うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

フリーゲーム「空と白おばけ」感想

「あの空の様に、高く遠く包み込む何かでありたかった」

人は透き通るには余分を抱えすぎている前置き。

 

 

えー、今回はTwilight.◆さんところのフリーゲーム空と白おばけ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

一本道、探索あり、会話差分等確認しつつクリアまで2時間くらい。謎解きや追いかけっこは無しで、動かす読み物に近い雰囲気です。

 

で、前置きとして、私的な総評はマイナス寄りでした。なのでちょっと批判気味、閲覧注意です。ネガティブ見たくない方は赤字までスクロールして頂くと良いかも。

一応後味が少しは良くなるように、まずは合わなかった点から。

 

 

 

あなたのせいではなく誰かのせいなお話

 

一言でいうなら本作は泣きゲーです。

探索→回想→探索の短編連作のような形式で進んでいくんですが、どの物語にも涙があり、傷があり、喪失があります。この展開自体は好きです、誰かの心に触れて一つずつ浄化していく展開、キャラ重視ADVの王道ですごく良いよな~って思います。

 

ただそこで合わなかったのが、慰めの表現の仕方について。

ほとんどのエピソードに明確な元凶や雑な悪がいて、なんというか、正義の圧が凄まじいんですよ。すごくすごく意地悪い言い方をすると、「私達は黙って耐えるけど、あいつらが悪いって、プレイヤーさんはわかってくれるよね?」みたいな圧。「あなたのせいではない」という慰めが優しさではなく「あいつが悪いせいだ」にすり替わってしまうような展開が多く見られて、正直不気味でした。

なんだろうな……。表面上は、皆が皆を許し合って慰め合う温かな世界に見えるんですが、本質が真逆なんですよね。傷を受け入れるっていう展開のオチで、逆に傷が消されてしまったり。同情や共感で涙しがちなキャラが、最後の最後で痛烈に相手を拒絶したり。綺麗な物語を作ろうという意識が強いのか、逆に、悪や傷を一切許さず歪めて消して排除していく攻撃的な作品に見えてしまいました。

 

なので、感動ゲーとして作られているのであろうことを踏まえたうえでも、「優しい話」とは思いづらいかな……。

 

 

流した涙も三度重ねるとお腹いっぱい

 

ゲームとしてのテンポは良く、各種進行の気遣いもあってさくさく進みます。ここは後述するとして……。

一方で、テキストのテンポはかなり間延びしています。まず、重複するやり取りが多い点。例えば「一緒に行こう」「うん」が「行こうか」「そうだね」「一緒に行こう」「うん」になるみたいな。もちろん、じっくり時間を取って噛み締めさせたい時には大いに良いやり方だと思うんですが、常にこんな感じで話が進むのでダレがちです。

 

続いて、回想について。本人が過去を語る→回想シーンが入る→本棚でエピソードが語られる、と同じ話を三回見ることになります。特別な別視点や知られざる伏線はなく、同じ展開を言い換えだけで三回繰り返します。まあ最後の一回は探索をガン無視したらいい話ではあるんですが……。

まあこれは流石にそれ昨日も聞いたよお爺ちゃん、みたいな気分になってしまうのは許して欲しいところ。

一枚絵を入れたいなら本人が語り出したところで回想に転じたり、主人公の反応を入れたいなら回想の途中でシーンを区切ったり、最後のエピソードはポエム的に三行でまとめて思い出の一頁としたり、それこそ色々やりようはあったかなと思います。

 

まとめると、説明過多で反復がくどい。

グラフィックにかなりのパワーを感じる作品ですし、顔グラ変更だけでもずいぶんとプレイヤーに感情は通じるものだと思っています。なので、何でも説明しようとするのではなく、多少の想像の余地や遊びを設けておくとより心に響いたのではないかなー、なんて。前述の圧も減るかと思いますしね。

 

 

 

 

 

と、マイナスな話題はこのくらいで。

要はテキスト面が合わなかったな~って話でした。

 

続いて良かった点について!

 

 

 

 

しっかりした誘導と配慮

 

まず感じたのが、ゲーム進行がしっかりしていてとっつきやすいこと!

本作の世界は白黒と青空で構成されています。こうやってマップの色数に制限をつけると、普通だと通行可能な場所や調べられる場所がわかりづらくなってしまって、ちょっとしたところで詰まってしまうパターンが往々にしてあるんですね。

しかし本作はここが違います。白い鳥の示してくれるポイントを調べればよい、というシンプルさ、これがものすごく効いてるんですよ! 鳥のいるポイントがまた上手くて、明確に調べるべきものが伝わるような位置にいてくれます。鳥がぱたぱた羽ばたくことで視認性がぐっと上がっているのも素晴らしい。

色を絞りつつ、進行はさくさく。プレイヤーへの配慮が行き届いている有難い設計だなと感じました。

 

 

会話合間のセーブや豊富な会話差分

 

長めの会話や回想の合間には、操作可能のタイミングを設けてプレイヤーの休憩時間を作ってくれます。会話自体は前述の通り少々間延びしている印象が強いんですが、こうしてセーブするタイミングを作ってくれるのはとても助かりました。

ツクール製でメッセージログが見れるのもさりげなく超技術。細やかな気遣いが光ります。

あと嬉しかったのは、寄り道のタイミングが分かりやすい点。会話分岐や差分を集めるのが好きなので、羽根を拾うごとに、あるいはそれ以外のタイミングでもみんなの反応が少しずつ変わっていくのが楽しかったです。

毎回飲むものが違うあの子が好き。

 

 

 

幻想的なグラフィック

 

さて、最後に上げるのはやっぱりここ。圧倒的なグラフィックのセンスの良さです。タイトル画面やスクショを見て、透明に遠く響く青空にぐっと心を掴まれた方も多いのではないでしょうか。

私、喫茶店が一番好きなんですよー! 

屋内で見える圧倒的な空、本当に綺麗で、マップ入った瞬間に思わずスクショ撮っちゃいました。大好きです。

 

やっぱり感動ものって演出、グラフィックがものを言うジャンルだと思っていまして。その点本作はかなり“強い”作品だなと感じました。小難しく考えず、画面を見ているだけでも呑まれてうるっと涙しそうなくらい、上手い雰囲気作りがされています。魅せ場となるスチルもあり、おまけ絵もあり、プレイ時間に比べて枚数としてもなかなかのもの。グラフィック面は満点って感じでした。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

泣きたい気分のときに泣ける映画を探す、みたいな感じで、ライトに感動ものを探している方には合うと思います。