うそうさ〜第二号室〜

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フリーゲーム「シオン」「春壊譚~しゅんかいたん~」「咲乱行進曲」「LL」「SEED」感想

「季節をつかさどるものこそ四季折々を感じずに」

常春は秋を知り得ない前置き。

 

 

えー、今回は夜宵空ノ果テ。さんところのフリーゲーム「シオン」「春壊譚~しゅんかいたん~」「咲乱行進曲」「LL」「SEED」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

明言されているものとされていないものがありますが、全体的にふわっと繋がりを感じる作品が多いです。

「シオン」「春壊譚」はキャラが続投しつつもストーリーは別物の作品。

「LL」「SEED」は世界観が通じていそうな感じ。

「咲乱行進曲」は単体、のはず。

 

 

というわけで順番に感想を綴っていきます。

どれも30分~1時間未満でクリアできるはず。

 

 

 

 

『シオン』

http://nanos.jp/yayoihate/page/17/

 

[ストーリー]

エンド前に分岐があるものの、大筋は一本道の短編RPG

お兄ちゃんとの約束を叶えに、お月見に来た少女イトラの物語。……と見えて、タイトルからもあるとおり、物語の核を握っているのはシオンです。

展開自体は序盤から予想できる通りなのですが、終わらせ方がとても好みでした! 約束に約束を掛ける、メルヘンな呪いのようなお話。イトラが徹底して純粋無垢で、無知な少女として描かれているところがとても好きです。

 

[バトル・システム他]

RPGとして見ると、諸々のバランスはかなり大味。

  • イトラのTPが一切活用されない
  • シオンの家を境目に敵の強さが急上昇する
  • エンカウント率と攻撃のミス率が高めでグダる
  • そのわりにボス自体は弱い
  • 村や家が極端に広い

など。

それでも同作者様の他作品に比べれば許容範囲です。

まあRPG要素はあくまでストーリーのためのおまけと思う方がいいかも。

でも演出面は良いんですよ!

 

[演出他]

面白かったのはBGMの選出。この曲をこの場面に使うか、と驚かされることが多かったですし、ばっちりシーンにハマってるんですよね。どの曲も良曲ですし。夜のバトルやフィールドの曲が好き。

敵の名前もさりげなくウィットに富んでます。こげいもの畳みかけはずるいわぁ。思わず笑いました。

最後にはタイトル画面ですっと引き締めてくれて、苦い後味と優しいヴェールを感じさせてくれる作品でした。

 

[一言]

総括、粗削りだけど私は好き!

 

 

 

『春壊譚~しゅんかいたん~』

http://nanos.jp/yayoihate/page/19/

 

[ストーリー]

一本道短編RPG

「私は春を壊しに来た」。この一言だけでもう、どんな物語なのか、わくわくが無限大に集まってきやしませんか! 

特段アピールされているわけではありませんが、キャラクターとしては『シオン』の続編となる、はず。それらしいセリフもありますしね。『シオン』既プレイの私は、お月見という秋からなぜ春に執着することになったのか、という謎もあって二重に楽しめました。

最低限の設定だけ明かして想像しやすく、かつ熱い場面ではバシッとスチルを使って盛り上げてくれるところも良かったです。短編のボリュームにしっかり合ったストーリーでした。

 

[バトル・システムなど]

大いに評価したいのが、マップの改善!

前作と比べるとかなり、ものすごく改善されていて嬉しかったです! 

景色がどんどん変わっていくので、歩くのが楽しいというのが一点。ただの行き止まりではなく滝や橋などを通して見た目としての美しさも見せてくれたのが一点。さらには少しずつ変わりゆくマップ自体がストーリーともしっかり絡み合っていて、とても良い演出でした。

 

一方、バトルは相変わらず大味な面も少々。以下羅列すると、

  • 属性相性の説明が一切ないにも関わらず魔法が他属性に分かれている(弱点属性も設定されているらしい?)
  • 雑魚敵がスタン睡眠混乱を乱発してくるのでハメ殺されるうえ、状態異常防止の手段が存在しない
  • 一人旅なのでディスペルハーブやキュアがほぼ機能しない(せいぜい毒のみ)
  • シンボルエンカウントが消えるまでラグがあるせいか、連続して敵に当たると倒したはずの敵が倒されていない判定になる時がある

辺りですね。

この作者様のRPGはどれもいまいち戦闘の難易度が掴めないなーと感じます。難易度が楽だろうが鬼畜だろうが一貫していたら馴染みやすいんですが、毎回違うルールのじゃんけんしてる感じがしました。

とりあえず、状態異常持ちの敵複数登場させるのはかなり練らないとグダる、ということは言いたいかな。

 

 

[キャラ他]

個人的に、イトラのイメージがガラガラガランと崩れてしまったのが寂しかったですねー。前作の流れ的にイトラはツンケンした強さではなく、兄がいないという辛い事実に向き合える柔らかな強さを持った子だと思っていたので。前作のオチがああだったので、性格が変わるのも理解はできるんですが……寂しい。

まあただこれは、侵入者の分際で人の家に放火するという導入に驚かされたから-イメージがこびりついてしまっているだけな気もします。放火自体は後からフォローが入って、むしろ良い伏線として生かされましたし。インパクトもあるし、いや本当あそこは感心しました。

それに、人知を超えたもの、現象や概念に対して喧嘩を売りに行くという発想と勢い自体はとても好き!

 

[一言]

さくっと数十分、何よりあのキャッチコピーにピンと来たなら。

 

 

『咲乱行進曲』

https://www.freem.ne.jp/win/game/11797

 

[ストーリー・キャラクター]

一本道一時間くらいRPG

季節人、という主人公達四人組が雨をもたらすためにちょっくら遠出するお話です。咲乱梅雨前線行進隊、もそうなんですが、この作者様ってキーワード作りがすごく上手いんですよね! もうこのタイトルだけでワクワクしません? このタイトルに当て字をするのが好きなんだよなあ!

 

さてさて絶賛する一方で、設定の見せ方は弱い印象もある本作です。

とりあえず素朴な疑問として、天候人じゃなくて季節人なのは何故なんでしょうね?天候を通じて季節が決まるから、ということなのかも。単純に季節人のほうが語感良いですしね。

で、こっちが本題、物語の根幹に関わるネタバレを含むので、以下文字色薄くして伏字。

一つの設定に対して誤解されやすい言い回しが多いんですよね。「(街の人との会話)季節人なんてたくさんいる」→「皆雨の季節人でニワカは元晴れの季節人」→「晴れの季節人はテルマ以外いない!」とか。この流れだとニワカとテルマが何か重要な関係を持っているのかなと思えそうですが、実際はなんか……ニワカが昔同業だっただけみたいな……消化不良感あります。

終盤になって「ニワカは晴れの季節人です」ということを強調していたのに、また「今は雨の季節人だ」と掌くるくるするところも、話についていきがたいですし。

また、街の人との会話で季節人なんて大した存在じゃないって言ってたのに、季節人の裏事情はかなり前時代的でおどろおどろしいんですよね。せっかく街があって一般市民の反応が回収できるんだから、季節人を皆が拝み倒すとか、あるいは儀の風習について触れるとか、宗教めいたことを見せてあると良かったかも。現状説得力があまり感じられませんでした。闇のある設定好きなのでなおさら! 惜しまれる……。

まあごちゃごちゃ書きましたが、作者様の脳内での設定が先行しているというか。プレイヤーにキャラの魅力を伝えよう、世界観を知ってもらおうという気はあんまりなさそうだなあと感じる描写でした。

自分は考察ゲー好きなのでそういうキャラ先行型の創作全部を否定する気はないんですが……。置いてけぼりになった、というのが正直な感想です。

でもお話の勢い自体は良いんですよ! 前述の通り、キャッチコピーにかなりの求心力がありますしね。作者様のこだわりも感じますし、「やりたいことをやりたいようにやった!」という達成感は伝わってくる、フリゲらしい作品であるとも思います。

 

[バトル・システム]

前述と被るところもありますが、この作品、キャラゲーなのにキャラゲーしてないのがすっごい勿体ないと思うんですよね。しかもキャラの会話ねじ込む隙間が十分にあるからいっそう、いや本当に惜しい。

例えばEXボスについて。倒したらご褒美にキャラ四人の軽い掛け合いが見れる、なんてことがあったら、めちゃめちゃ推してました。だって過去が気になる子多いし、四人がどういうキャラなのかもっともっと知りたかったもん!

でも現状は、戦闘難易度のゆるさもあいまってダンジョン探索がただの作業ゲーになってしまっているところが残念です。

まあ無茶な戦闘バランスを投げられるよりは良いかも。状態異常の予防手段や回復手段が複数取れるようになっているところも、改善を感じます。

その他、マップも作品の長さに見合った広さでしたし、街の行き来がしやすくなっているなど、作品を重ねるごとに技術がブラッシュアップされている印象は受けました。

 

[グラフィック・演出]

本作で嬉しいのは、カットイン!

バトルで必殺技使うと、なんとボイス入りのカットインが見れちゃうんですよ。しかもパートボイス付き。TP技なのでバンバン使えますし、皆かっこよくて楽しかったです。

主人公がデバフ係というのもフリゲではあるあるですが、鞭装備というのはけっこうレアでグッときました。サミダレ自身はけっこう陽キャっぽい雰囲気だから、鞭っていうこう、武器のチョイスにギャップがあって良いですねえ。

 

あと、私一番、何よりも一番推したいのが本作の起動画面なんですよ!

起動画面の構図と、行進曲というタイトル、雨のイメージが持つ繊細さと、曲調からくる前向きな明るさ! どれもがすごくぴったりで、クリア後もこの起動画面でずーっとBGMにしてるくらいにはお気に入りです。曲だけじゃなくてロゴとか画面とか全部好きだから、ゲームごと起動して聞きたくなっちゃうんですよね。

 

[一言]

例の敵が言う、雨の季節人らしくて○○しい、という表現がとても彼らにぴったりで大好きです。

 

 

 

『LL』

 

[ストーリー]

一本道探索ゲー。暗くてダークな雰囲気ではありますが、ホラーではないです。追いかけっこもなし、時限イベントもなし。ただ怪物的なものは登場するから、どんな些細な要素でも怖いの無理って方は注意かな?

お話自体は散らばった日記を読んで背景事情を察するようなつくり。自然災害による終末、科学実験っぽい世界などが好きな方にはしっくりくるかと。

 

[システム・グラフィック]

調べるポイントにしっかりマークがされていて、それさえたどれば自然とエンディングまで見られる易しい仕様です。視界制限があるのでマーキングはとても助かりました……!

どことなく不気味な要望の主人公や、静かに機械が駆動するばかりのサイバーSFっぽいマップなど、無機質な圧を感じられる雰囲気です。

 

[一言]

短い中でラストにインパクトをくれる良質短編ゲ。

 

 

 

『SEED』

 

[概要]

エンド分岐ありの短編探索ホラー。分岐自体はアイテムの有無、取得ポイントは光るし見逃しやすそうなところはドアの変化でプレイヤーが立ち止まれるようにしてあるので、難易度は易しめ。

この作品だけブラウザゲ(RPGアツマール)なので注意。

短い距離の追いかけっこあり。

 

[ストーリー・キャラクター]

主人公大好きなんですよ! 

スレて自己中心的なところと、人並みに怯えるところ、両方がバランスよくてとても人間味を感じました。食堂での扱いを見るに、元々勝手な人間なのではなく周りから疎まれてそうなったっぽい印象。

きちんと焦ってくれて、かつ進行に支障をきたさないところがいいんですよね。危機感も生まれるし、キャラ萌えとして見ると怯えてる反応がかわいいし。

あのキャラだからこそ、あの無慈悲なエンドに納得感が生まれてる気がします。エンド分岐があるにしてもどちらにせよ……というオチも含め、とてもホラーらしくて素敵。

 

[グラフィック]

探索モードに切り替わる時の画面演出、最高でしたよね!!

あの、カシャッという音がまた良いんですよ。画面の切り替わりもかっこいいし、取得アイテムもわかりやすいし。顔グラがまばたきしてくれるところも細やかですごい。

追いかけてくる例のあれのグラフィックも、かなりおぞましくてグッときました。ああいう寄生みたいなのに原型が残ってるのすごく好きなんですよね。お部屋によってベッドや部屋の汚れ具合が違うのも凝ってるなあと感じました。

 

[一言]

グラフィック重視もストーリー重視もきっと満足できる完成度の高い短編。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

まとめると、

  • 完成度が高くて好きだしオススメ→『SEED』
  • 作者様の傾向が掴みやすい入門編→『シオン』
  • 決め台詞が一番好き→『咲乱行進曲』

でした!

 

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