うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

フリーゲーム「かげろうは涼風にゆれて」感想

「私が素敵と感じたものはなべて汚い」

価値観の相違な前置き。

 

 

えー、今回は、言ノ葉迷宮さんところのフリーゲームかげろうは涼風にゆれて」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ジャンルは推理型選択式ノベルアドベンチャー、で、いいのかな。ダークな展開を含み、鬱展開好きにもぐっとくるエンドがあって楽しかったです。

プレイ時間はうまくいけば1・2時間。コツがわからないとかなりの時間がかかるかと思います。難易度は個人的にはけっこう高めでした。とあるポイントで引っかかってしまい、ついにはちょこっとヒントをカンニング……。かなり頭を使う新鮮な一作でした。

 

というわけで、特徴的な点などあげていきますね。

 

ノベルとして楽しみ、ゲームとして楽しむ

 

こちらの作品で最も独特なシステムは、「初回プレイ時のセーブ封印」「初めからのやり直し禁止」というところです。

あ、オートセーブはあるので一気にクリアする必要はありません。私のようなセーブ厨で中断好きの皆さんもご安心を。

話戻して。上記のシステムを搭載することで、初回はとにかく話のみに集中し、物語の面白さや掴みを楽しんでいくようにできています。

 

さて一方で、この作品は周回プレイこそが本番です。

どこか不穏な展開、不可思議なエンディングを経て、ここからプレイヤーの腕が試されます。セーブロードの解禁で、プレイヤーには選択肢の吟味ができるようになりました。そこで我々は、主人公達が真相に近づくにはどうすればいいのか、を、試行錯誤で推理しなければなりません。勿論、やみくもに全選択肢を当たっても真相には辿りつけない仕組みです。

 

言ってしまえば、

  1. 掴み(ノベル)
  2. 選択肢のチャレンジと推理(ゲーム)
  3. 真相(ノベル)

という段階を踏んだ流れが、システムで一部を禁止しただけで成り立ってるわけですね。こりゃすごい。シンプルながら唸らされました。

 

 

 

パズルのピースが綺麗に埋まっていくようなストーリー

 

さて、その肝心の物語について。

なんだかちょっとでも語ってしまうとネタバレに通じそうなイメージがあるので、あまり深くは書けませんが……作中の疑念や気になる点が綺麗に解決していく、整ったお話だなーと感じました。

伏線や不穏な描写が説明なしに挟まれるこの緊張感も良かったですね。嫌でも気になって、あの描写は何だろうかと考えたくなるという。結果、真相と噛み合った時のすっきり感はたまりません。

ミステリ好きな方はとりあえずやって損無しかと。

詳しくはネタバレ込みで追記に畳みますね。

 

 

 

クーデレふうな主人公とパートナー

 

主人公サイドの二人はどちらもクールです。慌てたり動揺したりすることはめったにありません。何が起こっても動揺はすれど騒がないので、冷静に物語を進行することができます。

クールキャラ萌えな自分としてはこの性格設定嬉しかったですねー。きりっとした態度でさらっとすごいこと言っちゃうみたいな。仮にこの状況で感情豊かで混乱しがちな子が主人公だったなら話が進まず終わっちゃってたかも。そう思うと、キャラ設定の辺りもよく詰められてるなあと思います。

男女ペアとなるとつい恋愛要素に繋げがちですが、こちらの作品は匂わす程度に留めていてくれたのも良かったです。一見淡々としてますが、葛藤や思い悩みはしっかりしてくれるので感情移入もしやすいです。

青海ちゃんかわいい。

 

 

 

情報整理と過去俯瞰に富んだシステム

 

他に興味深いシステムとしては、情報メモが確認できることと、プレイログが閲覧できることでしょうか。

全てのエンドを見てからプレイログおよび後々解禁される新機能を閲覧すると……いやあ、かなりぐっさり心にきます。この辺りのダークさも、本編の不穏さとよく合いますね。

プレイヤーの記憶と情報メモとに少しばかりの差異が出るので、メモを見ることで主人公の記憶を疑似的に体験できるのも面白かったです。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

物語的な意味でもゲーム的な意味でも、全クリした時のカタルシスが気持ち良い一作でした。

読むだけなのにノベル“ゲーム”?ともにょもにょしている貴方に勧めたい一作です(とか言いつつ分類はアドベンチャーゲームな気もしますが気にしない!)。

 以下、追記ではネタバレを含みます。伏せ字なしダイレクトです。

 

 

 

 

 

ネタバレ注意 

 

この作品は特に、特にネタバレするともったいない作品なので、せめて一周はご自身の手でプレイすることを強く推奨します。

 

 

 

 

 

 

いや、その、眠って火の描写があって起きて、のサイクルから彼らのことはなんとなく察していたんです。

眠りは死ともいうし、特に自分は不連続存在どうのこうのをこじらせた時期があったのでなおさらピンときました。ついでに思い出したのは世界五分前仮説。レプリカ云々の話と結びつきやすいですよね。

 

しかしながら、それだけで終わらせないのがこの作品の凄いところ。なんとなく博士の意図が察せても、そこから脱却するにはどうすれば良いのか、という第二段階の思考が要求されます。これがたまらん面白い!

 

 

 

超展開ではありますが、シュールな展開で片付けられるのはあくまで博士の動機や実験に至る経緯などの限られたところだけ。本筋であるレプリカ問題や実験の意図などはしっかりと詰められていたので、荒唐無稽とは感じませんでした。必要なところを詰めて、余談になったり冗長になったりするところはさくっと高次元パワーで切ってくれたような印象。

なので、むしろ個人的にはかなり綿密なストーリーになっていると思います。細胞自壊の設定もとても興味深かったです。この回避方法もまた突飛で、けど上手いこと繋がってるという。凄い!こういう、要所要所が全て繋がって畳まれていく話は大好きです。

 

 

レプリカものは本物偽物の価値観談義になることが多いですが、この作品はそういったふわっとした論に走らず、きっちりと実験の意図などの土台を作ってくれていたのが好印象でした。

実際、博士の研究は人道を一切考慮しない前提だとものすごく理にかなってる面白いものだと思います。や、勿論、あってはならんし実際リアルであると想像すると恐怖どころの騒ぎじゃないんですが。

なんていうのかな、アンケート・実験・真相の理論部分ががっちり隙なく噛み合って、そのうえで感情論になりがちなレプリカ話でトゥルールートに入っていくのがものすんごくツボだったんです。

理論だけで終わっても「彼らの気持ちはどうなるの?」ってなるだろうし、真相が後回しになっても「結局あれは何だったのか」で気が急くと思うし。この辺り構成上手だなーと思いました。

 

 

 

余談ですがクトゥルーが来るとは予想してなくてびっくりでした。

クトゥルフは狂気的な側面がクローズアップされがちですが、高次元的存在を扱う時も便利なんですよね。電気銃とかあるし、知的好奇心旺盛な生命体もいるし。いやー、これまた私の趣味に合って楽しかったです。

 

 

ゲーム内の小ネタとしては、紅茶→コーヒーで怒られるのがツボw

博士はかなりメタよりの人物ですよね。スポットを訪れると博士が語ってくれる、たった一人の優れた美的感覚の持ち主に判断してもらう~みたいな部分もそうですが。あのたった一人、って婉曲的にプレイヤーのことを指してるんじゃないんでしょうか? ゲーム内だと判断者は二人だものね。

この辺り色々と考えたくなるのも魅力的でした。

 

 

攻略において詰まったのは、疑念を抱くまでのプロセス。

山にお邪魔して紅茶飲む→

スポット寄る→

怪物見る→

携帯基地局に行く

の流れで攻略しようとしていたので、なかなか主人公達を決定的に疑わせる方向には動かせませんでしたw 情報サイトをカンニングして、先に疑念を全て確認してからスポット突撃が正解と発覚。んー、個人的には惜しかったなと思うのですが、まだまだもうすこしがんばりましょうかなー。

ここを乗り越えれば色々とできることも増え、スムーズに進行してくれました。漂流中のカウントがじわじわ増えていくのがさりげなくぞっとして好きです。

 

 

 

 

とにかくすごく頭を使うゲームだったなという印象!

色々な面で良い刺激になりましたし、良質なストーリーで楽しかったです!