「教える親がいないので自力で天才になってみせました」
軌道修正をされない戦車ほど恐ろしい前置き。
えー、今回はぱんけーきさんところのフリーゲーム「赤繋の子供たち」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
一時期サイトに繋がらなかったり別の跡地?ができていたりした、ぱんけーきさんですが、この度ブログのみ復活したもようです。うわーいパチパチ! そこで過去作が掲載されていたのでDLしてきました。
という経緯により、元は「ぱんけーきMIX」というシェアウェアとして販売されていたらしい本作、今はフリー化しているのでとりあえず記事タイトルもフリーゲームとさせてもらいますね。
前置き長くなったー。本作はがっつりL〇、ロリ系のノベルエロゲです。この作者様なのでもちろん鬱展開です。
というわけで、良かった点など。
崩壊と敗戦の世界観
まず、背景画像のほとんどが廃墟であること。ここが実に良かったですね~。壊れかけの椅子などしっかり描写も廃墟してて、退廃萌えみたいなところのある自分には嬉しかったです。水漏れした瓦礫の上で踊る白ワンピースの少女、これだけでもう情景が美しい。よき。
他、爆弾降下や敵軍の恐怖、インモラルな軍事作戦など、何かと退廃とした世界観が魅力的でした。一方で清潔を保たれた居住スペースや駆動する巨大機械などもあり、舞台自体は避難シェルターに近い感じかも。こういう限界状況で身を寄せ合って先の暗い日常を過ごす展開大好きなんですよね。
代わってちょっと残念な点についても。主人公の行動が、特に序盤を越えると暢気すぎるのが気になりました。流され系。といっても、未来を早々に諦めて怠惰に快楽と平和を貪っていると考えれば、ある意味この世界観に合うのかもしれません。
心をズタズタにされる性描写
まあエロゲなので当然性的なシーンもあります。
同人エロゲだとR18シーンを小出しにするかガッツリワンシーンで掴みに来るかで分かれるイメージがありますが、本作は長めの濡れ場で殴りに来るタイプでした。いや、エロシーンで殴るって言い方するのもどうかとは思うんですが、殴られてるようなプレイ感なんですよ展開的に……。このえげつなさが大好き……。
避けがたい事情とはいえ主人公のクズさが見え隠れするところも良かったです。最後の日にヒロインを逃がそうとするのではなく先に一発ヤッとこうと思うとことか顕著。(色んな意味で)一生懸命かつ無知なロリへ性行為を教えていく描写が丁寧でした。
わかりやすい選択肢と配置
システムとして良いなあと感じたのが、諸々の配置について。
まずヒロインは双子で、名前が二人とも三文字です。見た目も話し方も全く異なりますが、ノベルとして文字だけみると混同しがち。
ここを解決しているのが配置の仕方なんですよ! スチルや立ち絵は常に向かって左がちとせ、右がかなた。選択肢の並びは上がちとせで下がかなた。二人のどちらかを追うシーンでも、左の道を選べばちとせ、右の道を選べばかなたと出会えます。
そう、配置が一貫してるんですよね! 誤クリックせずに済む、ぱっと感覚で判断がつきやすい並びなんです。ここ本当、さりげないけどすっごくプレイヤーに優しくて素晴らしいやり方でした。
また、スキップ機能についても少し。欠点として本作はどうしてもかなり昔のゲームになるのでオートモードがなかったりスキップが未読既読差別なく全飛ばししてしまったりします。
ですが、スキップについてはアイキャッチを挟むことで、プレイヤーがクリックして留める間を設けてあるんですね。ここもありがたいなと感じた点でした。
おでこは幼女の特権!
スチルや立ち絵の絵柄は変わらず、性癖によく合いました。この方の絶望顔がめちゃ好きなんですよね! 目を見開いてぼどぼど涙流してる感じ。すごくクる。
真っ暗でどこまでも堕ちていきそうな瞳とか、狂気シーンでの顔面崩壊とか、目玉を強調する描き方とか、鬱好きにピタリと合うポイントが盛りだくさん。二人とも体つきが貧相なのも、未発達感出ててよきです。明るい面だとちとせの栗型お口が好き。
あと、二人ともおでこちゃんです。私はおでこ民ではないはずなんですが、二人の見た目が中身の幼女感にしっくり合ってて、なかなかおでこキャラもいいもんだなーと思えました。感謝。
注意事項?
なおここまで語っておいてなんですが、本作はルート制限がかかっています。
改めてサイトの跡地を拝見したんですが、どうもルート入り条件に対する修正パッチが昔出てたみたいなんですよね。配布されているゲームデータは修正前の日付みたいなので、たぶん現状ではルートが解放できないのかなーと。
まあこれは出会った時期的にもしょうがないかな。プレイできただけで御の字ってことで。
とまあ、こんな感じで。
地獄みたいな終わり方をしてくれる、とても素敵な作品でした。
追記では少しだけネタバレ感想。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
フリゲサイト「ぱんけーき」5作品感想(『トキシックブルー』『夜想蒼瞳のデザートパレス』『悲願心中フラクタル』『求愛食葬』『鉢の底』)
ネタバレ注意。
シチュ萌え
ものすごーく限定的でピンポイントな萌えに出会えて狂喜乱舞でした! しかも複数! 興奮する!!
まず1点が、入れ替わりネタです。代替可能な設定って大好きなんですよ! アイデンティティ、軽率に崩壊していこうな! 展開的にある意味NTRなのかなあと思いつつ、ここを注意書きするとネタバレになってしまうジレンマですね。好きな方はめちゃくちゃ興奮するシチュだと思うんだけども。
続いて2点目、ここが特にピンポイントなシチュなんですが……。
「無理やり」「ベッドの下に押し込められて」「自分ではない人間の性行為を聞かされる」
ここがもっっっのすごく萌えました!!!
このカギカッコ部分が譲れないんですよ、プレイとしてじゃなくクローゼット等でもなく自分とでもなく、狭いベッド下に押し込められて間近でギシギシしてる音を聞かされるっていう気持ち悪さが心から好きなんです。
元々このシチュって大昔にテレビのホラー番組か何かで見た気がするんですが……なんだったかな……ガチ幼女の頃だったので詳細はまったく覚えていない……。ともあれ、この時の恐怖やトラウマがなぜかバグって萌えになったんだと思います。興奮する。
ちとせとかなたの比較
かなたの服だけチャックがついてて丁寧な作りなのも、かなたのほうが優良だからなのかなーと思いました。後になって。
二人のエンドの違いとか見てると色々と思うところがあって好きです。ちとせエンドのほうは終始ちとせの爪の甘さが見えるし、かなたエンドのほうは容赦なさが逆接的にかなたのポテンシャルを表しているし。本当は自分の方がなんでも、手に入れられる/手に入れられない、っていう根本の意識がよくよく出ていて楽しかったです。
語りたかったのはこんな感じ。
良い具合に救いようなくえげつなくて楽しかったです。