うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

フリーゲーム「夜は小さなふたりのために」感想

「一言にできない繋がりがある」
でも簡単に言い換えたくなってしまう前置き。

 

えー、今回は、プロキオンさんところのフリーゲーム夜は小さなふたりのために」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ハロウィンが近づくこの時期に絶対このゲームを取り上げよう!! と意気込んでおりました。愛してます。

 

まずはさらっと紹介を。
前作「贄の羊に牙を立てて」のスピンオフなノベルゲーです。サブキャラだった蝙蝠達が立派に巣立ちます。
元々私、この前作がもう大好きなんです! 好きな乙女フリゲの中でも五本指に入るくらい。なので、今作だけでも十分楽しめるかとは思いますが、前作を知らない人は是非とも手を伸ばしてみて頂きたいところです。

では改めて、魅力的な点など。

 

 

ゴシックな雰囲気と愉快な仲間達

ホラー風味なオズの魔法使い、というのがプレイしての印象でした。
不安たっぷりの一人旅から徐々に仲間が増えて賑やかに、そして幾多の困難を乗り越えて城の主の元へ────流れがオズっぽく感じたのかも。
緊迫感のあるシーンやダークな展開もありはしますが、キャラ達の掛け合いで緩和されているところも大きいです。なので怖いの苦手って人にもオススメしやすい一作だと思います。

 

静かな雪の夜の世界観

まず視覚的な面として、スチル画面の時に文字表示が変わるのがさりげなく良ポイントです。文章も落ち着いた語り口調で、雪の世界によく似合う静けさがありました。
吸血鬼や魔法使い、眷族の在り方など、きっちりした設定が随所で感じられるのも良かったですねぇ。ああいうのがあるのとないのとでは世界観の濃さがずいぶん変わってくるように思います。難しい固有名詞はなく、あくまでなじみ深い単語で説明されるのもありがたかったです。

 

おしゃれなエンドロール

数秒聞いただけで心をわしづかみにされるあのエンディング曲!
曲自体は素材サイト様のものなんですが、雰囲気ぴったりで震えました。思わず素材配布元に原曲を探しに行ってしまったほどです。
ルートごとに異なるエンドイラストも象徴的で、彼らの絶妙な距離感が伺えます。どっぷり寄りかかるわけでもなくあからさまに忠義を示すわけでもなく、それでも傍に居るあの感じ……とっても好きです。
余韻が美しいエンドロールでした。

 


と、ここまでが魅力的だと感じた点になります。

 

未プレイの方に推しておきたいこと


一方、初め引っかかっていたこととして、

・メインの攻略対象にレトがいない

というのが挙げられます。

序盤からレトを追って羽ばたき、スタッフロールに入る直前の展開はどちらのルートでもレトへのあたたかな想いが感じられる展開。これは期待をしてしまうというもの。
なので、求めていたのと違う展開へ転がっていくエピローグに初めは戸惑ってしまい、本編をクリアした段階では「ああちょっと思っていたのとは違うな」と感じてしまっていました。


しかしながら!
真髄はまさに本編の後、おまけおよびパッチ配布による後日談のほうにあったのです。これを読んでようやく納得……いやむしろこの形だからこそ良いと強く感じました。
ここを書きすぎると大変もったいないと思うので、詳しくはネタバレ込みで追記にて。

 

もしも私のように思った方がいらっしゃったら、是非後日談までしっかり目を通してみてほしいなー、なんて。

 

 

とまあ、こんな感じで。


序盤は色々予想と違う方向に行き戸惑ったところもありましたが、最後までプレイし終わったらもう大満足、静かながらもときめきや余韻が際立つ一作でした!


吸血鬼ものが好きな方や、前作をプレイした方、探索ホラーっぽい雰囲気が好きな方にオススメします。


追記ではネタバレがっつりのキャラクター感想など。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

フリーゲーム「ミスト」感想 

フリーゲーム「贄の羊に牙を立てて」感想

フリーゲ-ム「R×P=G」感想

フリーゲーム「使い魔な日々RPG」感想

 

 

 

ネタバレ注意。

 

 

【後日談について】

タイトル画面から見れるアフターストーリー。これがとっても私好みでした! 読んで良かった! これを読み終って初めて、この作品を語れると言ってしまいたいくらいです。

 

まずはイリヤとクローの話。どちらも甘酸っぱい恋の目覚めが描かれていて、そんな初々しさと後日談で起こす行為のギャップがまたときめいて、もうたまりませんでした。特にイリヤのほうは、本編でちらりとほのめかされていた「無自覚な誘惑」が絡んで、丁寧に丁寧に吸血描写をしてくれたので、大満足です。

 

そしてその次に解放されるお話。この、虚しさと静けさが漂う雰囲気が、本当すっごくツボだったんです。本編でほのぼのシーンが多かったからなおさらもの悲しい気持ちを掻き立てられました。キャラの行動だけを取ってみるととてもドライで魔の者らしいのに、どこかしっとりと心に残してくれるものがあります。
ほんのちょっぴりのダーク感、人のものさしで言い切れない関係性。大好きです。

 

この後日談を読んでようやく、この作品のスタンスも知れた気がしました。


本編の段階のトリスはレトのことを見上げすぎていて対等に恋愛するとは思いにくいし、レトはトリスのことを大事にする気持ちと自分の執着とで折り合いがつけきれていなさそうだし。本編で描かれていたのはあくまで前提であって、レトルートが仮に始まるとしたら本編のずっとずっとずっと後になるんでしょうね。それであとがきでもああいうふうに書かれていたのかーと納得しました。

後日談を読んでから改めておまけ部屋に行くと、玉座の賑わいがまた良い感じに余韻を深めてくれました。同じ作者様の「ミスト」等でも感じていましたが、本当、シリアスな雰囲気と余韻の作り方が絶妙に上手だと思います。

 

【キャラクター】


・トリス

正直に書くと、先にクロールートへ行ったこともあって好みと合わないヒロインだなあと感じていました。強くなると言いつつ口だけに見えてしまったり、わりと自己中心的なモノローグが出てきたりするところがどうにも苦手だったんですね。
けど、おまけに辿りつく頃になるとちょっと考えも変わってきまして。

元々“大人しくて弱気なヒロイン”だと思ってトリスのことを見ていたからちぐはぐな感じがしたのであって、“弱いけどれっきとした闇の住人”という視点で見てみると、自分でもびっくりするくらい苦手意識がなくなってくれました。


あと笑顔の魅力! ずぅっと口を引き結んで不安げな表情をしていたので、ぱぁっと笑ってくれた時は心を掴まれました。これは惚れるわ!

 

 

・レト

もうたまらなく好きです。

かっこよくて優しくて悩ましくて。


レトとプルートの境目云々の話とか、結局花嫁はどうなるのかとか、マリヤとの大人で知的な会話とか、彼が自我を得た時のエピソードとか、もっともっと深く見てみたいところがたくさんあるのですが。ひとまずおしまい、ということで後日談でも筆を置かれていたので、妄想で留めることとしましょう。ああかっこいい……。

 

・クロー
人間時もにこにこしている印象で、いやぁまさに、犬!w 微笑ましくって安心できるキャラです。
彼の口癖がトリスに移っているシーンはついにやりとしました。


イリヤ
プレイ中に「おや?」と思っていたらまさかの事実に仰天。まったくもって気付きませんでした……。


・マリヤ
食えないお姉さん、という印象。全てお見通しって雰囲気の台詞にどきどきさせられることが多かったです。


エドモンド
竹で割ったような振る舞いと元の身体を失うに至った経緯が素敵です! 彼がいるのといないのとではかなり場の雰囲気が変わるだろうなあと思います。


・プルート
前作に引き続き、柔らかな笑みでどことなく読めない雰囲気というかオーラが凄まじいですね。まだまだマリにお熱のようで何よりでした!

 

 

前に同じ作者様の「ミスト」をプレイした時も思いましたが、心に一欠片残してくれるようなシリアスさが本当魅力的でした。余韻の残るゲームはいいものだ!