うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

フリーゲーム「リレガトゥーラ」感想

「紙をめくるだけで異世界に飛び発てるのですから」

トラックにぶつかりに行く必要性を問う前置き。

 

 

えー、今回はSinilintuさんとHimbeereさんところのフリーゲームリレガトゥーラ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ジャンルは乙女向け恋愛ノベル。二名の作者様が作られている、オムニバス短編作品集。作品数は計6つ(20181118現在)です。

 

まず、前置きとして。

ふりーむさんところからDLして、公式ブログにある攻略どおりに選択肢を選んだにも関わらず2作品が読めず唸っていたのですが。ふりーむでDLしたあと、さらに公式のパッチを当てないといけなかったんですね!

ふりーむの本体表記はver1.3じゃなく1.0表記にしてくれよ~と脱力しましたが……ハロウィンパッチのほうもパスワードつけて厳重にされているようですし、独自のこだわりなんでしょう。そんなわけで同じ轍を踏まないよう、これからプレイされる方はパッチを忘れず当てることをオススメ致します。

 

 

さてさて、ちょっと誤解があって第一歩に戸惑いましたが、蓋を開けてみるとかなり好みのシチュが多く、色々な作品が楽しめてかなり美味しい一作でした!

というわけで良かった点など。

 

 

 

作風の広さを感じられる合作

 

前述の通り、合同作品な本作。

説明文等を見るに絵とシナリオの交換型ではなく、あくまで各作者様が別個で一作品を最後まで手掛けているようなので、コラボというよりは一粒で二度美味しい感じ。作中の短編に相互の関係性はないので、お手軽に好きなものから読み始められます。

「主人公や雰囲気などシナリオによって違います」とあるように、舞台・テーマ・鬱orほのぼの・全てがガラッと異なる作品でした。

 

二作者様は個性がぱっきり分かれているので、どちらがどちらというのはわかりやすく、だからこその個性や面白さも感じられたように思います。キャラ紹介の描き方とかほんと違いが出てて好き。

見分けと言えばやっぱり絵柄が目に付きやすいところかと思いますが、文章の方もかなり癖がわかりやすく興味深かったです。勝手ながら判断基準としては、梅ヶ枝きな様はいわゆるシーン区切りや繋ぎの部分で熟考が始まる地の文蜜子様はそのキャラの年や属性を意識したセリフ回し、辺りが特徴的かなと感じますね~。

 

一方で、決して一芸特化ではなく多彩なのもポイント。それこそ初めはファンタジー担当と現代担当で分かれてらっしゃるのかと思っていたので、まったく別の舞台でも魅力を発揮されていて驚きでした。

違う作者様ならではの違い、同じ作者様ならではの作風の広さ、どちらも感じられるおいしい作品です。

 

 

 

ミステリアスな司書と少し不思議な世界

 

初めから短編がどんと始まるのではなく、まずはミステリアスな司書と出会うところからお話が始まります。共通ルートというよりはプロローグな感じ。

てっきりマグガフィン的な舞台装置として終わるのかと思いきや、司書さん自身にも踏み込めるイベントがあったり、こちらにちょっとした感想を投げかけてくれたりと、なかなかに出番の多い方です。彼が一番好き!というプレイヤーさんもいらっしゃる気がしますね。

特に初回の本棚では、性格診断めいたこともしてくれます。なお私は前向きで純粋とのこと。そう……かぁ!? ちょっと意外で楽しかったです。

司書さんパートもたぶんお二方で書いてますよね。よね? 違ってたら恥ずかしいな。ちょこちょこお茶目な面も見せてくれたなあと思います。

 

 

 

一筋ぞっと冷や汗の垂れる展開

 

さて、作風の広さを語った後に恐縮ですが、私は鬱展開が大好きなのでそちらに偏って話を進めます。

まず前提として、本作は一つの短編の中にバッドとハッピーの分岐が仕込まれていることがほとんどなのですが。ハッピーでもいわゆる「気づかなければ幸せ」な展開がいくつかあり、とっても嬉しかったです。好きなんですよこの手のシチュ。

バッドもこう、ブツッと終わるものからホラーちっくなものまで多種多様。その中でも、闇に誘われるような、ヤンデレ仄暗ダークメルヘン系が濃厚でとても幸せでした。

あくまで匂わせて終わるくらいの裁量なので、直接的な描写が苦手な人もご安心です。

 

 

とまあ、こんな感じで。

好みが雑食寄りの方、色んな作品をさくっと手軽にプレイしたい方などにおススメです。

 

 

追記ではネタバレ全開の各話感想。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事

フリーゲーム「青のアウェアネス」感想

フリーゲーム「蝶」感想

フリーゲーム「Retro Reflection」感想 

 

 

 

 

 

以下はネタバレ込みの感想。

 

 

 

ネタバレ注意。

最後のオチまで隠さずに書きます。並び順はプレイ順。

絶賛だけでなく、合わないところも書いているので、そこだけご了承ください。

 

 

 

醜い男と美しい妻の話

 

終盤以降、奥様も旦那様も台詞での描かれ方がすごく上手なんですよ! 

プレイヤーの知っている彼らがどんどん離れていって、二人だけの世界になっていく感じがすっごくゾクゾクして! 正常と狂気の境界線を揺るがすみたいなセリフの書き方がものすごく、ものすごく上手なんです! 好き!

 

だからこそ惜しいなあと思うのは終盤の演出。明らかに異常な空間の中で、立ち絵だけが浮いていた気がします。残念ながらいつもとのギャップではなく、異常者のフリをする正常な人に見えてしまって、とても惜しまれました。

欲を言えば別バージョンの立ち絵が欲しかった……。そうでなくてもいっそ旦那様と呼び出す辺りから、立ち絵自体を消してしまうのもアリじゃないのかなー、なんて。文章に集中させることであの台詞部分の表現力も際立ちますし、想像させる怖さも生まれる……ような……素人考えですが。

 

根幹の設定にはどことなく思い当たる別作品があるのですが、展開もキャラも全然別口で、似た設定でもかなり味わいが異なるんだなあと改めて多様性にしみじみ。

キャラ紹介の「サラダ取り分ける」がなんかすごいツボで吹き出してしまいました。こうしてみると両者とも二面性のあるキャラですよね。

序盤の、寂しいけどぎこちない愛を感じる優しいシーンも好きです。ああいうシーンが描写されたからこそ、終盤がとても響いたのだと思います。狂熱に浮かされたかのような雰囲気がとても退廃的でうっとりしました。

結論、萌えた!

 

 

 

幼い少女と不器用な青年の話

 

始まりから終わりまでほのぼの大団円の話でした。世界観が少女漫画のちゃお。

先に引っかかった点から。少女やモブキャラ達がかなり作り物っぽくて児童用教材のような言動をする点が気になりました。誰もが性善説であっさり説得に応じてくれる辺りは合わなかったです。

でもまあ、ヤンキーと幼女という取り合わせはそれだけでも萌えるものでして。少女ゆえの純真さで鋭く本質を突く、とか、小さくても恋は本気!とか、意図も伝わりやすいお話です。年齢差萌えの方はドストライクではないかな。

 

特に良いなあと思ったのは、スチルの構図! 

通常だと大人が子供に視線を合わせてあげるパターンがほとんどだと思うのですが、本作は自然と目が合ってるんですよね。そう、お相手がヤンキー座りをしてるから! こういう彼ならではのところがすごくツボでした。

親御さんの許可を取ってからお話したりお出かけしたりする気遣いも良いですし、親御さん側もおやつ代持たせてあげてて、諸々の配慮が行き届いていたところも好きですね。ここを省略せず、かつダラダラせずさらっと描写してくれているところが素敵。少女という弱い立場の社会生物にスポットが当たるからこそ、プレイヤーが安心して見守れる舞台を整えてあったなあと思います。

 

 

 

ヴァイパイア伯爵の噂

 

シャツ!!! 

腹抱えて笑いました。勢いが実に好き。

ルートによって雰囲気が一変するのも、意外性があって楽しかったですね。

 

まずは村の皆と話すほうから。「あっ噛んだもう駄目だ…」なところといい、なんかすごく見てて微笑ましいんですよね。笑いながらガンバレガンバレって応援したくなっちゃう。人の良さをひしひしと感じます。なまじ立ち絵が男性らしくてかっこいいので、ギャップに思い切り和みました。

 

次にお茶をするほう。こっちの設定はTHEハロウィンって感じで、好みの暗い雰囲気でしたね~。「食べたいけど食べない(概念含む)」というのが個人的萌えシチュナンバーワンにあがるのですごくテンション上がりました。こっちの彼は愛でくらくらしちゃってるからか、態度もぐいぐい来てて、糖度も高かったです。純粋に惚れちゃう。

どちらのルートも、正統派な萌えを感じた話でした。

 

 

 

魔女と黒猫の話

 

シャズの設定めちゃくちゃ上手いですよね。

彼が言い出すまで記憶喪失だって気づかなかったんですよ。ここさりげなくすごく上手なセリフ回ししてるなあって思います。ぼくはおおかみ。嘘は言っていない。こういう、あえて言わない、気づいていない、みたいな描写を自然とやってのける人は本当に文才があるなあと思います。

世界観も良い具合に仄暗くて好き。エンドが三つあるおかげか世界観がしっかり補強されていた印象でした。

 

名づけをして初めてアイデンティティを獲得する、っていうの、まさに魔術的で良いですよね。明るいエンドへ行けるあのわあわあガヤガヤしてるルートも好きですが、存在の不安定さ・不気味さ・闇の生き物の息遣いを感じられるほうのルートも好きです。

あれ、黒猫(パッチパス防止のため伏字)の名前を呼ぶと、シャズが黒猫に成り代わっちゃう可能性もあったのかな……。そうだとしたら二重にぞっとしますし、そういう展開大好きです……。

明るい方暗い方どっちでもシャズは不安定で生まれたての生き物、って感じで、一貫性があって良き。ある性質の両側面を見られるお話でした。

 

 

 

楽家の話

 

台詞がどれもアメリカンなノリで、外国人らしい距離感を自然と描写されているのが上手いなーと思いました。アメリカンというよりブリティッシュって言った方がいいのかな。しれっと口説いてくるところとか喜びの表現に比喩が多いところとかすごくそれっぽいです。彼が音楽家だからというのもあるかも。

言葉がどう伝わったのかなーというところが気になりはしましたが、全世界共通語で話す似非日本的なファンタジー世界かもですし、あるいはこっちがバイリンガルな主人公なのかもしれませんし、どうとでも解釈はつきますね。ここ突っ込むと長くなりそうなので、触れずに切ってあるのは英断。

 

時間を越えて君に会いにきた、という設定は王道ですが、直後に本人と出会うというのはかなり斬新でした。中でも鬱展開なルートのほうの、大人の態度に隠してかなりヤンデレてるところがツボです。決して直接手を汚したわけでもないのに、そっと暗雲立ち込める雰囲気にゾクリときました。愛されてるぅ。音楽の才能と恋の行方、どちらにも嫉妬がかかってみえる文脈なのも趣深いですね。

彼はなかなかのナイスミドルですが、もしあの年で死んだ幽霊だと取るのならばやっぱり早逝な気もします。ハッピーエンドの先にもの悲しい別れがあるのかもしれないなと思い、ほんのりとセンチメンタルになりました。

 

 

 

夏の幼馴染の話

 

短編で作中でイメチェン(髪型を切るだけだけど)する攻略対象というのもなかなか目新しくていいですよね。切る前のもさもさ中型犬っぽい感じも好きですが。

デザイナーベイビーと言う近未来SF設定を置きつつも、サイダーくぴくぴするくだりやアイス買ってそこらで食べるシーンはかなり現代的。この辺り、今の我々の生きる世界と地続きで起こり得る世界かもしれないなあと思わされて楽しかったです。単純に、テーマに干渉しない部分は今のままのほうが読みやすいですしね。

 

勝手な印象ながら、ののかちゃんみたいなタイプの子はああいう敦也くんみたいな子に「女々しい!」って言って愛想を尽かしたり人格強制したりする印象があったので、我は通すけど君に強制はしないというスタンスだったのがとても意外でした。シングルマザー云々のくだりがすごく好感度高いです。

一方で、二人が共にいる(結婚)が主軸なのか二人の子を作る(出産)が主軸なのかでかなり話の色が変わってくるところも興味深いんですよね。そもそも彼らは幼馴染でそういう関係になるという意識がないとなかなかくっつかない気もするし……ここもテーマの根幹に絡んでくるのかも。

二人の恋愛感情は純たるものか、恋が環境による擦り込みならばこれも実験の一つと言えるのか、等々の不気味な想像もできて良かったです。

 

 

 

まとめると、

完成度が高い&素直に一番好き 

  →「ヴァンパイア伯爵の噂」

萌える&エンドが好き 

  → 「醜い男と美しい妻の話」
世界観が好き 

  → 「魔女と黒猫の話」

な印象でした!