「見せられた隙はわかっていても狙いたくなる」
そして誰もがやられるに決まっている前置き。
えー、今回はHACKMOCKさんところのフリーゲーム「恋するペコラはまちがえない」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
ギャグあり甘さもたっぷりで、まさに全力ラブコメな乙女ゲー。シスターと神父と魔法使いと悪魔がハロウィンでほのぼのすったもんだしてくれます。
起動画面のBGM
良点は多々ありますが、プレイヤーが初めて会うのは起動画面ということでここから。テーマソングとして使われているらしいこのBGMが、まさにヒロイン像を表している気がします。元気いっぱい行進曲って感じがとっても素敵!
じゃらんと鎖が落ちる演出や、ぽうっと灯りがともるギミックもかわいくって、初周からにこにこしてしまいました。
驚きのフルボイス
そうですまさかのフルボイスです! やっぱり声がつくと感じ方も変わりますよねぇ。
とにかく、ユアンの声優さんがすごく上手で好みでした……! クールキャラっぽく見えるのに感情がしっかり込められていて、堪え切れない想いが滲み出るような震え声や、驚いた場面での声の裏返りっぷりがたまらないんです。同じ「別に?」でも場面によってすごく違いがあって、表現力に惚れ惚れです。ボイスのおかげで魅力倍増の良い例を見せていただけました。
主人公のエリーの声優さんは、「別作でも聞いたことのある人のような……?」と思い調べてみたところそれもそのはず、あちこちでご活躍されている方でした。声優というより演劇っぽい声の張り方をしている気がします。
そのぶん、凹んでいたり戸惑っていたりのマイナス感情の演技にはしっくりこないところがありました。しかしながら滑舌はばっちりでとっても聞きやすく、含み笑いしてる時は本当幸せそうで可愛らしかったです。エリーがドヤ顔してる時の演技はどれも最高に輝いてました。
特筆しておきたいのはこの二人でしたが、リュリュは少年らしいハスキーな声質がキャラにぴったりで、アルベルさんは落ち着きのある低音ボイスが耳に心地よかったです。また、モブキャラの一言にまできっちりボイスが付いてかつ演技力に溢れていたのも驚きでした。細部まで気を抜かないこの完成度……!
乙女度の高い美麗スチル
そしてもちろん、グラフィックの面でもクオリティは高いです。
某居眠りスチルが美しすぎて、もう、あの、思わず正座してメッセージウィンドウ消してガン見しました。素敵でした。
構図っていうのかな、攻略キャラが迫ってくるような体勢だったり、手がさりげなくたまらないポジションをとっていたりで、シチュに合わせたスチルがもうたまりません。ヒロインがきちんとスチルに映ってくれるのも嬉しいです。
立ち絵の表情変化もこれ以上ないってほど豊かで、絶妙な顔つきに心奪われることもしばしば。細やかな目つきの違いがね!大事ですよね!どきどきします!
かと思えばヒロインが遠慮なくドッヒャーと言いだしそうな顔をしてくれる辺りも、自然体な可愛さがありました。
笑顔たっぷりパワフルで甘酸っぱいストーリー
さらに忘れちゃいけないのが本筋のストーリー、こちらもまた面白かったです!
エリー節と言えば良いのか、序盤から終盤にかけて一貫してギャグを忘れず明るい調子でお話は進みます。「なぜそこにそれが!?」と思わず突っ込みたくなるものが突然飛び出てきて吹き出すこともしばしば。とにかく元気をもらえました。
一方で、乙女ゲーらしく糖度も十分。キメるところはかっこよく、笑えるところは勢いよく、どのルートも最後までテンポの良いお話でした。
余談ですが私、ハロウィンゲーということと間違えないという響きのせいか、何故かプレイ前は“攻略対象への愛を試される間違い探しゲーム(ミスると病む)”みたいな先入観を抱いておりまして。本当なんでだろう。実際は怪しい展開がありつつもハッピーエンドで、にこにこニヤニヤできる、もう可愛い!な一作でした。
忘れられないのはユアンルートおまけの「なんで腹立つ相手と扱いが~」なあのくだり。必見です。
とまあ、こんな感じで。
全方面にクオリティが高く、おまけ頁のボリュームや遊び心にも大満足です。
- 甘過ぎるのは照れちゃうけど、きちんとときめきは欲しいという方。
- とにかく元気いっぱいなヒロインが好きという方。
- ちょっと回り道しちゃう男性のほうが愛嬌あって好きという方。
- ラブコメをくれという方。
等々に強く強く強くオススメの一作でした!
追記からはネタバレ込みの感想など。
案の定というか敬語キャラのユアン君にガチ惚れしてしまう勢いで悶えたので彼のところだけ文章量がすごいです!よろしくお願いします!
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以下、ネタバレ注意。
キャラクターについて
【エリー】
パワフルに斜め向こうへ走っていく子なイメージです。
ツインテシスターという、キャラ属性からして好みなヒロインでした。瞳が太陽に透かした飴玉みたいな綺麗な色してるのも素敵。
照れ屋なところがあるというか、ちょっとそういうラブっぽい雰囲気になるとつい壊しに行っちゃうこの幼い感じがまた可愛くていいですよね。
「キャー!」とかじゃなくて「うわっ!」っていう叫び声が多いのもなんだかそれらしくて微笑ましいなあと思います。
【アルベルさん】
彼の過去エピソードがどれも重たく圧し掛かってきますが、鬱展開好きとしてはそちらにも妄想を刺激されまして。といっても決して暗く落ち込んでしまうわけではなく、むしろエリーの底抜けの明るさやパワフルさがここぞとばかりに発揮されていた気がします。♪あなたに会えて本当に良かった~
ほっとけばいいのに放っておけない、芯から“良い人”なんだろうなあと思うとついにこにこしてしまいます。エリーとはお人好し同士、日の元歩いて欲しいところです。
【リュリュ】
魅惑の少年ボイスでしたね!
エリーがどちらかというと人を振り回しがちなイメージなので、リュリュに翻弄されるエリーの姿は新鮮でした。最後に攻略したのでなおさらです。そんなリュリュ相手だからこそ大逆転してしまうエリーの前向きさが映えるのかもしれません。
見た目はもちろんかわいい感じなんですが、魂の約束や、シスターと悪魔という対照的な設定など、どことなく闇を感じさせる危なさがかっこよくもあり。呪いのオチがなんだかんだで平和なのも、あの街や作品の世界観らしくって良かったです。
【ユアン】
もう彼がツボすぎました!!! どのスチルも大好きなんです!!!!!
見た目からして好みだなーと思っていたら喋り出して辛辣な敬語、そして落ち着きの中に強い感情が見え隠れするボイス、惚れました!
なんというか、塩対応とデレ態度の具合が絶妙なんですよね……ツンデレ萌え属性はなかったはずなんですが夢に出てくるくらいにはどっぷりハマりました。常に眉の寄ってる君が好き!
嫉妬深いところや、デレるとかわいく見えるところもまた実に美味しいです……。初対面だとクールな大人キャラっぽいわりに、よくよく知ると子どもっぽくて、このギャップがまた良いんですよね!!はぁ!かっこいいなあ!!
逆キレに近い開き直りで「しましょう、」と言ってのけるあのシーンが大好きで大好きで大好きです。セーブデータ取ってます。定期的に起動して呻いては元気をもらっています。はぁ悶える。
あと、ユアンルートだとエリーのぽややんドジっこなところが強調されててすごく可愛く見えるんですよねぇ。そりゃ手を出すに出せないでしょう、うーん萌えます。キスの話が出た際にユアンが一度退場してしまった時は、思わず笑ってしまいました。びっくりマークだらけの頭を冷やしにいったんだろうなあとは思うんですが、ここにエリーが気付かないのもまたにやにやポイントですよね。
そもそもエリーの恋の気付きをああいう形で見せてくれるのがもう、もう、展開が神ですよね!? 最高にラブコメしてて極上に萌えると思います。
そしてここまで書いていて思ったんですが、もうトゥルーエンドのルートをプレイしながら「ほらここ萌えるー!」って叫び続けるほうが早い気がしてきました。でも語りました。萌えました。彼はちょこっと気を遣ってあげないといけない感じがしてすごく愛しさ掻き立てられるキャラだと思います。
おまけ画面も宝箱でした。完璧超人というわけじゃなくて、わりかし抜けてるのがまた良い……。
寝起きが悪い設定と、コンプ時に見れるおまけエピソードだけでもう妄想が広がりますよね。くっついてからもユアンの苦労は絶えないだろうしエリーの「わああ!?」は響き渡るんでしょうね。結婚してくれ。してた。おめでとうございました。
タイトルについて
何故か1周目の途中までエリーの名前をペコラだと思っていました。あれだけ呼んでくれてたうえに名前表示まであったのに本当になんで!? 思い込みって怖いですね……。
作者様のブログ等拝見していると、どうもこの“ペコラ”は迷える子羊さんという意味だそうです。このタイトルの言葉の響きというか、語呂がよくて、ついつい呟きたくなっちゃいます。
ふう、語った。
乙女成分を補充しまくったおかげでひと月ほど夢見心地でいられるくらいにツボな一作でした。