うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「記憶も力も指先ひとつで」感想

「タイトル回収の瞬間はいつも心が震えるもので」

だから言葉は区切られた前置き。

 

 

えー、今回は牧場の牛肉さんところのフリーゲーム記憶も力も指先ひとつで」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

エンド1つの一本道、隠しダンジョンありの中編RPG。もしもワールド前提で、深都民や神々がメインなので、そこそこVIPRPGに触れてもしものお約束を知ってる人向け。

デフォ戦も探索も腕の鳴る、明るいRPGです。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

ほのぼのコミカルなストーリー

 

おかしくなったもしも世界を元に戻すべく、記憶喪失のクトネが立ち上がる! というのがプロローグ。といってもシリアスはほとんどなくて、基本的に明るくほのぼのな感じでお話は進んでいきます。

敵キャラも憎めない良いキャラが多いんですよねえ。笑いどころや下ネタはあるけど棘はなくて、明るく元気にみんな笑顔でハッピーエンド!な感じの作品でした。

ちょこちょこ挟まれる会話イベントも微笑ましかったし、それがアイテム回収にもなる一粒で二度美味しい感じも嬉しかったです。

 

 

 

変わる操作キャラと変化球なメインキャラ

 

2015GWの祭りページを見てもらえればわかるとおり、キャラの人選がけっこう異色です。主人公がクトネって時点で珍しいですよね。ですよね? 

斜視子がメインと聞いてプレイを始めたんですが、気づけば大和魂に惚れてました。良いキャラすぎる! 今までほとんど知らなかった深都の皆さんや、ネクロさんのことが知れたのも嬉しいです。キャラに愛着が生まれるようなゲームっていいなあ。

キャラの並び順を変えたら先頭キャラも変わってくれたり、マップチップにマークがないところでも調べたらちょっとした反応があったりするところも丁寧な作りで嬉しかったです。ムシャ。懺悔室やおそうじマシーンの会話差分もクスッとしちゃいました。

 

 

 

全員に活躍の場があるデフォ戦

 

さて、本作の神髄はやっぱり戦闘システム。

MP半分から始まって1ずつ自動回復する、デフォ戦やるゲでたまに見るシステムです。これなんて言うのかな。誰か教えて。

他、敵の弱点を取ったら相手がスタンしたり、麻痺や沈黙で攻撃が半減したりと、かなり色々と戦略の立てがいがあるバトルでした。主人公すらも固定メンバーではなくて、本当に自由にパーティ編成できるのが楽しかったです。

キャラクターが戦闘に参加してなくても倒れてても経験値を共通でもらえるのも、すっごく嬉しい! いつでも好きなときに入れ替えて、余計なこと考えず純粋にキャラだけを見て戦略を立てられるのがとっても楽しかったです。

 

 

 

「わかるね?」と言わんばかりのお膳立て

 

作者側の仄めかしと、プレイヤーへそれを学習させる流れづくりがとっても上手い作品だなあと感じました! 信頼できるゲームです。

例えば、マップの端にちらっと見える宝箱へ至る隠し通路とか。強い攻撃の前の予備動作とか。強攻撃を乱発しまくるけどダウンも入りやすい敵とか。

ここすごく誠実だな~と思うんですよ。難易度の高いゲームって、中には理不尽だったりプレイヤーにイジワルだったりな作品もあるのかなと思うんですけど、本作はすっごく親切なんです。難しさと親切な作りって両立するんだなあって思って、なんだか嬉しくなっちゃいました。RPGやデフォ戦が大好きな作者様なんだろうなあ。

バトルも初見殺しはほとんどなくて、「さて対策の準備はいいかな?」と言うような、ヒントがしっかり効いてるバトルが多かったです。まあ対策用意してても強いんだけどね! 楽しいね!

 

 

 

ニヤリとさせられる敵シンボルの動き

 

上記と少し被りますが、強敵シンボルの動きもかなり面白かったです。よくよく観察すると道に隠れるくぼみがあったり、走ってくるタイミングがずれてたり。ちゃんと避けて背後を取れるように動いてくれる、ここがやっぱり誠実で好きでした。

あと単純に挙動不審じみた動きが見てて楽しい。

青シンボル以外は安定して逃げれるようにできてるところもありがたかったです。無双したい時はバンバン殴ればいいし、ギリギリの良バランスで戦いを楽しみたい人は逃げまくるのがいいかも。なお私は逃げまくる派でした。

 

 

倒して増える会話イベント

 

ボスを倒すと城下町に人が増えていきます。

もうこういうの単純に好きなの。めっちゃ好きなの。コレクションっぽくなりますし、戦闘アドバイスももらえますし、単純ににぎやかですし。いいよね。

 

 

 

惜しいなと感じた点

 

で、もうたまんなく良いところづくめの良作なんですが、最後に惜しいなーと感じた点だけ軽く挙げますね。

 

・教会イベント

百合っ子も女装っ子もいっぱいいるのに全員が全員「同性愛は異常」みたいな感覚を持ってるのはちょっと違和感あったかな。クリア後の会話もたぶんフォローだったんだろうけど逆効果な気がしました。せっかく煮干やクトネがメインキャラだし、CP会話もかなり多かったので、“無理やりくっつけられる”描写のほうに注目したかったなーと思います。

 

・海賊船がやや長め

体感になるんですが、海賊船だけかなりステージとして長かった印象があります。中盤のダンジョンでこの長さはちょっと意外。パーティ分断イベント自体はすっごくすっごく好きなので、内容自体は文句なしなんですが……。

船の前の海?を別ステージとするか、学校と海賊船の順番を入れ替えたらしっくりくるかもなー、なんて。

 

 

とまあ、こんな感じで。

こちゃこちゃっと重箱隅のようなところだけ指摘してしまいましたが、ほんと棘も毒も少なくてかなり明るく楽しい一作です。

新しい好きキャラができて、難易度もなかなかに腕がなる、拍手喝さいな一作でした!

 

追記ではネタバレ感想。

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

 

 

基本戦法・お気に入りキャラ

 

基本的には雑魚戦全部逃げて、宝箱前のシンボル敵やどうしても逃げ切れない敵だけ倒してった感じです。本編ラスボスはレベル25、隠しボスはレベル29で撃破。

 

メンバーはほとんど固定。

大和魂・斜視子・スパニー・ネクロさん。

開幕ハピトリと電磁波とグッドナイトでとりあえず状態異常封殺。斜視子とスパニーが柔らか戦車だったため、ネクロマでゾンビ戦法が主でした。ネクロさんが倒れたら大和魂で一発。

ただこのメンバーだとHP回復役がほぼネクロさん一本になってしまうので、彼女の高い魔力を攻撃に回せないのは少々惜しまれるかもしれません。そのぶん大和魂が容赦なく強攻撃連打できるのでアタッカーは十分ですが。

 

そう、大和魂ですよ!

個人的に性格面でも好きになったキャラだからというのもありますが、大和魂は特に使い勝手良いキャラでしたね~。後半に手に入るDA&Melを装備させればもはや無双でした。ただ隠しボスが大和魂特攻かってくらい彼にメタ張ってるキャラだったので、そこは注意かもw でも常にトップでぶん殴れる安定したアタッカーです。好き。

 

斜視子はやるゲだとトリッキー性能なイメージが強いですが、本作ではいい具合に空いた穴を埋めれる万能キャラだったなーと思います。MPHP状態異常も一応回復できて、防御無視攻撃持ち。これだけでもかなり立ち回ってくれました。

 

オールラウンダーといえばクトネもそうですね。

詰んだ時は上記の固定メンバーのうち相性の悪い子をクトネと入れ替えるだけでするする進めるようになった覚えがあります。

器用貧乏キャラは今まで眼中外になりがちだったんですが、なるほど考えを改めました。良バランスゲーの器用貧乏キャラはむしろ最優秀候補! 他メンバーの手が回らない時に走っていってくれる、優しい性格の主人公らしい性能だったなあと思います。

 

 

 

印象に残った戦闘

 

・フェイレン&マオ

戦闘BGM最高でしたよね!

モングラの↑↓でシンメトリなポーズもそうなんですけど、背景やスポットライトの当て方といい、色々と風雅にカッコよくて惚れ惚れしちゃいました。

バトルとしては無難に回復をきちんとしていれば勝てる感じかなと思うのですが……回復アイテムはここで初めて使いましたね。ソウルシードの存在を思い出したのもここです。煮干りかいちが速攻で倒れてたのでクトネのレイズを多用しつつ動いていたような気がします。

 

 

ダクネス

弱点さえつけばダウンしてくれるのと、斜視子のハピトリが良い感じに命中してくれるので終盤までは楽。

本来は闇Ⅱの猛攻に耐えつつ彼女自身のスキルによる反動ダメージで削っていくのが想定解なのかなと思うのですが、個人的に封殺が好きなのでダウン状態フルボッコ作戦で戦いました。

ただ困ったのが血鮮華。これはどうも確定先制攻撃のようで、スパニーでも早さが追いつきませんでした。これはなってくるときは沈黙もダウンも意味がないっぽいのもネック。何よりダメージ算出条件がわからなかったので、何度か試して脳筋ゴリ押しで運よく勝てたような印象です。

 

 

・魔×6?

地下ダンジョンの宝箱前の、バーバパパライクなものども。5匹だったかな6匹だったかな。ここが一番苦戦しました。闇Ⅱ倒す前だったからレベルが足りなかったのもあるかな。

普段はあんまりターン数も数えず雑に脳筋で戦うんですが、この戦闘だけは戦うメンバーも行動もガチガチに固める必要があって難しかったですねー。

メンバーは、クトネ・ナイ・ネクロ・斜視子。1ターン目、装備品で調整したらネクロさんのスピードがギリ敵を上回るので、まずは1匹睡眠で足止め。その間にクトネと斜視子の防御無視技と、ナイの毒攻撃技で3匹撃破。ただし、毒攻撃は敵が行動してから倒れるので、攻撃はくらいます。2ターン目、たぶん仲間が3人は死んでるのでネクロさんが生きてたらネクロマ、生きてなかったら別キャラがライチジュース。

海賊船の砲台がたくさんいる戦いも苦労しましたが、こちらは沈黙が高確率で入ったのでクトネと斜視子無双でした。

 

確か冷たいパスタさんか誰かが沈黙と麻痺で攻撃半減みたいなアドバイスをくれた気がしますが、これ本当地味~にかなり役立つ情報です。この時はまだ彼女達に会ってなかったから偶然気づいたようなものですが……大変助かりました。ナイスバランス!

 

 

・兵士Z

撃破直前のあのぞっとする展開めっちゃ好き。

 

 

 

・隠しダンジョンのラスボス手前の青シンボル

 

両脇のどっちかを倒したら増援。これも団体戦になるので詰将棋めいた戦いが必要でしたねー。同時撃破することでなんとか敵の手数を最低限に抑える感じだったかと。

いつものメンバーだとどうしても勝てず、大和魂・ネクロさん・クトネ・りかちーでようやっと勝てました。いやあ苦戦した……! 

せっかくなので他より細かめにメモっときましょうかね。

 

[1戦目]

1ターン目、クトネがブリザードで両脇にダウン狙い・ダークネス・一閃・サンクチュアリ

2ターン目、クトネが中央に防御無視・ネクロさんが自身ソウル↑・一閃・リレイズ。このターンで両脇の敵の攻撃により絶対誰か死にますがリレイズかネクロマで復帰できます。

運がよければ3匹とも撃破、残ってても次ターンに味方蘇生して撃破。

 

[2戦目]

次の増援ではネクロさんが常にダークネスで両脇のダウンを取る事。じゃないと大和魂かクトネが行動不能になってにっちもさっちもいかなくなります。MP不足したらシェイドでせめて片方は止める。

以降、りかちーは常にリレイズorサンクチュアリ

大和魂とクトネは中央に通常攻撃。

ネクロさんがダークネス2発目放つくらいのターンで、大和魂かクトネが増援前にネクロさんのMP回復をしておくといいかも。

 

[3戦目]

やっぱり次の次の増援でも両脇を足止めしないと全滅します。弱点属性は試してないからわからないんだけど、とりあえず睡眠が効くのでネクロさんのグッドナイト安定。

中央を大和魂とクトネで倒す。もうMPは惜しまなくていいのでその時放てる一番強い技で全力攻撃。白シュークリームとか温存してたらここで大判ぶるまいしちゃう。

あとは各個撃破。睡眠が途切れないように。

 

四戦目あったらどうしようかと思ってMP温存しながら頑張ってたんですが増援ラッシュは二回まででした。良かったー!

 

 

・隠しダンジョンボス

 

ここまでずっと大和魂がスタメンだったので彼を入れ替えるという発想がなかなか出てこず、十回以上チャレンジしてました。

よくよく考えるとかなり彼にメタ張られてる敵なんですよね! 猛攻形態の攻撃が魔力依存っぽいので魔力低い大和魂はボコスカやられる&混乱耐性が全く無いので状態異常技が来ると倒れる&力ある者に愛を、のトリプルコンボ。火力も欲しいところではありましたがここは素直に入れ替えました。

そんなわけでメンバーは、クトネ・スパニー・ネクロさん・斜視子。

勝った時の雄たけびがこちら。

 

 

戦法というか気を付けることはほぼ一つで、「ネクロさんが死なないようにする」。これだけ。あとはネクロマゾンビ戦法です。ひゃっはー死霊術だァ!

本当は猛攻形態の時に削りまくるのがいいんだと思いますが、どちらかといえば通常形態の時にクトネと斜視子の防御無視攻撃を入れてじわじわ削っていたと思います。単純に、猛攻形態の時こっちから攻撃を仕掛ける余裕がないっていうね。

 

初めはスパニーが電磁波で麻痺を入れて敵の<10の腕>を止めようとしてたんですが、どうも形態変化して戻った後は麻痺の入る確率がかなり下がっちゃうみたいで、大人しく諦めました。ひたすら高貴なる回し蹴りするマシーン。

ネクロさんがネクロマ乱発することになるぶん、MPバーストが怖かったですねー。

 

あと面白かったのは、プレゼントフォーユー的なあの攻撃!

いやあ、ぞっとしましたね!! ぞっとしました!!! すっごい好き!!! MPバーストに苦しめられてきたからこそあのプレゼントの恐ろしさがわかりますし。

何より、“アイツ”が素直にプレゼントくれるわけないだろ!!!

キャラの性格にもよく合ってるし、最高にゾクゾクする戦いでした。もう、好き!!!!!!

 

 

余談。

ラスボス自体はけっこうあっさり味でした。やっぱり盛り上がりとチートマシマシのおかげかな。負けイベントが明らか絶対負けだぞってわかるように作ってあるのもすごく好印象でした!

 

 

 

 

ストーリー

 

最後にストーリー面ちょこっと。

CP厨としては聖人さんの戦闘前口上に思わず同意したくなったり、ちょこちょこ出てくる全年齢で下ネタなシーンにクスッとしたり、何かと盛沢山の作品でした。

 

海賊船の大和魂の台詞がすっごい好きなんですよ~! ワンピース! そこから好きになって、混乱攻撃のセリフの凄みに惚れこんで、あとは一挙一動にニコニコしちゃう感じでした。けっこうむっつりっぽいとこと、襲撃を受けた時とっさに出る言葉が「何っ」とかじゃなくて「敵襲!」で下っ端斥侯の役割を完璧にこなしてるとこも好きです。

あと、エロリアとクレアスが良いコンビしてるのも嬉しかったです。この二人が共犯みたいな感じで手を組んでハァハァしてるのすごく好き。

 

私はほのぼの明るい系ってあんまり手をつけなくて、たいてい間にド級のシリアスや鬱が挟まるものばっかりプレイしてたんですが、そんな自分でも拍手喝采でほんと心から「ああ楽しかったなあ!」って言える名作でした。

 

 

ほのぼの路線も良いものだなあ!

良作に出会えて嬉しかったです!!