うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「くるくる斜視子はステキな魔法」他12作品感想

「魔法って何でもできちゃうキラキラな何かなのよ」

いつまでだって信じていたい前置き。

 

 

えー、今回は六角レンチ(ざるそば)さんところのフリーゲームの感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

多数プレイしたので、この記事では魔法具現化メインのものを中心に取り上げます。

すべてVIPRPG、見るゲことノベルゲ、長さはまちまち。相互に関係ありそうな作品はなるべく前後にまとめて言及していますが、気づいていないものもあるかも。

 

というわけで一覧はこちら。

 

 

『舞台裏走馬灯夜』

 

[概要]

ノックアウトとメモリストリーム。仄暗い雰囲気の会話劇。

 

[感想]

タイトルから舞台裏とあるように、どこかのもしもが終わりを告げた後の世界のようです。

後述の「さよならは一撃で」に関係あるのかも?

メモストさん初めて見たので、急な冒頭に驚かされましたが、構造が見えてからはじんと沁みる話でした。のっきゅんの台詞一つ一つが重々しいというか、こちらを必死に繋ぎとめてくるように見えて……。

こういう、“何かを”と求める話は良いですね。

 

[一言]

終わってしまった世界にピンとくる方、のっきゅんをシリアスに推したい方向け。

 

 

 

『さよならは一撃で』

 

[概要]

黒背景と色文字の終末世界。餡軍中心、あとダークサモン×ノックアウト。他作品より長め。

 

[感想]

「>はなつ」というコマンドをプレイヤーに入力させることで、物語に入り込ませる演出が上手いなあと思いました。メッセージ枠の表示の仕方すらも「>はなつ」を彷彿させる徹底っぷり。

顔グラすらないストイックな画面ですが、このように要所要所の表現やセーブアイコンの変わり方など、シンプルながら演出が光ります。

何よりあの「>つよくはなつ」があまりに、あまりに、鬱で、震えました……。

おにいさんの言うことや綺麗な白い人など、何か設定がわかるとより楽しめたであろう部分もあったんですが、まだまだもしもシリーズに疎い時期にプレイしたのもあって初周ではわからず。ただ、それでも何か残そうという切実なセリフ回しが印象的でした。

ダークサモンとの終わりしか見えない閉鎖生活、または後ろ向きな幸福。実に良い……。

のっきゅんのひたすらに愚直な一途さと、ダークサモンの賢いようで足踏みしかできていない不器用さが大好きでした。

余談ですが「×は」表記を、のっきゅんの存在が皆から消えていく伏線みたいなあれかなーと思ってたんですけど、一人称隠しだったんですね。ハハハ。すまん。僕派です。

 

[一言]

終わった世界や鬱展開が好きな方向け。

 

 

 

『忌み子呪い子魔法の子』

 

[概要]

ブラインドとうっすらサイレンス。色んな意味で暗いけど救いはある。

 

[感想]

ブラインドの目に関するはい設ってけっこう多岐に渡ると思うのですが、この設定が一番好みかもしれません。「素直ではなく従順」という評し方もとても好き。

魔法具現化に対する特殊設定や、世界背景が覗き見れますが、奥深くまでは語られず、あくまでほんのりとした光明だけ見せて終わります。もうちょっと深みを知りたい気持ちもありつつ、この懺悔室みたいな雰囲気が素敵だったので満足感もありつつ。

暗闇魔法に合わせた演出も話の雰囲気と併せて良いところでした。

 

[一言]

鬱設定や仄暗い話が好きなら。

 

 

 

『くるくる斜視子はステキな魔法』

 

[概要]

斜視子(ピンク髪コンフューズ)中心、状態異常魔法具現化。ほのぼの→シリアス。

以下の感想はちょっとネタバレ強めなので未プレイの方は注意。

 

 

[ストーリー・世界設定]

 

上記『忌み子呪い子~』で見れた世界設定が出てくる、というか、こっちが本編であちらがスピンオフの扱いとのこと。先に忌み子~をプレイしてしまったので中盤以降の衝撃度は少し薄れてしまったかもしれないけれど、雰囲気のギャップだけでなくキャラ同士の関係性など見どころは多かったので、結果としては大満足。

 

斜視子は底抜けに明るい子として描写されていますが、何も考えていない明るさではなく、裏を飲み込んだうえでの明るさなのが本当に痺れるなあと思いました。痺れる。コンフューズだけど。

そんな斜視子の言う「恋した」は公式アンサーだと「彼に」という意味だとわかってはいるんですが、ついつい拡大解釈して「あの世界に」だと捉えたくなります。そう思えちゃうくらい、あの銀河でのセリフが輝いていて!

そりゃもちろん、掛け値なしにあの世界が素晴らしいなんてこと彼女は思ってないでしょうけど、嫌いなところや嫌なところを斜視して小さな幸せに焦点を合わせるのが彼女の生き方かなあと思っているので、そういう意味だとやっぱり世界に恋したって思いたいなー、なんて。

 

あとは、魔法具現化設定の解釈ってかなり作り手によって幅広いんだなあとも思いましたねぇ。定義解釈の面でも興味深かったです。戦闘においても彼らの限界を迎えていく日常についても、各々の状態異常がカチリとハマる描写が多くて唸らされました。

よくよく考えると本当、異常魔法っていわゆる属性魔法と比べてなかなかにえげつないですよね……そこが好きだけど……。

 

シスターと少女の話はスケールの大きさに驚かされましたが、あれがあるからこそ途中は鬱でも読後感はさっぱり明るいんだろうなーとも思います。

 

この作者様のセリフ回しが好きすぎるとこれまで煩いほど書いてきてますが、この作品は「喪に服せ」「くるぐる娘」等々のオマージュありきの呪文めいたワードも多かったように思います。それがまた独特のリズム感を生んでるのかも。

 

 

[グラフィック・キャラ]

 

まずスチルが多め、そして何よりタイトル画面の斜視子がかわいい!

個人的には前バージョンのタイトル画像のほうが斜視感出てて好みですが、現状のがかわいいのも確かなので、両方味が合っていいという結論になりました。勝手に。

セーブ画面のアイコンの使い方も斬新ですよね! ですよね? 少なくともこの作品で初めて出会って、一目見た時のおしゃれさに惚れました。

 

あとは、ブラインド贔屓なので一枚絵多くて嬉しかったり。ともだち達の後日談を、あえて語らずに見て想像させるところも良いですよねぇ。ブラインドは忌み子~だとして、他キャラの話もどこかにあるのか、私気になります。

サイレンスの本名の元ネタとか何かあるのかしらん。

 

けっこうCP要素も強めだったので、カプ萌えしがちな自分にはおいしかったです。アンガーとスリープの関係性がとても好き……。直情型と自己犠牲型って萌えます。

覚醒スリープいいよね。

ポイズンはさらっとした一言がとても自然に伏線となっていて驚かされました。

 

最後に、コンフューズの「女の子が泣いていいのは~」のセリフがたまらなく大好きです。この作品のすべてだと思います。次点は「自分の選択は~」のあれ。何より一番は斜視子の「ありがとうって!」のあれ。

 

 

[一言]

明るく鬱な裏表反転系の話、状態異常魔法具現化が好きなら是非とも。

 

 

 

『データベースの悪霊』

 

[概要]

『くるくる斜視子~』から時が経ち、蘇った魔法具現化兵器、キャンセル&メモスト! という感じ。テンポよく明るくそれでも鬱。

 

[感想]

ここのキャンセルみたいな、不幸な私より下の奴を作ってやるという原動力のラスボスタイプ大好きです。よくありそうな反論を先んじて、やはりこれまたテンポよい美文で封じてくれていたのもすごく読みやすかったですね。

キャンセルがどこまでキャンセルしてしまうか、という能力の解釈が一番楽しかったかも。ダメージを受けたという事象のキャンセル、実に燃えます。ここまで便利能力だともはやチート。しかしそれを軽く上回る勇者アレックスおよび愉快な仲間たちの活躍ぶりもかっこよかったです。

おまけが奇譚◆~の系譜らしいのがとても気になる! うおおおお。

 

[一言]

QRコードは実際に読み込めます。こういうの本当大好き。

 

 

 

『ぴんくへあ~まつり』

 

[概要]

ピンク髪の子達中心。すぴぶーちゃんは!?と思ったけど当時はいなかったのかも。

 

[感想]

だいたいがゆるっとギャグです。短編集っぽいノリ。

カットインがずるいんですよね、悔しいけど笑いました。あの文字の出し方ずるすぎるやろ。

一番のメインは斜視子生誕の経緯話だった気がします。くるくる斜視子のために大いなる苦労と努力とエターナルの危機が起こっていたんだなあ……。

 

[一言]

ちょこっと病んでる斜視子をギャグちっくに応援したいあなたに。

 

 

 

『女の子らしさってなんだろう』

 

[概要]

スピブレちゃんとキャラかぶりしちゃってるかもどうしよう、な斜視子ちゃん。

 

[感想]

いやあ斜視子ちゃんはめちゃくちゃ可愛いですよね!!!!?!?

冒頭のあいさつ最高でした。かわいいかよ。知ってる。

ライチインタビューからの疾走感が最高でした。笑いました。最高でした。よそいきじゃない君が好きだよ。ほんのりくるくる斜視子の設定も見え隠れするので、あの作品を読了後に気持ちを切り替える感じでプレイするとより楽しいかも。

なんだかんだで超光属性なスピブレちゃんのほうも好きなので、いいとこどりな感じでした。

少女性ってなんていうか、脆さと自分勝手さと可愛いを混ぜてねるねるねるねした感じの概念かなって思ってます。

 

[一言]

闇をチラ見せしちゃうキュートガールに惚れたい人向け。

 

 

 

『年明け前に駆け抜ける乙女というネタ』

 

[概要]

やみいちとライチと斜視子。

 

 

[感想]

新年あけましておめでとうございます!

なノリでお送りする超疾走カルトギャグ。腹パンはないけどきっとハラパニスト向け。あの勢いでやらかした後の温かなメッセージ、やりおる。さりげなくBGMがかっこいいのも良いですよね、ずるいわぁ。

 

[一言]

せっかくなので是非とも年越し前くらいにちらっと。

 

 

 

『マリンスノーに似た粒子』

 

[概要]

フレイムⅢとブライアン。ぽえみてぃっく会話劇。

 

[感想]

魔法具現化の死とは? という話。

私はこの命題に対して、消失する、または元となる属性の何かがあれば無限に生まれる(集合意識から個々の取りたい記憶を選んで生まれる)かなーとぼんやり思っていたので、解釈として水の合う話でした。水の。フレイムだけど。

フレイムⅢの感傷的な語りを、ブライアンがいつもの調子で雰囲気ブレイカーしていくので、ポエムにのめり込むにはちょっと距離感があります。が、恥ずかしくて居たたまれない雰囲気になるよりは、ポエムにマジレスしてくれるキャラがいるほうがVIPらしいし、ある意味ほどよく沁みるのかも。

タイトル画面がロゴ含めシンプルにおしゃれで好きです。

 

[一言]

魔法具現化の設定解釈が好きな方、しんみりしたい方向け。

 

 

 

『ダー惚の夢』

 

[概要]

オレも魔法具現化が欲しい!なダー惚中心、ダモンとのっきゅんと水煮さんちょこっと。

 

[感想]

水煮さんにも影が薄かった時代があったんですねぇ。ほうほう(梟)。

全体的にノリはギャグ、ちょこちょこダモンがツンデレます。あとメンバーがのっきゅんとダー惚だとツッコミがいない。

こちらのほうを後でプレイしたんですが『こどくの道に』の明るい前日譚というか前設定だと思えば良いのかもしれません。元々ブラインドが好きな自分としては正当にブラインドがダー惚の使役具現化キャラになるのもアリだなー、なんて。でもなんかキャロルともダーエロとも誰ともつかない位置で蠢いているのが状態異常具現化の味な気もします。

ともあれ、前触れなく勢いよく登場する500Gの男がめちゃくちゃ好きでした。

 

[一言]

ダー惚メインの明るい話でめでてぇしたい人向け。 

 

 

 

『こどくの道に』

 

[概要]

ダー惚がやみっちを攫ってきた。設定暗め、会話明るめ、裏表展開。

 

 

[感想]

やみっちが絶望顔したり強がりながら怯えたりするよやったね!

でも泣いてるやみっちなんていなかったんだ!よかったね!

ダー惚も笑ってるよ!あはは! 

な感じ。

 

というのはわりと表面の話で、実際はダー惚の道化っぷりの裏にあるささくれを逆撫でていくような話。魔法具現化に関する設定が闇深くてよき。隷属させるにはまず身体から!

普段好き勝手してるダー惚がちょっとお兄さんっぽいポジションにいるのも萌える。置き土産の杖のお礼の言葉が場違いにほのぼのしていて、何とも言えない気持ちになりました。このギャップがたまらんね。

「完璧な一人だけ、」「ほんとうに愛していたとも言えずに、」等々のセリフについては同作者の『独白◆~』を読んでおくとピンとくるかも。なんかこの、誰も駄目だと言わないのに自分の中の定義だけがそれを拒むみたいな、自己葛藤のセリフが多く詰まっていて好きだなあと思います。

 

[一言]

ほどよい長さで鬱もあり、明るい中に隠し切れない闇を感じる作品。一番好きかも。

 

 

 

『ハカモリサン妄想癖』

 

[概要]

アイスⅢ、ショタコンフューズ、恍惚なる闇、サモン、そのほか子どもたち。電波祭り。病んでる。

 

 

[感想]

 

まずBGM含め起動画面の雰囲気がめちゃくちゃ好きです。

ここで早くも惚れていた可能性はあります。

 

曇天と雪と墓場の陰鬱な雰囲気から始まり、色々とままならない感情が爆発して、また陰鬱に戻る構成。モノクロ画面+赤のグラフィックも良い演出です。

エピローグで他人事のように話す子どもたちがそれこそ狂気の証でぞくぞくします。

俺達は狂ってるんだぜ!ってアピールしてくるんじゃなくて、降り積もる狂いが襲い掛かってくる辺りも純度高いなあ―、なんて。歪みの純度ってなんだよ。

 

恍惚やサモンがこういう役回りになっている作品も初めてだったので、そういう意味でも新鮮でした。ある意味これって乙女ゲーだよなと血迷ったことを言い走るくらいには震えながら萌えました。

想像する余地が残されているのも良いですよね。料理の原材料は土の下なんだろうなあとか、あの唐突過ぎるプロポーズは本心からじゃなくて逃げるための口実が8割くらいあったんだろうなあとか、レストランの名前からもう呪いは始まってるんだろうなあとか。

アイスさんが最後には喜んでくれるっていうアレがR付きに思えてなりません。えぐい、好き。

 

「死ぬんだ!」「死ぬね!」の流れで例の曲が思い浮かんだんですが、同梱テキスト見たら案の定でニヤリでした。元ネタに負けない勢いと狂気があって素敵です。

 

 

[一言]

おねショタ、墓場、ヤンデレ、妄想癖などなどにピンとくる病みもの好きはぜひぜひ。

 

 

 

 まとめると、

  • 色々含めて一番好き → 「こどくの道に」
  • 萌え部門一等賞 → 「ハカモリサン妄想癖」
  • ギャグと疾走感が最高 → 「女の子らしさってなんだろう」
  • 推し → 「忌み子呪い子魔法の子」

でした!

 

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