うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

VIPRPG「金砕シリーズ」4作感想

「やりきったのだと讃えて欲しい、他の誰でもない今の僕に」

成果を残さずとも達成感を得ることはできる前置き。

 

 

えー、今回はhazuさんところのフリーゲーム「氷に始まり氷に終わる-さらば氷帝学園-」「第六返球メテオドライブ-もしもグリーンサイが最強だったら-」「魔人探偵氷炎ザード-かつにしヒヒヒの憂鬱-」「NO NEGATIVE,NO LIFE」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

基本的に見るだけ読むだけのVIPRPG。

もともとは『Hand in Hand ~夜+昼~』という見るゲをやろうとしていたんですが、一連の金砕シリーズなるものを齧っておくとより楽しめるとのことだったので、先んじて数本プレイしてみた感じです。

つまり以下の作品は全て相互に関係性がありますので、作者買いするノリでプレイをおススメしておきます。

 

 

 

 

 

 

『氷に始まり氷に終わる-さらば氷帝学園-』

 

[概要]

一部イベント戦闘ありの見るゲ。1時間弱。

 

[感想]

 

まず引っかかった点は色々とあるんです。ド失礼に率直申します。

やたらと長いイベントバトル、ご都合鬱展開、龍脈だの冥獄波だの邪眼だの連呼されるなんかふわっと強そうな謎固有名詞、死の哀しみを大きく見せておいて終盤はバンバン蘇生回復しまくる拍子抜け感、細かいところだとウォーターⅠとアイスⅢは元が同じ魔法具現化なのに別種族みたいに描かれてるのはどこで分けられてるのかとか。

理由はあるんだろうけど、ああ~中二展開あるあるでシリアル的に終わるんだろうな~なんてことまで考えてたんですよ。

 

いやあそれが、ラストでひっくり返りました! 

フォルダ名見たらそりゃね、あの技が関わってくるんだろうなってこともわかるし、伏線もあるし、予想通りなんです。なんだけど、その演出の仕方がすごく熱くて良い。

ありがちなセリフだけど、でも芯から叫んでる感じがしちゃうんですよ。やられるよそりゃ!

不満が全部吹っ飛びました。そのくらい、パッションで語りかけてくれる作品です。

 

そうなると今度は、引っかかってたところも転じて良く見えてきちゃうんですよ。確かにイベントバトルはグダったけど、各キャラの装備品の遊び心は楽しかったなあとか。こうなっちゃうともうね。良作です。良作でした。

 

余談、ヤンデレ百合っぽかったり精神的リョナっぽかったりするところは素直に萌えました。どうもハカモリサンを履修して以来アイスⅢには病み的な萌えを抱きがち。

あとアッパー系正義厨な闇子さんも好きでした。決め台詞が常にかっこよすぎる。

 

[一言]

感情移入したい、心理描写で熱くなりたい人向け。

 

 

 

 

 

 

『第六返球メテオドライブ-もしもグリーンサイが最強だったら-』

 

[概要]

一本道見るゲ。上記氷帝を履修しておくと旨味が五倍。

 

 

[感想]

 

めっっっちゃくちゃ気持ち良かった!

もうこれに尽きます。メイビー。言いたくなっちゃうよねこれ。

 

どうしても世界観が後出し説明口調だったり能力が急に都合よくガバったりするところは変わらずあるんですが、本作は良点がさらにパワーアップしていて、やっぱり細やかな点は全部感動で塗り替えられてしまいました。

特に花の能力演出はゾクゾクしましたね! 実写画像の使い方が巧み過ぎる。ノイズが凄まじい演出も、グリーンサイの気迫ある口上も、かなり心に刺さりました。あの演出が転じて彼女の境遇をプレイヤーに感じさせてくれるんですよねえ。巧。

 

セリフも熱くて大好きなんですよ! 

前作の敵が味方になるとかさー、栄光に縋っていたけど求めていたのは別のものだったことに気付いたとかさー、何でもないと思ってた人が実は一番の味方だとか私を打ち負かした貴様にはこんなところで倒れられると困るのだとかさー、そういうの! わかっちゃいるけど燃えるじゃないですか、少年漫画魂が! 好き! 物語にはパッションで殴りかかってきて欲しい!

 

で、こう書いといてなんですが安易にこういう類型分類をしてしまいたくないなあって気持ちもあって。中でも私、元気いっぱい脳筋戦闘好きのライスパークが、月という詩的で繊細なモチーフと共にあるところがすっごい好きなんですよ。もう、何がどうって言えないんだけど、とにかく好きなんです。

他にも、三下っぽい雰囲気から始まったブラックバイソンとか。これは私のもしも歴としてなんですが、バイソンさんは強キャラってイメージが強かったので、こういうはい設は物珍しくて興味深かったです。

このほかにも、キャラ同士の意外な取り合わせと、この作品だけで味わえる彼らの文脈がとても印象に残りました。

 

 

あと素晴らしいのがブラックバイソンとグリーンサイの出会い方。

例のあの、嬉しそうなサイの顔グラが出た瞬間、思わずボタボダッと涙が零れました。だって、やっとそこに人が来てくれたんですよ! 彼女の横に誰かが! 嬉しかったなあ。

エピローグでの解き放たれたグリーンサイのセリフも好きです。

というかエンドロールに入る演出のやり方がほんとサイコー!

 

 

[一言]

演出が磨きかかってセリフも熱く、暗く重たい過去もカラッと晴れ間に向かっていく、とても爽快な見るゲ。

 

 

 

 

 

 

『魔人探偵氷炎ザード-かつにしヒヒヒの憂鬱-』

 

[概要]

リザード中心、メテオドライブから地続きの続編。ミステリと見せかけて、このシリーズにおける魔族や魔法生命体の説明話。プレイ時間は測ってないけど体感、前者2作よりは短め、でもノーセーブだと思うとちょっと長め。

 

 

[感想]

 

ひよっこ(何百歳)探偵のブリザードが難事件を解決! 短編連作ミステリの第一章とか、これからなんとでも繋げていけそうなプロローグって感じでした。こういう漫画の読み切り大賞掲載欄みたいなまとまりの良さ好き。 

ノローグ多めで一人称視点、そして孤独のグルメ。感情移入させつつも変に酔うことはなく、読みやすい作りだったなあと思います。未熟キャラが主人公な作品でこの読みやすさは地味に貴重。たいていぐだぐだするので。

メッセージウィンドウの炎らしい色合いもぎょっとしましたが、意外と読めるデザインなんですよね。素敵。

 

リザードのキャラがずいぶんと違うように感じたけど、メテオドライブ氷帝学園も色んなキャラにおいてちょこちょこ違いがあったし、よく似たパロ世界ってことなのかな。

ともあれ、グリーンサイのヒントの出し方がすごくわくわくしました。ミステリってこの手の謎かけがあると捗りますよね。

 

あと、チキンライスオムレツで天丼することでミステリあるあるの手法も整ってるなあと感じました。あれです、〈小市民〉シリーズにおける甘味や繭墨におけるチョコレート、当て屋の椿における爪噛み、神メモにおけるドクペみたいなもんです。私の読書傾向の偏りがわかりやすい。こういう好物というか執着が一個あるだけでそれらしくなって好きです。

結論、まとまりの良さが光る作品でした。ここまではパッションで殴りかかってくる作者様という印象が強かったので、味わいがさらに増えて楽しかったです。

 

 

[一言]

氷帝学園で引っかかってた世界設定が紐解かれてすっきり。

 

 

 

 

 

 

『NO NEGATIVE,NO LIFE』

 

[概要]

ポイズンとファイア中心、ちょこちょこウォーターとグリーンサイ。一本道見るゲ、選択肢はあるけど結末に影響なし、ノーセーブで魔人探偵より体感長め。

 

[感想]

 

魔人探偵のほうで広げた魔法生命体の風呂敷をさらに広げてかかってるような話。社畜どんより系の話かと思いきや、人の温かさを知る展開に落ち着いていくれたので、精神的ダメージが少なめで助かりました。

まあ、言ってしまえば死ネタなんですが……話自体はとても前向きです。ポイズンを入れて、ネガな気持ちをしっかり肯定したうえでなお、こういう明るい方向へ話を向けられるのはすごいなあと。

 

「美化される死」に関する一連の台詞がどれもすごく好きです。私自身が、この美化される死についてちょっと否定的だったんですが、がらっと感じ方が変わりました。そうだよなあ、やりきったんだもんなあ。

台詞で言うと、「ウォーターが死なないようにしてやると優しいな」が好きなんですよ。なんか、ポイズンならそうしてやるであろう信頼とか、それをあえて言うファイア側の優しさとかが詰まってる気がして……。覚悟を求める冷たい展開なはずなんですが、それでも詰まっている色んな感情は全部あたたかいものだなあと感じます。

 

シリーズ履修者としては、グリーンサイさんがさりげなくウロヤケヌマをマスターしているところも要注目。≪ブロッサム≫がしれっとめちゃカッコよくて大好きです。あとサイが登場する時って顔グラ含めいつも勢いあって気持ち良くて好き。

 

 

[一言]

続きは気になるものの、救いの見せ方が優しくて好きです。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

肝心の金砕をプレイしとらんやないかーいって点は置いておいて。

響いたのはやっぱり『第六返球メテオドライブ-もしもグリーンサイが最強だったら-』、これがイチ推しです。でもどれも名言と情熱がぎっちり込められていて、魂の叫びを感じる良作品でした~!

 

 

 

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shiki3.hatenablog.com