「天寿を全うして初めて辿り着ける永遠」
苦痛と取るか喜悦と取るかは心次第な前置き。
えー、今回は大人の道楽さんところの同人ゲーム「ロマンディックミスティリオン フリー版」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
元々は有料作品のR-18要素有なRPG。年齢差カップルで男の娘誘い受けが楽しめるBLものです。リンク先も年齢制限有りで、体験版DLページではえっちなCGが見えるのでご注意を。フリー版はこちらから飛べます。
フリー版と有料版の違いはエロシーンがあるかないか。フリー版もとい体験版と言えば基本的には途中で終わってしまうものですが、本作はトゥルーエンドだけでなくクリア後おまけ要素まで楽しめます。フリー版というよりは全年齢版という感じかも。
というわけで良かった点など。
衣装替えもたくさんの男の娘満喫ゲー
攻略対象は男の娘な死神、レヴィ。
内面や話し方はしっかり男の子してるタイプの女装っ子です。……と書き切っていいのかな。女装と男の娘の定義には揺らぎがあるので表現が難しいですね。
照れつつも誘ってくれるツンデレさんで、余裕のある成人男性なタキとの相性の良さを感じながらにやにやさせて頂きました。
で、熱く主張しておきたいのがこの男の娘要素のこだわり具合。
もっと言えば衣装差分の多さです!
ただステータス絵が変わるだけではなく、会話中の立ち絵が表情差分含めて変化し、さらには戦闘中のカットインから歩行グラフィックに至るまで。本当に全部が変化してくれる、細やかな出来に惚れ惚れでした!
男性向けエロゲだとお着換えはあるあるかもですが、カットインまで変わる作品にはあまり出会ったことがなかったので嬉しかったです。
色々な気候の地域に行けることも相まって、熱い地域では涼し気な格好をさせてみたり、ボス前ではデフォの正装に着替えさせてみたり、色々と脳内妄想を広げられました。
セーラーのデザインが特に可愛くて好き! ツインテ万歳!
メイン以外にもひっそりBLCP
本編のパーティは常にタキとレヴィの二人旅。安心と安定の固定CPです。他にも作中のキーキャラ同士でさりげなく矢印が出ていることもありまして、私はそっちの二人にとっても萌えて萌えて転がる勢いでした!
想いの内容が一筋縄ではいかない感じだったり、すんなり引っ付くわけではないけど強い感情が向き合っていたり、色んな種類のCPを見れるのがまた美味しいんですよね。あくまでタキレヴィ以外はサブCPなのでそこまで多く出番やそういうシーンがあるわけではないのですが、サブCPに萌えがちな私としては嬉しかったです。
基本はBLでサブイベントもそういう要素が多いですが、BLであることに固執されているわけではなく、サブでは男女やごにょごにょの要素もほんのりとあります。性別にこだわらない世界観というか、誰もが誰もを自然と好きになるような印象でした。このくらいが自然体に感じられて好きだなー、なんて。
BLは固定CP派で女性や当て馬を入れたくない、かつ、色んな恋やら情念やらを見たい自分としては、もう色々とありがたい作りでした。
様々な宗教観が成り立つ世界
主人公が坊主(モンクと言う方がイメージしやすいかも?)なだけあって、世界各地に宗教が成り立っています。恋愛禁止の宗派、他宗教にも寛容な宗派、自己の欲こそ正とする宗派、などなど。私事ですが倫理の教科書を飽きることなく読んでいた日々がぼんやりと思い出されました。
それぞれの教義の違いも興味深かったですし、某キャラの改宗の話にはハッとさせられました。宗教と言ってもカルトではなく、シンプルに考え方や価値観の違いだと感じる話も多くて、すんなり受け入れられた気がします。明らかな悪人も教訓話もあるんですが、我こそ正義也みたいな感じじゃなくて、温度感が落ち着いてるんですよね。この温度感、神は見守っておられるみたいな安定を感じました。
システム面でも「恩寵」という形で、祈りに神が応えてくださるみたいな世界観に説得力を出してあります。恩恵はかなり大きいと個人的には思うのですが、狙って起こせるものでもなく、起こったらラッキーくらいの塩梅なのもまたそれらしくて素敵でした。
あちこちで起こるサブイベント
そして人の価値観が千差万別であることを表すかのように、登場するサブイベントも豊富です。
特筆したいのがイベントの分岐の膨大さ!
かなり多くのイベントにトゥルーとノーマルな結末が用意されています。対立する意見のどちらに味方するかというわかりやすいものから、うっかり安易な道を通って真実を見過ごしてしまう、なんていうエンドもあり。プレイヤーの行動や選択がはっきり反映してくれる感じがあって、プレイしていて楽しかったです。
めちゃくちゃありがたいことにサブイベントの達成度がメニューから確認できるので、回収が捗りました。ついついセーブロードや2周目で別の結末を楽しんでみるなんてこともしちゃったり。
印象的だったのはアルブの話かなあ。ふっと消えてしまうところに余韻を感じて、なんとなく心に残っています。信仰心によって揺らぐのは神様的なものの王道ですよね。
廃都アダマスのどうにもならなさも好きです。タキの価値観がわかるセリフも好き。
あとは飲めや歌えやの酔拳イベント。どうしてもレヴィと一緒にいるとタキはお人好しな面のほうが強く出るので、彼のちゃらんぽらんな一面も見れて楽しかったです。
バトル好きもキャラ萌え派も嬉しいおまけ要素
詳しく語り過ぎるとあれなので詳しくは追記にて。
このパートだけでもう一本楽しめそうなくらい、嬉しいボリュームでした。
とまあ、こんな感じで。
他にも迷子にならないように目的が明示されていたり、どこからでも攻略できるように敵のレベルが調整されていたり、魔物図鑑があったり音楽鑑賞ができたり、細やかな気遣いが込められている作品でした。
男の娘、宗教や訓戒話、フリーシナリオ、イベント分岐や衣装差分多数、などにピンとくるならおススメです。
追記ではネタバレ感想。
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ネタバレ注意!
エンディングについて
進行度に合わせて起動画面が変わる演出、最高じゃないですか!?
私ああいうの大好きなんですよー……曲まで変わるのが本当美しくて、思わず声が出ました。好き! 特にノーマルエンドのほうは、エンディングから地続きでシームレスに起動画面に戻ってきて、曲がずーっと続いている演出が素敵でした。余韻をすごく感じるんですよ、あの旅がどこまでも続いてくれそうな終わり方とぴったり合ってて、もう最高です。
そんなわけであえてノーマルエンドのほうが好きなんですが、トゥルーのしっかり最後まで描き切ってやり切った感じもすごく好きです。死生で締められてようやく、タキが坊主職だった最大の意味を感じたような気がしました。
サブCPについて
アニスとユリウスに萌えた直後の脇腹をヴァルツとナハトに殴り込まれて萌えKOです。しました! カンカンカンカン推しCPだぞ崇めたたえよ!!
恋愛事にはフラットで特に想いの矢印が無いキャラも居て、皆が皆くっつくわけではないところも素敵な距離感だなあと思います。
アニスとユリウス
ユリウス加入時にアニス連れてた場合のセリフ、めちゃくちゃ可愛くないですか!? かわいい! どっちもかわいい! 好き! 片方の矢印が異様に重いのにもう片方はふわふわしてる感じがすごく萌えました。
そもそも本命には態度が違っちゃったり敬語に変わっちゃったりするのすごく好きなんですよ。某サブイベの髪の調達係がアニスだったのもあって色々と滾りました。
ヴァルツとナハト
ヴァルツが無性ってところにまず驚きました。その手の食いつく方々が多そうだけどそこを大っぴらに宣伝するとネタバレになるジレンマ!
元々、盲目とか拘束着とか好きなんですよね。魔術師タイプも好きなんですよね。いろいろとツボでした。好きすぎてヴァルツと共にナハトへ七回ほど挑んでしまったのは申し訳ないと思っています。
英雄王とリヒト
強者を求める英雄王がなんだかんだでカラッと明るく流れで事に及ぶ展開を見たいなあと思ったのですが相手としてしっくりくるのがリヒト様であまりの先行きの茨っぷりに震えが来ました。でも成し遂げてくれると信じているよ。
バトルについて
操作キャラが多いだけでもおまけとして嬉しすぎるのに各キャラカットイン技まで仕込んであるのもう最高の極みでもはや我々は踊り出すしかないって感じでした。嬉しかったです。
あえて挙げるならレベルがみんなバラバラになってしまうところは惜しかったかなあ。均一に育てて色々入れ替えたい派なんですが、育て切る前に魔物図鑑が埋まってしまったので、以降は固定メンバーぎみに進めていました。
とりあえずタキとレヴィはスタメン固定。レヴィだけでも入れ替えたらレベリングが捗ることを理解はしていますが心の逸物が拒否したので二人はずっと一緒です。
余談ですがレヴィをパーティから外しても着いて来てくれるんだよって言ってくれるの、どこまでも固定CP派に優しい気遣いでしたよね。細部まで行き届いた出来!
というわけで初期はアニスユリウスで進行。
ある程度性能がわかってきて攻守バランスも良いことがわかったので、適宜弟や姫姫王王に交代。中でも弟は優秀なサポート役、人形姫はデバフも治療もできてオールラウンダーな印象でした。
ヴァルツを殴り飛ばしてからはユリウス・アニス・ヴァルツを気分で交代させながら進み――――夜を6回ほど打ち破ったところでリヒトを仲間にしていなかったことに気付きました。うわー!ごめんよ!!正統派な性能でした!
一番苦労したのはフェアリュクトかな……。
確かメンバーが、タキ・レヴィ・エディ・ユリウスで平均レベル15くらい、相手☆二つか三つかくらいだったんですよ。うろ覚えがすごい。もうとにかく火力が全然足りなくって、かなりの長丁場になりました。育て切ったアニスユリウスで再戦したかったので、セーブデータ残しておけばよかったかなー、なんて。
思い返せばやっぱりユリウスの全反射がかなり強かった印象。ですが、どのキャラも個性があって色々と使いたくなる編成だったなーと思います。
その他
音楽鑑賞のコメントのゆるさがすごくツボです。「とりあえず覚悟を決めて倒す」。素材曲なのかな、選曲センスが好みなんですよね。激しい曲も落ち着いた曲も織り交ぜつつどことなく民族調寄り。トリスティアの森、イベントボス、人形姫関係、の曲がお気に入りです。
おまけモードになってからメニュー開いた時、もうあまりに美しすぎて変な声出ました。もう!そういう!粋な事!してくる!!好きです。青空から夕暮れを経て彼の元に辿り着くのもまた良いですよね。こういう見てわからせる演出は訴えかける力が強くてよい……。
ミスティリオンが機密なら、ロマンディックは何でしょうね。起動画面見るにロマン+xxCKってことなのかなー。
だいたい語りたかったところはこんな感じ!
萌えも、戦闘狂のバフデバフ全部盛りなバトル欲も、様々な分岐差分回収のコレクター欲も満たせて、とにかく肌身に合う作品でした。