「仲間外れはなぜか責められるべき対象となりうる」
排他的な前置き。
えー、今回はヲサカナソフトさんところのフリーゲーム「ブラックオクトウバー」の感想をつらつらと書きますね。例にもれずレビューっぽくもあるかも。
ノベルゲームです。長さは中編になるのかな? ラストまで2時間くらいかかりました。
まだ十月は先ですが、せっかくなので今の時期にDLしてみるのもいいかも。
プレイして思ったのが、こう、引きこむ力が凄いなあと。
超秀才が通う学校での事件が舞台で、まず初めにその学校の特殊さを語っていく形でストーリーが進みます。何なんだろう、筆力かな、すごく読みやすくて、つつつっとテンポよくその設定に入り込めました。
前半はチャットでの会話がメインになります。チャットメンバーは主人公合わせて5人。キャラが立っていて、チャットがすごくリアルに進んでいくので、読んでてこっちもわくわくしました。
後半はとある事件が起きた後、チャットメンバーが全員顔を合わせてからのお話。それぞれ、誰がどのHNを使っていたのかはわかりません。しかも、集まったのは6人。1人多いのです。
となると自然、誰がどのHNを使っていたのかとか、誰がチャットの部外者なのかなどなど、糾弾の形に話が進んでいくのですが………。そこで主人公が出した結論が、私には新鮮で、かつ感動的でした。その発想は無かった。すごい。人狼が始まるかと思ったらそんなことはなかった。
ただ、ラストが拍子抜けと言うか、ちょっとそれまでのドキドキがあっさり畳まれてしまった気はしましたね。ううん、でも、この辺りの違和感は、主人公の考えに私が追いつけなかったから出てきたものかもしれません。とにかく、最後までテンポが良い作品でした。
途中のエピソードが非常に暗くてなんというかもう良質な鬱展開で、この辺りでも大変満足です。で、そのわりに終わり方は非常に明るいです。これもまた、救いがあって良いかなと。川井君のことを考えると少々しこりが残りますが……。全てが綺麗には解決しきれない辺りもリアルで良いかな、なんて。
ちなみに自分が予想していたHNはことごとく外れていました。うう悔しい。
チャットでの皆も、リアルでの皆も、キャラがしっかり立っていて良かったです。嫌なところもきちんと書いてあったのが好印象。だからこそ、キャラが引きたって魅力的に感じたのかなとも思います。
個人的には児島君がお気に入り。ああ不器用なだけなんだろうなあと思って、たまらなくなりました。
シリアスや暗い話に抵抗が無くて、青春ミステリっぽいのを探しておいでる方に、オススメです。