うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

フリーゲーム「詩歌を嗜むRe」感想

「気が向いたその心の揺らぎを声帯で響かせて」

生きがいではなく嗜み程度に留める前置き。

 

 

えー、今回はアンカルジアさんところのフリーゲーム詩歌を嗜むRe」の感想をつらつら書きますね。レビュー要素は珍しく欠片も無いです。

 

VIPRPG、ノベル寄りのいわゆる見るゲ。もしもシリーズではなく全くのオリジナル世界観なので、初めての方でも大丈夫。ただ直接的なエログロ過激描写は多いです。

 

で、普段なら良かったところを語る流れなんですが。

なんだかこのお話、本当に濃密で、言葉にした途端にプレイした後の感動とか思ったこととか震えた気持ちとかがボロボロ零れていってしまいそうなくらい、すごかったんです。詩歌とタイトルにある通り、もう語るを越えて歌う、気持ちをそのまま表に出すのがしっくりくる作品でした。

だから語らずにプレイしてみてくれ、って一言で片づけたくなる作品ではあります。

 

 

とりあえずネタバレしない中で要点を挙げるなら、

 

  • 間の取り方とテーマの連想を上手く利用した演出
  • 妙なるシーンチェンジと緩急の取り方
  • 台詞一つ一つに込められた伏線、構成力
  • キャラクターの熱い想い、感情

 

辺りでしょうか。やっぱり抽象的になっちゃうなあ。

AIやアンドロイドが人と混じっていく展開や、誰かと誰かの別れのシーン等にグッとくる方は合うと思います。

 

 

一方で、VIPRPGによくあるグレー具合や序盤のハイスピード下ネタ絶好調っぷりなど、人を選ぶ点も確かにありはする作品です。

そうなる理由はあるんですけどね。終盤良くなるからと無理強いをして響くものも響かないのは本末転倒なので……。

とりあえず、タイトルにかなり求心力のある作品ですし、触れてみて温度に耐えられるかどうか試してみるのが良いんじゃないかなー、なんて。

とにかく熱いメッセージ性のある作品でした。

 

 

……と、ここで終わる予定だったんですが。

何か書いておかないと、この溢れ出る気持ちが無くなってしまう気がして辛いんですよね! だからどこから切り出したもんかなあと思って、悩んでいるその間にもどっか行ってしまいそうな気がしたので、もう勢いで書くことにしました。

なのでいつも以上に読みづらい長文です。

たぶんネタバレになるところも書きます。

なので後は追記に格納。気になる方は下記クリックで。

 

 

 

ネタバレご容赦ご注意。

  (Twitter見てくださってる方は以降ふせったーとほぼ同文です)。

 

とりあえずプレイして欲しいし、思うところがあったら収めて大事に磨いておくのが似合う作品だと思うし、でもこらえきれないので語ってしまった私のような人がいたらさらっと読んでもらえると嬉しいなって感じの勢いです。

 

あと読了直後で書いてるのでいつも以上にポエムっぽい言い回しがきっと混ざります。許してくれ。

 

 

 

 

作中何度も出てくるQとA

あの演出、もう出てくるだけで視界が滲むくらい、良かったですね……!!

 

この作品の「なぜ」って、まるで嵐みたいでした。強く熱く叫びたくなるくらい堪えがたい、理不尽にも考えずにはいられない気持ち。

 

私が一番「どうして!?」を感じたのってブラインドのシーンなんですよ。

ライスパークにめちゃくちゃ感情移入してしまって。泉のところだったかな、ブラインドの言うことだって理解出来るんですが、それ以上に彼との問答が続いて欲しい気持ちが強かったんです。

 

ブラインドって先生なんですよね!

先生ってずるくないですか! ずるくはないんだけど!

先生って概念はこう、上から目線で、色んな物事を知っていて、こちらの子どもっぽい喚き声もしたり顔で聞き流して、それでいて一番大事なことを教えてくれて、人の道しるべまで与えてくれるくせに、別れざるをえないものの総称だと思うんですけど。それにしたって卒業が本当、本当短いんですよ。

一人で勝手に伝え終わった気でいて! 一人で勝って! ずるい! 確かに伝え終わってはいるかもしれないけど、だって、そりゃ、これからもこの問答が続いて欲しいに決まってるじゃないですか!

ブラインドだけ行ってしまうのはいや、本当めちゃくちゃ辛くて、ブラインドのシーンが終わってから半月ほどプレイを中断したくらいには辛かったです。けど、じゃあブラインドがあのまま続けば良かったのかっていうと、違うとはっきり言える自信もあって……彼の誇りや確かな考え、解答を崩すことになってしまうから……かなり頭がぐるぐるしていました。

 

ああなるしかないんだけど認めたくないみたいな!

でも、こうやってぐるぐると考え続けることこそが、人と別れることなんだよなあと思わされたり。

 

あの時こうしてたら関係が変わったんだろうかとか、あの時ああいう言葉が言えたらもう少し平和が続いたんだろうかとか、極論どうしてあの子は死んじゃったんだろうかとか、自殺未遂したんだろうかとか、すごく私情が混ざってきた。

ええと、ブラインドもパンイチもイチ父も、死ぬまでの猶予があった人だと思うんですよね。理不尽に死ぬことや、死ぬことを選ぶことについて心の折り合いをつける期間が少しでもあった人。でも、何十時間何十年あったって、絶対、死ぬことの理由付けなんてできっこないと思うんです。だからたぶん、死ぬことと別れることに合理的な解答って得られないんです。だって納得できるわけがないもん! 頭でわかろうが、気持ちが!!

 

だから、そういう「わかってるけどさあ!」「うるせえ!」とどんどんヒートアップしていくこちらの気持ちに合わせて、お話の演出もガンガン盛り上がっていって、荒々しく熱く胸を穿つ構成になっているのがすごいなあと思いました。

 

そうなんですよね、結局答えってないんだよ……。でもそれが悲観じゃなくて、答えが無いという結論に達したからことこそ、で終わってくれるのが救いでした。

 

 

戦闘シーン 

 

熱いと言えば戦闘描写!

 

弱きが想いの力で打ち勝つ、なんて書いて表面だけ見たら本当笑っちゃうくらい王道なんですが、それにとどまらない、魂の証明みたいなところを感じて震えました。シロ子の愛が大きすぎておねーさん泣いちゃう。

 

ブリザルドも守ってもらうしかなくて痛みはめっぽう嫌いな、ある意味弱いキャラではあるんですよね。本当は。アグナファイアがこっち見なかったからああなった、んだろうし、アグナに合わせて壊れていくところもあったのかなあと思うので、やるせなさを感じます。使い捨てのお姫様みたいな……。

やっぱり案の定お姫様のセリフが大好きなんですが、そもそもあの単語区切りでちょっとネジが飛んでる喋り方自体好きです。攻勢ゴーストのシーンは全く予想していなかったので本気で驚きのあまり絶句しました。演出すごかった……。

 

アグナファイアが本当、ラスボスの中のラスボスでしたが、彼女自身も何か答えが欲しかったのかなと思うと空しくもありました。パンイチに統制機関云々を被せているのが良い例で、唯一真実を早期から知っていたアグナは他キャラ以上に「どうして」が降り積もっていた子だったと思うんですよ。アグナがもっと早く?疑問を疑問として抱き続ける苦しみから逃げ出して破壊へ走ってしまう前に、ブラインドやパンイチに会っていたら変わってたのかなあ……。

逃げるという書き方は良くないか。

アグナが全てを壊すことに執心したのは、それが彼女の唯一持っている手段、答えの探し方だったからなのかなあとも思いはするんです……。

わからない、明確な解答が、答えを書いて答案を埋める気持ち良さが、すっきりとした納得とカタルシスが欲しい! なのにどこにもそれは落ちてない! 

だから目的を“達成”することが彼女の拠り所であり、戦い相手を屠ることが“すっきり”とした回答だったのかなあと……考えたんですが……難しいなあ。

 

だからなんだか、ライスパークとシロ子を応援して感情移入していたのはもちろんなんですが、対する二人のこともなんだか少し違った目線でまた考えたくなる戦闘シーンでした。

 

 

妹について 

シロ子やライスパークだけじゃなくて、きちんと全員に「?」のシーンが振られてるんですよねぇ。本当構成がすごい。

妹の疑問、あれ本当きついんですよ。父親のシーンと母親のシーン。ここですっきり恨ませて、恨みを晴らさせてくれたらとても明確で単純でわかりやすい解答はもらえるのに、そうはいかない。

本当ずるいよなーと思う! どいつもこいつも満足顔で去っていって、なんだよ、残されたこっちはどうしたらいいんだよ、命全部丸ごと使って叩きつけられた満足感でこっちは押しつぶされそうだよ、そっちはいいけどこっちは全然すっきりしないよ、なんでなんだよ?! そんな気持ち。本当、ずるい!!

わかるんですよー、世の中そんなに明確な悪役がいないのも、頭のおかしい奴を倒しました万歳といかないのも。妹とアグナはけっこう近い属性だなあとぼんやり思っていたんですがそれがここですね、書いてて気づいた。

 

妹との化合物云々の会話が伏線で気持ち良かったです。

伏線と言えば妹とパンイチだけ名前入力可能なのは何か強い意味があると思うのですが、いかんせんまだピンときていなかったり。あうー。

 

妹関係のエロネタもなんていうか、トラウマと人恋しさのダブルパンチというか、序盤のハイスピードエロネタはここのためかあとしみじみ。わざわざ「ふう収まった」って序盤でパンイチが言ってる辺り、私的な欲もあるだろうけど義務感もちょっと見え隠れしてる気がして、あれ身体改造のついでに精力増強もされてる気がするんですよねぇ。父親もああいう薬を生存用バッグに入れさせるくらいだし。

 

妹も結局独り善がりなんだよなあ……。パンイチのことを、ああいうふうに想っていながら、妹がどれだけパンイチのことを理解していたかって描写ってあんまりないんですよね。いや、パンイチが好きそうな何かの話題は出るんですが、それは“パンイチの恋愛対象≒私のなるべき像”を探すうえでの知識だし、妹が語るパンイチってどれも“私に○○してくれたパンイチ”であって、パンイチ自身を知るというより鏡の反射を見ているような気がするんです。

それが悪いとか愛が欠けてるとかを書きたいんじゃなくて。シロ子と妹を隔てたのはやっぱり作られた家族だったのか自然と結ばれた家族だったのかって点だったのかなとか。事前に他のコミュニティを知ったうえでくっつけるかどうかとか。

 

ガウガウちゃんもそうだし、ブリザルドも妹もそうなんですが、あの世界で人工的に(刷り込みや命令みたいに?)くっつけられた家族的な共同体って皆壊れてるんですよね。ティアみたいに自分から繋ぎたがった糸だけが残ってる、これが事の本質なのかなあと思います。

 

 

繰り返される挨拶

さよならとはじめましてが響く作品だなあと思います。

 

作中繰り返して強調されるシーンはあちこちにあるし、伝えたいテーマやモチーフもわかりやすく強く投げかけられているんだけれど、やっぱりここが一番残る気がするなあ……。

泣き叫びながら傷を癒してくれるような読了感でした。

 

ライスパークサイドの話に対する伏線を、シロ子サイドのパンイチが呟いたりしているのも良いですよね。互いに接触はしないけど言葉が絡み合って一つの作品が出来上がっている感じがします。

 

 

余談

あとあれだ、機械用語難しい!

あんまり軍ものやAIアンドロイド戦闘兵器系の話を読まない民なので、あちこちググりながら読み進めていました。しかしアグナの設定がもう、なんか、かしこい! 馬鹿丸出しな書き方だな!?

シロ子が直後に「なんかよくわかんないけど」って言ってくれるのが助かりました。よくわかんなくていいんだ! よくわかんなくても気持ちが熱くなればそれでもう十全じゃないか!

詩歌ってそういうものですよね。

良い感じにつながった、のでこの辺で締めておきます。