うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

アニメ「少女革命ウテナ」感想

少女革命ウテナの話。有名なので知っている方もいるんじゃないかなあ。
かくいう私はOPをパロで知っていただけだったんですが、このまえふと思い立って、数日かけて深夜に一人で観賞会を開いてました。いやあ、夜中に紅茶とラスクとアニメって素晴らしいよね。

ええと、とりあえず簡単なあらすじを。
昔に王子様と出会った主人公ウテナ(女)。彼女は憧れのあまり自分も王子様になろうと決意してしまい、僕っ娘全開の男勝りになってしまいました。そんな彼女が、勝利すれば薔薇の花嫁と“世界を革命する力”を手に入れることができる決闘に巻き込まれてしまい、王子様として花嫁を救おうと奮闘する、といった感じの話です。
ウテナは、桃色の長髪、男子制服を着ている僕っ娘。自称王子様。
薔薇の花嫁というのはヒロインに近い役回りで、名前はアンシー。紫の髪で眼鏡をかけていて、電波というか不思議っ子。
その他、アンシーを狙う生徒会役員の方々やら、ウテナの親友やら、色んな方々が世界革命の力を手にするための決闘に巻き込まれていきます。


NL・BL・GL・近親相姦あり(もちろん描写は控えめだけどね)、王子に姫に電波系、健気っ子、お姉さまキャラや我儘妹キャラ、ツンデレクーデレヤンデレ勢ぞろい、サービスシーンもありすぎるほどあるよ。そういうアニメです。ときどきカオス。公式が病気。でも、涙腺崩壊。絵柄が独特なので好みが別れるとは思いますが、一度は見て欲しいアニメです。本当に。

とにかく、話の内容が深かった。感動もしたけれど、それ以上に考えさせられるアニメだった。この漫画を「ちゃお」でやらかしていたらしい(?)ってのは本当にすごいと思う。

まあだいたいのキャラクター一人ずつと決闘することになるんですが、基本たった一話分でキャラをあそこまで深められるのは一種の才能だよなあ、と。
色んなキャラの色んな考え方があって、みんなどこか共感できるし、だからこそどうしても認めちゃいけないところがあったりもする。人間の表現が苦しいくらい生々しくて、とても引き込まれました。
もちろん、最近のアニメと比べたらSEもしょぼいし、技術が飛びぬけているわけでもない。現代のセンス的に考えてあからさまにおかしいところもある(長髪美形三人組が露出パーティしてたり、車のボンネットに服を肌蹴たお兄さんが乗り上げてたりね)。
ただ、話の内容や細かい表現の上手さは、十分最近のアニメに匹敵してると思うし、むしろ越えているかもしれない。さすが有名になるだけはあるなあ、と思いました。

 

 

で、まあ、感想文でも。
もうネタバレとか気にしなくていいかな。
うまく隠しながら書けないので、気にする方はブラウザバックプリーズ。
いや、むしろ見たことが無い方はこれを機にウテナを視聴した後、こちらを読んで頂けるととても嬉しい。一度本編見てみて下さい、マジで。

 

 

では。独りよがりに語りますか。

どれもこれも印象的ではあるのだけど、一場面だけで言うなら、ミッキーと最終話だなあ。後者は後で語るとして、とりあえずミッキーのことから。

ミッキーってのはあだ名。真面目で純粋、ピアノの才がある男の子。
彼は薔薇の花嫁、アンシーに恋をしています。でも、アンシーは皆の取り合いになってしまう立場であって、自分以外の人のものになることだって何度もある。で、アンシーがミッキー以外の人のものになってしまった時のワンシーン。花嫁の所持者が、ミッキーにわざと見せつけるみたいに花嫁へ「ずっと一緒にいてほしい」みたいな甘いことを囁く。
そのときのミッキーの描写がたまらない。
耳を両手で塞ぐんですが、目は閉じず、表情は苦しげでも悲しげでもなく、無表情。この表現がたまらなく心に重くのしかかってきた。一秒足らずのシーンだけど、すごく心に残っています。
なんかこう、憎らしいと思う気持ちや怒り、諦め、そういった感情が全部溜まってしまって、どんな表情もできず、ただ聞かないふりをする。これは本当に、良い表現だった。
あー、駄目だ、これは文章だとまったくもって伝わらない。筆力が欲しい。見てくれ。

 

なんかもうね、キャラ皆の考えが深すぎて、私が語れる部分が無い。いや、無理やり語るけど。とにかく濃密な話ばかりだった。

身近だったのは、七実様の取り巻きの子の話。
七実というのは、ブラコンで我儘なお嬢様。彼女には文武両道眉目秀麗なプレイボーイのお兄様がいる。で、取り巻きの子はそのお兄様が好きなんですね。そのせいで一悶着あって、必死に尽くしていた七実に害虫呼ばわりまでされてしまう。他の友達は、七実の権力の保護下にいたいから、誰も助けてくれない。全員シカト。
色々あった結果、取り巻きの子は再び七実に可愛がられるようになるんですけれども。その時、見捨てた他の友人が「私達何があってもずっと友達だよ!」みたいなことを平然と言うんです。それが恐ろしくってたまらなかった。お前らどんだけ口だけなんだよ、と。

女の子たちって、結構グループ作ったり派閥争いしたりしますよね。私は幸い、面倒な争いごとは無かったのですが、リーダー格の子にはぶられたから引きこもりってなんじゃそりゃって話だわな。親密な関係を作るのは大事だとおもうけど、派閥みたいなのにこだわって本末転倒になるのは絶対におかしいとも思うんだ。
私も女でかつかなり感情的なほうではありますが、それにしても女性独特の思いこみや事実の歪曲ってのは怖くてしょうがない。
でも、グループにならないと学校で孤立する、という意見も理解はできるんですよね。蝙蝠みたいな扱いされることってありますから。難しいなあ。そういうふうにしか、生きられないんだろうなあ。

 

あと、主人公の友人の若葉ちゃん。なまじ日常が明るい子だったから、某シーンの豹変ぶりはどきっとさせられました。どんなに楽しそうな子でも不満を抱いてるものなんだよね。当たり前だけど、再認識させられた。普通に埋もれちゃった。
若葉のターンが終わった時の、「ただいま」がすごく悲しかった。帰っても誰もいない。でも、ああいうふうな結末にならざるをえないんだよね。それがわかってるからなお悲しい。
最終話の演出も苦しくなったなあ。ウテナとあんなに仲好くしてくれてたのに忘れられちゃうんだ、って悲しさがふつふつと。多分、彼女はウテナのことを忘れていない、と思いたいのだけれど。表面上は必死に明るくしてる子だから、ウテナのこと考えて暗くなるのはらしくないと考えたのかもしれない。というか、そうだったら良いな。せめて。
んー、でも、案外そういうものなのかな。というのは、大親友なんて言ってても結構離れると交流がなくなっちゃうんですよね。私だけかな。何だか色々な雑事に追われているうちに、自然と薄れていく。好きなのは好きだし、会えると嬉しいし、話すのも楽しいけど、きっかけがうまくいかなかったり。だから、ある意味でリアルな反応かもしれません。

 

樹里さんも好きだ。件のお姉さんキャラ。そして百合キャラ。
彼女は芯が強くて、そのせいで少し損をしてしまっている人だと思います。それは決して悪いことではない。ただ、時折悲しくなる。
彼女のことを本当に理解しているから、瑠璃君は自分の想いを何も言わずに去ったんだろうと思うと、さらに泣けてくる。かといって、樹璃さんが好きな人は彼女自身が感じてるように変えられなくて、好きって残酷だと思った、何か書きたくなった。
余談だけれども、樹璃さんの想い人の名前が、私のHNと一文字違いだったからちょっと焦った。漢字違うし本名とはかすってないから良いけどね。

 

脳内でヤンデレ変換してしまったのは梢さん。反動形成っていうんですか、ああいう汚れ役を演じないと自分でどうしようもなくなっちゃうような子は好きです。自暴自棄な感じ。七実も排除系ヤンデレだと思うんですが、梢ちゃんみたいな影で事を起こすタイプのヤンデレの方が私は好き。あ、七実様が嫌いなわけではないのであしからず。
梢ちゃんはドレスも水着も可愛かった。なにげに衣装が豊富だよね。

 

全体的に、黒薔薇編が好きだな。今気づいた。
御影先輩も好きです。ビジュアルでいうと一番好きです。桃色髪大好きです。
なんかね、過去に囚われているキャラは見ていて苦しくなるね。好きだね。彼に関してはBLフラグも立てられて非常に萌えました。いや、本命はわかっていますけど。ウテナと彼女を混同しているあたりも、ほんのりと病んでいて好きだなあ。話の展開は燃えたしね。終わり方も幻想的で、ちょっと鬱展開で好きだ。

 

 


七実様の子分ことミツル君。彼の健気加減とストーカー具合も素敵だった。あと、両剣の持ち方が好きです。短剣をくるくるっと回すのがかっこ良かった。
ミツルの「大人になるとはどういうことか」っていう疑問は、たぶん誰でも一度は考えたことあるんじゃないかな。大人でも子どもな人がいて、子どもなのに大人みたいな考えを持っている人がいて、そのあたりの定義のあいまいさは嫌になりますね。ミツル君も根拠なしに見下されて、七実に追いつけなくて、辛かったんだろう。だから、ラストの七実の一言は本当に良かった。あれは七実様の株が一気に上がった一言だった。

 

こうして見ると。
ウテナに出てくる子って、ほとんどの子に嫌な面があるんですよね。一部分だけ、あるいはほとんど、嫌な性格が生々しく出てくる。いじめっ子だったり、男に色目使ったり、ひどく頼りなかったり。でも、だからこそ好きなんだよなー。
作り物の完全なキャラってのは、どうしても共感できなかったりして、薄っぺらく感じてしまう時がある。それもそれでフィクションとしての利点だろうけれど、こういった濃密なキャラの性格や、あくの強い部分を見せられるのって凄いと思う。
あと、ウテナって大事な部分は隠喩とか掛け言葉とか、雰囲気で伝えているところが多いんですよね。それでほとんどが伝わるのだから、本当に演出が上手い。

 

影絵カシラもシニカルで良かった。
ちなみにカシラってのは、一話ごとの幕間として出てくる影絵の劇。それが本編とはまったく関係ない小話っぽく見えるのですが、実は本編のテーマを風刺している話ばかりで。何気にあれを見て、「なるほど、うまい」って思わされるのが一番楽しかったかもしれないなー、なんて。風刺ものとか、ブラックジョーク好きなので。

各話のタイトルが、キャラクターの名前と絡んでるのも上手かった。関係者の方々、センスありすぎだろう。

 


さて、なんか全然まとまってないけど、せっかくだし最終話についても語っとこう。

とにかく、苦しかった。ものすごい泣いた。
鳳さんがさ、諦めたようなこと言ってるくせに涙を流していて、あそこでまず泣かされた。諦めていることでも、言葉にして誰かに対して言ってしまうと、改めて認識してしまって心がえぐられそうになる。そういうのって何に関してでもあると思うけど、それをたった一シーンで表してくれた。素晴らしかった。

ウテナはもちろん共感できるし、鳳さんも過去を知ると仕方が無かったのかな、と思わされる。勧善懲悪じゃないからこそ、苦しくて良かった。
エピローグで、「結局ウテナが世界革命したよ、めでたしめでたし」ってならなかったのも良かった。本当にあの終わり方は良かった。最高。泣いた。

ウテナは女の子になってしまっていて(それは例の行為があったからではなく、精神的に)、王子様は無理。だから、ウテナが最後に言っていた王子様ってのは過去の憧れや男の子のふりをするっていうものではなくて、世界(アンシー)を革命する(助ける)存在、だったんじゃないかな、と解釈してます。
女の子は王子様になれない。カシラの言葉を借りれば「でもそれってどうせアニメでしょ(本当は違うんだよ)。」ウテナが成るべきだったのは、王子様で無くて、普通の一人の女の子だと思う。ウテナがアンシーに感じていた「薔薇の花嫁なんて関係無しに普通の学校生活を送って欲しい」という想いは、きっとウテナにそのまま跳ねかえってくるんじゃないかな。ウテナも、王子様(過去の執着)を捨てて、普通の女の子として過ごすべき、っていう。

初めからウテナが言っていたように、アンシーは普通の子になれたんだよね。鳳さんから離れて、過去とようやく決別して、ウテナっていう友達ができた。ああ、友達とは少し違うかもしれないけど、良い言葉が見つかんないや。


最後にはウテナが皆に忘れられかけているっていうのも、リアルで良かった。むりやりのハッピーではなくて、そういう点ではシビアでほんのりと切ないけれど、主題としては最高のハッピーエンドなんじゃないかなあ。


うん、良い物を見た。本当に、本当に素敵なアニメだった。

たかがアニメ、と思われるだろうけど、本当に素晴らしかった。

 

さて。次は劇場版でも借りてこよう!