うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

フリーゲーム「夏葬」感想

「これも燃料の一環だろうかと花を置く時に考えた」

祖母の好きな花をその日まで知らなかった前置き。

 

 

えー、今回はTake it easy!さんところのフリーゲーム「夏葬」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

匂わせる程度に百合、女子高生がぼんやりと考え事をしながらお話する短編ノベルゲーです。ほどよく重く、しかし陰惨ではない、独特の読み心地でした。

(記事公開現在は公開停止中? リンクがありませんがご了承ください)

 

というわけで良かった点など。

 

 

「わたし」と「先輩」が語る私

 

お話のほとんどは登場人物二人の会話で進んでいきます。

で、ものすごくこの作品特有のプレイ感覚だと思ったのが――「わたし」も「先輩」もなんだか、私だなあと思ったんですよねぇ。キャラをキャラとして見れなくって。

でも感情移入や代弁でもないんですよ。なんかこう、私が話しているのを私が聞いて初めてああ私はこういう気持ちだったんだなあと気づくような。

たまに悩んでる時って自分と自分で会話するじゃないですか。するよね? そういう感覚が一番近い気がします。

 

 

感覚を画面に組み込む演出

 

そして、前述のプレイ感覚が、終盤にさっと塗り替えられます。最後の最後になって、私と限りなく近かった二人は、二人の手で、二人のお話を始めちゃうんです。

あの演出ね! 好きなんですよ! 未プレイの人にまったく通じない書き方でごめんなさい!! いいよね!

クリア後に変化するタイトル画面も、喪が明けた、という感じがして好きでした。

 

また、会話の区切りが日の区切りになっている演出や、繰り返される「I think,」など、随所で時間の流れやテーマを意識づけるような画面になっているのも印象的。屋上に上がって話をするという流れは変わらずとも、屋上へ向かうシーンに緊張感がある時には背景が表示されるなど、シンプルな雰囲気作りが上手かったなあと思います。

立ち絵形式ではなく、一枚絵と随所のカットインで構成されているのも、お話に集中させてくれる感じがして好きでした。

 

 

日常でふと考えてしまう死

 

二人の話題のテーマは、誰かの死、です。

ただこれが暗くない。いや、明るくも無いんですが。鬱や絶望ではなくこう、日常なんですよね。お葬式のやり方とか、人が死んだ時の手続きとか、それらに追われる家族の姿とかを通じて感じる私の気持ちがダイレクトに語られていきます。リアルさが凄まじかったです。

 

二人の話し方がすごく自然なのも良いんですよね。重い話題だとついかっこつけたくなったり、冷めた見方をしようとしたりして、けどそれほど劇的でもないまま終わって。なんとなく自分の中で結論を作ろうとして、でも結局わからないなあで途切れる感じが、本当、日常の中でふいに死を思う時の感覚だなあと思いました。

 

納得しようのない死というものに、わからないなりに納得をつける話のような気もします。立ち位置を決める感じ。

 

 

 

 

で、余談で自分語りするんですが。

私、なんとなく身近な人の死と言えば夏と言うイメージがありまして。

そういえば初めての身内の葬式の時泣けなかったなあ、泣こうとして義務で泣くのもよくないと思って悲しいのか何なのか自分がどこ立ってるのかよくわかんなかったなあ、でも行事は普通に出席したんだよなあ、等々をつらつらと思い出しました。不謹慎っていうんですかね、厳粛にしないとだめな気はするのに何をしたらわからないあの感じとか、だんだん時間の無駄に思えてきて自己嫌悪するあの感じとか。色々、こう、しみじみ。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

ほんのりと百合、死ぬことに対する思索、学生らしい自然体の会話などにピンとくる方へおススメです。

 

 

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