うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「白狼隊士記」感想

「健全な精神に恋愛は毒です!」

ひとまず後回しにしていきたい前置き。

 

 

 

えー、今回はPhysical Room C.S.K.さんところのフリーゲーム「白狼隊士記」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

ツクール製の和風アドベンチャーゲーム。全体的な雰囲気は女性向けですが、恋愛要素はほとんどなく、ストーリー自体は少年漫画さながらの熱い展開です。なので一般向けとして紹介したいところですが……作中の女装シーンやクリア後のおまけwebページのことを考えるとやっぱりBLゲーな気もするので、うーん。両方いける人向けってことになるのかなー、なんて。

 

とりあえずジャンルについてはさておき、魅力的な点など。

 

 

 

 

システムとストーリーがぴったり噛み合う演出

 

真っ先に挙げたいのがこの演出面です。

話を聞く時はノベルゲー調、妖怪退治をする時はキャラを操作してフィールドを駆けまわれるように、聞き込みをする時は場所を選択してシティアドベンチャー風に、などなど――とにかくあちこちのシステムとストーリーがぴったり噛み合ってるんですよねぇ。

確かにRPGとして見るのであれば、負けイベントが多かったりキャラクターの強化タイミングが限られていたりと、少々気になる点もあります。が、むしろそれはこちらの見方が間違っている!と断言したい! あくまでバトルも演出の一部であり、求められているのは敵に勝つことではなく主人公のストーリーを見届けることなのです。

そういった意味で、一貫して演出重視の一作だったなーと感じました。

 

 

 

読むだけでなくしっかりプレイできるADV

 

さて一方で、ただストーリーを見るだけでなく、きちんとしたゲーム要素も揃っているのがこの作品の良いところです。気を抜いて遊んでいると、序盤の聞き込み捜査で焦ることになるかもしれませんw

レベル上げのタイミングは少ないですが、その分、武器の強化が重視されています。毎章1レベルずつは最低でも上げておかないと戦闘は厳しいかもしれません。ラスボス戦ではそれこそ手に汗握る難易度の戦いを楽しめました。

また、金魚すくいなどのちょっとしたミニゲームも搭載されています。アクション苦手な自分はこれがなかなかw いつかは黒虎隊の皆さんに褒められるほどの腕前になってみたいものです。

 

 

 

四季と共に巡る熱く感動のストーリー

 

妖怪による事件の解決から始まり、不穏な黒幕の登場、そして仲間の危機と終結。全体的な流れがもうすごく、少年漫画の王道だと思うんですよね。期待する熱い展開に全力で応えてもらえて嬉しかったです。お約束の主人公覚醒展開もありますしね!

一方で、幕府内の力関係や組織図、諜報活動等々の設定部分もきちんとしていて、純然としたお話としても読みごたえがありました。終盤でさりげなく情報整理パートがあったことにも感動しましたね!プレイヤーへの配慮がありがてぇ……二周目用に整理を飛ばす選択肢があるのもまた助かりました。

さらに挙げたいのが作中で細かく表現される四季の移り変わりです。章初めの花の種類に始まり、サブキャラとのさりげない会話などに季節感が出ていて、和ゲーをしてる感がひしひしきます。四季の移り変わりに沿って物語が進み、キャラクター同士の親密度が深まっていくのも嬉しかったです。

 

 

 

お気に入りパートナーを選べるマルチエンド

 

さて、これだけしっかりしたストーリーに加えてマルチエンドと来るんですよ皆さん。しかもまさかの12種類。おったまげました。

物語の基本的な流れは同じですが、エンドだけが変わるのではなく終盤以降から選んだ相手がパートナーとして活躍してくれる他、中には追加イベントが起こるキャラもいます。

友情モノや熱い信頼、家族愛などにぐっとくる方は特にビビっとくるんじゃないかなー、なんて。

 

 

 

こちらのプレイを察するかのようなサポート

 

セーブがある程度制限されてはいますが、これがまた良いタイミングで入ってきてくれるんです。物語の区切りにびしっと合わせて、プレイ時間としても丁度、いやぁ大変助かりました。

展開上、街に行けなくなっても必ず仮の休憩施設や回復アイテム補給所ができているので、詰むこともありません。帰還不可の場合は事前に警告までしてくれる親切設計です。

次の目的地等もわかりやすく、誘導もスムーズ。プレイヤーの動線を読まれているかのようにすいすいイベントが進んだのでとてもやりやすかったです。

とにかくプレイヤーに対して親切なシステムづくりでした。

一方、立ち絵の表示や矢印の速さなど、動きがもっさりしているところもあります。ただこれが高速化してもそれはそれで雰囲気が出ないと思うので、うーん。ここばかりは一長一短ですねぇ。また、周回プレイをするとなるとどうしても不便なところは出てくるのですが……こればかりはツクールの仕様上仕方のないところもありますし、全クリにさえこだわらなければ楽しくプレイできるかと思います。

 

 

 

種類豊富なグラフィック

 

まず驚きなのがモブキャラを除く全キャラクターに立ち絵があること。しかもキャラによっては複数種類があって、最後まで見飽きることがありませんでした。勿論表情変化も完備です。なんて細かい仕事なんだ……!

また物語の区切りに出てくるアイキャッチも章ごとに違っています。これの何が嬉しいって、ロードした時にどの章をプレイしていたのかが一目でわかることなんですよね。もちろんセーブデータに章名はあるんですが、数字一つ書かれているのと、その話のメインキャラが一発でわかるのとは記憶の蘇り具合が段違いです。そういう実用的な面でもありがたい配慮でした。

 

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

これからプレイする方には、特にこだわりがなければ実時“以外”をパートナーに選んでクリアすることをオススメしたいところです。おまけシナリオの実時ルートがデフォルトで開いていたり、場面上、替えのパートナーが必要な場面だと実時が来てくれるので……。

勿論、実時のキャラにピンと来た方はそのまま彼に一直線して頂ければと思うんですけどね! いやー、実に良い上司ですゆえ。

あと、お祭りはチカちゃんと回ると終盤のストーリーがより自然に見えるかなあと思います。

と、書いても未プレイの方には何が何やらかもしれませんね……w

 

何にせよ、昔ながらの名作と噂なだけはある一作でした。

現在はリメイク計画が進行中、らしいのですが。続報に期待ですね。

 

同作者様の他フリーゲーム感想↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

さて、追記にはネタバレがっつりで、私が攻略した範囲でのキャラの感想などを書きますね。ご興味ある既プレイの方は続きよりどうぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ注意。

 

 

 

まずは小ネタ?として。

 

その一。選んだ相手が若菜の場合、

・初詣後の戦闘に麗が参戦

・最終戦前の戦闘に実時が参戦

となります。若菜は町娘だものね。もしかすると伊織さんルートもこうなるかもしれません。

 

その二。街の外にて。

山の頂上へ行く道と廃屋へ行く道の間にある道の行き止まり、木を調べるとイベントが怒ります。後々のイベントにもちょこっと影響があるので、試しに行ってみると楽しいかと。

また、山の頂上に行く道の途中、左への別れ道に洞窟があります。行けるタイミングは由紀彦の章が終わってからになるのかな……? お見逃しなく。

 

 

 

 

次、それぞれのキャラについての感想など。

 

 

【実時】

困った者に手を差し伸べるだけの度胸があって、しかも受け入れるに足る力や気遣いも持ち合わせていらっしゃる。ためらわずに人を使える辺りもなるほど隊長の風格です。どこでも頼れるお方でした! ちょこっとおとぼけなところもまた愛嬌があって良いなあと思います。

その、どうしてもヤンデレ好きなのでその、周りを固めて落とすタイプだなと目を光らせてしまいました。いやそこまでいかずとも、無自覚ながら自分が懐に入れたものは絶対に面倒をみるみたいな、天然保護者属性がついててとても良いと思います。ありがとうありがとう。

 

 

【若菜】

恋愛ルートになるかなと思いやってみたところ、フラグがバッキバキに折れていく展開で逆に面白かったですw 意地でも美景とはくっつけてたまるかというこだわりを感じました。

終盤になると、彼女自身も待っているだけでは絶対恋愛に発展しないと悟ったのか、自分から頑張って誘いにいっていたのがまたいじらしかったですね。負けるな若菜ちゃん!君の頬染め顔はすっごく可愛いぞ!

彼女が一貫して戦えない人としてのポジションだったのも美味しかったです。応援しかできないけど、だからこそ守る相手として光るというか。「やめて下さいその人だけは……!」の展開がぴったり来ました。

 

 

【霧鵺】

初めのうちはかなりクールだったので、最後までこの調子なら寂しいなあと思っていたのですが。なんと。まさかの個別シナリオにテンションが上がりまくりでした!! しかも私の大好きな従者ポジションに様変わりですよ……めちゃくちゃ嬉しかったです……!

美景のほうも意外ときっぱりはっきり言うタイプのようなので、無意識にせよしっかり主人できてて、かなり相性の良いコンビなのではと思わされましたねぇ。旅に出たその後が見たいものです。

しかし恥ずかしながら最後までわからなかったのですが彼は彼女でしょうか。覆面外したお姿込みで気になるところでした。

 

 

【紫苑】

実はこの方驚きの秘密があるのですが、私は事前にそれを知った状態で始めてしまいましたw いやー、続編の情報は軽率に見るものではないですね。やっちまった。

それでもどういう形で暴露されるのか気になったので試しにルート入ってみることに。告白シーン自体はあっさり味でしたが、立ち絵は限定ものだったのでやっぱり入ってみて良かったです。よくよく見るとあちこちで伏線も敷いてあり、にやっとさせられました。

キャラとしてはもう、イケメン! 竹を割ったような、という表現がとても似合う方です。エンドでは是非美景君にも喜んでと即答して欲しいところでした……!

 

 

【惣助】

お兄さん!してましたねぇ。良い具合に肩の力が抜けている感じのキャラで好感が持てました。欲を言えば柳牙のラストについて、もうちょっと惣助の反応が見たかったかな……。

でも、エンディングの流れは(私が見てきた中では)一番自然だったような気もします。馴染みの人が二人もいなくなるとなれば実時さんは寂しがりそうでもありますが……猫達の面倒はきっと由紀彦君が見てくれるんでしょう。と、後日談の想像ができる辺りも良いルートでした。

悪ぶっていても根は良い人な惣助と、良い人なようでわりと皮肉っぽい物言いもする美景は、片方が気落ちしたら片方が持ち上げる感じで相性良さそうだなあと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

最後に、おまけシナリオについて。

 

現段階で配布されているおまけシナリオ1の感想です。

後日談なのかと思いきや、本編の途中で起こった出来事なのかな? 美景の背景事情はかなり重たいものだと思っていたので、この話でかなりイメージが変わりました。

しかし、この段階で兄上と和解して家を帰る場所の選択肢の一つに入れてしまうと、本編八話以降のお家に対する葛藤あれこれや自分の居場所を失うどうこうの話が逆に薄っぺらくなってしまうのではとも感じます。だからこそこのシナリオは本編クリア後じゃないと見られない仕様になっているのかもしれませんが……。

とはいえ、兄上様のキャラはとても好みです!過保護兄は良いものだ。

ちなみにプレイ自体は実時と惣助で2周のみ。上記の「良き上司」「世慣れた兄貴」の印象の通り、安定の頼りがいがありました。パートナーがまだ庇護される側として描かれがちな由紀彦だとまたちょっとシナリオの味つけが変わってくるかもしれませんね。

 

 

 

 

と、ネタバレ前提の感想はこんな感じかな。

なんだかんだと周回プレイに勤しみたくなるくらい、熱中したゲームでした!