うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリゲサイト「冬色と夜気」短編ノベル作品感想2

「同一になれるわけがないのに感性が誤魔化していく」

妙な親近感を得る文章が好きな前置き。

 

えー、今回は冬色と夜気さんところのフリーゲーム12作品の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

どの作品も、基本短編のノベルゲーム。詩的な言い回しと仄暗い展開が特徴的です。相互に関係している作品もしていない作品もあるので、それぞれ概要で記載していきますね。

 

短編ということもあり、多少ネタバレをしてしまいながら語っていきます。一応核心的な部分は薄く色付けしていくつもり。

未プレイの方はご了承ください。

 

 

シトリンの欠片

[概要]

百合、片想い、鬱展開。

 

[感想]

序盤は物静かな雰囲気で進みつつ、彼と主人公がぶつかったところで一気にお話が急伸していくこの流れが気持ち良かったです。

特徴的な言い回しも多かったですし、それらを通じて伝わってくる「普通ではない」二人の独自の理論がすごく、心に迫ってくるものがありました。普通代表と言わんばかりの彼女がいるからこそ、他の二人が際立つんですよねぇ。

ラストの閉じ方もすごく、大好き。閉塞して、触れるに触れられなかった彼女が、唯一彼女の解を手にして実行した開放的なエンドだと思います。衝撃度と暗さも併せて大好きです。

 

[印象に残ったシーン]

「傷すら与えない」くだりが好きでして。

なんだろうなあ、フッて相手を傷つけたり悲劇にしたり、そういうことすら煩わしくて、もうただただ視界に入らないでいてほしい感じ……。言われてみればピンとくるというか、反射的にわかる感じがするんですが、言葉にするとなんか急に憎悪が際立って見えてしまうんですよね。でも、そういう強い感情すらなくてただただ無関心なんですよ。拒絶ですらないんですよ。そういう、絶妙なニュアンスの感情を、あのシーンでしっかり感じさせてくれるところが凄かったです。

 

「月を引き寄せて」と願う場面も本当好きでした。いっそ壊れてとか消えてとかではなく、なんだか他人事のようにお前が生み出したのならお前が片付けてとばかりにふっと盛大に崩壊してほしいこの感じを、あのたった一文で。最高です。

 

あと細かいところだと、お勉強を教えているシーンで「あれをこうして~」とぼかすのではなく、しっかり英文を斜線で区切るなどなどの現実的な一問を持ってきてリアル学生感を出しているところが素敵でした。

 

[一言]

詩的な言い回しと、どろりとした片想いの平行線と無関心が際立つ一作。

 

 

 

 

リナリアの君

[概要]

学生生活、不幸比べ、あなたは知らない私の事情。舞台が『シトリンの欠片』と繋がってはいますが、単品でも読めはします。

 

[感想]

最後のオチはやや唐突感があったものの、序盤からあえて違う言い訳で離席していたことなどを思い返すと、どことなく伏線はあったのかも。

 

すごい私情になるんですが、本作をプレイした時期、私何かと「あなたは頭の出来が違うから」って言われては謙遜のテイで人を持ち上げてサボる言い訳に使われることがあって、むしゃくしゃしてたんですよね。いやいや与えられてる立場は一緒ですしあなたが努力を怠ってるだけでしょー……みたいなむしゃくしゃ。ぷんぷん。

なので、こう、作中の詩依ちゃんのセリフとかにムッとするところもあったんです。きちんと遥が努力してるシーンも入れてくれているからなおさら、なんだよ君はーって。

 

でもあとで、詩依が部活のほうで苦労してるシーンが出てきたりして。面白半分に見えた綾芽さんも実は、「あなたは違うから」で距離を置いてしまうことをなにより後悔している人なのかなあと思ったりして。こういう、改めて考えてみると知らないところで皆が皆の事情を持っている、みたいな構造が良いなあと思いました。

何か事情があったり努力があったりしても傍目じゃわからないんですよね、本当は……。

遥にああいうオチの“事情”があったように、お試しの恋愛がまだできないように。

 

たまたま話運びにシンパシーを感じる環境にあったので、何かと感情移入してしまった作品でした。

 

[一言]

誰もが止められない“羨む”気持ちを綴ったお話。

 

 

 

 

グラキエスの涙

[概要]

死体蘇生、約束・訓戒話、両片想い。

 

[感想]

お話の構成はどことなく童話じみています。

約束さえ守っていれば彼の隣にいられる、ただし正体は秘密のまま――。

この手のお話は約束が破られて終わることがほとんどですが、本作はその理由付けがとても素敵でした。ただ一途に彼を想う、キラキラした気持ちだけではなく。他でもないわたしを見て欲しいという苛烈なエゴを含めて、それでも美しく終わらせてしまう塩梅が好きです。

 

ちなみに、Glaciesはラテン語で氷とのこと。

溶けてしまう彼女と、我という女性の約束には無慈悲に冷たくも愛を志向する態度、二つが掛けてあるのかなあと勝手に受信しました。

謎の女性の存在や、肉体・魂・心(精神)という概念がちょこちょこ出てくる辺りも隠喩的ですよね。信じていれば幸福なる天へ導かれるという考えなども決定的。作中の舞台の宗教観がほんのりと察せられるのも良いつくりだなーと思います。

 

[一言]

献身とエゴがないまぜになった一途な愛を見たい方へ。

 

 

 

 

灰燼

[概要]

王室、姫と許婚と従者、復讐劇、正義とは何たるか。

 

[感想]

おてんば姫がすっかり冷えた目つきをするようになる展開、大好きです。

いわゆる前座に当たる部分もしっかり尺をとってあったのも好印象。丁寧にヴェルメアのキャラクターとツェーレの関係性、父親との緊張感を含む敬愛などを描いてくれたので、感情移入がしやすかったです。

また、一筋縄ではいかない、やりきれない結末も大好き。テーマがこれだからこその後味ですよね。どのエンドにも棘のようなものが残る、良い終わり方でした。

 

一方で、この作品は気になった点もありまして。それが終盤一騎打ちの時のテンポの悪さです。想いをぶつけ合う会話劇自体はとても良かったんですが、一言一言に動作描写が挟まって間延びする印象がありました。剣劇もスピード感がもうちょっと欲しかったかも。

でも、ルートごとに剣捌きや戦い方の鋭さが変わって、覚悟の違いが伝わってくるのは良かったです。

 

[根幹のネタバレに関する感想]

以下薄字。

 

エンドのカギを握っているうえに結末の分岐に関わってくるのは実はツェーレですよね。思わせるものを持ってて、考え出すと止まらなくなってしまう。復讐ルートでツェーレがああなるの、ものすごく絶望を感じてすごく好きです。

それで、初めはツェーレこそがシュタインの言うところの正義のモチーフとして描かれているのかなと思っていたのですが。ツェーレを追ったり、彼女の提案に従ったりするとゲームオーバーになることを考えると、むしろ逆かなと思い直しました。

ツェーレはヴァルメアが善的な人間であることの象徴であり、彼女が傍にいる限りヴェルメアは平凡で人間らしい感性を失えないままでいるみたいな……。そしてこの話は完璧な正義の皮を被るための話なので、ツェーレと共に行くことを選んだ時点で、話は終わってしまうみたいな……。そんなふうに考えました。

 

そう考えると、灰エンドに行ったときにツェーレが生き残ることが矛盾するんですが、後日談ノベル『熾灰』を読んで一人で勝手に納得したのでそういうこととして解釈していきます。タイトル画面の姫な格好と復讐劇な格好のヴェルメアも、愛された姫としてツェーレと共に生きる道か、孤独の正義を為して恋の葬式を行う道かという感じがして趣深いですね。

 

以上薄字終わり。

余談ですが、逃げ出しエンドの、不透明で終わらせる一文が好きです。

 

[一言]

深い業の流転を楽しめました。

 

 

 

冷灰

[概要]

『灰燼』の別視点過去話。王宮、憎悪と喪失、悪を愛すは悪たるか。

 

[感想]

主張がずっと変わらずにきわどい境界線で立ち続けていてくれたところがとても好きでした。相対するキャラが対岸に居続けてくれるお話は、誠実で良いなあと思います。

なんだろう、可哀想だと思わせてやろうみたいな厭らしさがないんですよね。ただこう思うからこう語っているだけみたいな冷たさを感じるような。その温度感がとても好きです。

この話を見るとうっかり、ヴェルメアの父が悪いもののように錯覚しかけるんですが、そこでもきちんと“悪”というより“正義の化け物”という概念を持ってきてくれるのが……テーマに即していて……うん、なんかすごく良いんです。言葉にならないけど!

 

ヴェルメアに求めるからにはきちんとこちらも譲歩する、というやり方も、すごく素敵でした。シームレスに口調変化した辺り、かなりの教養を感じさせてくれていいですよね……! 

過去話ということで幼いヴェルメアが登場するからこそ、彼の大人なやり口がより映えて、いやあほれぼれでした。

 

[一言]

クリア後に戻ってくる、あの画面が苦しくて好きです。

 

  

 

 

象牙の乙女』

[概要]

うす暗い霧の町、劇場、美しい自動人形とうだつのあがらない男。

 

[感想]

自分がまるでそこに立つかのように感じられる、霧煙る街の描写が好きでした。雨上がりの日の静かさとか、街中でのどことなく人混みで落ち着かない感じとか。常に煙で薄曇りっていうところも好きなんですよねぇ。古いロンドン? の雰囲気を好きな方なら合うんじゃないかなあ。

 

あと、書きたいものがついに思い浮かんだ時のあのシーン! 焦燥感と無我夢中! 私が二次創作で何かと書き書きするからなおいっそう共感でした。なりますよね自動筆記みたいな、あの、溢れていくものをしたためていく間の独特な時の流れ方。

 

そして何より、語るならあの劇中劇のシーンですよ!

キャラクターと役の境界線がぼんやりと溶けていって、なのに気持ちばかりぎゅっと物語に引きつけられていく、あの構成がもう好きですし。こちらの読む手が進んで気持ちが高まったところで、あのスポットライトのスチル! ねえ、もう、震えますって!

 

きちんと事前に一度劇のシーンを見せて、劇と本編の境界を先に認識させたうえで混ぜていく感じがより効果的ですごいなあと思いました。そういう意味だと若きウェルテル(でいいのかな)の話なども後になってみればポイントだったなあと思っていて、引用やたとえ話が実を結んでいく流れが本当に見事でした。

読んでる時は本当没頭してて、そんな構成だののことは意識から飛んでたんですけどね。てへへ。

 

象牙の彼女の、感情をうまく定義しきれていない感じというか、心があるけど心をわからないみたいな、独特の雰囲気を生み出すところも素敵でした。目力を感じる、ずずいっとこちらを見つめてくるあの立ち絵も好き。

 

[一言]

人形の心、ピグマリオン、理想の愛など好きな要素がぎゅっと詰まっていました。

 

 

 

 

『花盗人』

[概要]

和風、人間×人型人外、冬、誰かと別れるという事、傍にいるのに見えない人。

 

[感想]

この作者様は他作品をプレイしていても文体がとても静謐だなあと感じていたのですが、特に本作では冬や落ちる椿などが相乗効果で魅力倍増だったなあと思います。

名前欄が無い代わりにメッセージウィンドウの椿の色で話し手がわかるようになっているのもさりげなく素敵。

 

虚しい、の考え方も好きです。

終わりとか別れとかが強調されるこの作品、まさに終わり方が好きなんですよね。

致命的な単語で明言せず人によって解釈に幅を持たせてくれる終わり。でも、直前の会話や“長い”で連想される今までの彼女を考えると、どことなく方向性は察せられるところがすごく好きです。

彼女が何なのかを明示せず、ぼやけた概念で包んでいるところもより雰囲気が出ているなー、なんて。

見られなくなってしまった彼女の過去話を出して、最後に、見られていなかった彼女を見ていた人の話で終わるというのも……心に刺さります。

 

普段は文字表示を早めにしてさくさくオートで読む派なんですが、この作品はなんとなく、いつもよりもじっくりゆっくりと読み終えました。そんな雰囲気のお話です。

 

[一言]

切なく、沁みる話が好きな方向け。

 

 

 

 

モノクロの海を漂う人

[概要]

図書館にいる先輩と毎日文学的な会話をする短編。

 

[感想]

そっけなく気のない会話を重ねながら、ラストになってぼんやりとテーマが察せられる作品。

本好きの先輩、舞台の大半は図書室、起動画面は本の演出、目次、主人公と読者の感情移入についてなどなど、ゆったりと進みながら最後に言わんとするところを残して終わる後味にしみじみしました。彼は生きる人なので盗み見はできない……。

 

明確にこれがこうという回答が欲しいタイプの方には合わないかもしれませんが、雨の日や眠れない夜に延々と悲観的だったり哲学的だったりの思考を続けてしまう私のような人間には楽しめるかもしれません。

誰もがやってみる、遺書の練習とか、生死の定義とか、そういう思索をするための雰囲気ゲーな印象でした。

読んだことのある本の引用があるとちょっと嬉しくなりますよね。

 

[一言]

図書館にいつもいる黒髪変人の先輩、という響きでピンとくる方は多いはず。

 

 

 

ブヴァリアよ、枯れないで

[概要]

夢、現代とちょっとファンタジー、成り代わり。

 

[感想]

しんしんと積もるようにお話が進んでいたので、例の二人組が出てきてからはお話の方向がガラッと変わって驚かされました。パワフルに話を掻っ攫っていくのはやはり慧里さんの成せる技ですかね。クリア後に見られるおまけでしれっと好きな設定が書かれていてついにやっとしてしまいました。

 

色の使い分けがやっぱり印象深い作品ですよね。

特にエピローグではかなり画面が賑やか華やかで楽しかったです。ああいうカットインタイプの立ち絵の見せ方好きだなあ。

 

あと画像で言うと、病院のシーンの背景画像がすごく良いなあと思いまして。

単純に病室内を眺める視点じゃなくて、こう、お見舞いの視点なんですよ。お見舞い来てベッドの横で立ってたりパイプ椅子で座ってたりする時の目線の背景画像。これご自身で撮ってらしたのかなあ。それとも素材かなあ。どちらにせよ、お話の中身ともあわせて、すごい良い視点の画像だなと思いました。

 

[一言]

終わらない理想の世界、ほんのりと姉弟な展開が気になる方向け。

 

 

 

 

雪の果

[概要]

和風、兄と妹、成り代わり。

 

[感想]

他作品と比べると選択肢がかなり多い本作。この選択肢の数にも意図が感じられてとても素敵でした。視点が兄側で妹の心情を直接は描けない分、こういう形で伝えてくるのが上手いなー、なんて。

何かの隠し事がばれる時って、致命的なぼろが出ることよりも、小さな積み重ねが確信に変わることのほうが実は多いんですよね。で、それを創作でやるのってすごく難しいことだと思うんです。長い時間をかけて、かつ冗長にはならないよう自然に擦り込ませていかないといけないので。

それを見事にやり遂げていたのが、もう、本当すごいなあと。時を重ねていく中で、ちょっとずつ違和感が積み重なっていって、それでもそれを芹乃はそれを受け入れていく過程が伝わってきます。

 

季節の移り変わりの描写も美しくて……。

年月が重要だからこそ食べ物も肌に触れる感覚も、その時だけの季節を感じさせてくれるんですよね。変わらない温度の室内でプレイしているのに、冬の肌厳しさや、雨のけだるい感じなどが文章の端々から伝わってきました。

情景描写が一番好きな作品かもしれないなあ。

 

[一言]

和と季節と罪悪感と庇護欲。どれか気になるワードがあるようなら。

 

 

 

このまま

[概要]

百合、病室、死にまつわる思索や哲学の会話劇。

 

[感想]

この話にこのタイトルを嵌めることがもう色々と思考を広げるきっかけとなるなあと思いました。

例えば極端に単純な話、二人のうちのどちらかが心の内を告げてしまえば、あるいは行為を求めたり行ったりすれば、彼女達なりに通じ合う結末には辿りつけたんだと思うんですよね。でも、そう簡単にいかないことや、何か理由をつけないと動けないことは作中でとくとくと語られた通り。

勇気とかきっかけとかそういうのじゃなくて、なんだろうなあ。何かが足りなかったために、触れたのは首でも手でもなくあの場所だけで終わったんだろうなあと思っていまして。とにかく、動かそうとせずに停滞を望んだから、ああいう結末になったのかなー、なんて。

「このまま」って難しいですよね。現状維持は大抵の場合、静かな衰退を表している気がします。

このまま手を握っていて、と、繋げられそうなところも素敵。

 

なんだか作品自体の感想より私の解釈考察語りみたいになってしまった。とりあえずこんな感じで色々考えたくなるくらいにはセンシティブな作品だと思います。

蓮の癖が本人からしてみれば自然とそうしたくなることみたいな空気感で書かれていたのが、大げさでなくて好きでした。

 

[一言]

少し変わった女の子と、仄暗い雰囲気を噛み締めつつ思索にふけれる作品でした。

 

 

 

 

煌炎

[概要]

身分差、裏稼業、人殺し、復讐譚。

 

[感想]

お話の引きがとても好きです。

あそこでスパンと切って落ちて終わるのが、大好きです。

 

「復讐は何にもならない!」っていうのは飽きるほど語られてきた言葉だと思うんですが、それに対する反論というか、それでも復讐をせずにいられないのはなぜかというところにしっかりと踏み込んでいくお話だったように思います。

救われたい、救われない、救われたくない、のくだりがとても好きでした。似たように家族を殺される流れの『灰燼』とはまた違い、悪だという自覚は確固としてあるというスタンスもこう、すっきりします。そこの問答はもう前提で終わっている感じ。

 

キャラクターが一見真逆なのもすごく良いんですよね。下町をろくに知らない貴族のお坊ちゃんと、後ろ暗い作業も仕事もお任せあれのお姉さん。初めはまったく別々の凸凹な二人に見えていたのが、だんだんと息を合わせてきて、根っこの近しいものが見えてくるような。変質したと考えられるのかもしれませんが……。

ともあれ、軽い会話の掛け合いも、重々しい思考の発露も、どちらも身に馴染む話でした。

 

[ネタバレ込みのエンドについて]

ラストまで読み進めた一読者な私はやっぱり、エルネストの朴訥としつつも誠実な人柄とか、あるいはニュイのさっぱりとして自由に見えてしまう姿とかに、愛着があるんですよね。だから、「きっともっとどうにかなっただろうに」って思ってしまうんですよどうしても。あのエンドは大好きですし絶対に変わって欲しくない、あの話の結末として最上なんですけど、それとは別枠としてもうこの気持ちは許して欲しい。

で、エルネストにはきっともっと何かが、何かがあるはずだからどうか続いて欲しいと、何かの中身も知らないまんま言いたくなってしまうのですが。仮に本当にその何かがあったとしても、エルネストの解は決まってるんですよね。

 

ここにきてハッとしたんですよ、婚約者との会話シーンはこのためにあったんだなあって。私はエルネストの先を、何か、考えたいしあって欲しいと望んでしまうんだけど、それについての回答はもう語ってくれているんですよあの場面で。構成が本当に痺れました。あのシーンがあったからこそ、こんなにも、気持ちとしてはままならなさもあってなお納得感のあるエンドになるんだなあと……。

 

それでもやっぱり、あのままニュイと一緒に相棒としてやっていくような妄想はしてしまうんですよね。未練というかなんというか。ニュイが少しだけ漏らしてくれた、クリア後のあの文章は、そういう可能性が頭の中にあったことと有り得ないこと両方を示すのかなあと考えています。

とても丁寧に、始末をつけられた話でした。

 

[一言]

復讐、という言葉に感じる全てが込められている気がします。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

たった一つだけ好きな作品を選ぶのなら「煌炎」

 

描写の仕方が好きだったのは「雪の果」、

世界観が好きでシーンが光るのは「象牙の乙女」、

萌えやツボを感じたのは「シトリンの欠片」、

 

でした。

たくさんの美文に会えて嬉しかったです。

 

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