うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「黄昏の冒険記」感想

「運命が私を拒絶しようと、審判の刻まで命の砂を紡がなければならない」

具体的にはベリータルトを頂きたい前置き。

 

 

えー、今回はPIKA's GAMEさんところのフリーゲーム黄昏の冒険記」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ジャンルはVIPRPG、主役は凸シェイドⅢ。

ですがびっくりするほどVIPのノリはなく、もしもワールドでもありません。むしろ9.8割がオリジナル設定と言える一本道のRPGです。

 

 

普段は良かった点から入っていくんですが、本作においては合わなかった点から行きます。ここを覚悟のうえでプレイするのとそうでないのとはかなり差が出ると思うので!

 

というわけで合わなかった点から。

批判多めになるのでご容赦ください。

こういうシーンがあるよ、くらいのネタバレもします。

 

 

偏ったスキルと振り直し不可

 

私はステータス振り分け系のゲームだと真っ先に武器(物理攻撃)を上げる性質なんですが、それが本作では相性激悪でした!

スキルポイントもかなりコストが重く、振り直し可にして欲しかったところ。せめて振り分けた結果、どの程度性能が挙がるか、どういった技を覚えられるか、といったところは開示して欲しかったです。

 

以下は具体的な私怨なので読み飛ばしどうぞ。

本作は圧倒的に魔法ダメージが強力です。

例えばボスのHPが6000で、こちらの各スキルがMAXの場合。

通常攻撃 → 100ダメージ  魔法攻撃 → 400ダメージ

くらいの差はあります。

魔法攻撃も相性差によってはノーダメージなので三種の魔法を均等に育てていく必要は出てきますが……。通常攻撃は装備欄を三つ使ってそれでも運次第のクリティカルで削っていかないといけないのを考えると、魔法の方が圧倒的に安定します。

単純な話詰むんですよね。回復が追いつかないわ、状態異常にかかったら負け確だわ。そのうえ終盤ボスには珠の効果を全消しする技を連発されるので、クリティカル↑系の装備は軒並み無となります。ムリゲー!

案の定詰んだので数時間かけてスキルポイント集めしました。はぁ辛かった。

 

 

 

マップの行き来がしづらい・アイテムが集めづらい

 

これは私がアイテムを見逃がしている可能性も大いにあります。が、それでも言いたい、テレポートオーブの枠が少ない!

本作は街と街の行き来に敵の出るマップを3つほど通り抜ける(全逃げしても5分はかかる)くらいの距離感があるんですよね。それどころかダンジョンの奥の奥の奥地でボスがいるようなところに居を構えている村も。

引き返す必要がないなら問題ないんですが、ここでアイテム調達の面倒さが問題になります。

本作はお金の概念がないので、一日一回ラインナップの変わる交換屋を使ったり、一日一回無料でアイテムをくれるお店に通ったりするのが基本です。その街限定のアイテムもそこそこあります。つまり、宿屋に止まったら色んな村を回るのが効率的。一方で行き来にはかなり時間がかかる……相性が悪いんですよねぇ。

ついでに言うと、全体的な演出も含めテンポはかなり悪いです。宿屋、ワープ、回想シーン、船移動など何かにつけウェイトを挟むので。

 

 

回復手段がダンジョン内で尽きると詰み

 

上記のとおり、アイテム取得に手間が多いのにも関わらず、ダンジョンの仕様はかなり鬼畜です。

まず、ボス前回復は原則一切ありません。ボス前ワープもありません。ダンジョンを踏破したボロボロの姿でボスに突入です。テレポートも封じてあるので回復手段がダンジョン内で尽きると詰みます。

そしてフィールド上に物が落ちていることもあるのですが、マップの端は基本的に画面からはみ出ているので、一目でキラキラマークが見えず、行き止まりとわかっている道を進む必要も出てきます。いや必要というほど重いものではないんですが、用意されているものを無視する構造はそもそもズレてるかなとも思うので。

そのほか具体例として。引き返し不可(警告なし)で回復ポイント皆無のダンジョンにMP吸収系の雑魚敵がわんさか出てくるとか。正規ルートを通らないと引き返すことになる分かれ道が4つあって道は総当たりとか。見通しの悪い森マップが三連続とか。

私のように迷子になりがちなプレイヤーさんは覚悟を決めましょう。

 

 

キャラクター付けが無難

 

ここは良点というべき箇所かもしれませんが、私個人としては合わなかった点になります。各キャラの性格やセリフ回しがあっさり味です。

謎めく教団はいても電波的な台詞を聴くことは少なく、街の人はだいたい親切。血が出るシーンやシリアスシーンはあれど、どうにも台本的。予想の範囲に収まるテンプレ台詞が多かったので、長編の感動・ドラマティックな展開・胸を打つキャラクター、みたいな要素は塵とも無かったです。

ただ、動機や行動原理はきちんと明示されているんですよね。なので読みやすいし、王道ではあります。わかりやすいお話を楽しみたい、王道は好きだけど熱血は苦手、ストーリーでそんなにグイグイ迫ってこられたくない、という方には合うのかも。

 

 

 

ぐだぐだ書きましたがまとめると、

・マップが無作為に広い

・戦闘バランスが極端

・全体的にテンポが悪い

・キャラがあっさり

という感じです。

 

 

 

さて暗い話を終えたので本題行きましょう!

本作の好きなところ! いえーいパチパチ!

いやこれがあったからこそエンディングまで行けたんですよ。

というわけで良かった点について。

 

 

 

中二心をくすぐるワンシーン

 

祭りサイトにあるとおり、「厨二的シナリオ」です。

主人公の属性は闇でもなく黒でもなく陰!

記憶喪失でシニカルな喋り方をする女主人公!

精神世界でもう一人の私と対話する展開!

選ばれし者が手に出来る槍を床に突き刺すと道が開け!

鏡に光を当てて紋様にかざせば扉が開く!

奥義で翼生やしたり極大ビーム出したり吸収攻撃したり!

こういうの皆好きでしょ、という概念やワンシーンをぎゅっと詰めてくれているのが本作です。私も好き。わかる。

 

厨二と言っても、エンジェルフェザーが生えて鎖と薔薇がじゃらじゃらするタイプとか、組織の陰謀に立ち向かうべく秘密警察コードネームαことチーム最強の俺が名乗りを上げるタイプとか、暗黒破壊神が≪審判の右手≫を振りかざすタイプとかがあると思うんですが、本作はどれともつかずどれも拾っていく感じでした。

要はひたすらにカッコイイ演出が詰まってる感じ。

ジャンプでダークヒーロー系の読み切り漫画やってる感じ。

反社会的っていうわけでもなく、基本的には善意で世界が回っている感じなので、厨二は好きだけどヒャッハー系はちょっと……という方にも安心して見てもらえる展開だと思います。

 

好きな演出はほんといっぱいいっぱいあるんですが、中でも一番はワープ時の演出! ウェイトが長いって叩いておいて何なんですが、あのモーション自体はすごい好きなんですよー! 着地時に波紋が浮かんで、爪先から優雅に舞い降りるような、あれ。凸シェイドⅢは長髪だからなお映えるんですよね。イラスト化で一枚絵でも見たいです。絶対絵になる。

 

 

 

細かい変化にこだわるマップ

 

さりげなーく感動したポイント。

雨害を受けた村の、川が増水して道のマップチップが狭くなってるところ!

いやこれ言葉だとふーんで終わるんですけど目で見ると「おお!」って思うんですよ! ちゃんと展開がマップに反映してる……危機感が目で見てわかる……! こういう細やかな仕事人ぶりはほんと好きでした。

ゲームとしてのマップ作りは前述の通り合わないんですが、演出としてのマップ作りはレベルが高いです。目立った自作チップで覇権を取るのではなく、細やかな良さが積み重なっていいなあと思える感じ。

 

前述の他にも、例えばラスボス前の道は本当美しかったですねぇ……。禍々しさと幻想的な雰囲気が見事に調和してて、何もない行き止まりなのに景観目当てでついスクショ撮っちゃいました。

 

 

 

オリジナル設定の中でのシェイドⅢ

 

世界観はもしもワールドではありませんし、主人公は名前変更可能で、よくあるはい設凸シェイドⅢとも違った性格をしています。具現化キャラなどの代表キャラも全くと言って良いほど出てきません。

それでも、シェイドⅢを使ったところが上手いなあと思うんですよね。

プレイしていただいた方なら理解してもらえるかなと期待してるんですけども。きちんと、シェイドⅢである理由というか、彼女が選ばれた訳にピンとくるところが好きでした。

それを象徴するように、戦闘属性が闇・光・陰なところも独特。街にいるモブキャラの属性説明文も好きなんですよね。属性相性をしっかりこう、神話っぽく表現してくれるのすごく好き。

 

 

 

ドットがよく動く戦闘アニメ

 

バトル自体はコマンド選択型(デフォ戦)なんですが、キャラクターのドット絵が常に戦闘画面に表示されています。サイドビューってやつだ。で、どの行動をしてもとにかく主人公がバリバリ動いてくれるんですよ! 見ててすごく楽しかったですし、なにせ厨二心を大いに“わかって”くれてる作者様なので、どの演出もカッコよかったです。

武器が槍なのもポイント高いんですよね! 探そうと思ったら案外見当たらない気がします、槍使いの女の子。FEとかSRPGではよく見るんですけども。

魔法も詠唱やら髑髏やら闇を想起させるオーラやら、とにかく色々と“疼く”グラフィックでした。こういうのほんと好き。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

合わなかったところもあるけど、心から拍手喝采したいレベルで秀逸なワンシーンに出会える、このためにプレイしてきたんだと満足できるRPGでした。