うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

フリーゲーム「贄の赤ずきん(R15版)」感想

「モテる女の子の条件は従順で家事上手なお花の似合うふくよかさん」

そして男より馬鹿であることな前置き。

 

 

えー、今回はA子さんところのフリーゲーム贄の赤ずきん(R15版)」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

エンド分岐そこそこ、カニバ要素とエロ要素在りの乙女ゲー。

元々はR-18シェアウェア、でいいのかな。有料の同人ゲーとして販売されていたこちらの作品ですが、エンドを一部楽しめる体験版もといR-15版がフリゲとして公開されましたので手をつけてみました。

 

というわけで良かった点など。

 

 

揺れるお胸とメルヘンブラッドな画面

 

やはり真っ先に言うべきはグラフィック面のクオリティの高さでしょう。

まさに食べちゃいたくなるぽわわん可愛いヒロインに惹かれ、起動して、直後の血飛沫にぎょっと身を引いたのも良い思い出です。鬱の予感を隠さないこの姿勢、実に良き。

スプラッターなのかと言えばそういうわけでもなく、あくまでダークメルヘンにとどまっていたのも乙女ゲらしいところ。また、コミカルなシーンではデフォルメ調の一枚絵に代わるなど、シナリオの雰囲気を大事にされているグラフィックが多かったなあと思います。

スチルや立ち絵がうまく動き、キャラが要所でよく動いたり迫られる臨場感を味わえたりしたのも良かったです。

 

そして、目が行くのは揺れです。そうです、ヒロインの胸がたゆんたゆん揺れます。流石元はR-18シェアウェアなだけはありますよね。なお、思わず大胸筋サポーターを差し出したくなる私のようなプレイヤーのために、揺れをオフにする機能もついています。この辺り有難い配慮でした。

 

 

同じセリフの異なる気持ち

 

選択肢分岐によるシナリオ調整自体はよくある形だったんですが、同じ共通ルートでも、誰を攻略中かによってセリフの意味が変わって見える点が興味深かったです。

オルフの「ウィルから離れろ」という言葉が顕著ですよね。ルートによってオルフの考えが違っているだろうことがわかるからこそ、深みの増すセリフでした。

また、選択肢によって同じシーンに一文追加される、なんてことも多くて。キャラクターの心情や価値観がどう変わっていくのかを丁寧に見せてくれるシナリオ構成でした。

 

 

人と狼、男と女、馬鹿と賢い

 

先の項目に加えて、こちらも。

どのエンドを通っても、各々の持つものを対比する展開が多かったように思います。

初めは狼に怯えていたり、馬鹿だからと言われることを聞き流したり、あるいは伝えることを諦めていたりしたキャラクター達が次第に歩み寄っていく流れは見ていてとても好ましかったです。無理に同じでなくていい、違う価値観で共存する在り方が丁寧に描かれていました。

特にウィルルート、彼は狼か人かという問いに対するリリアの回答が本当に素敵なんですよね! オルフが指摘していた通り不毛ともいえる答えを、先が楽しみでわくわくするようなものとして描けるのは、まさにあのヒロイン像とシナリオの丁寧な積み重ねがあってこそだと思います。

 

 

頭が残念過ぎる大馬鹿ヒロイン

 

そして特筆すべき最大の点はここでしょう。ヒロイン像です。

例えば恋に対して鈍感だったり、皆に対して優しかったり、ちょっとうっかりさんだったりするのは乙女ゲヒロインあるあるの属性です。が、この作品のリリアは違います。

優しいだけじゃない、鈍感なだけじゃない、真の意味で“馬鹿”なんです!

アンチじゃない、アンチじゃないです。念のため。

 

とにかく彼女は察しが悪い、そして同じ話を何度も繰り返さなければいけません。特にここはデニスルートで顕著、彼女自身が自分に抑制をかけているのも理由の一つではありますが、それにしても見ていて「よく今まで生きてこれたな!?」と思えるくらいに頭が弱いです。

そしてその頭の悪さに自覚的なので、自己評価も基本的に低いです。でも、馬鹿なので落ち込んでもすぐ忘れるか誤魔化されます。しかも鈍感なのでけっこう図々しいシーンもあります。

 

だから、率直に言ってめちゃくちゃ理解不能なヒロインでした。流されやすいせいか、言動がちぐはぐなんですよね。頭弱くてお胸がぽいんぽいんって要素だけ見ると男性向けヒロインのテンプレなはずなんですが、おかしいな……。

滅私奉公タイプかと思いきや自分の命も優先したがるし、そのわりに無警戒に狼さんと共同生活するし、お母さんっぽいこと言い出すけど母性キャラって動きでもないし、いやあ本当にわけがわかりません。最後まで読めないキャラで新鮮でした。

特にバッドエンドや魔女ルートでの彼女は、ずっとリリア視点で進んでいたのにも関わらず理解不能でした。「いつのまにそんなこと考えてたの!?」みたいな。

 

このヒロインの独特感は絶対余所だと味わえません。かなり個性的で新鮮、ある意味人を選びそうだからこそ推したい一点でした。

 

 

 

 

一方で、合わない点について。

 

 

 

合わなかった点

 

合わなかった点はまとめてしまうと、テキストの文体。ここに尽きます。

後は理由等をだらだら書きなぐっているだけなのでお見苦しいようだったらポンと読み飛ばして頂ければ幸い。

 

 

・突然馬鹿じゃなくなる違和感

 

リリアが急に豊富な語彙で饒舌になる時があって、ここだけは受け入れがたかったです。例のルートは除外するとしても。

例えばオルフにスプーンの説明をしてる時とか、尻尾の手触りを確かめてる時とか。頭の回転が鈍いという意味なら明瞭な説明は合いませんし、知識が足りないという意味で頭が悪いのなら知的な言い回しは避けた方が無難。それこそスプーンの説明の時は「ザバっとやってひょいって……」「全然わからん」みたいな流れだったら馬鹿っぽさが出たと思うのですが。

 

リリアはウィルの説明やオルフの言葉も理解できないというある意味ちゃんとした馬鹿なので、せっかくやるなら隅々まで貫いて欲しかったと強く思います。村の皆がそうであったように、ただでさえイライラされがちなキャラ属性なわけですから、貫かなければ物語の根幹が崩れてしまいますし。

某重要な設定があるならなおさら、この中途半端な“ただの馬鹿じゃない”アピールはもったいないと感じました。

 

余談ですが、ここまでフォローや言い訳なしに“頭が残念なキャラ”をやり遂げているヒロインはそうそう見れません。プレイヤーのストレスを圧してでも馬鹿に躍らせた、その発想や良し。独特ですし是非もっと生かしてほしかった、発想自体は素敵でした。

 

 

・地の文に意志が透けすぎている

 

一人称の内容を三人称でやっている感じ……ええと、言い換えれば意図が透けすぎているのが少し目に障りました。

もしかすると、リリアが頭悪い設定なので、文章もあえて説明的にして、リリアに言い聞かせるよう狙っていたのかなーとも思いつつ。それにしてもやっぱり私には根本から文体が合わなかったのかな、と思います。

 

不要な横やりと世界観ブレイカーな一言も気になりましたねぇ。

シリアスなシーンで突然覆水盆に返らずの説明いるかな、とか。わざわざ念を押さずとも継母は根っからの大悪党なんてことわかりきってるだろうにな、とか。あとはどこのシーンもそうですが同じことの言い換え繰り返しが多すぎて冗長だなーとか。いやここは私にもブーメランで常に返ってくるので大口叩けないんですけども。

 

「作者はこういう意図でここの描写をした」「このキャラはこの時こう考えていた」という説明があまりに多くて、抒情的な文体の設定資料を読まされている感じでした。やっぱり少しは想像の余地を残して、物語に“感じる”要素を与えて欲しかったです。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

私個人としては文体が合いませんでしたが、グラフィックのクオリティの高さ、シナリオの構成の丁寧さ、ダークメルヘンな方向に堕ちかける攻略対象など、萌える点も多くありました。だからこそ一通りプレイしようと思ったわけですしね!

 

物理的にも乙女的にも食べられちゃう展開にピンとくる方へ。

 

追記ではネタバレ込みの感想など。

 

 

ネタバレあり

 

各エンド・ルート

 

 

「優しい魔女」エンド

だって、だって栄養バランスをしっかりと……健康的に……!

どうやら自分はリリアよりも頭が弱かったようです。あのエンドのボテ腹っぽいスチルが本当、スチル自体は和やかに描かれているからいっそうグロテスクに思えて大変秀逸でした。良き。

 

 

ウィルルート

ウィルの、けっこう初期から肉欲隠さずワンチャン狙ってくる感じがすごい好きだったんですが、ルートに入ると彼の葛藤をひしひしと感じて胸が熱くなりました。

何より一番はあの、後ろから見つめてくるのは本能だっていうあの伏線ですよ!

何一つ深く考えずほのぼのと見ていたので、以降あの描写が出ると身を固くしてしまいましたね……。立ち絵での演出が上手いんだまた。

 

痛みが快感になるあのエンドが個人的にはお気に入りです。えげつないメリバ。

 

 

大団円エンド

元々デニスが一番気になっていたので後のお楽しみに取っていたんですが、赤面涙目立ち絵にやられました。こういう時だけ甘えてくる弟、あざとい……! 好き……!

プライドを放り捨てて全力でリリアを取りにくるその姿勢、大変好きです。

 

 

オルフルート

他ルートだと塩対応気味で、理知的な仲間という印象だったので、ルート入ってからのオルフのデレがすごく新鮮でした。小柄で劣等感を持つウィルが策略家になるんだとばかり思っていたんですが、むしろ実際のところは逆でしたねぇ。

ウィルは本能にグラグラ動かされて、頭を使うよりもうリリアのことでいっぱいっぱい。オルフはほどよく発散してるから、頭を回す余裕があって、自分ばかり警戒されている不利な状況を利用してウィルを遠ざけちゃう。

この印象変化もシナリオ構成の上手いところでした。

 

 

デニスルート

びっくりするほど何一つ伝わらない!

笑い事じゃないですがお腹抱えて笑ってしまいました。ごめんな!

なんというか、甘えて欲しいキャラでしたし、なりふり構わず頑張って欲しいキャラでした。応援するぞ。

自信家俺様キャラに弟という属性をつけたのがまず素晴らしいですよね。狼ズと違って身内なのでリリアがちょっと強気なのも目新しかったです。

 

 

 

 

感想としてはこれで一通り。

ダークメルヘンに求めるものはしっかりと味わえましたし、魔法の設定や世界観作りも好ましかったです。