うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「泡雪のguignol」感想

「神様は試練をお与えになった」

そしてそんなものは誰も求めていなかった前置き。

 

 

えー、今回はFavorite Gardenさんところのフリーゲーム泡雪のguignol」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

エンド分岐ありの鬱展開百合ノベル。読みやすく一文でぐっと心を掴む文体と、大画面で殺伐も感動もこなしてくれるスチルが人を惹く作品です。

 

 

 

では特徴など。

 

 

二つの意味で織りなすグランギニョル

 

タイトルが読めなくてググったのが始まりでした。ギニョール、およびグランギニョル。これを聞いて何を思い浮かべるかは世代による気がしますね。

ともあれ私は「荒唐無稽の残虐劇」というイメージしか知らなくてですね、調べてみたところ「指人形劇」というような意味合いもあるそう。知って思わず目を見開きました。パペットという細かな違いはあるものの、いやはやまさに、タイトル通りのお話です。

書き過ぎるとネタバレになってしまうので心苦しいのですが、よくTwitterでバズっている「信仰」「遺体を埋めに行くCP」みたいな概念が好きな方には刺さると思います。

 

 

教会に捨てられた子と貴族の娘

 

舞台は中世風ということで、貴族社会が成り立っています。メインキャラの二人は捨て子と貴族の娘。この持つ者持たざる者といった観点がまずもう好きなんですよね。一方で身分差問題に発展しそうなところは「養女の話を断った」という形でばっさりと切って、二人の関係性の話に留まってくれたのも読みやすかったです。

さらには「男なんて嫌いよ」と作中ではっきり述べられる通り、お家のために男のために消費される女性像がちらりと見えるのも、二人が二人の間で完結しようとする流れに説得力があって良かったですねぇ。

女と女の重たく一途な想い、これぞ百合に求めるもので大変潤いました。

 

 

惜しい点

 

心底惜しいなあと思ったのは、演出面。シーンの切り替え方とスチルの出し方です。

スチル自体はものすごく求心力のある絵なんですよ。しかも画面にバンと表示されるので、こっちも度肝を抜かれますし、本当持っているものはすごく良いです。

でも、それをどう見せるかが本当に惜しかった!

スチルの表示のタイミングが情景描写よりも早いので、プレイヤー視点だと文章で驚かされるより先にスチルで先の展開がわかってしまい、衝撃度が激減してしまっているんです。間に暗転を挟むなどして、文章でも「!!」となるタイミングぴったりでスチルが出ればものすごく効果的だったと思います。文章もスチルも高水準だからなおさら!

 

また、場面転換にも溜めが欲しいところ。

文章送りとページ切り替えがおそらく同じなので、長い時を過ごしたり深く思い悩んだりした後のシーンも直前と地続きだと錯覚してしまいがちでした。アイキャッチを挟むでも良し、暗転してウェイトを眺めに取るでも良し――――それこそ演劇のように幕を一時的に締める隙間があるとより感情移入も深まったと思います。

 

あと余談ですが、暗い鬱展開が大好きなので、あとがきの文章はちょっと寂しかったかな……。

 

 

とまあ、こんな感じで。

鬱展開としてきっちりやり切ってくれた印象の作品です。

信仰、思慕、家族愛、狂愛、理想像などなど、複雑に面を変える想いを抱えた百合が好きな方へオススメ。