うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「やくそく」感想 ~ネタバレ編~

「労苦の末の喜びか、労苦と喜びのすり替えか」

目的と手段は往々にして転じやすいな前置き。

 

 

えー、今回は後編。noeさんところのフリーゲームやくそく」のネタバレ語り兼キャラ語り編です。

作品が長編なだけあってちょっと記事も長くなり過ぎたので、分割してみました。

 

前編/作品全体の語りについてはこちら↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

というわけで本記事は前編を読んだ前提での語りとなります。具体的には以下の追記から。

ただし苦手なカプは苦手って明言しちゃってるのでご了承ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ注意!!

 

 

 

 

 

 

 

 

キャラの名前与太話

 

さっそく横道逸れますが、初回プレイで何が印象的だったかって、メインキャラの名前がみーんな似ていることでした。

確か人間の脳みそって、文字数が揃ってたり頭文字と最後の文字が共通だったりすると、似ていると認識しがちなんですよね? あと日本の創作キャラはラ行名前が多い問題とかあったような。何にせよ、見事にみんな揃っててちょっと面白かったです。

 

挙げてみると、

キリア・ルイア・シェリア・ルシェリ

ファティ・ファイフ・ファーナ

カイゼル・カルドゥル

が特に特徴的かな。

他にもアルマとアストリアとか、近い関係の人に近い音が当たってることが多くて興味深かったです。どういう順番で名前つけていったんだろう。

 

精霊コルからコルシールドとコールブレイズが来てるんだろうと推測できますし、国ごとに名づけの法則があるんだったらより世界観深まって面白いなー、なんて。どうなんだろうね。凝り性な作者様という印象があるので、あってもおかしくない気がします。

 

 

 

鬱エンドについて

 

ここを語りたかったんですよイヤッホイ!!

もうね……めちゃめちゃ性癖に合いました……。全体的な感想の記事でも語りましたが、もう、あちこちの展開・台詞・キャラの扱い、実に好みでした。

あえて言うならカイゼルがふわっと忘れ去られていったのはちょっと寂しかったですが……。あれだけ絶望を詰め込んでいる、そのボリュームのほうを喜ぶべきですよね。

だって好きな子が達磨にされる展開、なかなか拝めませんよ! ほんと心がメタメタに抉られて嬉しかったです。

キリアが精神崩壊する演出も神がかってるんですよね……。ただセリフ枠に赤字で並べ立てるだけじゃなくて、今まで積み重なってきた絶望を丁寧に回想させて、死体の山を積み上げていくところがえげつなくて素敵でした。

 

 

 

終わらせるということ

 

鬱エンドの中でも特に好きだったのが、「これで終わる」という言葉の響き方についてです。ここほんっと上手かった!!

通常エンドでの「これで終わる」という概念は、未来への希望なんですよ。これで次に進める、明るい光が待っている、そんな印象。一方で鬱エンドの「これで終わる」は「逃げたい」という印象がとても強かったです。これで終わる、終わらせられる、もう見ていたくない、早く終わって欲しい。次への希望より、今この場を逃げるの意味合いのほうが強いんですね。言葉の意味は同じでも、印象が全然違うんです。

 

この、同じ言葉でまったく違う印象を与えてくれるっていうやり方が本当に心底私は大好きでした!!

 

もうねー、シーンの使い方が本当に上手いんですよ。この世界を守ると言うリバーが「あいつらのいない世界を?」っていう疑問にぶち当たってしまったシーンが、もう、震えました。ここで「終わる」の印象がガラッと反転しちゃうんですよ。上手かったなあ……。すごくすごく苦しくって、それでそこを直視しないように振り切って走り続ける痛々しさが辛くって、もうすごく大好きです。

あそこまで底抜けお花畑ハッピーエンドを作りつつ、この手の心抉れる展開も描けるのはすごいですよね……。作風の幅が広い。素晴らしかったです。

 

 

 

かるどるについて

 

公式サイトに書いてある、このルートだけで明かされる謎っていうのは、仮面カルドゥルさんのことなんでしょうかね? 通常エンドの最終決戦前にカルドゥルとルシェリアで意味深な台詞を言ってたから、まあ何かしらループ物主人公的な要素が搭載されてるんだろうなあとは思っていたんですが。

解釈としては、通常エンドのかるどるさんは鬱エンドを通った2周目中で、最終決戦前のあれで引継ぎ要素がリセットされたということで良いんでしょうか。自信ないなー。かるどるさん二人いるのかもしれないなー。でも過去キリアの願いがああいった形で叶えられたことを考えるに、「やくそく」の世界は同一人物が同時間軸に二人は存在しないようにできている気がするので、引継ぎシステムだと思っておきます。勝手に。

 

 

 

ルコウについて

 

鬱エンドラストのえげつない状況が、こう、まさにプレイヤーとハルの嘆きがシンクロしました。ここで!?!っていう。お兄ちゃんのメンタルが多忙すぎて辛い!

 

ルコウはなんで離脱することになったんでしょうね……。いまいちルコウさんの姿勢がわかってないところあるんですよ。過去キリアが実質消えて、過去キリアの悲願も叶えたから自分も役目を終えたってことなのかなあ……。あるいは通常のエンドでの会話を考えると、早いところハルから離れてあげたほうがいいと思ってはいるみたいなので、良い機会だと思った? でもうーん、それはやり逃げな気がするので、やらなそうな気がするなあ。過去キリアの願いを叶えるカルティスを封印したせいでルコウも強制的に消えることになってしまった……?

色々考えられる気がするので、他プレイヤーさんの意見も見たいですね。理由が明かされないまま終わること自体は理不尽で大好きでした。鬱は多少理不尽であって欲しいので……。

 

あと何より私、誰かが誰かの代用品になったり好きな人の幻覚見たりするアレ大好きなんです。二次創作でも創作でも妄想でも絶対やる。鉄板。なのでまさか理想のシチュに出会えるとは思わず、絶叫しました。好き……。

二周目やって本当に良かったです。何回言うんだってね。へへへ。

 

 

 

 

個人別・カップリング別語り

 

さすがに全員語るのは無茶なので、好きな子や色々考えることになった子中心です。あと、カップリング前提の話もどしどしします。嫌いな子のことは嫌いと書いてしまうので、マイナス意見を見たくない方は要注意です。

 

 

 

キリア

 

私、記憶を思い出してからのキリア(以下過去キリア)がすごく好きなんですよ。

だから表エンドでも裏エンドでも過去キリアが極悪人みたいな扱いを受けてるのが切なかったですね~。特に裏エンドでは、過去キリアが活躍するのかなと思っていたのでショックは大きかったです。

なんだろう……私たぶん過去キリアにすごく同情?共感?感情移入?してるんですよ、きっと。そもそも過去の状況が恋する乙女にとっては辛すぎますし! 覚醒した後の過去キリアが勝手すぎたり協調性がなさすぎたりしても、彼女なりの理由があることなので、あんまり嫌悪感がなかったんですよね。単純に話が早くて助かるし。

それに、ルイアは皆の中でも一番過去キリアに寄り添ってくれて、「思い出せ」とか「キリアを返せ」とは言わなかったじゃないですか。あれがすごく私は優しくて大好きで……。だから、過去キリアもきっと、喧嘩して殴り合って分かり合うなり成仏?するなりで、みんなに受け入れられていくんだろうなあと思っていたんです。

 

だから鬱エンドのシェリアの台詞が一番寂しかったです。シェリアはやっぱりこういう子で、聖母みたいな顔をして身内以外は捨てる子なんだなって。ある意味フェルナンデスらしいと言えば、良い演出なのかもしれませんが……。鬱エンドだし。

いずれにせよ、どのルートでも過去キリアは皆に殺されちゃうんだなあって感じました。ルコウとも結局報われないままだったしなあ……。

 

そう、なんか私、「過去キリアを皆が殺した」って気持ちがすごくあるんですよ。

 

この作品って、やろうと思えばけっこうどのキャラも力技で都合よく幸せになりがちじゃないですか。なのに過去キリアにだけみんなが厳しくて、彼女だけが救われずに終わったことが寂しかったなあ……。

元々描写がリアル寄りで、救われたり救われなかったりするキャラがいるのであれば、心の整理もつくんですけどね。大団円エンドがあって敵キャラまで救うことができるのに、過去キリアの苦しみや葛藤に誰も寄り添ってくれないまま徹底的に消失させられて、良い子ちゃんのキリアだけ残るのが、ずるいなって思ったのかもしれません。

過去キリアは頑張ったよ……。どっかでルコウと幸せでいて欲しいな…………。

 

 

 

ヤミカ

 

ヤンデレ弟だーーー!!とテンションが上がったのも今となっては懐かしい話。覚醒すると良い子ちゃんになったので驚かされました。

リーンとのフラグは正直余りものCPだなと思ってしまったのも事実ですが……。ヤンデレ×ヤンデレカップル自体は好きですし、本人も物事への執着が強いらしいことは自覚しているようなので、この辺りの理由付けは頑張ってるなと感じました。ハルへの想いをいかに根本から無きものにするのか、期待が寄せられます。

バトルでは回復も攻撃もできて性能良しということで、何かとパーティに入れて愛用していた思い出。まあすぐ倒れるんですけどね……ははは……。

 

 

 

リバー×アルマ

 

アルマさんが女の子になっちゃうところが大好きなんですよーーー!

私こういう、強い女が実は弱いって展開に弱くて。乙女らしかったり弱音を言いたくなったりすることもあるけど頑張って強い女になろうとしてるキャラがすごく好きなんですよね。めちゃくちゃに甘やかされるところが見たくなっちゃいます。なのでアルマさんはまさに理想の女騎士でした。

 

リバーがさん付けから呼び捨てになるところも、さりげなくしっかり描写されててすごく良かったです。恋愛の過程が一番丁寧なCPだと思う!

リバーは競合するCP相手が多くて何かと引っ張りだこですが、私は良いお兄さん・頼れる男キャラって扱いされてるリバーが好きなので、そういった意味でも好きでした。

 

あの厄介な元カレさんも、リバーと全くタイプが違うからこそ、そりゃ別れるよねという納得感があって良かったです。

いやほんとキャラ同士の関係性の作り方が上手いんですよね……。彼氏を比較しても、ありのままの弱気なアルマも支えてくれるリバーと、強く美しく都合の良い女を見たがってるあの人とでは天地の差があるよねっていう。作中の誰かがこういうことを無粋に分析するんじゃなくて、ちょっとしたシーンの積み重なりから実感できるのがまた良いんですよ……。

 

リバーがちょっと暗黒面出してくるところもめちゃめちゃ萌えます。萌えます。独占欲強い発言に即答でOK出しちゃうアルマ様が心配です。男は狼なので気を付けてください。でもリバーのことだから悪いようにはしないだろうという安心もあります。

 

二人でさっそうと前線に出て背中合わせに互いを守りつつ敵を屠るシーンが脳内再生余裕で、ともかくこう、妄想が実に捗る良いCPでした。

戦闘面でも、リバーが大火力、アルマは安定した生存っぷりとコスパ良い火力で運用しやすかったです。

 

 

 

ハルとルコウ

 

初見プレイ時はシェリアとハルのフラグがあるもんだと思い込んでいたので、無かったことに驚きました。序盤意識させるみたいなセリフがあったので……。

見事に腹黒として描かれがちな彼ですが、終盤から見え方が変わってきたように思います。同居人に苦労させられてるらしきところがたぶん私にとっての転換点でした。

 

仲良くなったうえでルコウの存在を知ってると、キリアを見てるとよからぬ気持ちになる~とか頭が痛くなる~とか、けっこう同居人に好き勝手されてる台詞が出てくるんですね。なので、ああ苦労されてるなあと。そりゃ多少性格が黒くなるよなあと。

 

ファティの境遇や、ほぼ外交官的な位置づけの司祭様な立場など考えるに、「優しいけど強くならないといけなかった人」なのかなあという印象もあります。

慈悲で全部許してると大事な妹に危害が及ぶというか、自分からケジメつけにいく気合も必要というか。お兄ちゃん大変だなあ。

ルコウさんもなんていうか、手間のかかる弟さんみたいな印象あります。周りから好き勝手されたり脅されたりされがちな環境に身を置いてるからこそ、胆力付けて、言う時は言うしやるときはやれるようになっとかないとだめみたいな。……お兄ちゃん大変だなあ…………。

ゆっくりほっと一息つく時間を与えたい人だなあと思います。

 

 

 

ファティ

 

坑道でキリアに「どれだけ甘やかされてきたんだか」って言ってくれた瞬間、大好きになりました。やっとこういうキャラが来てくれたなあと。それまではキリアを胴上げするような展開が多くて怖かったんですよね。安心。

初期にルイアへアタックかけてたのは単純にミーハーな気持ちからだったんでしょうかね? 初めはキリアへの嫌がらせなのかなーと思ってたんですが、そういえばキリアを嫌う前からルイアのこと気にしてたような気もしまして。

いずれにせよ、ヘイトを溜めるためというか、汚れ役になってもらうために生まれたようなキャラだなあという印象です。でもそりゃさ、大好きなお兄ちゃんが大変なことになってるのに、そのお兄ちゃんの庇った相手がお礼も謝罪もなしでピーピー泣いてたらイラっとするよねえ。こちらも行動原理に納得があるので、序盤は嫌われるためのキャラだろうけどそう見えない、むしろ好きになっちゃうキャラでした。

 

ああ、ただ、バトルではなかなか運用できない子でしたね~。

属性魔法が多用できるというの、弱点属性を突けるなら強いんですが、本作は事前に敵の弱点属性を知るすべが一切ないのでただの無駄撃ちになっちゃうんですよ。HPもMPもカツカツなので一通りの属性技を試す前に死ぬかガス欠になるかになりがちですし。

せめてクルク技が使えればお兄ちゃんとセットで良い感じに使えたんですけどね。仕方ない。リージョンだけが活躍の場でした。

 

そうそう、ファティと言えばエドさんのことも忘れられないところ。なんで顔グラあるのかなーと気になってはいたんですが、彼の正体には素直に驚きました。

今更ですが、オープニングの謎会話ってリヴルとエドだったんですね。何も知らなかったときはカルドゥルさんのほうかと思ってました。てへ。

 

 

 

 

カイゼル×シェリ

 

なんとなしお察しかもしれませんが、率直に書いてしまうと、私はシェリアが嫌いです。好きな方ごめんなさい。リバーに対して、こう、既成事実重ねていく感じというか好きとも言ってないし付き合ってもいないのに正妻面してくるところがかなり嫌悪感ありました。

 

ですが、このカップルが一番好きです!!!!!!!!!!!!!

カイゼル×シェリアと言えばいいのかカイゼル×クレイモアと言えばいいのか、悩みどころはありますが大好きです!!!

 

カイゼルがめちゃくちゃ好きというのもあります。これは大いにあります。生真面目で良い人でキリアには柔らかい言葉遣いでお話してくれるところほんと面倒見の良さが出てて好きです。

でもそれだけじゃなくて、シェリアが良い感じにカイゼルの生真面目天然っぷりを生かしてくれるし、カイゼルはマウント取らないタイプだからお姉さんぶりたいシェリアの顔を立てられるしで、相性良いよな~と思うんですよね。

 

何よりエピローグで一生懸命メモ取ってるのがめちゃくちゃ微笑ましくて!!!

あとこう、カイゼルの圧がすごい。圧と勢いがすごい。即座に約束を確実なものとする実行力がすごい好き。駆け寄るスピードが豪速球並みだったあの演出すごく好きです、ありがとう。

 

バトル面でも、カイゼルが敵能力ダウン、シェリアが味方能力アップでかなり無双できるので、お互いに入れやすいキャラでした。

いやほんと、カイゼルは素で殴ってもそこそこダメージ出るしローちゃんのおかげで回復できるしクルク技持ちは常用メンバーの中にいないのでかなり貴重だしで、めちゃくちゃ有用キャラです……! 感謝感謝。

 

 

 

 

 

ネタバレ込みで語りたいことについてはこんな感じかな。

一応言いたいことだけに絞ったつもりなんですが、これでもかなり長い記事になってしまいました。それだけ大ボリュームなゲームでしたよということで。

 

こだわりとか愛とかキャラへの熱意が感じられるフリゲはこちらも色々気持ちを込めたくなっちゃいますね! やっぱり総括、プレイして良かったなあと思える作品でした。