めなくなる
  • ロード画面からセーブ画面に飛ぶので誤セーブが起こりやすい

私が細かくセーブロードを入れて区切りながら読む派なので気になりました。ノベルソフト側の仕様なのかなー。

もしかすると私がフォントをMSゴシックに変更して読み進めていたせいかもしれません。だとしたら申し訳なさ。むしろフォント変更機能の実装ありがとうございました。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

いやー、鬱展開好きや仄暗い展開が好きな方には是非ともオススメしたい良作です。

ネクロニカ、天使のような少女、イジメ、家庭内の不和、傷跡などにピンとくる同士の方は是非。

 

追記ではネタバレ感想。

 

 

 

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フリーゲーム「My Lady Lee」感想

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フリーゲーム「和風面子だけでばとる」感想

「面突き合せりゃ会話はするが、してみるまでが難しい」

意外な人選で王道な会話を回す前置き。

 

 

えー、今回は牧場の牛肉さんところのフリーゲーム和風面子だけでばとる」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

VIPRPG、数時間で終わるデフォ戦&探索のやるゲ。タイトル通り着物で刀でニンジャアイエエなキャラが集まった作品です。

メインキャラはザンニンニン・ヒツルギ・水煮・赤いきつね。この人選からどんな会話が飛び出すのかというわくわくも一興です。特に自分はヒツルギとは初めましてだったので、何かと新鮮でした。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

序盤サクサク、ラスボスドギツイばとる

 

バトルシステム自体はかばうあり状態異常強しのVIPRPGによくあるデフォ戦です。

私はこの作者様の他作品に親しんでいたということもあって、ドーピングもステータスへの熟練度投入も無しで進みましたが、それでもラスボス前まではすいすい進めました。全滅はするけどね!w

なので、デフォ戦士の皆さんは完全無強化でも進めるんじゃないかなあ。逆にデフォ戦慣れしてなくて仮に詰まったとしてもローコストな強化手段が用意されているのでご安心です。

そして問題のラスボスおよびその前の戦いは、いやあ、手に汗握る死闘でした。気軽に初めて途中まではさくさく、そして最後にドカンと重いボス。おかげでダレずに達成感と満足感を味わえました。

 

 

短編ナイズドされた各要素

 

装備付け替えや属性耐性パズルをゴリっと削って、手持ちのスキルでどう対応するかという殴り合いを強調している点も好きです。

詰将棋でもないんですよね、MPが自動回復していくので自由に動く余地も残してありますし。とりあえず雑に殴り倒す快感と、試行錯誤する楽しさ、両方が楽しめるバトルでした。このくらいの縛り具合が好き。

時折トリッキーな敵が飛び出てくるところも楽しかったです。ユキちゃんとかフレイムⅢとか。ギミックはわかっても手数の問題で脳筋プレイしてしまった敵もいます。はっはっは。

あとあと、属性相関を撤廃してくれてるおかげで、炎っぽい敵にも炎技が普通に通用するんですよ。ここの潔さすごく好きでした。殴れば勝つ!

 

 

 

手数がギリギリ足りる良バランス

 

仲間が常に動き回ってて忙しい感じも楽しかったですねー。

水煮のフォルムチェンジもとい二種の型といい、アタッカーにもバリアにもなれるザンニンニンといい、MPチャージとヒツルギ復活でてんやわんやな茜ちゃんといい。場に応じてやり方をすっと変えられるだけの手札が用意されてるところが、とても楽しかったです。

 

私は脳筋ぎみなので水煮を攻撃役にしてましたが、終盤になるとなかなかこれが一辺倒では通用しないんですよねえ。切り替えるのにも1ターン使うところもまたニクイ! 気持ち良いバランスでした。

ヒツルギちゃんは海老で鯛を釣り続けてたけど、桜花をもっと使ってあげられればより忙しくなったかも。

 

 

 

割と会話は仲良しほのぼのな展開

 

プロローグとしては、勝ち続けなければ脱出できない不思議空間に閉じ込められてしまった──!というような感じ。勢いでデスゲームなりなんなりもできそうなところですが、蓋を開けるとほのぼのした会話に癒されるストーリーでした。

それぞれ独特のペースな女三人にほだされるザンニンニンがこれまた良い具合にギャグ要因で楽しかったです。マップの随所にある小話といい、ちょっと差し挟まれる会話がかわいくってかわいくって。仲良しこよしの会話が上手いですよねえ。

特に茜ちゃん、ゆるゆるしつつもちょこちょこブッ込んでくる話しぶりに笑いながら和みました。

 

かと思えば、ザンニンニンとニンニンのライバル関係とか、ストイックな弟子五郎とか、締めるところはきっちり締めつつ話を展開してくれます。あくまでほのぼの枠に留まってるところも一貫しててよし。

嬉しかったのは偽幕田の大暴れっぷりです! あのイベントほんと好き、一途で一生懸命でかわいいなあ。元々私は偽幕田って『誰がために搭は在る』くらいでしか出会ったことがなかったし、キャラの性格は全くといっていいほど知らなかったんですが、本作でかなり興味が湧いて保管庫を漁ってしまいました。マイルドヤンデレな感じがキュート。

 

 

 

意外と重要? 隠し扉

 

そしてバトルに注目したくなるタイトルですが、探索要素もしっかり濃いめです。

面白かったのは、忍者らしい探索ポイントが多いところ! 隠し通路に反転扉、天井裏から屋根上まで、マップのあちこちをうろつけるのがすっごく楽しかったです。特に反転扉でキャラチップがちゃんとぐるっと飛び出してくる動き大好き。

 

ストーリー上で必須の隠し通路はきちんとヒントがあるので、探索が苦手な方もたぶん大丈夫、かな? 通路の影やさりげない茂みにぽっとアイテムが落ちているのはやっぱり嬉しいものです。

 

壱・弐・参とエリアが分かれているのですが、探索さえすればなんと壱の間は戦闘全回避で進められちゃいます。参も一応、ラスボス前の二人組以外はスルー出来るのかな……。

なお戦闘回避してアイテムを取ったうえで戦うこともできます。フルボッコだドン! 事前にアイテム持ってるかどうかで戦闘後の会話が変わるなど、細かい会話差分も楽しめて、二度おいしい要素でした。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

キャラの掛け合いも、探索も、てごわいバトルも楽しめて、なお和風な世界観をじっくり味わえる良作でした!

偽幕田かわいい!

 

 

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フリゲサイト「KIJI-N-CHI」短編ノベル作品感想

「大真面目にとんちきやって、真剣に恋してこう」

突っ込みどころも泣きどころに変わる前置き。

 

 

えー、今回は今回はKIJI-N-CHI(きじんち)(kiji)さんところのフリーゲームところのフリーゲーム「AIAIAIAI2」「夢の中」「ちくわしかない。」「ブルースクリーンの恋人」「夏色シロップ専門店」「冬色シロップ専門店」「惚れて妄想(おも)えば千字も足りぬ」「ゲ制女子とは付き合えない!」「fascinoma」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

どれもさくっとプレイできて完成度の高い短編ノベルゲー。

 

 

 

 

 

 

      『AIAIAIAI2』

https://sites.google.com/site/kijinchigame/aiaiaiai2

 

[概要]

ひと昔前のネットスラングばかり喋るAIと、会話して性格矯正を試みる選択式ノベル。前作『AIAIAIAI』前提。ウディタ。タイトル画面が前作とほぼ一緒なので、うっかり起動間違い注意。

 

[特徴・感想]

 

わかりやすいエンド分岐とCATの成長

ついにCATがデバイス体をゲット。ということでぼんやりと前作ED1から続いている感じですが、エンド分岐によっては相変わらずの下ネタCATが見れたりお歌上手のCATが見れたりします。

また、選択肢の傾向がかなり明確化したので、エンド分岐も比較的わかりやすくなりました。前作はCATとの会話による知識蓄積という印象が強かったですが、今作はCATの機能追加による成長という印象が強かったです。

 

システムも会話もパワーアップ

タイピング要素がなくなったこと、共通ルートをスキップできる周回モードが搭載されたこと、マウス操作で進められるようになったことなど、色々システム面が変化してよりプレイしやすくなりました。

先に苦言を書くと、マウス操作だけは難点ですね。クリックの反応速度がかなり速いので、連打で選択肢まで飛ばされることが多かったので……。選択肢表示の前に一呼吸おいてあったら良かったかなと思います。

タイピングではなくなったのは、CATがデバイス体を手に入れたからということで自然なストーリー繋がりになっていてとてもグッド! 共通ルートスキップもありがたいです。

といっても、ルート突入前も突入後も会話分岐がさらにマシマシになったので、3周くらいはスキップ無しで進めるのも良いんじゃないかなー、なんて。

「スライディングのシンヤ」など、見逃せない迷言も盛りだくさんです。

例の数字等々、前作で出ていた会話が出てくるのも嬉しいところ。

 

あなたの気持ちに少しずつ近づいていくCAT

ここからは軽くエンドの話になるので、ネタバレ嫌な方は注意なのですが……。

印象に残ったのは写真を見せてくれるエンド。お歌を教える展開もそうですが、たとえ疑似的であっても、プレイヤーナイズドされていく感じがやっぱりときめくんですよね……。私は黄色好きなんですが、まさにまさにの好みなお写真できゅんときました。

あと、どれもエンド名がとても素敵でした。ついスクショをとってしまった。

 

[一言]

前作既プレイの方や、あなたと共に成長するAIという響きにピンとくる方向け。

 

 

 

 

      『夢の中』

https://www.freem.ne.jp/win/game/7176

 

[概要]

ウディタ製、クリックで読み進める一本道ノベル。アンドロイドと暮らす恋人同士の話。

 

 

[良かった点]

 

まさにタイトル、夢と現が混ざり合い、それに合わせてAIと人間、好きな人、あらゆる境界が日常の中でゆるやかに蕩けていくような読み心地でした。

小さな日常の特別を集めていく、香代の感じ方がとても好きです。ただ、それが実にならない部分も理解できるので、喧嘩になる流れもよくよく共感ができ……短い中で色々な感情移入をしながら読んでいたようにも思います。まるでキラキラと輝く眼が見えそうな電話越しのシーンなど、描写力の高さもまた魅力なんですよね。

だからこそ、軋みがうねりを上げるあの展開には愕然とするしかありませんでした。よくある日常の、きっとよくあるSFの、シンプルな話なのですが……ざくりと刻まれる辛さがあります。

 

[惜しい点]

 

まずここは私の不足なんですが、主要人物三人の関係性を掴むのにちょっと苦労しました。私が愛理の名前で女性型と思い込み、さらには男は女という古臭い観念が無意識に根付いているせいもあります……。

システム面はかなり物足りません。表示される文字も小さく左詰めで、あくまで読めれば良い、という感じ。ウディタ製ノベルということである程度は飲み込んでプレイですね。

 

 

[一言]

想い合っている人同士のすれ違いが好きな方や、相手の不透明な領分について思索したい方向け。

 

 

 

 

      『ちくわしかない。』

https://sites.google.com/site/kijinchigame/chikuwa

 

[概要]

ウディタ製、クリックで読み進める乙女ゲー風ノベル。ただし攻略対象はちくわ。

とりあえずインパクトのある作品なのでまずはプレイしてみて欲しいなと思ったり。

 

 

[特徴・感想]

 

どうあがいても「しかない。」

お話の初めからラストを越えてタイトル回収に至るまで、全て、ちくわです。

タイトルオチかと思いきや、全力投球でちくわを描き切ってくれるこの本気! このガチの真剣勝負なちくわ追及こそが本作のポイントとも言えるでしょう。正気か。

また、エンド数は5つ。ちくわといえども切り口がどれも異なり、様々な味のストーリーを読むことができました。初めに5に辿り着いたのもあり、一番感慨深かったです。女として舐められてる悔しさ、あれを皮膚で感じとってしまう感じに共感をしてしまって。それで言い返すところも好き、弱いけど力強い女の子って良いですよねぇ。

 

驚きと爆笑のフルボイス

いや、話しだした時はてっきりどこかのフリーボイスを上手く活用して会話風にしているのかなと思ったんですよ。そんなまさか正式に発注された全力投球の作品だとは。舐めていました。一人で土下座しました。

冷蔵庫のブーン……と唸る音など、BGMの代わりに生活を感じさせてくれる音が鳴るのも特徴的。ぽつんと置かれたちくわをよりリアルに感じさせてくれます。

 

セーブロード回想搭載 

ウディタなので、と期待はしていなかったのですが、しっかりシナリオ回想までできてノベルゲーのラインに立てるレベルのシステムは搭載されています。ただ、やっぱり選択肢を流れで選んでしまわないような事故防止システムがあると嬉しいかな。

 

 

[一言]

ネタかと思いきや、耳もお腹も心も満たされる一作。

 

 

 

 

      『ブルースクリーンの恋人』

https://sites.google.com/site/kijinchigame/blue-screen

 

[概要]

ウディタ製。自分がお話を作っていくような、独特のプレイ心地のタイピングノベルゲー。

無機物やAI、人工知能萌えの方向け。

 

 

[特徴・感想]

 

ブルースクリーンと対話していくストーリー

タイピングで物語を進めるという意味では同作者様の『AIAIAIAI』に近しいのですが、一点、劇的にプレイ感覚を変えてくれる要素が「何でも」タイピングできる点です。

エンド自体は一つ、本筋もある意味一本道。ですが、エンドに至る経路と最後の会話はきっとプレイヤーごとに異なってくるはずです。プレイヤーが打ち込んだ言葉達が実を結ぶのは、ゲームとしての達成感もあって嬉しいものですよね。

既プレイの方のスクショを見たくなるゲームは良いものだ!

 

 

9割アルファベット、でもわかりやすい簡単英文

この作品の最大の特徴は、ストーリーの大半が英文で占められていること。

それもそのはず、会話相手はブルースクリーンなので、お話はエラーメッセージから始まります。といっても英語自体は平易でわかりやすいので、基本的には辞書なしでするっと読めました。難しい文法も無いので、あまり英語に自信がない人でも辞書を引いたりググったりすればすんなり理解できると思います。

公式サイトにある通り、訳し方でかなり印象が変わってくる作品なので、エンドが一つとわかっていつつも何度かプレイしたくなる魔力がありました。

 

気軽に楽しめてそっと心に残る10分ゲー

英文慣れしていない私でも頭が疲れない程度の長さで区切りが付くのもありがたかったですねぇ。ちなみに今作はセーブロード機能が無いんですが、普段ならマイナスなポイントも今作ではかなりの良点でした。お話を考えれば当然で、システムとストーリーの噛み合わせを感じますし、あと少しの時間の貴重さをひしひしと感じます。

 

王道で切なさと愛着が増していく

タイピングを通じて、プレイヤーとキャラクター、日本語と英語、三次元と二次元の壁をぎこちなく超えていけるような錯覚が感じられます。このプレイ感覚は本当にこの作品でしか味わえなくて……まさに発想の勝利。本作の一番の魅力だと思います。

王道なストーリーラインなんですが、私自身がお話の道を作る助力をした関係で、愛着が段違いなんですよね。とても素敵なプレイ感でした。

 

[一言]

あなただけのブルースクリーンと短くて丁寧な時間を感じられる良作です。

 

 

 

 

      『夏色シロップ専門店』

 

[概要]

YU-RIS製。読むだけ、でも味覚が無限大に広がる一本道ノベル。年の差恋愛もの。

 

[特徴・感想]

 

ついにやってきたノベルゲツール

やっとノベルゲー専用のツールで作られたノベルゲーです! はぁ嬉しい! もうずっとこのツール使って欲しい!

ウディタの自由の高さがあってこそ、上記の各種ギミックが楽しいノベルゲームが産まれたんだろうとも思うんですが、やっぱりこういった一本道ノベルゲーは専用ツールが便利ですね。枠外クリックが選択肢決定判定になってしまう辛さとはこれでおさらばです。やったー……。

文字も見やすく、お話に沿って変化のあるアイキャッチ(タイトル)画像にもわくわくしました。

 

甘酸っぱい恋物語と季節感

本作を一言で書くと、年の差恋愛もの! です!

一回りどころか十六歳も離れている、恋愛対象として見てもらえないもどかしさやそれでも求めずにいられない恋心がたっぷりと味わえました。年の差に加えて、夏しか会えない、という設定がまた良いんですよね。遠恋にも近い、二重の意味で遠い彼へ、それでもやっぱり気持ちを向けてしまうこの感じ。はぁ甘酸っぱい。

夏にスポットを当てつつも、夜の空気、朝焼けのすっと心を綺麗にしてくれる感じ、誰かを待ち遠しく思う時のくすんだ景色などなど、色々な情景を見せてくれます。作中での時間経過がかなり長いですが、それでもルーチン化せずに毎年大きな感情の動きがあるところも、恋だなー、なんて。

 

余談

言われてへぇと思うくらいの繋がりではありますが、同作者様の別ゲー『Sweet Painful Utopia』との関連もあります。あれ気づいた方どのくらいいるんだろう。少なくとも私は、明言されているのになおあんまりピンと来ていないです。てへへ。

 

[一言]

爽やかで忘れられない夏と初恋のお話。

 

 

      『冬色シロップ専門店』

 

[概要]

上記『夏色シロップ専門店』の続編。別作『Sweet Painful Utopia』との関係も濃い目になりました。個人的には『Sweet~』の四人組はあれ以上を語らずに終わるのが美しいと思っていたから不満だったけど、また彼女たちの顔が見れて嬉しいって方はいるだろうなあとも思います。

ともあれ一本道恋愛ノベルです。

 

 

[特徴・感想]

 

白樺さんからの矢印を感じる展開

『夏色~』ではヒロインがひたすら白樺さんを追いかける形だったのに対して、本作では白樺さんからヒロインへの矢印がより感じられる形になっていました。ヒロイン側は熱烈で一喜一憂する恋でしたが、白樺さん側は落ち着いて穏やかな想いだなあということがわかって、なんだかやっぱり大人だなーと思うなど。

違った形の愛情表現でくっつく二人、ってなんか良いですよね。

 

憧れの大学生活と当て馬君

ちょっとここは合わなかった点として。

ヒロインに横恋慕してる男の子が出てきます。で、彼らの関係性も把握できるようにきちんと描写されてはいるんですが、いかんせん展開に置いてけぼりにされてしまいました。実は『ちくわ~』『Sweet~』『夏色~』辺りでも、ゆるゆる続くものと思っていたのにここでエンディング、という取り残された感を覚えてはいたんですが、特に本作はこの感覚が顕著でしたねぇ。

なんか、こう、ヒロインも許しちゃおうとしちゃうし、彼もそんな、許されて当然みたいな態度で甘えるように人前でわぁわぁ謝るんだなあと思うと、ぞっとするところもあり。うーん、感覚が合わないなあってことなんだと思います。前段に彼の事情や客観的なヒロインの立ち位置(姫ポジ?)の描写が挟まれていれば、少しは見え方が違ったのかも。

でも、白樺さんに昔なじみの四人組がいるように、ヒロインも彼女なりの生活を積み上げている、という部分に切り込んでいてくれたのは嬉しいです。

 

あたたかさが届いてくる描写力

エッグノックの描写凄く好きなんですよ!

相変わらずいろいろな風景や風味を切り取って描写してくれるんですが、本作は特に、湯気がゆるゆると届いてくるような描写が多くて素敵でした。良いよなあ。あとがきで意識して描写してらしていたと知り、有言実行できるのすごいなあと感服するなど。

炎、体温、飲み物、などなど、形の違う温かさを描写してくれるところも上手。私は作中に出てくるようなオシャレな飲み物やカクテルには疎いんですが、紅茶入れてる時のぼんやりほんわかした気持ちを思わされて好きです。

 

[一言]

タイトル画面端の猫のシロップ瓶から目が離せません。

 

 

 

 

      『惚れて妄想(おも)えば千字も足りぬ』

 

[概要]

クリックで読み進める一本道恋愛ノベル。数分。現代学生、クーデレっぽい感じ。下ネタあり。

 

[特徴・感想]

 

クリックを生かしたノベル形式

これこそウディタ製を余すところなく生かした作品です!

まず選択肢がないから誤クリックが起こらない。一行ずつじゃなくて直前の考え事がしばらく表示されるから読み飛ばしを懸念しなくて良い、つまり文章ログがなくても大丈夫。

そして何より、「妄想」というテーマとこのクリック読み進め形式がとても合うんですよ! ぽんぽんと連想が繋がっていく感じ、とりとめなく漂う考え事やドキドキ感、そういう日常でよくあることが実際に目の前で形になってくれた感じ。こういう形の無いものを形にできるのって、いや、なんというか、表現力―!ってなります。すごいよね。

 

似たもの同士なのに伝わらない

キャラの外見情報はほとんどありませんが、たった一つの吹き出しで、二人はとても近い雰囲気の子なんだろうなあというのが伝わってきます。ぱっと見クールで引く手あまたな感じ。ちょくちょく想いがシンクロするところも微笑ましいです。

観測者のプレイヤーからすれば、相性ばっちりなのはもう見て取れるんですが、お互いの妄想だけで終わってしまうゆえに伝わらないところもまた萌えどころ。言えばすぐ伝わるのに言うに言えない、このもどかしさににやにやが止まりませんね!

特にもちぎ君側は焦りや勢いが顕著に出てて、実にギャップ萌えできました。「もちぎになります」「やってくれてもいいんだぞ、運転手」「最高か」あたりが特に好き。その勢いを表に出してもいいんだぞ!

 

直球なことも考えちゃう

だって妄想だもの。下ネタ、といっていいのかな、そこそこはしたない感じの妄想も飛び出ます。男の子のほうが直球だったり、女の子の方が自分の身体については上から目線(~させてあげる的な)だったりするところも、なんだか違いが顕著で興味深かったですね。

まあ、年頃の恋をするからにはもちろんそういったことも考えるわけで、ピュアピュアプラトニックに留まらず、きっちり“妄想”を書いてくれているのは誠実とも言えるかも。

 

[一言]

両片想いにニヤニヤしたい人向け。

 

 

      『ゲ制女子とは付き合えない!』

 

[概要]

押しの強いクリエイターたちに翻弄されるノベルゲ。分岐あり数分。一応ギャルゲかも。

 

[特徴・感想]

ちょっと合わない作品だったのでマイナス意見多め注意

 

恋愛要素はありつつストーリー薄め

ノベルなのにお話が薄いと評するのも何ですが、あんまりお話に起伏はなくて、本当に傲慢女に翻弄されて罵倒されるだけのマゾ向けノベルです。「あったかい気持ちで見守って」と公式文にあるように、仕方がないなあと許せる心の広い方向け。または何やっても許してくれる男性が好みな女性向けでした。

たぶんクリエイターさんからしたら噴飯ものだろうけど、そういうツッコミをしながら読んでいくギャグノベルとも言えるかもしれません。でもブラックジョークにするにはエンドが純愛なので、うーん、どっちとも言えずかな。

 

コマ割りっぽい雰囲気の変わった見た目

グラフィックはこれまた個性的。漫画のようなカットと吹き出しに実写背景を合わせるという、独特なプレイ画面になっています。それでも自然と馴染んで見えるところがまたすごいんですよね。

このグラフィックを使うために作った実験作、のようにも見える作品です。

BGMやSEが無音なのは惜しいところ。吹き出しが出るとポップするSEが出るとか、もう少し音にも動きがあればよりコミカルになったのかもしれません。いやコミカルは求めてないのかな……。作品の雰囲気がいまいちつかめなかったのも、音無しだったからかも。

 

[一言]

一風変わった画面構成を楽しみたい人へ。

 

 

 

 

      『fascinoma』

 

[概要]

年の差恋愛ノベルゲ。一本道数分。現代ファンタジーっぽいかも。

 

[特徴・感想]

 

チョコを摘まむ感覚

ゲームデザインが神がかり的に上手い作品だと思います。

箱から一つずつチョコを摘まんでいく感覚と、クリックして一つずつ読み進めていく操作。一話一話の短さと、小さなメモをきっかけに始まるお話。これら全てが噛み合っていて、ことさらに没入感がありました。

これ千字なんですよね? 

この世界観と満足感をたった千字で作れるのか……。

読み返しができないシステムも、今作ばかりはかなりしっくりきました。チョコは一度食べれば無くなるのが道理ですものね。

 

行間と時間経過を感じられる展開

一つずつメモを読んでいき、短い言葉で語られるため、自然とお話も場面を区切りながら進んでいきます。二人の仲がいつの間にか進展していても、この話と話の間隔のおかげですんなりと受け入れることができました。

文庫の行間が、ゲーム画面の箱の仕切りとなっている感じ。

ささっと読めてしまうボリュームだからこそ、じっくり腰を据えて味わいたくなる一作です。

 

[一言]

お手軽に摘まんで気づけば無くなる、夢中にさせてくれる作品。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

個人的におススメしたいのは、

  • しっとり作品『fascinoma』
  • ブコメ作品『惚れて妄想(おも)えば千字も足りぬ』
  • おまえが優勝『ちくわしかない。』

でした!

 

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

フリーゲーム「やさしい雨はいつ降る」感想

「神の恵みは天から降り注ぐ」

返礼はいかにして逆流させるべきかな前置き。

 

 

えー、今回は牧場の牛肉さんところのフリーゲームやさしい雨はいつ降る」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

VIPRPG、数時間くらいでクリアできる一本道やるゲ。デフォ戦。

ワンモアプレス風と説明にあったのでググったところ、弱点突いたらスタンする例のあれとのこと。当方はデビサバ民故エクストラターンの印象が強い……。

 

ともあれ、良かった点など。

 

 

シリアスをブレイキングしていくストーリー

 

もしもワールドに振り続ける雨、はたして誰が原因か?

導入はこんな感じでサスペンスちっくですが、蓋を開ければ拳でさくさく各勢力にカチコミをかける流れになります。ノリはVIPRPGらしいですが下ネタは抑えめ、ある程度勢いで進められる感じ。それでももしもワールド前提ではあるので、ある程度キャラを知ってる人向け。

主人公はデイジー。起動画面のキャラが操作キャラ。ところどころでふっとシリアスになりかけますが、きちんとブレイキングされます。様式美。

 

興味深いのが、デイジーの内心がなかなか表現されない点。ここすごく上手いんですよね。いつものノリだと思って進むからこそ、「そういえばどうして」という原点回帰の気づきがあって面白かったです。

シリアスをあえて壊しつつも、お話の芯やタイトル回収はきっちりやり遂げてみせる、プレイ後爽やかな良作でした。

 

 

 

デフォ戦士入門編な難易度

 

敵の弱点を意識したり状態異常を試してみたりする必要はありますが、難易度自体は“やるゲ界隈の中で考えると”ほどよく易しめだと思います。

雑魚戦全逃げしてドーピングアイテム縛りしてもボスは倒せましたが、初見だとちょっと負けることもあって、私としてはプレイしやすい感じ。ボス戦前に敵キャラがヒントを出してくれるので、理不尽な初見殺しもありません。デフォ戦慣れしてない方の入門編に丁度よい難易度じゃないかなー、なんて。

極力シンプルに削り落とされた装備品など、尺の長さに合わせてシステムが簡略化されているところもプレイのしやすさに繋がっているかと思います。装備品の耐性パズルがあるかないかでかなり体感変わりますねえ。

 

 

 

変わった人選と入れ替えやすい編成

 

タイトル画面見た時、人選謎だなーと気になってはいたんですよ。で、ノックアウトが好きだったのとこの作者様の他作品が楽しかったのでDLしました。

実際プレイしてみると人選は結局謎なままでしたが、魔王様以外はあんまり操作キャラとして触ったことのないキャラばかりだったので、新鮮で楽しかったです。

 

性能としても千差万別で面白いんですよね。特にトルネードとスパークが楽しかったなあ。この二人はデイジーが光弱点を突くのに忙しくて回復に手が回らない時にぴったりなんですよ。特にスパークのコスパは凄い。

体感として、魔王様が女兵士の上位互換に感じたり、終盤は耐性の関係でノックアウトが手放せなかったり、使いやすいキャラとそうでないキャラはいたと思いますが……。

それでも、経験値が常時平等に入ったり、いつでもどこでも入れ替えができたりするところはすっごく助かりました。大人数パーティは色々試したくなるもんですよね!

 

 

 

ちょっとした探索要素と会話差分

 

探索面も細かく色々要素が設置してあって楽しかったです。目的地がわかりやすいマップで、かつ探索も楽しめるっていうのはなかなか貴重。餡軍のバルコニーに出ると雨が降る演出も、さりげなくすっごく情感あって大好きでした。

ボス戦後は倒した敵とお話できるようになっているのも見どころの一つです。アグネファイアかわいいね。あと演奏し続けてるザック達がさりげなくめっちゃ好き。

色んなところに賑やかしのキャラが配置されているので、マップ自体も華やか明るくて好きでした。カニカニ。

 

 

 

最後少しだけ、合わなかった点として。

 

・おつかいイベント

会話イベントとしてもストーリーとしてもテンポが悪くなっていたように思います。

・敵HPの多さ

マカラカーン&オールブレスでも強化してもなお消化試合っぽくなるボス戦がちょこちょこあったので、特に強敵は最大HPをもうちょっと少なめにして欲しかったかなーと感じます。それか敵の攻撃をもっと激しくするか。ただ、ほどよい戦闘難易度が本作の良さだとも思っているので後者は合わないかな……。

 

といっても本編のボリュームから考えると些細な点で、全体的にさくさく楽しく遊べた良作でした。

 

 

とまあ、こんな感じで。

  • 状態異常などで敵を封殺する戦いが好きな方
  • 有無を言わさずさくさく敵をぶっ倒したい方
  • 茶化しても最後は綺麗に締めるお話が好きな方

向けの作品でした。

 

PC熱はマジで気をつけようね!!!

 

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓ 

牧場の牛肉

 

フリーゲーム「Sky[ ]」「Sky-Rain」感想

「システムというルールが僕らを縛るのならば」

新たなツールに乗り換えていきたいな前置き。

 

 

えー、今回は原産国さんところのフリーゲーム「Sky[ ]」「Sky-Rain」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

前作「Sky[Rain]」を前提とした、エンターで読み進めるノベルゲーム。勿論前作のネタバレを含むので、既プレイ推奨。

 

なおDL方法やプレイ順などを含む攻略記事も書いてます。

未プレイでお悩みの方はこちら↓

フリーゲーム「Sky Rainシリーズ」攻略

 

 

というわけで、良かった点など。

でもやっぱりネタバレが惜しいので、本格的な内容は追記に伏せますね。

 

 

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