うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「四月の魚~Poisson d'avril~」「THE FOOL」「Nの食卓」感想

「結局君の本性はどれ?」
自由にお選び下さいな前置きの前置き。

 

えー、今回はTARHSさんところのフリーゲーム「四月の魚~Poisson d'avril~」「THE FOOL」「Nの食卓」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。


まず、この作品には大元の本編、「図書室のネヴァジスタ」という一作があります。こちらはシェアゲーム。で、今回取り上げるフリーゲームはこの本編のパロディゲーム(エコノベル)。どれも単品で楽しめます。


ただ、登場人物がそこそこいるので事前に体験版をプレイしておくといいかも?

ちなみに私は色んな方からオススメ頂きまして、以下に紹介している通りの順番でプレイしました。しょっぱなから「四月の魚」をプレイしちゃうのもありだと思います!


前置き長くなった。

 


では以下、各作品の感想です。
核心的なネタバレありのところは伏せ字にしています。ドラッグ注意です。
地の部分は一応ぼかして書いているつもりですが、察しの良い方はお気を付け下さい。

 

 

 

 

 『四月の魚~Poisson d'avril~』

 

[ストーリー]


惚れた女のため200万持って駆け落ちに来た男が7人集まった。
もうこのあらすじだけでとんでもなくわくわくしませんか。果たして何がどう転ぶのか、最後まで読めない展開を思う存分楽しめる一作でした。超展開と見せかけて、キャラクターの背景事情や事件の真相に関してはきちんと伏線込みの構成が組み上がっているのも魅力の一つかと思います。


コメディノベルと紹介にはありますが、中盤にはサスペンスやシリアスの要素が色濃く出ていたように感じます。桃子の境遇がけっこう生々しいので、しみじみと思わされるところもあり。桃子の彼への届けものの話はなんというか、もう、居たたまれませんね。自分の駄目さ加減を自覚しつつもやめられない感じが何ともリアル。


ただ、暗く落ち込みかけたところをすぱーーーんと明るく変えて、そしてラストまで邁進していくあの爆発力はとてつもなく爽快でした!!ご都合なところもありはしますが、そもそもコメディですし。むしろ期待する方向に話がどんどん転んでいってくれてすごく気持ち良かったです。久保谷の小悪党口調も忘れられそうにありませんw

 

 

[グラフィック・システム・演出]


演出面は、特にBGMが印象的だったかな。ラストからオープニングに繋がるテーマソングには思わず震えが来ました。システム周りは快適で、戸惑うことも無く。エコノベルとのことなのでスチルはありませんが、立ち絵の表情差分は豊かですしどのキャラの表情も個性的なので満足でした。

 

 

[エンディング]


分岐は無く一本道なので、勿論エンディングも一つなのですが。
終盤の流れがたまらん楽しかったので改めて項目立てちゃいました。


なんというか、もう、やられたー!って叫びたくなるエンドでした!良い意味で!

パズルのピースが怒涛の勢いで埋まっていくのがたまらなく気持ち良かったです。


皆の言い回しも、それこそ名言集か何か作りたくなるくらいウィットに富んでてかっこいいんですよね。ふはははは、には色んな意味で涙が出ます。
あとは春人君が表に出ると申し出た時の、例の台詞に思わず堕ちました。あんなかっこいいこと言えちゃうんだもの、そりゃ数多の女性が惚れるに決まってるよ!


締めの演出もぐっときましたねぇ。語り過ぎず、あれでさくっと終わらせるのが凄い!いやー、読後感がかなり良い一作でした。

 

 

 

 

 『THE FOOL』

 

[ストーリー]


群像劇に近いサスペンス。ドラッグを賭けてハンドルネーム当てをする、というこれまた先の気になる展開から話が始まります。


この記事の初めでも少し語りましたが、登場人物8人とHN8人分を把握しないといけないので、このネヴァジスタシリーズに慣れていない人が初めて触れるにはちょっと厳しい作品かも。逆に、キャラクターをしっかり把握しておくと、HNを予想する楽しみや裏切られるドキドキ感が存分に味わえるかと思います。とりあえず初めの質問は全部チャレンジしてみるのが吉!


要素としては、シリアス・鬱展開が強め。自分で色々考えながら読み進めるのが好きな方にオススメしたい一作です。

 

 

[システム]


視点を入れ替わり立ち替わりして、断章を少しずつ読んでいくようなシステムになっています。正直、初めは取っ掛かりが分からず少し手を止めてしまいましたが……親切なACT番号による誘導のおかげでそう混乱せずに進むことができました。さりげないアプローチ、いいよね。


ほんの少しだけ難点として。私自身がキャラを把握する前に読み進めていたせいもあるんですが、キャラクターの台詞が出た後に立ち絵が表示される展開が序盤に多く、騙りもあってどれが誰か把握するのが大変だった覚えがあります。でも、繰り返しになりますが他の作品をプレイした後ならすんなり受け入れられると思いますのでご安心を。


しかも、現在はボイスつきのシェアウェア版も出ています。なのでこの問題は解消済み。きっちり腰を据えてやりたい方は是非手をつけてみてくださいませ!


あと、ポイントとしてはクリア後の登場人物紹介ですね。ああやってプレイヤーにアクションを要求するの、大好きです。

 

 


[ネタバレ]


以下伏せ字でHN当てのネタバレです。
とりあえずACT3まで読んだ次点での予想と答えが合っていたのはKただ一人でした……。評価を頂けるなら、もうすこしがんばりましょうになるかしら。エイプリルもなー、初めの予想を変えなければ合ってたんだけどなー。ぐぬぬ


実は情報が増えても推理を立てなおすことをせずにのんびり読んでしまったので、終盤は大混乱しちゃいまして。これはもったいないということでもう一周したところ、色々と伏線も楽しめました。結果オーライ?なんて。


一周目が終わった時は、エイプリル視点と消去法を除いて正攻法でエイプリルを見分けるにはどうすればいいんだろうとちょっと悩んだのですが。チャットログの「ケット・シー:あやしいね」「エイプリル:wwww」を思い出して、なんとかHN当てもクリア。いやー、ここ、騙されました。私もエイプリルと同じ側の人間だったようですw
で、2周目になると「テストに出るよ」とか「疑いを晴らす言葉は?」とか、かなりのヒントがばらまかれていることに気づいて感嘆しました。もっと神経を研ぎ澄ませて読めば良かった!


はー、しっかし、トンでる時の白峰は色っぽくて素敵……。
クリア後に出てくる簡略説明だけ読むとミルクがすごく裏目に出てて切ないですね……。
伏せ字終わり。

 

 

 

 『Nの食卓』


[ストーリー]


中世ヨーロッパふうの世界観と、吸血鬼に近い存在ネヴァジスタ達が繰り広げるダウナーな悲劇作です。「彼らは終焉を手にすることが出来るのか?」と公式サイトのあらすじにあるように、全てが終わりに向かって走っていくお話になります。

鬱展開好きの方、朗報です。


それぞれの視点で話が進んでいき、最後に丁寧に畳まれるあの構成力は素晴らしかったです。視点が変わってもメインはペアなので読みやすくて助かりました。
キャラの名前は漢字のままなので、少し場違いな感じがあるなーというのが一点だけ。しかしながら、それを補って余りあるほどの退廃的な雰囲気や、葛藤と諦念に揺れ動くキャラクターの様を楽しむことができました。

 

 

[BL的な萌え]


この作品自体はBLではありません。が、原作『図書室のネヴァジスタ』が女性向けということもあり、遠慮なく腐萌えをしたので、そのポイントも書き散らしておきます。見たい方はドラッグ反転で以下どうぞ。


茅と咲の二人が、とても、とても切なかったですね……。人外×人間もので、人間が不死をお断りするパターン自体はよくあると思うのですが、その理由が優しさの話に繋がるというのが新しくて、心に染みました。毒気のない茅はなんというかすごく可愛らしいので咲と合わせて可愛いMAXだなって思いましたお花畑。


白峰×辻村は今度すれ違い美味しい感じでたまりませんでしたね。茅の騒動の後、白峰が咲を言い訳にせず辻村の怒りを黙って受け入れていたのがすごく印象的でした。この辺りも彼の持っている諦めというか身につけるべくしてついてしまったネヴァジスタ特有の無関心さが見え隠れしていて大変切なかったです好き。


槙原と津久居も、なまじ信じるに足るだけの悪役っぽさがあっただけにあのラストは衝撃的でした。ある意味因果応報と言えなくもありませんが。槙原は誰かを信じたり誰かに手を差し伸べたりしない限り一生ああなのだろうなと思わせられました。ネヴァジスタに一生というのも変かもしれないけれど。他のネヴァジスタが「寄り添いたいけれど壊してしまう孤独」みたいなものを感じているのに対して槙原の孤独の種類は違う感じがします。


石野さんはなんというかずるい人ですね。いい。あのずるさがいい。好きです。


最後の最後に序盤に帰り、結局何も変わらず続く……あの締め方も、ネヴァジスタの永遠がひしひし伝わってきてたまらなくなりました。


以上伏せ字終わり。

 

 

 

[グラフィック・システム・演出]


この作品は特にタイトル画面や起動画面のデザインがお洒落で、見ているだけでどきどきしました。クリア後に起動画面が変わるのもさりげなくかっこいい、
シーン切り替えで出てくる薔薇もシンプルながら素敵です。
やはり一番の見どころはおかっぱステータスですかね。

 

 

[一言]


退廃的な世界観や、人外×人間、カニバリズムネタ(グロ描写はありません)などにピンとくる方にオススメです!