うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

フリーゲーム「シェリラベット」感想

「雪に隠せば消えていく、部屋に篭ればなおのこと」

綺麗なものだけ見ていてくださいな前置き。

 

 

えー、今回はCOCOONさんところのフリーゲームシェリラベット」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

分岐ありの男女恋愛乙女向けノベルゲー。攻略対象は一人ですが、総愛されに近い描写が多めです。騎士と姫、モンスターなど、軽くRPGっぽい世界観も交えたファンタジーでした。

 

プレイ後は副読本が気になること間違いなし。勿論私もぽちる気満々なのですが、ちょっと言ってはいけないところまでぽろっと出してしまいそうな気がするので、この記事を書いている現時点は未読です!

 

 

というわけで良かった点など。

察しの良い方や、既にもうDL済みでプレイ予定の方はネタバレ注意です。

 

 

徹底した一人称視点の物語

 

初周でエンドに辿り着き、真っ先に感じたのはここです!

ノローグからワンシーンまで、語られるのは徹底してリディの視界から見えるもののみ。乙女ゲーでよくある、「一方その頃攻略対象は……」みたいな描写も本編中ではしっかりとそぎ落とされています。

この構造がね、二重の意味で上手いんですよ!

物語のオチに絡んでいるのが一つ、裏で活躍して主を立てるという従者力を大いに表現しているのが一つ。なんていえばいいのかなあ、キャラの魅力を描きながら物語のギミックにもなっていてもう、感銘を受けました。

 

シナリオだけでなく、スチルでもしっかりリディの視点を意識されているのがもう震えました。トゥルーエンドのスチルの構図、必見です。

 

 

誠実勤勉な有能騎士と、ふわふわメレンゲ繊細姫

 

普段はキャラ単体よりストーリーやキャラの関係性に注目しがちな私なんですが、この作品では二人ともが単体で私の萌えを直球に貫いてくれました。

 

まずリディから。

すごい萌えるんですよ! 時々出てくるちょっと子どもっぽい甘えや諦めも庇護欲そそられてものすごく可愛いですし、ウジウジじゃなくて反省で留まるのも好印象でした。性善説で、時々クスっとしてしまうおとぼけが出てくるのもまた面白いところ。

好感が持てるというよりは萌えるに近い、愛玩っぽいキャラだと思っていたのですが、おまけ要素云々を見て思わず唸ってしまいました。本当に上手くできてるなあ。

「~だよぉ」って口調が妙に抜けてて好きです。

 

次クワルツ、これまた萌えるんですよ。

もう萌えるとしか言ってないな!?

ええと、まず素の口調がごくごくごくごく限定的で、基本的には常に敬語なところ。従者の立場をわきまえて、どれほど自分に都合の良い展開が来ても、きっちり自省ができるところ。常に真面目で、過ぎるほど真面目で、嘘は絶対言わないところ。

「優しくて誠実な人」という乙女の理想をぎゅぎゅっと詰めて、さらに黒い差し色が入れられたような、まさにときめくキャラでした。

 

 

おつかいに始まりめでたしで終わる、幸福の物語

 

公式サイトの言を借りれば、「ほのぼの95% シリアス5%」。

確かに分量としてはそうなんです。が、個人的に濃度的には50%50%だと思います。

リディ自身はぽえぽえしつつもしっかり前向きに頑張ろうとする力もある子なので、やっぱり全体的に明るい雰囲気なのは確かです。

ただ、同じ綺麗なものであっても例えば花やお菓子ではなく、“雪”を意識させるデザインがあちこちにされているところに、この作品の本質が見えるなあと感じました。

 

 

その他、マップ選択でちょっとした寄り道ができたり、眼鏡オンオフの作者様恒例システムが搭載されていたりと、一本道にさせない工夫がみられているのも良点です。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

内気で甘いお姫様や敬語従者が好きな方、ちょっとしたギミック付きのお話が気になる方へおススメの一作でした。

 

 

追記ではネタバレガッツリ伏字無しの感想です。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

GW・短編乙女向けフリゲ6作感想

 (『ニカ・トラジティー』)

 

 

 

ガッツリネタバレしてしまっているので注意!

 

 

 

 

 

エンドについて

 

初めに辿り着いたのはグッドエンドだったんですが、「おや?」と思ったんですよ。で、エンド名を見てぞっと総毛立ちました。最高です、こういう展開大好きです。だいっすきです!!!

この手の不穏なエンドにおいて「エンド……?」「めでたし(たぶん)」みたいな、(?)部分の描写を一切せずに、プレイヤーには察するよう作ったうえできっちりと「これはハッピーエンドです!」と断言しているのがまた末恐ろしいところだなと。但し書きやクエスチョンマークすら消されるんですよ。

 

あの人の話、おまけにすら無いんですよねぇ。そこが本当に怖くて、抹消されたようで、本当に大好き。

 

お兄様もクワルツもめちゃくちゃ優秀なので、ありとあらゆる諸々を綺麗に覆い隠せちゃえるし、違和感もないのがまた強いなあと思います。二人が優しくリディを受け止めてくれるので、不安や不穏の香りも丁寧に無かったことにされながらほのぼのとお話が進むんです。

リディを言いくるめるんじゃなくて受け止めるのがめっちゃポイント。

 

エンドの中だとハッピーエンドの「気づくことすらできない」感じがものすごく皮肉で好きです。挨拶のシーンで私はようやく気付いて、思わず読み返しに言ってしまいました。確かに言ってる、口滑らしちゃってるよ……。ウェムのシーンでのクワルツの心情も気になりますよね。妄想が捗ります。

 

でも萌えとしてはやっぱりトゥルーエンドが好きです。抑えに抑えて抑え込んだ諸々がここにきてほんのちょっと漏れた(けど爆発はしない程度にちゃんと抑えられる)というバランスが萌えました。

 

 

 

キャラクターについて

 

表である程度は語ったので、好きな台詞の話なんですが。

 

まずおまけで見られるクワルツ過去話の、「勘定が合わない」ってセリフ。あれがめちゃツボでした。

もうここはものすごいささやかなニュアンスかつ妄想話になってしまって恐縮なんですが、例えばあそこで「あなたに利がありません」と言ったら「あなたに与えるものがない」という無意識ながらも上からの話し方になってしまうし、逆説的にクワルツに価値があると示すような会話が続いてしまうじゃないですか。そうじゃなくて真っ先に自然と「勘定が合わない」というセリフが出てくるのがもうたまらなくて、クワルツの自己に対する評価は「価値が無い」「払えない」が前提なんだなという、この、自己卑下がぽろっと一言滲み出る感じが!! 好きなんです!! 伝わらなくてもいい、パッションで受け取って欲しい……。

 

あと、リディの「恋愛小説だと~」のくだりはうんうんと頷いてしまいましたねぇ。私も少女漫画読みながら「とっとと告白せんかーい!」と叫んでしまう幼女でした。懐かしい。

「~に隠されてたナイフで刺されるの嫌だなあ」みたいなセリフも、不覚にも一緒に吹き出してしまいました。張ってた糸が緩むに足る説得力よ。

等身大で親近感の湧くヒロインだなあと思います。

 

 

ちなみにお兄様のほうはノーマークだったので、絶望3分クッキングはかなり驚かされました。いや、清廉潔白とはいかないにしても、限りなく黒に違いグレーくらいだと思っていたのです。リディ相手の彼が印象強かったんだろうなあ……。

 

立ち絵有りで謎めくキャラ(暗殺者など)も何人かいますが、過去作関連なのか副読本のほうで明かされるキャラなのか、まだ判断がついていないので気になるところです。楽しみだなあ!

 

 

 

 

余談。

この作者様の『箱庭ユビキタス』をプレイした時も感じたことなんですが、作中の雰囲気や世界観を統一させつつも、しっかりとオチで緩急をつける手法がすっごく上手ですよね。

 

作品構造がめちゃくちゃ好みでキャラも萌えるという、最上級な良ゲーでした。