「生まれた時からずっと一緒なんだからそれは当然」
特別ですらなく当たり前に愛し合う前置き。
えー、今回はエンディング・エラーさんところのフリーゲーム「ハロウィンナイト・グリッチすぺしゃる!」「サマーデイズ★弟」「パラダイスロスト/フェイクワールド」「キリくんと私。」「チョコレイト&ハニー」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
相互に関係性はなく、どれも読みやすい長さの乙女向けノベルゲーです。
というわけでさっそく目次はこちら。
『ハロウィンナイト・グリッチすぺしゃる!』
[概要]
同作者様の『ハロウィンナイト・グリッチ』シリーズ番外編。さくっと数分でコンプできる、季節限定公開のミニノベル。
[感想]
いや~やっぱ好きですねこの世界観とキャラクター! 理不尽と暴力がライトでポップにはびこってて楽しいです。B級映画な世界観よき。
どのエンドも三者三様にピムちゃんを愛でててほのぼのしました。
スウィードエンドは無害さに和みましたね~。本編で彼の策士っぷりを知っているのでなおさらピムちゃんの警戒心の無さが映えます。サウィンのハラハラも。
サウィンエンドだとピムちゃんの身体、というかツギハギがよくよく目立つのでかなりテンションが上がりました。サウィンの犬っぽさも健在で嬉しい。多々ヤンデレゲーをやってますが、あの無邪気な圧はサウィンだからこそ出せると思うんですよね~。一推し!
エルデルエンドだけ、肝心のディナー(ピム)がメッセージウィンドウに隠れて初見の衝撃が薄かったのは惜しかったかな。でもウィンドウ消去はいつでもできますし、デフォルメポップにグロくて可愛かったです。ピムの態度がなんというか、疲れつつも“慣れてる”感じなのがまた面白い。
[一言]
シリーズ好きなら必見、そうじゃなくてもギャグ調で脅されるゲーが好きなら是非。
『サマーデイズ★弟』
[概要]
夏休みだ!プールに行こう!と思ったら弟に阻止される系ノベル。ヤンデレ弟×天然姉。
[感想]
一番好きなのが、弟は自分の束縛がヤバすぎるのを自覚しているところ! でした! 自覚してなお止められない、ヒロインが危なっかしすぎてやめられないというのも理由として上手いところ。
なんだかんだで照れちゃったり、素直に甘えてくれちゃったり、病みとかわいいのバランスがほどよくて微笑ましかったですね~。年相応の不安定さって感じ。
いのりちゃんのキャラ付けも好きなんですよね。嫌味がないんですよ、ここ貴重。流され系ヒロインはよく見ますが、こう、素で頭弱いけど根は良い子な感じがすごく好きでした。
エンドとしては4が大好き! かける君がわざと狙ったんじゃなくて、不幸と不運が重なりつつも漁夫の利を得た感じが生々しくて好きでした。
ハッピー路線だったらエンド2かなあ。おうちでまったりデートは全女子の憧れ。主語が大きいハイすいません! エンド5もそうなんですが、いのりちゃんがなんだかんだで弟の距離感のヤバさに気付いていない(家族愛と誤認してる)ところも好きでした。
[一言]
脅しつつもなんだかんだで甘やかしてくれる激愛系ヤンデレが見たい方向け。
『パラダイスロスト/フェイクワールド』
[概要]
自室で目が覚めたけど、頭がはっきりしない……から始まるノベル。策略系ヤンデレ、弟×姉。
[感想]
エンド分岐はあるものの、よくわからないままに終わるものが多め。……と書いてしまうと消化不良に見えますが、何が何だかわからない状況に追い込まれている不安感が心地よい作品でもありました。
弟君と飲み物を半分こにしたり、いっぱい心配してもらえたり、糖度があるのも嬉しいところ。こういう距離の近さは家族ものならではですよね。
起動画面やBGMが禍々しく、画面四方を侵食する血錆色の枠なども含め、グラフィック面での雰囲気作りもばっちり。同作者様の『箱庭ネオテニー』でも感じたんですが、画面の色味で世界観を表現するのが上手いですよねえ。
ストーリーとしては最後に回収できるエンド、こちらがやっぱり印象的でした。斬新というか、お似合いだなあ。愛してるからというより愛されたいから、好奇心や自分の願望が勝っている感じが個人的に好みではありませんでしたが……。これこそが好きという方は絶対にいる。はず。印象付けるという意味でも◎の演出でした。
[余談]
英語各種自分用メモ。
「Sin 罪」「penance 懺悔・苦行・贖罪」「victim 犠牲者」「rim 淵、縁」
[一言]
落ち着かなさ、不安感、毒のある雰囲気を楽しみたい方向け。
『キリくんと私。』
[概要]
弟と初詣に行く、数分ノベル。弟×姉。
[感想]
本作はヤンデレというより禁断の愛、かな?
恋愛だけど恋愛じゃないというか、お互いに向ける矢印の中身が違うけど、お互いに拗らせている感じでした。初めは姉側が弟側の気持ちに気づけないのなんでかなーと思っていたんですが、恋愛対象ではないけど一番傍がいい、みたいな気持ちなのかなと解釈できるのかもしれません。
[一言]
執着強めの弟とほのぼの過ごしたい人向け。
『チョコレイト&ハニー』
[概要]
バレンタインネタ、双子。
[感想]
ぼんやりとした嫉妬や独占欲が、恋の芽生えではないかと気づいて、さらに二人だけの唯一の愛の形となる……。形のない「好き」が、短いお話の中でどんどん定義されていく感じが興味深かったです。
ヒロインがわりと飄々としていて、すんなり恋心を肯定してしまう辺りもなんだか独特の空気を感じました。二人だけに伝わる感じ!
立ち絵も、お揃いの部屋着もあいまってまさに双子で、きょうだいだと見てすぐわかってしまう外見なのがグッときました。お互いあっさり合意しているからこそ、傍から見た時のヤバさが際立つんだろうな……。
[一言]
さらっと読める、ドライだけどラブラブな絆の話。
とまあ、こんな感じで。
いや~やっぱり自分の好きなものを突き詰めてる作者様って安心して応援できますね! 独自の作風をどんどん突き詰めて欲しい気持ちです。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
(「終わる世界とあなたと私」
「箱庭ネオテニー」
「ハロウィンナイト・グリッチ」
「ハロウィンナイト・グリッチSweet」
「クリスマスのしあわせなおうち」)