うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「cubic3」感想

「1d3に賭けましょう」

判定時点で既にファンブルな前置き。

 

 

 

えー、今回は、GLOBULE.INFOさんところのフリーゲームcubic3」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

一周5分以下、クリアまで1時間未満の短編ノベルゲーム。いやー、この短さがめちゃくちゃ効果的なトリックを産んでくれる良作でした。

 

周回プレイ必須で、考察しながらプレイするのが好きな方向けです。とはいえ雰囲気ゲーではなく、きちんと答え合わせもあるので読後のすっきり感を大事にする方も楽しめると思います。

 

 

というわけで、さっそく魅力的な点を。

何を書いてもネタバレになってしまいそうで怖いですが……w

 

 

 

多面系のシンプルな構成

 

前述の通り1周は短いのですが、そこに詰められたトリックはかなり緻密です。何周もするうちに真相を掴みかけて、でもそれが意外な方向に進んでいって、ようやく全貌を掴めたと思ったらEDリストが埋まっているという。そしてぴったりのタイミングで答え合わせ。最後まで翻弄されながら読めてとても面白かったです。

真相さえわかればすんなりと理解しやすくなるのも凄い! シンプルな形をここまで見事に多面系に仕上げているのはさすがの一言でした。

 

 

 

視線や視点を意識した見せ方

 

加えて挙げたいのが視覚面での演出!

冒頭で出てくる赤い光の動かし方や、視界の開け方、視点の低さなどなど、随所がかなり凝っています。初めは気づけないくらいさりげない違いなんですが、話し手がわかってくるともう、ぞくぞくきました。

立ち絵もずるいですよね。ああいう独特の絵柄も好みです。

 

 

 

えげつない純愛ストーリー

 

ほとんどのEDが暗く、残虐で、愕然とするようなものばかりです。どのキャラクターもさらっと悲惨な目に合います。しかしながら読後感はかなりすっきり。驚くほど救いの感じられる展開で、いやまさかこうくるとはと唸らされました。

鬱展開がある程度許容できて、純愛ものが好きならやって損無し!と叫びたくなる一作です。

 

 

 

可愛らしく意味深なEDリスト

 

周回して新しいEDに辿りつくごとに内容が増えていくEDリスト。これがまた面白かったです! 単体だとわからなかったエピソードが繋がっていく快感や、空いた部分がどう埋まるのかというわくわく感を心ゆくまで楽しめました。

時々追加される落書きも可愛いんですよねぇ。

初めのうちはえげつないエピソードにぎょっとされるかもですが、このEDリストの可愛さに中和されて、独特の不穏さが出ている気がします。ポンデ!

 

 

 

 

公式サイトにもあるように、プレイの仕方によっては「わけわからん」で終わってしまう危険性もあります。なので、遊び方については軽く目を通しておくことを推奨します。しっかり遊んだらかなりぞくぞくくる一作です!

 

追記にはネタバレ込みの感想など。ご興味ある方は追記よりどうぞ。

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ注意!

 

この作品特にネタバレ見ると魅力が半減してしまうので既プレイの方のみでお願いします!

 

 

 

 

 

 

考えながらプレイしても良いし、流されるだけ流されて最後にはっと納得するのも良い、色んな遊び方ができそうなノベルゲでした。

 

ノベルでもしっかりゲームしてる作品はほんと素晴らしいですね……!

 

 

タイトルの意味がとても気になる一作です。

なんとなくですが、

3人(に見える)葛城

体育倉庫・病院・崩壊世界の3つの世界

僕・君・そいつの3人

桐生君・高山君・白石君の君付け3人組

などなどの色んな3によって別々に見える側面が集まって一つの固まった箱庭世界を作りあげている――みたいなのを表しているのかなあと思ったのですが。どうなんでしょ。

 

 

いや、しかし本当、あの立ち絵にはやられました。あれで混乱して同じエピソードを数周したのも良い思い出です。上手いよなあ本当。

 

 

 

EDリストが埋まっていくとどんどんはっちゃけていくんですよねw 特にデートやメイクラブの辺りは書き手のうきうき感が伝わってくるようで面白いです。

よくよく考えなくてもものすごーーくえげつない展開だと思うのですが、あまりにトゥルーエンドが幸せに満ちている感じだったのでなんだかこっちも笑顔になってしまいましたw

 

絶望しかないような世界で一切の悲壮感を感じさせないのもまた、あの二人の愛の強さと安心があってこそなんでしょうねぇ。微笑ましいなあ。いや、微笑んでる場合じゃない環境ではあるのですが。

あのタイトル画面の清涼感も、トゥルーエンドを通ると納得できます。

 

 

 

何かと魔改造されがちなクトゥルーものをよくここまで上手く調理したなと思います。がっつり落とされたうえですくいあげられる、綺麗にまとまっている良作でした。