うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「PIERROT+」感想

「アピールタイムに喝采を」

それ以外はお静かにな前置き。

 

 

えー、今回はDREAM WISHさんところのフリーゲームPIERROT+」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

ストーリー重視の長編RPG、サーカスが舞台のダークファンタジー寄りな一作です。

結論書くと、むちゃくちゃ大好きです。ツボです。好みドストライクです。鬱展開好きな人や恋愛要素好きな人は是非やりましょう。

とはいえこれだけだと何のこっちゃなので、もうちょっと広げて感想をば。

 

(5/3追記 新要素を追加してバージョンアップされました!やった!!

 本記事はタロットカード搭載前のバージョンでのプレイです)

 

 

 敵も味方もドラマのあるキャラクター

何よりの魅力がまずここ。魅力たっぷりなキャラ達です。

主人公サイドにも敵サイドにもドラマがあって、もう、本当どのキャラにも愛着がわくんです。メインキャラがこれだけいるのに皆に見せ場があるのも流石でした。どのキャラも主役張れそうです。

ゆえに、最終的にはほんの少し群像劇に近くなるかも? 色んなキャラの視点や想いが交錯して、一点に収束する流れがとても気持ち良かったです。

キャラの顔グラもそれぞれ一種類ではありますが、どれも一目でそのキャラの個性が伝わってくる表情です。なにより台詞一つ一つが洗練されているおかげか、表情固定でも痺れるほどに感情が伝わってきて、感情移入しがちな自分はもうボロボロでした。片想い気味の健気なキャラが多いのもツボなんですよね……。

 

 

様々な悲劇が織りなす感動の舞台

個々のエピソードには鬱展開が多く、シルエット等を使って語られるのも相まって、ダークな童話をゲームにしたかのような印象です。このダークファンタジーな雰囲気がもうとにかく好きでして。たまりませんでした。

何よりピエロゲームの設定がツボです。それぞれのキャラクターが受ける、「最も辛いと思うこと」をされるという制裁。実にえげつない。苦しい。好きです。

一方、鬱展開だけでないのがこの作品の良いところ。手酷く理不尽に思える展開も、全貌が見えてくるとその裏にある様々な形の愛がわかって、とても切なく感じられます。

複数の結末が用意されていますが、どれも容赦なく、かつ美しい悲劇ものだなあと感じました。ほろ苦い展開が好きな方はとにかくいいからやってくれと肩を掴んで意気込みたいくらいです。

 

 

随所に潜む隠し要素

一見何でもない壁に秘密の商店があったり、特定のアイテムを集めておくと良いことがあったり…………なんてのはもはや序の口です。こんなところにまで小ネタが!?と驚かされることが多く、館内を練り歩くのがとても楽しかったです。

勿論隠し要素なので、一切回収しなくてもゲームは進められるのですが――――いやあこれは集めたくなります。隠し要素の中には、キャラの秘密や舞台設定が見られるものも複数あるので、むしろ見逃すと損と言ってもいいくらい。

また、選択肢によって内容の変わるBBSや、ちょっとしたイベントでの会話分岐など、細かい違いを工夫している場所も多数あります。にやにやしながら回収に走りました。えへへ。

ゲーム内のBBSにもたくさんヒントがある他、公式サイトのBBSや攻略サイトもあるので、これからプレイする予定で探索好きな方はちょっと色々試してみてほしいなー、なんて。

 

 

 不気味で心躍るサーカスの雰囲気作り

あと上手いなと感じたのはマップ作りです。まずデザインとして何かをモチーフにしていることが多く、歩きまわるだけでも楽しかったです。また上の項目でも触れましたが、1フロアに一つは隠し要素があると思ってもいいくらいで、探索面でもうきうきしました。

また、メッセージウィンドウや敵キャラなどもまさにサーカスらしいデザインです。宝箱を風船にする発想は脱帽ものでした。

とにかくあちこちどこまでもサーカスな雰囲気で、わくわくドキドキさせられる世界観がとっても魅力的です!

 

 

 

惜しいなーと感じたのは、

 

 

 制止イベント中でも寄ってくる雑魚敵

マップ切り替えやイベント中など、プレイヤーが強制待機させられている間も雑魚敵が寄ってくるため、せっかくのイベントの余韻が潰されることがしばしば……。敵の配置をもう少し変えるだけでぐっと良くなるだろうにと惜しく感じました。

でも逃げるとシンボルが消えてくれるのはありがたかったです。

 

隠し武器前提の強力なボス

 遭遇するシンボルエンカウントを全て屠り、攻略見ながら武器とスキルを揃えて進めた自分でもボスを何度かやり直すことになったので、初見の人はかなりきついのではないかなと。主にセイレーンとアオイにザバザバザクザクやられましたw

とはいえこの点についてはRPG慣れしてる人だと軽くこなせそうなので、あくまで人を選ぶ程度かなあとも思います。手ごたえあるボス戦が楽しいのは確かですしね!

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

バトルがちょこっと大変、でもキャラやストーリー重視の人には是非ともやってほしい、鬱展開好きなら迷わずやれ、そんな感じの一作でした!

 

 

追記ではネタバレ感想です。

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ注意!!

 

 

 

 

二周目=TRUE・BADのパスワード入力後ルートを指してます

 

【攻略・小ネタ・イベントメモ】

細かい会話分岐集めるのがめっちゃ楽しかったです。

 

・酔っ払いにミネラルウォーター渡すイベント

 カナ以外が渡すとアイテムはもらえないけど各キャラ専用の台詞が見れる

 このイベント見れるのは一回きりなので全員分見るならセーブロードで

 

・ヨシタカとお人形

 人形コンプするとヨシタカの台詞が変わる

 

・二周目、サルにバナナイベント

 カナが居ない状態でバナナを渡すとカナの台詞部分をアンが喋る

 

・二周目、過去イベント

 五つの間の五人が選ばれたアナウンスの後、五人に選ばれたいって言ってたNPC数人やベッド横で五人の解説をしてくれるおじいさん、サトルなどの台詞がちょこっと変わる

 

・二周目、アオイ操作イベント

 めちゃくちゃ色んな場所で会話が発生するので練り歩くべし。イルカのとこの謎の商人の台詞がツボ。あと電話(管理人)との会話が一番アオイを表してるんじゃないかなーと感じた。占い師さんや幽霊さんはいなくなっていて、恐怖屋と玄関には行けない。

 

・二周目、地下の一番左の扉

 盗み聞きできるタイミングはラストダンジョンに行く前。

 “彼”が“ハゲたおっさん”と会話する前と後で台詞が変わる。細かさに感動する。

 

・二周目、猛獣の間ボス戦(検証)

 謎の爆弾を使わずにコウを倒せるのか。試してみました。結論としてはおそらく無理です。コウ強いかっこいい!

 コウには何故かセイジの「メアリー」のみ例外でダメージが入る(謎の爆弾とメアリーが同じ物理全体攻撃属性なのかな?)。が、メアリーで攻撃し続けると先にグレンが倒れてしまい戦闘が終了するので、コウがグレンを回復するのを待ちつつじわじわ削る耐久バトルをしなければならない。

 全員LV20・その段階での最強装備・回復アイテム(謎の薬5つ絆創膏5つ錠剤5つ)準備の状態で挑んだけど結局耐久しきれずに負けました。どうしてもやってみたいって人はチャレンジすると面白いかもしれません。一時間は余裕で飛びます。楽しい。

 

 

 

【キャラクターについて】

これだけメインキャラがいて、全員に脚光を当てられるお話作りは本当とんでもなく凄いと思います。中でも気に入った数人をピックアップで。

 

リアラ

応援したい子。初めは弱い面に共感するところが多かったのですが、後半ではだんだん強くなっていって、ああーなんだか見届けられたなあなんて思っちゃいました。成長という意味では一番かも。

 

・セイレーン

世間一般では頑張り屋の人に頑張れと言うのはタブーみたいな風潮がありますが、少なくとも彼女にとっては「頑張る」のが生き甲斐であり、むしろそれを奪われるほうが辛いだろうなあとか考えつつ見守ってました。泳ぎ続けねば死んでしまう。鮪のようだ。……ごめん。

 

・カナ

初めはあまりのクールさにぎょっとしましたがw 一切媚びることなく、自分にできることを潔くやり遂げにいくその姿に惚れぼれします。弱い面を見せてくれているにも関わらず強い子という印象がある、味わい深いキャラです。

トラウマ等々の設定も不謹慎ながら大好きなので、萌え的な意味でもたいへんおいしゅうございました。

余談ですがラストバトルにコウを入れた時にカナがぶっ倒れた瞬間コウが本気を出してくれたのでもう最高だなって思いました。一方トドメの際はカナを除く男性陣が全員戦闘不能の状態だったのでこれまた楽しかったです。強いぞ女の子!

 

・サトル

隠された死体を発見するシーンで落ちました。だって。ねぇ。制裁のせいで致し方ないとはいえ、あんなクールな表情であんな狂気じみた情熱的なことを言われちゃそりゃあ惚れますって。美男子設定もずるい。

周回プレイするとさりげない沈黙に込められた想い等々も伝わってきて実に良いです。

 

・コウ

一推しですね!!

飄々キャラ、敬語、あの皮肉っぽい顔グラ、どれも魅力的です。カナちゃんとの恋愛要素もあいまって大好きです。ストーリー的にも優遇されてるよね、嬉しいね。良いとこ取りだね。にやにや。

優先順位がはっきりしてる性格してるなあと思います。時折それが表に出ない健気さとして表現されるのもたまりません。記憶の残り具合からして、カナ・アオイ>>獣達>>>>>>自分なのかなあとか思わされます。

顔グラ、初めは人を小馬鹿にするような皮肉っぽい顔に見えたんですが、2周目や終盤になるにつれて自嘲の笑みに見えてくるのがまた良いなと思いました。上手い表情をしてらっしゃる。

 

・アオイ

使用人とのどうこう、普段の生活、演戯をどうやっているのか等々、色々と妄想したくなるキャラクターです。2周目で彼が彼女を刺した理由も気になりますね。共にいることをあえて終わらせる形で選んだのは何でなのかなあとか。答えが明示されないからこそ、想像の余地があってとても嬉しいです。

操作キャラになった時は感動の余り手が震えました。焦って携帯記録メモを使ったのは記憶に新しいですw セーブポイントあるのにね!

 

・ユエ

憐憫混じりで可哀そうな人だなあと。初めはなかなかえげつない発想をする悪役だなあと思っていたのですが、話が進むにつれ、恵まれない子どもみたいなイメージがつくようになりました。姉が羨ましくなるのは妹だからこそなおいっそう、なのかもしれませんね。まだ双子じゃなかったなら、姉妹じゃなかったならここまでの凶行は起こらなかっただろうと思う反面、TRUEエンドでは二人が姉妹だからこそああいう形で終われたのかもなあとも思います。

 

 

 

 

 

あれ、抑えたはずなのにたくさん書いちゃってるな。それだけお気に入りなキャラが多かったということで。

 

EDでは一緒に拍手しながら、終わってしまった寂しさと感動を噛み締めました。あの終わり方本当に好き。イラストもBGMもぴったりで魅力的なんですよねぇ。

 

こうやって書いてたら馬鹿みたいに長文になってしまったのも、あのお話の余韻にずっと浸ってたいなあと感じるがゆえなのかもしれません。

好きなフリーゲーム五本指に入る名作でした。