うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「大海原と大海原」感想

「キミがこんな時に笑うんだってこと初めて知った」

キミがこんなふうに泣き叫ぶんだってこともな前置き。

 

 

えー、今回は海底囚人さんところのフリーゲーム大海原と大海原」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

RPGとあるもののプレイ感はADV寄り。

物語上の関連は薄いですが、システムの特徴としては別作『灰色庭園』とほぼ一緒です。なので具体的に知りたい方はそちらの記事の前半を読んで頂けると幸い。

また、最近になってリメイク(演出強化版)が公開されました! 当記事はリメイク前の内容ですのでご了承ください。 

 

というわけで、良かった点など。

 

魔女と和風が寄り添う世界観

 

前情報として知っていたのが、「魔女が出てくる」「海の世界」「不穏」くらいだったんですよ。で、実際プレイしてみると、想像以上に和風な要素が多く出てきて驚かされました!

確かに海って海神様云々で和風モチーフが出てきてもおかしくはないんですよね。

西洋イメージの魔女っ娘、革ジャンシルバーアクセじゃらじゃらヤンキー、和服美女、これら和洋折衷入り乱れがすんなり違和感なく受け止めれるような世界観なのが本当すごいなーと思うんですよ。

自作マップで統一されてるからなのかなあ。ともすればちぐはぐになりそうなのに、一つの「大海原と大海原」の世界として丸ごと受け入れられちゃうところが凄かったです。

海の中に鳥居、浪漫が実に良い。

 

 

豊富な衣装とキュートな違い

 

『灰色庭園』はヨザファイア個人のお話と世界の危機のお話、二つが同時進行していく群像劇な印象でした。一方で本作『大海原と大海原』は主人公大海原が色んな意味で中心です。

で、注目したいのが大海原の衣装替えについて! 作中で何度かお着替えしたり変身したりするんですが、この違いがすっごく魅力的でした!

真っ白の無垢な少女から始まり、可能性を秘めたマリンカラー、そしてそこから決まった一色へ。爪先から帽子の先まで、隅々までモチーフが凝っていて、どれもすっごくキュート! あえて比較するようなスチルやエンド絵が用意されているのも、見ように寄ってはかなり皮肉で、痺れます。好き。

大海原がこれだけ衣装持ちなのもやっぱり、大海原の特別感、中心人物感がよく出てていいなー、なんて。そんなわけで全体的なシステムや進み方は前作と近しいんですが、魅せ方はまったく違った味でした。

 

 

秀逸なシステムグラフィック演出

 

スチル、立ち絵、マップなど、グラフィックの演出は飛び抜けて魅力的です。死の海のあれとか、もう、ザッと血の気が引きましたもんね。すさまじくて。

もう見た瞬間に破壊力の強さは伝わると思うので、未プレイの方は見て感じてもらうとして。

個人的に注目したいのが、システムグラフィックの変化です。メッセージウィンドウから始まり、顔グラ、メニュー画面などなど、あちこちが細やかに変化していくんですよね。こういう場所ってプレイしていると一番目に付く一方、ここってある意味メタな部分だとも思っていて。このメタさが、プレイヤーを認識しているような冒頭のモノローグ、世界が侵食されていくような感覚と上手く噛み合ってるなあと感じました。

 

 

見せない方が興奮する法則

 

公式の年齢制限と注意書きの通り、物語終盤はけっこうなエログロがあります。

表現自体は一応、間接的なんですよ。局部や汁が出るわけでもなければリアルな臓物がでるわけでもなく、ドットがちょっと赤くなるくらいですし。マップの狂気的な変化は心底怖気が走るほどでしたが、それもホラゲでは見られるくらいの描写具合でそこがメインというわけでもないかなという気がしますし。

ただこう、エグイ。えげつない。このえげつなさが大好きです。

容赦ないんですよね!! 鬱に対して!!!

たとい可愛い女の子であれ「キャッ」なんて叫び声では許されませんし、ピュアなときめきも目の前で無残に汚されます。この、リョナに片足踏み込んでる感じがすごく……すごく……性癖に合いました。好き。

 

 

物足りなかった点について

 

最後に合わなかった点。

総勢何十名のキャラが出演する本作ですが、大海原を中心としたお話が展開されていったぶん、やはり扱いきれていない印象が強かったです。顔のないモブキャラも多く登場したぶん、顔有りネームドキャラの多さに集中が削がれる印象も。

また、肝心の設定がほぼほぼ脇に追いやられていたところも気になってしまいました。そもそも使い魔や魔女はどういう存在なのか、姫の父親はどういった意図で一人だけを選ぶことになったのかなどなど。プレイヤーへの説明役が欲しかったかなあ。思い返すと『灰色庭園』ではヨザフ達がその役割をしてくれてたのかも。

 

この辺りの消化不良感が解決するかなーと思って漫画版を拝見したんですが、やっぱりもやもや。ゲームのあらすじをなぞりつつ、猫山さんなどの脇役を削って短く整えたような感じでした。

単品で完結した話を読みたいと思いがちな自分には、この手のキャラゲーはやっぱり合わないのかなー。

 

もちろん、名作だとは思うんですよ! 

前述の好きポイントもほんとそうですし、ノーマルエンド大好きですし。性癖にめちゃめちゃ合いますし。フカミが好きすぎてもうやばいがとまらない好き、初見でふんわり妄想してた展開が現実化して倒れるかと思った喜び。

 

 

 

とまあ、こんなところで。

全体として、ゲームとして見るとちょっと評価は厳しい。でも演出やワンシーンは一番って言いたくなるくらい好き。こんな感じの極端な感想を抱く作品でした。

 

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