うそうさ〜第二号室〜

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ホラー・ダークなノベルフリーゲーム5作品感想

「襖向こうに枕の裏側、電柱挟んだ影ひたり」

気付く後悔ほど恐ろしいものはない前置き。

 

えー、今回はノベルまたは読む系ADVフリーゲームの感想を書いていこうと思います。作者様はそれぞれ別々、例の如くラインナップはシリアス・ダーク寄りです。

作品はそれぞれ下記の目次の通り。

 

 

 

 

『悦びの檻』

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これぞ“ノベル”“ゲーム”、と言いたくなる和風雰囲気重視ゲー。

あらすじは、身体を無くした男が檻を行き来して取り戻そうとする話。

ホラーを目指して作られたとのことでしたが、恐怖よりは妖しげな印象が強かったです。襖向こうの濡れ場みたいな。展開はそんなそのお色気系じゃないはずなんですけどね、筆力に圧されました。

 

画面に表示されるのは本当に純然と文字だけなんですが、表示スピードやルビの使い方がたいそう凝っていまして。終盤の怒涛のフリガナにはもうね、ゾクゾクが止まりません。これはゲームという媒体で公開されてこそだなあと思わされます。

 

難点を一つ上げるならフェード効果の重さかな。演出としてはよいのですが、檻を行ったり来たりするのは軽い探索パートともいえるので、もう少しかかる時間を軽減して欲しかったかなと思います。

とはいえ、気になったのは本当にそこだけ。なんとなく引っかかっていたことがクリアした後のおまけとして一気に明かされるのも気持ち良かったですし、セーブという野暮な言い方をせずああいうやり方でセーブロードができるのも雰囲気重視で実に良かったです。

 

仄暗い雰囲気が好きな方、文字のみの表現力に圧倒されたい方にオススメ。

 

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『対象』

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分岐ありの現代和風ノベルゲー。ホラー。

章ごとに視点が切り替わっていくので、伝記や民話っぽい雰囲気があるかな。トゥルーエンドの後味は良いので恐怖としてはあっさり味でした。

ふにゃふにゃした可愛い笑顔のスチルスクショに釣られてダウンロードしたのが始まりでした。その印象通りというか、スチル面では満足。起動画面のふすまとクリック時のSEも不穏で好きです。

一方で、文章面ではちょっと私に合わないところが多かったです。一人称視点なのに三人称っぽい書き方が多いので俯瞰してる印象があり、いまいち入り込めなかったなあというのが大きかったですねぇ。

 

初めに辿り着いたエンドは電波系で、私が選択肢を選んだのも悪くはあったんですが、それまでの張り詰めた雰囲気が勢いよく崩れて茫然としましたw 後になってキャラが掴めてくるとあのエンドも微笑ましいなと思えたんですけども、いやあてっきりシリアス一辺倒だと思っていたので油断しましたね。

あっでも、一個ものすごく好きなエンドがありまして。七弦さんを取り憑かれたようにどうこうするあれなんですが。大好きです。「俺のほうを見てくれよ」みたいに思いつつやってることは手酷いと言うのがとても、こう、病みを愛し萌える者としてぐっときました。

 

 

 

『お前が僕の性癖を歪めた』

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一本道といっていいのか、ひたすらに病んだ男の独白を聞くノベル。

取り留めもなく思考のおかしな文章が続いていくので、読みづらい面もあります。が、一方でこの、このガチでヤバイ雰囲気は一級品、どこに行っても味わえないはずです。

 

なんかこう、あえてやってやろうとして書かれる狂気文ってどうしても理屈っぽくなるというか、頭がおかしいということを丁寧に説明してるくどい文になりがちじゃないですか。

それがこの作品はナチュラルに狂ってるんです。文法としては通ってるのに言ってる意味がわからない。丸ごと全て電波なのではなく、一部はわかりやすい理屈なのがまた不気味ですんげぇです。

「フフ、守ってあげたい~」的なところを読んでいると本気で恐怖の笑いが漏れました。人は恐ろしい時笑うという……。なんかリョナ寄りの愛で方だなあと思います。

 

画面が赤くなってからはまさに本番で、下手なホラーよりも恐ろしいなとびくびくしました。

終わり方がぽんと投げ出すように淡白なのもまた凄いところ。エンドロールこそありませんが、背筋にひんやりと氷を当てられているような寒気だけが残ります。

 

なお、セーブロードオートモード音量調節他、コンフィグ機能は一切ありません。容赦なく一直線に狂気で殴られましょう。

身勝手な男、狂気、性的暴力、などなどにピンとくる鬱展開好き向け。

 

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納涼! 短編ホラーフリゲ8作品感想 (『死んだカエルに捧ぐ』『びょーしにくちゃん』)

 

 

 

妄想少女

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一本道ホラーノベル。ちょっとミステリっぽいかも?

立ち絵などは有名な素材屋さんのものですが、章ごとのアイキャッチ画像や素材の改変など、視覚的な演出もしっかりされている印象でした。冒頭からしてかなりホラーですしね!

異様さ、を表す文章表現がかなり光っていたように思います。息を殺して隠れるシーンなんかもう自分まで息が荒くなってしまいそうでした。

 

気になったところは、時折妙に主人公が好戦的なところと、数字での描写が多いところかな。でも前者はこっちもあっちもおかしくなってきているという、妄想と現実の境が狂い始めている描写とも取れるかも。何より真相での心情を思うと頷けるかな。実際、臨場感もばつぐんですし。

ただ後者は何だろう、単純に作者様の癖なのかな。11段の階段とか5万円とか距離は15くらいとかなんだか妙に数字が多かったイメージがあります。

あと、私は短編ノベルでも分ゲでない限りけっこう小刻みにプレイしがちなので、起動画面からゲーム開始に至るまでのウェイトがかなり長いのが気になりました。

 

良点として挙げておきたいのはやっぱりタイトル回収の仕方。作中の要素が余さず使い切られた気持ち良さがありましたし、当てはめるものが複数ある楽しみもあって、かなり興味深かったです。

オチで評価が高まるタイプと見ました。

 

 

 

『この世で一番重要な『カネ』について』

https://www.freem.ne.jp/win/game/15526

 

Readmeもとい説明書には「この世で一番重要な『カネ』の話」とあるんですが、公式の略称が「カネつい」らしいのでたぶん「ついて」が正式名称なんでしょう。

中東が舞台、世知辛い世の中を感じられるエンド分岐ありのノベルゲーム。即ゲームオーバー行きの選択肢はあるものの、基本的には総当たりでクリアできます。比較的選択肢の○×はわかりやすいですが、タイトル画面に行くまで時間がかかるので、選択肢回収の際は時間つぶしだけ用意しとくと良いかも。

 

序盤のハサンとの会話で出てくる祈りの言葉?やアラビアな雰囲気でかなり異民族を感じられる一方、物語の根幹は誰しもに共通するものを感じられます。生きるためには金が要り、金のために稼がないといけない、当然とされることに真っ向から向き合っているストーリーです。

 

エンドについて、おそらくはエルの内心をさしてハッピーエンドとしてあるんでしょうが、個人的にはトゥルーエンドと呼びたいかなー、なんて。行った悪事に応じた展開で、でも周囲の縁と時の運で本願が叶う辺りは良い塩梅。私なんかはエルずるいなーと思ってしまいますが、物語としては良い落としどころだとも思います。

バッドエンドの真っ赤なスチルは必見。鬱やグロには慣れたつもりでしたが、画風も合わさって精神にグサッとくる良いスチルでした。一方で、にこにこ顔の妹のスチルも天使みたいでかわいいですよ。

 

同作者様の『バッドウェディングクラッシャー』を思うに、ダンサーになった後に行き詰まるかなにかでシスターに転向したのかな。妹の話は別作品で見れるらしいんですが、ブラウザのみなのでとりあえず見送ります。

妹が捨てられている経緯など、本作のみだと気になる点も残りはしますが、本筋はすんなりまとまったお話でした。

 

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