うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

フリーゲーム「春の幻影」感想

「能ある魔法使いは杖を見せず」

そぶりも無ければより恐ろしい前置き。

 

 

えー、今回は水温25℃さんところのフリーゲーム「春の幻影」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

乙女向け男女恋愛ノベルゲ―。

主人公はケモミミ狼娘。色んな種族や魔法が存在するファンタジー世界ですが、基本的にはまったり日常話です。ただ公式にある通り時々死にます。でもメインはやっぱりほのぼのあたたかいお話です。

 

というわけで、良かった点など。

名前や立場は出しませんが、隠しキャラの存在にも触れはしますのでご了承を。

 

 

違うからこそ尊重できる

 

獣人と人、魔法使いと素養無し、世間知らずと旅人、狼と羊、などなど。

メインとして登場するキャラは全員が違う種族で、魔法の素養もそれぞれ違います。そしてそれらの描写の仕方が、なんだか優しいなーと感じる作品でした。

例えば主人公は肉食を嫌う狼ですが、肉食をする仲間たちを嫌悪しているわけではなくてあくまで言いなりになれと強制されるのを嫌っているんです。片方を否定するんじゃなくて、無理やり一元化するのが嫌。こういう作品全体のスタンスが好きでした。

このポイントが回想シーンや、彼と姉との違いからきちんと伝わるようにできているのも、上手い描写なんですよねぇ。某バッドエンドとトゥルーエンドを分ける夢のイベントも、差の付け方がすっごく好きです。何でもかんでも同じになりたいわけじゃないってことだったんだろうなあ……。

 

 

 

恋よりも穏やかな関係性

 

口説かれたり甘い言葉をささやかれたり、という意味では糖度低め。ですが、お互いのことをよく知り合い、心地よい関係性を築けているという意味では糖度高めだと思います。

片や幼馴染、片や師弟関係で、お互いをよく知っているといえるからこそエンドが響きました。お互いの理解者になったというより、元より良い理解者であったことを再確認した感じ。

 

特に先生ルートの収まり方が好きなんですよー。明確な恋人という枠組みを遣わずに、でも意識し合ってて心地よい関係。形容するのに良い言葉が思いつかないのも、彼らだけの特別な関係を築いているからだろうと思うとにこにこします。

キールの自律心がきちんと育っているのもポイントですよね。素直で良い子で流されやすいけど、おかしいなと思ったらきちんと言えるし、相手のことをよく見てる。口調が特徴的な子だなあと思っていたんですが、「あなた」という丁寧な二人称と「~だ」という一見ぶっきらぼうな文末が多用されるこの口調に、キールらしさが全部詰まってていいな~と思います。

 

 

 

力を持つからこそ考える

 

公式にあるとおり、たまに死にます。ほのぼのした世界観ですがわりと本当に死にます。

ただ、陰鬱さや超展開感は少なく、仄暗さが見えるのもそのワンシーンだけなので全体的にはやっぱり明るい作品です。

なんというかこう……私の嗜好的にここってめちゃくちゃ語りたいけど語るのがものすごく難しいポイントでしてね! もっともっと見たいけど公式がここで留まってくれているからこその良さとして語りたいというか、ここを推しすぎると誤ったマッチングを起こしそうというか。なので追記に伏せます!

 

ともあれ、本筋として語りたいのは力の使いどころについて。

先生は魔法の力、キールは狼の力、そして某キャラは──。

メインキャラそれぞれがそれぞれの形で力を持っていますが、だからこそ力で全てを台無しにしてしまうことの危うさもよくよく自覚しているなあと思える描写が多かったです。だからこそ、表に出したがらなかったり、強く強く罪悪感を抱いたり。

こういった価値観の描写ってすごく大事だと思うんですよね。駄目だと思っている、そっちに比重があるからこそ映えますし。

尊重と暴力が同時に成り立っている貴重な作品だと思います。

 

 

とまあ、こんな感じで。

のんびりとした語り口で、少し危なっかしいところがありつつも、見守りたくなる関係性が楽しめました。

追記では各エンドやキャラクターについてなど。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

 

 

ここからネタバレ

 

 

ウォルク

 

先生すっっっごく好きなんですよ!!!

目が常に死んでるのがすごくツボ。そのわりに笑うとかなり幼くみえて無邪気なところも好きです。生きづらいとは思うんですけど、生きててくれてよかったなあという気持ちもあり、どんどん素敵なものをキールと共に見ていって長生きして欲しいなあと思いきました。これ何目線なんだ?

 

 

本作は病みルートがないからこそテーマが一貫していて素敵な作品だと思うので、描写としてはあの範囲で満足花丸嬉しい最高って感じなんですが、ヤンデレ好きの者として二次創作的に深読みするとですね。

トゥルールートではレオニスの素性が一切明かされないところに、こう、なんとも不穏なものを感じるのが、実に。滾る。

返り血やら自害やら云々の話についてもですね……あんまりレオニスがバレたり先生(夜の魔物)に出会ったからといって自害を選ぶようにも思えなくてですね……。つまり……キールを害された怒りで先生がプッツンして闇に葬ってしまったのではないかと……妄想して……悶えていました。

キールがお薬入れようとしたシーンで駆けつけてくれたのがすっごい萌えたのもあるんですけど! 後日談でもさりげに当て馬君をけん制しに行っているような気もしましてね! 何かと見てないようでキールのことめっちゃ気にかけてるよねって思って! そして諸々の暗部についても、見せずに済むなら見せないでおこうかなくらいの雑さで隠していて欲しいしキールキールで気遣い屋なうえに突っ込まないからなんとなしに平和な世界が続いているくらいの塩梅がいいなって思って!

 

色々と萌えが……バーニングでした……ありがとう……。

 

 

 

レオニス

 

こっちは逆にトゥルーだと先生とのご挨拶も経て公認で同棲しているのがいいなーって思いました。色々筋を通すのがレオニスっぽいなあと思います。周りが何とも言わなくても自分の中のけじめとして挨拶回りとか妻の紹介とかしてそう。

おまけの漫画にもにっこにこでした。キールがいると強くなれるしキールがいると弱くなっちゃう、良い感じにベタ惚れですよね。微笑ましい。

 

「いなくなるならいっそこの手で……」とか「せめて優しい夢を見せながら自分のものに……」とか、やってることはかなりのヤンデレ案件なはずなんですが、本人がかなりとてもものすごく胃を痛めながらやっているであろうことが察せられるだけに、こう、たまらない気持ちになります。

この、一歩踏み越えてしまうと大変なことになってしまうという危うさは実にヤンデレだと思うのですが! ヤンデレだぞと大手を振って喧伝するのは躊躇われるし何よりそれを我慢しているレオニスこそが輝いて見えるのでなかなか言いづらく! でも好き!!!! みたいな。

ヤバイシーンはささっとカットしてデッドエンドもあっさり味で終わってくれますし、主題が病みにあるわけじゃないんだろうなとは察しています。実際、ふたりのほのぼのした関係性も好きですしね。

 

とりあえず、不穏一歩手前の塩梅が実にうまい作者様だなー、なんて。

 

 

余談ですが彼のテーマ曲として選ばれているらしい素材曲が好みで、おまけ閲覧中はあの曲ばかりかけていました。ページ切り替えても音楽鑑賞が継続できるのってさりげなくすごい技術ですよね。ありがたい。

 

 

 

 

熱く語りたいのはこのくらいかな。

なんというか、全体的にあたたかくて優しい価値観が見える素敵な作品でした。