うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「キスキル・リラ -くちづけは夢の終わりで-」感想

「恋心でもなく、喜びでもなく」
初期設定が秀逸だと思う前置き。

 

えー、今回はplus pureさんところのフリーゲームキスキル・リラ -くちづけは夢の終わりで-」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。


場所を選択して攻略キャラの元へ通うタイプの乙女ゲーム。暗めのバッドエンドもあり、甘々のハッピーエンドもあり、依存あり殺伐ありの素敵な作品です。
結論から書くと、とっても好みな作品でした!

さっそく魅力的なところを挙げると、

キャラクター

まずヒロインからして個性的です。

表向きは良い子ちゃん、しかし心の中ではしっかり“悪魔”してる彼女のぶっちゃけっぷりがツボで、もう、たまりませんね!
普段乙女ゲーをするときは、一歩引いた視点と言うか、あんまりヒロインには感情移入できないまま進めることが多かったんですが……この作品は大いに頷くことばかり。建前と本音のギャップに笑ったり、甘いシーンではどきどきしたり、乙女らしさを思う存分楽しめた気がします。


攻略キャラクターについては、もう、語りきれないくらいなので、詳しくは追記に畳んでおきます。ネタバレ全開なので注意してくださいね。興味がある方は右下のボタンからどうぞ。

 

 

描写が丁寧で読みやすいテキスト

ノベルゲーでもちろん重視されるのはテキストだと思うのですが、この作品はまさに最高の出来でした!


ファンタジーものって大抵、似非日本みたいな、曖昧な世界観で進むことが多いと思うんですよね。

それがこの作品だときっちり異国滞在って描写が出てるんですよ!

ベッドに入る時靴を脱いだり、日本人キャラクターのお辞儀に外国人のキャラクターが戸惑ったり。あと、公式サイトにあるようにヒロインは怪我をしているんですが、ヒロインの動作がきちんと怪我に繋がっていて、気遣う描写や日に日に治る描写などをしっかり入れてくれています。

キャラの身体状態をうっかり忘れちゃったり外国キャラを日本感覚で書いちゃうのは文字書きあるあるだと思うので、隅々まで描写が息づいていて感動モノでした。

 

作中明言されることはなかったけど、たぶんキャラクターごとに出身地を設定してるんじゃないかな。

乙女ゲーの描写ってやっぱり心理描写が一番注目されるだろうけど、それだけじゃなくて、細かいところまで行きとどいた丁寧さを感じるシナリオでした。
もちろん、ときめく台詞や身につまされる心理描写もたっぷりなので、そちらにも是非期待してみて下さいね!

 

 

綺麗なスチルと表情豊かな立ち絵

もちろん、ビジュアル面もクオリティが高いです。
まず、立ち絵の表情が豊か。

サブキャラを合わせるとかなりたくさんの人が出てくるんですが、そのほとんど全員に立ち絵がついています。かなりの豪華仕様!


それからスチルですね。決めどころにバシッとスチルが出てくれるので気分も盛り上がります。綺麗な一枚絵のおかげで攻略中のキャラに惚れ直すこともしばしば……。
特徴を押さえたデフォルメキャラも可愛いです。某女の子キャラの幸せそーなふにゃっとした顔がたまりません。

 

 

コンプしたくなるおまけ画面

あんまり詳しくは書けませんが、おまけページには嬉しい仕掛けがあって、コンプ欲がかなりそそられます。攻略ヒントもあるので、好きキャラのエンディングに辿りつけないってことはまず無いかと。しっかりクリアするとベストエンドに関係するSSも見れて、とってもにやにやできます。
私は完成して初めて知ったので体験版は触れていなかったのですが、体験版EDも見れるので興味ある方はぜひぜひ。途中まではもちろん本編と一緒ですが、そのキャラらしい会話がちらっと見れますよ~。

 


とまあ、こんな感じで。


システム面もかゆい所に手が届く便利な仕様で、シーン回想もばっちり。
あえて言うなら、ギャグやバトルのBGMがちょっと激しすぎたり長すぎたりして合わないところがあったかな……? でも曲自体は良い素材なので、本当にあえて言うなら、ってくらいです。

 

公式サイトを見てちょっとでも気になったなら、是非プレイして欲しい!
クオリティがかなり高く、ボリュームもたっぷりな、ときめく乙女ゲーでした!

追記ではネタバレ感想。 

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

ネタバレ注意

 

 

【ダレル】

初めに攻略したお相手です。
良くも悪くも育ちの良いおぼっちゃんタイプだなーと思いつつ読み進めていたら、まさかのパン屋さんでした。おぼっちゃんとかじゃなかった。素朴だった。

甘ちゃん、って表現すると聞こえは悪いですが、夢と希望を忘れない純粋さが微笑ましいキャラでした。応援したくもあり、叩きのめして冷たい現実を見せたくもあり……そんな感情を見事に反映してくれるエンドが多くて嬉しかったです。


お気に入りのエンディングはご主人さまと餌。ダレルが依存方向にズブズブいっている感じと、スチルの退廃的な雰囲気がたまりません。ヒロインから積極的にこういう病みエンドに走るのも珍しい気がしますねぇ。


恋人同士のような色っぽい雰囲気になったとたん、メリッサとダレルの敬語関係が逆転するのもツボです。座談会では主従をわからせる云々と言われていましたが、つまりあの段階ですでにメリッサは主になる予感がしていたということになるんでしょうか。それともうぶなダレルの反応を見ていてだんだんと強気で悪魔なメリッサが表に出てきた感じでしょうか。後者っぽいな。どっちにしろ萌えます。敬語はいいものです。
おまけにバッドエンドの中でも悲惨なものは少ない――とあって、「あれで!?」と驚きました。次のキャラクターへの期待が増し増しです。

 

 

【クラウディオ】

ネアカなヤンデレっぽさがたまりません。口が上手い、独占欲深め、ロマンス思考とヤンデレ待ったなし感あります。いや、実際のところそんな過激な展開はなくて、ちょっと嫉妬深いだけなんですけどね。それでも言葉の端々に滲みでてくる感じがこう。日常の中に見えるヤンデレの片鱗というかなんというか。いいですね。
彼のルートはラスト周りの怒涛の流れに気圧されもしましたが、展開のおかげでこの作品での悪魔世界や悪魔らしさが感じられて楽しかったです。


エンディングに関しては、そうですね、トランク最強ですね。私もあれ欲しい。
ベストエンドは、展開としては萌えというより燃えな感じ。手を取り合って立ち向かう二人の構図は良いものです。ただ結局、奥さん(テレーゼさん?)は良いのかなーともやもや。魅了が解けたということは、テレーゼさんがクラウディオを好きな気持ちも戻って、二人はよりを戻して万々歳になれるのでは……? テレーゼさんへの執着をメリッサが食べてしまったならまだしも。なんだか寝取ってしまったかのような罪悪感が残ります。
でも、メリッサも浮気するルート(って書くと変かもしれないけどw)に入れるし、その辺りはお互い様ですかね。


彼とダレルのイベントで、お風呂云々のところを見てようやく、ダレルルートで飛び出してきたわけがわかりました。すっきり。こういう相互に絡んでるイベントって楽しいですねぇ。

 

 

【管理人夫妻】

豹変立ち絵にクリックの手が止まりました。なんという……。
夢はてっきりロイドさんのだと思っていたらまさかの斜め上でした。そうくるかー。
そしておまけで、デフォルメされたクララを見た時は思わず「クララ゛ァアアア゛ア゛ア゛」とこの世ならざる声を上げてむせび泣いてしまいました。感動的なエンデイングの後であのイラストは涙腺が崩壊しますわ……。


もちろん、危うい雰囲気の方のエンドも忘れちゃいけませんね。上記2人のバッドエンドに比べるとかなり自分の欲望に忠実で悪魔らしいエンドだと感じました。どす黒いエンドのように見えて、メリッサの境遇というか、家族愛に目覚めてしまったことを考えるととても切ないエンドであるようにも思えます。
体験版EDも花でブルーベルが想起されてじんわり切なかったなあ。


乙女ゲーだとこの手のキャラクターは無視されがちですが、この作品ではがっつりルートがあって嬉しかったですねぇ。メリッサの、猫かぶりだけではない素直な可愛い一面が見れるのも好ポイントでした。

 

 

【ケネス】

黒髪金目!好みです!
登場時のBGMにちょっと笑ってしまいました。がらっと雰囲気が変わるものでついw
ツン・デレの比はこのくらいがちょうどよいです!ツンツン万歳!一週間が終わってもまともに会話ができずどうなるのかとはらはらしていましたが、後半の甘々っぷりにすっかり堕ちました。ありがとうありがとう!

ん、でも今さらだけどクーデレっぽい気もする……。俗っぽい言い方では言い表せませんね!かっこいいから仕方ないね!可愛いところもあるのがたまらないね!風呂場の夢が忘れられません!


なんだろう、中盤辺りからメリッサが他ルートよりも無邪気で気弱な子になっていて、ちょっと違和感があったかも。無意識に大物オーラを感じ取って萎縮してたとかかな。とはいえ後日談では見事に持ち直してくれていたので安心でした。


スチルがとにかく好み!!! 一枚絵が出てくるたびにときめいて手を止めていました。そしてまじまじと観察。ついでに動悸を抑えるため小休止。いやあ楽しかったです。よくよく見ると抱きとめてキスしてるスチルに純情青年の焦りが見受けられて非常においしいですね。


エンドはグッドと真相どちらも好みです。メリッサが結局人形にされてどろっどろ、そんな展開も見てみたい――といってもケネスはあんまり病むタイプではなさそうですが。妄想は自由かな、なんて。彼の素性は全然予想できてなかったので驚きました。


けっこうサブキャラクターが絡むところもあって、クリアした後は「ケネスエンド少ないよー!」と思ってしまった……けどダレルやクラウディオと比べても、キスシーンやらエンド数やらはそこまで差はありませんでした。たぶんこれはあれだね、好きなキャラクターを贔屓して欲しいっていうワガママですね。そのくらい好みでした。
ヒントページや座談会で、毎回最後にどきっとする台詞を言ってくる辺りがたまりません。指摘すると言ってくれなくなりそうですがw

 

 

【ルミナ】

ツインテ、これは惚れるしかない。
執着が無限大って辺りにときめきました。もちろんお友達だからってのもあるでしょうけど、昔の友達のこととか、メリッサによる餌付けとかも相まって、執着がどんどんおっきくなっていってるんでしょうねぇ。さりげなく軟禁されてるし。いやあヤンデレおいしいなあ!


蝙蝠さんが初めて出てきた時は「なんかいる!?」とリアルにびびってしまいました。良く見たら可愛かった。そして不憫だった。頑張れブラック企業
助け方はともあれ、いざって時には彼女に任せておいたら絶対大丈夫な気がします。サディアス様ですら余裕で倒せる気がしてなりません。

 

 

アベル

彼のルートでバッドってのは想像できないなあと思っていたんですが、蓋を開けてみれば一番危うい雰囲気のトゥルーエンドでした……! ありがたいありがたい。萌えます。依存萌えます。
プレイしながら、あの、目を細めて小首かしげて微笑んでくれる立ち絵、素敵だなあって思ってたんですよ。それが後半であんな台詞とセットで来られて、あまりの決まりっぷりに萌えときめいて震えてしまいました。たまらん!


メリッサが肉体的に最も頑張っていたルートでもあるんじゃないかと。お疲れ様だよー。後日談では救いもあって、おまけに出てきた彼女の最強っぷりを再確認できました。ハッピーエンド好きさんにも一安心の展開でしたねぇ。
彼とケネスのイベント、サンドイッチの出来が逆では?と思ったりしたんですが……なるほど料理は自分でできるからなのねーと自己解決。不器用に見える彼がどのくらい努力したのかを考えるとじんわりきます。

 

 

【ユキヒコ】

お風呂スチル本当に本当にありがとうございました。
トゥルーエンドはいつも物憂げな彼らしい雰囲気でじーんときました。悪魔のことをわかっているが故に、って感じがしますねぇ。逃避行は良いものです。
恋愛に疎そうだなあと思ってたので、想像以上にアグレッシブな愛情表現をしてくれてどきどきしました。騎士様的な。書、花、茶に通じてさらに武道(ちょっと違うけど)と来る多芸っぷりに惚れます。かっこいい。


ドヤ顔で手をかしてくれた別キャラも忘れられません。このルートはメリッサが攻略対象を3人落としてると考えてもいいくらいなのか。良いところをかっさらっていくそこにときめきます。

共通イベントを振り返ってみるとこのキャラとユキヒコが仲良くしてたところがちゃんとあってなんだか妙に納得してしまいました。というか、メリッサと言い彼と言い、ユキヒコが自然と呼び寄せてこういう状況になったのかな? なんと因果な。


ユキヒコはルート後編でスチルがばばばっと惜しみなく出てくるのでときめきも倍増でした。夜女性の部屋に入る、この啖呵切りっぷりも、彼の秘めた情熱を感じさせてたまりません!あとカットインかっこいい!あのイベントが一番好きかもです。

 

 

ジーク】

初めて彼が出て来た時は別のキャラを攻略中だったので、ちょくちょく絡んでくる彼にはついつい、お呼びじゃない!と冷たくしてしまっていたのですが……(ごめんね)。ツンツンな選択肢を選ぶと、メリッサがこっちの気持ちを勢いよく体現してくれてすっきりしましたw


で、無事に回収も終わって、心機一転、彼とのエンドを見るために選択肢を調整していたら……今度はバッドエンドの健気さに泣きました。冷たくしてごめんよぉおおおおお! メリッサと並ぶとこれまた絵になって、うぅ。退廃的な雰囲気がよく似合うお人です。さすがV系。


だからこそ、ハッピーエンドは報われて良かった! 他のルート攻略済みのメタい視点を持っているせいか、メリッサが色々誤解しているのがわかるぶん、「あいつらはそんな奴じゃないよ!」と弁解したくもなることもしばしば……。でも大団円でほっとしました。
意外にもわんこ系のキャラで微笑ましかったです。

 

 

【共通イベント】

基本的に攻略キャラを追いかけてたらルートに入れたので、このイベント回収はラストになりました。非攻略中だとキャラクターへの文章が数行変化したりもして、細かい気配りを忘れないテキストに痺れましたねぇ。
一番驚いたのはメリッサの年齢です。想像以上だった……。でもよくよく確認したら、公式サイトで既にぶっちゃけてあったんですね。見逃しちゃってました。年の割にうっかりさんなのは長命な悪魔ゆえ、かな?
寮の皆を覗き見してる感じで、これはこれで楽しかったです。終わり方が滑稽なのもまた。猫畜生……w なんやかんやでメリッサの素黒さが魅力です。

 

【全体をまとめて振り返ると】


シナリオとしては、ダレルルートとユキヒコルート。キャラクターはケネス。エンディングはアベルのトゥルーエンドとダレルのバッド(?)エンドが好みでした!