うそうさ〜第二号室〜

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フリーゲーム「cocoa」感想

「案外なんとかなるもんだ、一休みする時があったって」

走ることも休むことも誠実が一番な前置き。

 

えー、今回はGreen Pochetteさんところのフリーゲームcocoa」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

ツクール製で一本道、ノベル寄りの作品です。いわゆる見るゲ?

前作『Espresso』と一部のキャラや世界設定が繋がっているので、プレイしておくと嬉しいところもあるかも。作中に説明はあるので、単品でも楽しめるはずです。

前作が壮大なスケールだったのに対して、今作はコンパクトにほのぼのとまとまっている印象でした。

 

 

というわけで良かった点など。

 

 

ほんわかあったかいグラフィック

 

タイトル画面もマップも紅葉やキノコなどなどでいっぱい、作品全体から秋の雰囲気が漂ってきます。落ちている小枝やあちこちに生えている植物の種類が豊富なのもこだわりがあって良いですよねぇ。

作中で見つけられる栗やドングリもあたたかみのある手描きタッチで描かれていて、とにかく隅々までアットホームなほんわかかわいい雰囲気でした。

 

あと、立ち絵が表示されるときに、併せて秋らしいフレームも画面にひょこっと出てくるのがすごく良い演出だなー、なんて。ゆるキャラっぽい魔物たちといい、まいまい語といい、ゆるさとかわいさで出来上がっている世界観だなあと思います。

季節もののフリゲをお求めの方には是非あちこち見て回って欲しい作品だなあと思います。

 

 

細やかなコツが癖になる自給自足の生活

 

例えば、ドングリを食べるための下準備をせっせとこなしたり、狩猟のための足跡探しから始まったり。けっこう地味でコツコツとした作業が丁寧に描かれます。ドット絵がちょこちょこ動いて作業している姿は、見ているだけでも可愛らしくて和みますねぇ。

また、市場が物々交換で成り立っていたり、村内での自給自足が見られたりと、狭いコミュニティでつつましやかに暮らす人々の姿も丁寧に描写されています。

 

なにせ前作がけっこう大物だったりしたので、次作となる本作でこういう、ただの村人にスポットが当たるのも対称的で興味深かったです。

主人公の口調もちょっと独特で、心の中での会話がなんか妙にツボに入っちゃうんですよねw 冷静なんだけどちょっとズレてるというか、癖があるんだけど根が良い子なのは伝わるというか、ほどよく良い子でほどよく面倒くさがりというか。変わってるけどなんだか共感しやすい子でした。

 

プロローグであえてすぐに引き返して自分のおうち周りを探索すると、主人公の背景事情がどことなく伝わってくるんですよね。こういう、滲ませるように伝わってくるものを含むキャラでもありました。

 

なんだろう、枝豆の筋取りしながらのんびり考え事するのが好きな人は合いそうです。例えが局地的!

 

 

食べ物の秋、恵みの秋

 

基本的には「食欲の秋」が中心となって話が進んでいきます。

そんな中、第一話から一貫して描かれているのは、「いただきます」「ありがとう」の言葉でした。前作でもキャンセルボタンが「ありがとう」なの好きだったなあ。

大地の恵みに感謝して~っていう形ではあるんですが、あくまで主人公がやりたいからするのであって、誰かに強く頼んだり見返りを求めたりするわけでないところも好きでした。

 

誠実に、スッと「ありがとう」って言えるような良い人だからこそ、心からの返しがもらえる……そういう優しい世界観だったように思います。

 

 

 

違う価値観を認める大人の目線と、立ち止まってもいい子どもの姿勢

 

お仕事をバックレちゃうところからお話が始まるとおり、主人公はちょこっとだけダメっ子さんです。誤解があるなら、世渡りがちょっと下手と言い換えても良いかも。

そんな中でまず好印象だったのが、主人公が自分の考えをきちんと貫くところ。あの世界では変わり者とみなされてしまう価値観を主人公は持っているんですが、あなたにはあなた、私には私の考えがあるというスタンスで、少し葛藤しつつもゆるやかに暮らしているのがすごく良いなあと思いました。

 

身もふたもなく言ってしまえば、第一話でも顔だけ出して貰うものを貰えばいいし、自分が折れて誤魔化してしまえばいい話なんです。最終話に繋がる一つの疑問だって、きっとずっと前に訊いてしまえばそれで済む話でした。

でも、でも、そうしないところを書くからこそ、この作品良いなあって思うんです。

 

頭でわかっててもうまく行動できないこと、どうしても気持ちが遠回りしたがること、絶対あると思います。問題が大きくてしんどければしんどいほどそうです。それを「いや頑張れよ」って言うのは簡単なんですけど、するのって本当に難しい。

そこでね、無理にぶつかっていこうって言うんじゃなくて、少し違ったやり方を試したり、立ち止まったりするのを許してくれるストーリー構成になっているのが、本当に優しいなあと思いました。

 

特にこの作品の主人公は自分の気持ちにとても誠実なので、どんなに回りくどいやり方であれ、彼女なりにやりくりしようとします。方向性は違って見えるかもしれないけれど、彼女の中では一本筋通っているところが素敵でした。

もちろん彼女のやり方には荒があり、ちょこっと見通しが甘いところもあります。でもなんとかなっちゃうというか、なんとかしてくれるようお話が動いてくれる感じも、優しくて好きでした。

 

気持ちの整理がつかないから立ち止まることだって、ありますよね。

そんな未熟な隙を許してくれる作品だと思います。

 

 

 

気になるところ

 

合わなかったのはシステム面で1点、セーブするタイミングが決まっているところです。

章ごとの区切りになるのでだいたいは15分刻みくらいなんですが、けっこう私がセーブ魔なのでもどかしいこともしばしば。

一気プレイ派の方は全然気にならないところだと思います。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

ちょっと癒しが欲しい時、ほっと一息つきたいとき、まさにタイトルどおりココアみたいな甘くてあったかくて優しい気持ちにさせてくれる一作でした。

 

 

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