Fate/Zeroを見終わったので、感想やら考察やらを書き綴ります。
私はステイナイト(以下SN)を未読未プレイだったのですが、1話が丸々説明回だったおかげでスムーズに物語に入れました。
なので、シリーズ長そうだしなあとか、第一作を知らないしなあと思っている方にもオススメです。
とりあえず一言で言うと、
実に素晴らしい鬱展開だった!!!
いや、もちろん燃えるシーンやギャグシーンもあるんですよ?
でも、視聴後はこう、公式でも言っていたようにまさにゼロになった感じがしまして、虚無感がじわじわと残りました。
有名な作品ですし、レビューはたぶん多くの場所で語られていると思いますので、
とにかくここではメインのマスターとサーヴァントに絞って感想を書いていきますね。
ここからはネタバレありなので、
最終回まで見てから読んで頂けると大変ありがたいです。
おkな方は追記よりどうぞ。
もろ手を挙げて良いと言い切れないからこそ葛藤やままならない良さが出てくるものだと思っているので、一部(そのキャラの譲れないところを)あえてぶった切った書き方をしているところもあります。ご了承ください。
【セイバー】
SNのセイバーさんを存じ上げないので、Zeroのセイバーさんのみを語りますね。
とりあえず序盤は良い百合要員だなあとにやにやしておりました。騎士王だなんてかっこいい! エクスカリバー解放時はあまりのエフェクトのかっこよさに鳥肌立ちました!
セイバーさんは追い詰められた顔が大変麗しくあらせられると思います、はい。最終話近くの血涙はぞっくぞくしました。
彼女についてはこう、初め主人公のような完全なイメージが、聖杯談義でフルボッコされたのが印象に強かったです。そもそも王に仕えるべき騎士が、自ら王に成り変わってしまった時点、もう第一歩から、彼女はずれてしまっていたのだろうなあと思います。
ライダーに小娘と形容されていたのも何だか虚しかったですねえ。メッキの王様って感じがします。ナリはお綺麗で完璧なのだけど、結局は中身の無い理想論。
あるべき形としてはベストなのだろうし、セイバーが王であれば国民はとても安心できるのだろうけど、どこまでも教科書通りからは抜け出せられない、平均点の国しかできないのだろうとも思います。
切継には最後まで向き合ってもらえなかったし、なんというか、道化でしかなくて、むなしい。
SNでは幸せになっていてほしいものです。
【切継】
とりあえず、この方は理系っぽいなあと思いました。
初登場時は目の死にっぷりにぎょっとした覚えがあります。後ほど主人公ポジションであることを知ってさらに驚きました。
全体的に悲惨な人ですよね……。300人の船の問答の辺りはぞっとしました。たとえ切り捨てるものが家族であれ、自分の考えを揺らがせないのは尊敬します。セイバーも切継も目的は一緒のはずですが、切継の方が理想をリアルにしようと考えている点で一歩前進しているように感じました。その方向が崖であるかどうかはさておくとして。優しくて強い人は損だなあ。
イリヤ殺すって決断もびっくりでしたが、そこからのアイリ発狂シーン、中の人の上手さも相まって震えました…。あそこまで多数決を続けていたら、潔いとか心が強いとか外道お構いなしとかもう関係無しに、引くに引けなくなったんじゃないかなあと思います。
ラストの「正義の味方になりたかったんだ」には号泣です。
最後にはたった一人の、絶対的少数の子どもに救われたのだから、皮肉な話。
【ギルガメッシュ】
ううん、圧倒的カリスマ。
シリアス展開での唐突なプロポーズといい、受肉後のドヤ顔全裸といい、やることなすことがスタイリッシュです。マントの巻き方すらも様になっていて、頬の緩みが抑えきれず声を上げて笑いました。凡人には真似できません。流石です。
世の受験生にとっては、彼の台詞一つ一つが自尊敬語や最高敬語を学ぶ手助けになるのではないでしょうか。
髪下ろした姿が好みだったのですが、鎧姿では拝めなかったのが残念でなりません。あの逆立った髪は動物でいう威嚇的な何かだと解釈することにしました。
彼も揺らがない人でしたねえ。王のわりに俗っぽく、王らしく自らが最頂点と信じて疑わない。セイバーとは違い、あらゆる民に慕われ足を掴まれるタイプではないのでしょう。そんなこと歯牙にもかけず突き進む強すぎる自我が素晴らしいと思います。
実力のあるナルシストほどカッコ良いものはありませんね。厨二万歳。
愉悦講座がとても楽しかったです。私も混ぜてください。
【時臣】
死亡フラグ立てすぎや。
凜との別れを済ませ、妻に挨拶し、あげく凶器を手渡した時点でああもうこの方死ぬなと確信してしまいました。
潜むだけ潜んでおいて、目立った動きもなくひそやかに死んでいった印象です……。序盤の企んでる感から、後半ドドンと大暴れしてくださるのかなあと期待していたので、ちとしょんぼり。
エリート魔術師としてのスタンスや、あの世界で一般的な魔術師の考えを説明する役としてはすごく的確に機能していたキャラだと思います。悪気があって桜ちゃんを養子に出したのではなくて、彼なりの(魔術師として当然の)考えがあってのことだと知って、納得はいかないにせよ理解はできました。
あそこまで信頼していた弟子と、それなりの敬意をもって茶番にしろ低姿勢に仕えていたサーヴァントに、思いっきり裏切られた様はなんだかもう圧巻でした…。
【綺礼】
極上の愉悦部員でしたね。彼の書いたシナリオはことごとく私の鬱展開萌えのツボを刺激して下さいました。ありがとうありがとう。
凜ちゃんにアゾット剣渡してにやついていたシーンの、絶妙な表情の変化が忘れられません。笑いそうで堪えている感じの表情の作画が素晴らしすぎました。まさに外道。
長剣も持ってはいましたが、基本はモンクっぽい戦い方をするってのにちょっとびっくりしました。あまり武闘派に見えない。聖職者だからかしら。
この方は愉悦覚醒するまでのキャラがいまいち掴めなかったです。何にもないからこそ何にも理解できない、みたいな。切継にえらく執着していたのは親近感(?自分と似た存在?)を持っていたからなのだと、アイリさんとの会話でようやくわかりました。
最終回の語りは、自分に何にも無いから世界にも何も無い状態になってほしい、っていう考えがあるのかなーと解釈しました。
彼が元妻帯者だったというのが気になりますね…。やっぱり妻に対してすらも無の感情しかなかったのだろうか。
何にせよ、自分にも他者にも破滅的な人だなあと思います。
【アサシン】
くるくる踊りながら屋敷侵入の辺りはこう、見ていておぉと感心したのですが、まさか見せ場があれだけで終わってしまうとは。いや、暗躍係みたいなもんですし、目立たないことこそアサシンのアイデンティティなのかもしれませんね。うん。
全体的にフルボッコ役、というか咬ませ犬さん……。
【ウェイバー】
色んなところでも言われていますが、Zeroはある意味で彼の成長記だったのだと思います。それくらい見せ場が多かった!
一番主役っぽいキャラ。作中唯一の癒し。ウェイバーが泣いたり叫んだりうひゃあうわあって反応をするたびに、ああこの人一般人だなあと安心させられました。突き抜けたキャラが多いもんですから……。
良くも悪くも私自身との親近感が強すぎて、視聴中は、応援したい気持ちと見ていられない気持ちがいっしょくたになっていました。
手違いとは言え、彼がライダーと巡り合えて本当に良かったと思います。うんうん。
おじいさんたちやライダーがこと良い人だったこと、そして彼らとやっていけていたのを見るにつけ、ウェイバー自身も本質はとことん善人なのだろうなあと感じます。ちょっとひねくれていたのも、後半はすっかりすっきりしていましたし。
ほんと、良いエピソードが多かったです。
【ライダー】
まさに熱い漢! 燃えを感じましたね。その潔さや良し!
宝具もいちいちスケールがでかくて、もう圧巻迫力。ライダーが出てくるとなんだか無性にわくわくしました。これが血沸き肉躍るってやつか。
冷静に相手を見て痛いところを突いたり、ウェイバーに言葉を尽くして評価したりする辺り、人を見る目もあって頭も回る……感服しました。ただ脳筋系の熱い漢というわけではなく、きちんと色々を見据えたうえで突撃する感じ。破天荒っぽい行動も、ここまではおkっていう線を見抜いてやっているように思います。
もしケイネス先生に召喚されてたらあそこまではっちゃけられなかったんじゃないかなあ。説教の一つくらいはかましそうだけれど、諦念でいっぱいになりそう。
負けるとわかってて立ち向かう最期はもう、たまりませんでした……。泣かせやがるぜ…。
彼の言う征服は力だけでなく光が見えるものだった気がします。うん。良き王だ。
一緒にゲームしたい。
【ケイネス】
ランサーに対する扱いを差し引いてもむちゃくちゃ不幸になった人。最後にソラウを選んだ辺り、本気で彼女が好きだったんだろうなあ。報われないけど。
スライムさん連れて歩くのとか、ランサーに嫉妬してるのがバレバレな感じとか、なんかちょっと笑ってしまいました。強くて冷徹なはずなのに。あのスライム可愛い。欲しい。
先生とかエリートとかが合わさってすごく傲慢に見えますね。根から意地悪い人っぽく見えてしまいます。ウェイバーと逆な感じ。
ランサーに対する、さっさと倒しとけよ!みたいなヤキモキも理解できる部分はあるのと、最期の不幸っぷりとがあいまって、何だかんだ憎めないキャラだと思いました。
【ランサー】
不器用な忠犬さん。
槍2つってのにまずびっくりしました。あと、登場時のイケメンっぷりにも。女たらしのキザキャラなのかと思ったら、意外にも忠と礼な武士道キャラでした。
セイバーとの礼ある戦いはかっこよかったです。燃えました。けど、本来の聖杯奪取という目的を考えるとどうなのだろうと疑問も残ります。
とりあえず、ポリシーが多すぎてがんじがらめになっている印象です。
忠義は守りたい、礼は尊びたい、美学を重んじたい、そういう色んなこだわりを捨てきれなかったのがランサー陣営の不和の原因であるようにも思います。もう、相性悪すぎるわ。駒を思い通りに動かしたいケイネスと、忠義を立てて命を受けたいランサーは合っているように見えるんですけれども。方針の違いと、お互い譲らないせいかしら。
不器用で不憫な、安定の幸運Eでした。
【雁夜おじさん】
エグイ人ですね。うん。受ける仕打ちがとことんエグイ。ハートフルボッコ。
蟲に侵されてなお時臣に歯が立たないという現実の厳しさに愉悦を感じました。
○○のため、を行動理念にする人はみんな滅びますよね。まどマギのさやかちゃんといい。行動自体は勝手にこっちが起こしたもので、それに見返りを求める時点でおかしな話だと思うのだけれど。奉仕に徹底できないのであればそんな回りくどいことはするべきでない。……と、そうわかって動ければ苦労はしない、このエゴくてどうにもならないところが人間味あふれてて好きです。
葵さんに対するモノローグが、もう、中の人上手すぎて切羽詰まってる感が如実に伝わってきて、ぞくぞくしました。良い。すごく良い。「雁夜おとうさん!!」の妄想も鳥肌ものです。結局、時臣のポジションを奪いたかったんだろうって言う。
すごく人間らしいと言うか、エゴイスティックな人でした。道化その2。
【バーサーカー】
ギルガメッシュの槍(?)をどっかんどっかん跳ね返すのかっこよかったですね!
能力が見えないのとか、うめき声ばかりであるとか、謎の最終兵器感があってわくわくしました。
ただちょっとラストが急ピッチで咀嚼しきれていないかも。自分でも止めきれなかったから、セイバーに止めて欲しかったってことなのかしら。だとしたらなかなか身勝手な話だw
一番驚いたのは彼が普通に話せることでした。ラストの良いとこ取っていく構成はなかなか。
【龍之介】
―――超くぅぅぅる!!!
最高のマジキチキャラです。素晴らしい。本当に素晴らしい。
召喚時の「みったせー♪みったせー♪なんだっけ?」みたいな掴みから持っていかれました。ありがとうありがとうこのキャラを生み出してくれてありがとう。やってることは最低外道のわりに満たされた幸せな最期を迎えてるってのがまた。シニカル。
人体破壊アートを“前向きに”やっていることとか、彼の思う神様観とか、邪気の感じられない性格がたまりません。ひたむきに異常なんでしょうねえ。
ああ、根本からおかしくって、それが当たり前だから直そうともしないのだろうなあと。彼にとってはあれが正常なのだろうなあと。そう考えるとキャスターっていう理解者が得られて本当に良かったなあと。
作中は終始楽しそうで微笑ましかったです。
二次元だからこそ許される、良質極上のサイコパスキャラでした。守りたい、あの笑顔。
【キャスター】
キャスターがくぅぅぅるって言った時は思わず感動して涙が。あの丁重な話し方しかしない旦那が!まねっこを!
しゃべり方がすごいツボです。「ジルドレェ、まかり越してございます」のとこ超好き。
どこまでもジャンヌ厨な旦那。妄想のジャンヌを見て、ああ一応セイバーと似てはいるんだなあとしみじみしました。しかし好きな女を間違える?のは何だったんだろう……。
この人違いに関しては、ジャンヌが報われなかったのがあまりに悲しすぎて、旦那の中で救いの対象であれば何でも良いみたいな錯覚が起きたのではないかなあと考えてつつ見ていました。本物偽物問わず、とにかく救いが存在していることを信じたかった、から、セイバーの言うことにも聞く耳持たなかったんじゃないかなあ。
龍之介に対して「希望からの絶望こそが~(うろ覚えごめんなさい)」って諭すところもなかなかに美学を感じました。さすが鬱展開の巨匠。
元々青髭やらジャンヌやらのくだりは興味があったので、出て来た時は、こんな方も召喚されちゃうのかと驚きました。
キャスター組が一番好きです、はい。
キャラへの感想はこんな感じ。
このキャラ嫌いってのが本当にいなくて、すっごく毎週楽しみなアニメでした!