うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「死後の世界に触れた彼女は」(シゴカノ)感想

「弱いからこそ電撃作戦、尽きるその前に敵を討て!」

小学生が命の奪い合いするのは過酷すぎる前置き。

 

 

 

えー、今回はエムアイネットさんところのフリーゲーム死後の世界に触れた彼女は」(公式略称:シゴカノ)の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

ウディタで作成されたSRPG。もうこの字面だけでウディタの可能性を感じさせてくれますよね。一本道で全5面、独自システムを短編でしっかり楽しめる良作でした!

 

 

というわけで、良かった点など。

ネタバレ抵触してしまいそうなので、未プレイの方は要注意

 

 

 

攻めねば消滅、霊気消費システム

 

まず斬新なのは、各ユニットには常に存在コストがかかる点。敵を倒せば補充はされますが、自然と耐久戦はしづらめ。攻めっ気を出してガンガン攻略していく必要があります。一方で、敵はほとんどが範囲内に入らない限り攻撃してこないところがちょうどよかったです。時にはアサシンめいた動きが必要になってくるかも。

この点少し不満だったのは、確認できるのは敵の移動範囲のみで攻撃範囲は表示されなかった点です。とはいえ前述の通り、RPG制作ツールを駆使してこのジャンルを作っている時点でものすごい技術力だと思われるので、求めすぎな気もしますね。

 

 

 

全滅よりも目標達成を優先で

 

続いてのポイントは、主人公を除くユニットを全ていつでも召喚・退却させられるところ。もちろん召喚にもコストがかかるので、タイミングは見極めないといけませんが。移動力の低いユニットはあえて召喚せず、主人公が移動してからその先で召喚する、といった小技も使えます。

ですので、考えなしにプレイするといわゆる“詰み”も見えてしまうのが本作です。といっても、ハードモードでプレイしてかなり余裕があったので、よっぽど脳筋プレイをしない限りは大丈夫なはず!

 

さらには、育成を考える必要がないので、マップ上の敵は全滅させるどころかむしろ避けて戦っていく方がスムーズにいく気がします。この辺、私は完全にファイアーエムブレム脳で敵のせん滅こそ正義派だったので、本作はかなり変わったプレイングが求められて楽しかったですね~。

純粋に手数と手駒だけで盤面を考えられるのは、シンプルで良い!

電撃戦もよいものです。

 

 

 

 

不安定で弱く強い存在

 

主人公が死後の存在、かつショタみ溢れる年齢設定なのもあいまって、ストーリーは少しずつ不穏な方向へ足を進めます。

しかし、そこでグッと魅せてくれるのがアツい友情の物語! タイトルのメインが「彼女」である通り、ほぼW主人公のように進んでいく展開がどこまでも良いヒキを作ってくれます。

なんでもCP認定してしまう私なんかは、「人気者勝気っ子×芯の強い聖女! これは良い百合!」「ショタおねダークサイド……うへへ……」等々、一人で盛り上がってしまいました……。へへへ。ゆるして。

叱られる、甘え慈しまれる、成長を目指して奮起する、などなどショタを輝かせるストーリー要素も多くあるので、それこそおねショタおね好きな方にはピンとくるものがあるのではないかなと思います。

 

 

 

システムと噛み合うストーリー

 

さんざん述べているコストことこの「霊気」。これが単なるシステムとしてだけでなくストーリーにもしっかり設定として絡んでくるところが好印象でした!

先に引っかかった点を言うと、図書室のシーン辺りは違和感があったかな? 作中のキャラが「霊」「死後の世界」をファンタジックなものと捉えずに、無いor現実の二択として捉えているっぽい描写があってけっこう引っかかりました。それ漫画じゃ~んみたいなツッコミがないのは珍しいなあと。

でも、変にグダらせずにさくさくと「友達を信じる!」として話を進めてくれたのはありがたかったです。それに、その信用が盲目的なものではなくて、きちんと彼女なりの調査や筋道を経てのものだと明かされたところもまた、誠実さが感じられてすごく良い!

 

主人公とシオンにしても、シオンとエリナにしても、第三者を出してきてその関係性を客観視させてくれるんですよね。傍から見ると……とプレイヤーを冷静にさせてくれる感じ。この距離感もほどよくて好きでした。

ダークサイドに片足突っ込みかける展開大好きなので、性癖的にもありがたかったです。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

難易度も三種類あってセーブスロットも豊富なので、色んな層がとっつきやすいSRPGだと思われます。

百合もショタおねも味わえちゃう、難易度はしっかりハードなSRPGをお求めの方に。

 

 

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フリーゲーム「Partiality」感想

「君は悪くないと言えるあなたはいったいどこの高みにいらっしゃるの?」

同じところまで堕ちてきてくれないと声は届かないな前置き。

 

 

 

えー、今回は詰まったゴミ(れんたか)さんところのフリーゲーム「Partiality」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

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エンド分岐有りのホラーゲーム。殺人容疑のある美少女の脳内をうろうろする探索カウンセリングゲー。

 

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

実写と狂気が入り混じる2Dマップ

 

まずぎょっとするのはマップの美麗さ、そしてその狂気! 異様に歪んだ人の顔や、色彩の暴力を感じるマップ、かと思えば現代的で身近な駅や家などなど。シュールレアリスム、みたいな雰囲気が好きな方には特に合うかと思います。

マップは主に2種類なので、ある程度プレイしてくるとやはり慣れは出てきます。しかし、その油断を見透かすかのようにフッと登場する新たなオブジェクト。いやあ、声が出ました。

序盤はマップの異様さにビビリ、中盤以降は「何が増えるのか」「何が起こるのか」に怯え、終盤は狂気に馴染んでいってしまいそうな危うさに精神を揺らがされ……。いやはや、最後まで気の抜けないホラゲーでした。

驚かすことを目的とはしていないので、ホラーというよりは鬱ゲーと呼ぶ方がふさわしいかもしれません。

 

 

 

カウンセリングと探索を繰り返すシステム

 

ゲームシステムは単純で、アリティと会話→探索を繰り返すだけになります。法則性は明言されないもののわかりやすく、隠しエンドを除けば難易度はほどほど。私は多少寄り道や選択間違いをしたんですが、それでもぴったり10日目にエンドへたどり着けました。

このルーティンなシステムが、じわじわと正気を脅かされるような気にさせてくれます。何よりこの、告解室やカウンセリングみたいな、不穏な空気で一対一の会話をするシステム自体が好きなんですよね~。

 

ただ、シーン切り替えがかなりゆっくりだったのは難点。若干作業ゲー感が出てしまっているかも。といっても、アリティとのカウンセリング開始時のまばたきみたいな演出はものすごく雰囲気が出ていて素敵なので、そこは是非とも熱く評価したいところ。

カウンセリング室を出る時や機械に入る時など、ポイントを絞って目を惹きつけてくれたらより遊びやすかったかなーと思います。

 

 

 

狂った文体と含まれた隠喩

 

わざとなのか、作中の文章は時折ものすごい狂い方をします。一見は読めるのに、意味が絶妙に噛み砕きづらいような問答。いわゆる、「てをには」が狂ったような文体です。なまじよくよく読めば意味は掴めそうなものだから、なおさらプレイヤーの精神は作中へ、アリティの中へと引き込まれていきます。この、狂いに誘われる感じがゾクゾクしました……。

また、狂気は文章のみならずビジュアルやSEにもたっぷりと込められています。中でもえげつないなと感じたのは、比喩表現。詳しくはネタバレになるので追記に格納しますが、なんとも露骨でしかし明言をしない、「気づいてしまった嫌さ」を提供してくれる絶妙な演出でした。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

嫣然とした少女に狂わされたい方、不気味な世界を歩き回りたい方、静かにゾワゾワと精神を削られたい方にオススメです。

 

 

追記ではネタバレ感想。

 

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フリーゲーム「王道勇者とサブカル勇者」感想

「そのタンスを調べないだなんてとんでもない!」

強要される寄り道ははたして寄り道なのかな前置き。

 

 

 

えー、今回はまやさんところのフリーゲーム「王道勇者とサブカル勇者」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

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エンド分岐とミニイベントありのRPGネタバレが惜しいタイプのゲームですが、感想を語る関係上、軽く触れてしまうので未プレイの方は要注意です。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

 

勇者の権利と義務と役割と存在意義

 

いわゆるRPGのお約束に切り込んでいくこの作品。といってもメタすらも使い古されつつある昨今、ただのメタよりもさらに一歩先を行ってこそ……。そんなプレイヤーの期待にしっかりと応えてもらったように思います。

正直言うと、“先が読める”展開もありはするんですよ。でも、あえて読ませているんだろうなと思える露骨なポイントと、メタだからこそ察せられる巧みなポイントが二重になっていて、最後まで夢中になれました。

 

興味深いのが、名著「堕落論」を本作のテーマと絡めているところ。寡聞ながら原典自体は読んだことがないのですが、本作の共通点として言わんとするところは引用部分からひしひしと感じられます。

何よりこの、古典名作を引用してくるところが“サブカル”感あって良き! いや、原著自体はサブではなく確かにカルチャーなんですけれどもね。サブカル女子がやりそうなポイントとしてなんかしっくりきました。

 

 

 

王道とサブカルが手を取り合う

 

さて、二人の勇者が手を取り合い旅をする本作。

やはり鍵を握るのはサブカル勇者こと、ユウの存在。

明らかにこの世界の勇者に対して“何か”を抱かせつつも、その正体は不明瞭なまま。彼女の存在自体がそのまま、ストーリーの引きとして最後まで好奇心を掻き立ててくれました

だからこそ、ユウの思惑がわかってからの展開がアツい! 詳細は追記に畳みますが、彼女もまた勇者を目指すものという重みがよくよく伝わる展開でした……。

 

一方で、当然ながら王道勇者のほうもないがしろにはできません。ボクっ娘で前向きな善人。サブカル勇者と違って、いや王道だからこそ、そんな彼女が“成長”する姿が地続きて描かれていく姿はとても感情移入しやすかったです。だからこそ響くんだあのエンドが……。

 

 

 

さりげなくカッコイイ演出

 

ゆるーい作りのタイトルロゴ等で油断していましたが、あちこちの演出の巧みさに唸らされました。

ダンジョン入った時の地名表示の演出から始まり、レベルアップの軽快なSEやアイテムの説明文まで、おっと思えるポイントがたくさんありました。出来がどうこうというより、こういう細やかな部分をおろそかにせず調整してあるところが好き。

 

ぶっちゃけ本作、アイテムや装備は一切買わなくても進められるんですよ。それでもそれらが用意されているところに、RPGらしさがあって好きなんです。本作はRPGの構造に物申す作品なのでなおさら。普通と見せかけてちょっと変なこと言い出すNPCがいるのもポイント高いですね。

他に注目したいのはBGM。かなり好みの曲が多かったです! 下水道みたいなダンジョンにあのBGMを持ってくるチョイスが素敵。

 

そして何より、ルートが確定してからの戦闘演出について!!

本作はエンドが二つあるんですが、いやあどちらも違った意味で熱くてすごく良かったです……! あの演出が見れただけでも、プレイしてよかったなあと思います。

 

 

 

過去作のあの人も

 

同作者様の他ゲームで自分がプレイしたのは『僕だけがこの世界の』だけなんですが、それでもアッと思わされるイベントがあって嬉しかったです! セリフの重みが違うんだまた……。

あくまでサブイベント的な立ち位置なので、未プレイでも気になるほどではないはず。でもこういうところに仕込みがあると作者様追いしがいがあっていいですよね。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

メタネタが好き、RPGが好き、女の子同士の友情や熱い想いと聞いてときめくものがある、そんな方にオススメです。

 

 

追記ではネタバレ感想。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

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フリーゲーム「Ano Lune Soleil - アノ・リュンヌ・ソレイユ  -」感想

「非力である、なればこそ、用意は周到に」

幸い残弾だけは無限にある前置き。

 

 

 

えー、今回はほりんさんところのフリーゲーム「Ano Lune Soleil - アノ・リュンヌ・ソレイユ  -」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

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エンドまでは一本道のRPG。隠しボスあり。タイムリープというシステムを駆使して、試行錯誤の高難易度バトルをさくさく進めていく、バトルが好きな方向けの一作です。

 

というわけで、良かった点など。

ほんのりとネタバレが混ざるので注意!

 

 

軽快タイムリープシステム

 

本作のテーマにもなっているのがこちら、タイムリープシステム。これはバトルに入る前まで自動的に時が戻るという簡易リセット機能で、戦闘に負けた時のみならず、戦闘中でもいつでも発動できる優れものです。

試行錯誤してひたすら先に進んでいく本作、かなりの高難易度ではありますが、この機能があるからこそテンポの良さが保たれているとも言えるでしょう。

また、このお手軽さが逆にストーリー面では重々しい意味を持って突き付けられます。このギャップ、プレイしていて実感するからこそ入り込めるシナリオも実に良かったです。

 

 

 

おひめさまを生かして活かす

 

まず、本作の鍵を握るのはヒロインであり主人公でもあるアノの存在です。HPはたったの10、敵からの攻撃を受けるともちろん即死、MPは限られた手段でしか回復せずHPは回復不可、しかも毎ターンHPが1ずつ減っていくという仕様。一見するとかーなーり、足手まといに見えることでしょう。

しかしながら! 

深層まで進むと、このおひめさまをいかにフル活用していくかがポイントになってきます。能力アップ装備で魔法をぶっ放して頂いたり、あえて仲間が庇うのを止めて二人で力を合わせて1ターンキルを狙ったり。

この、制限だらけの中でいかに知力と武力を尽くすかという腕試し感がとても好きでした。

 

 

 

つけかえ自在の装備品

 

リトライ必須と言っても過言ではない本作ですが、そのぶん、試行錯誤はとてもやりやすい仕様となっています。前述のタイムリープシステムから始まり、遭遇するだけで特徴がわかる魔物図鑑、好きな順番で攻略できるシンボルエンカウントなどはその代表です。

中でも私が一番推したいのが、装備品の付け替えについて。売値も買値も同額なので、付け替えするハードルがぐっと下がってくれててありがたかったです~! もったいない病を発症せずに済む……。

 

 

 

高難易度のバトル

 

本作はレベルの概念がないので、きちんとクリアしたいのであればゴリ押しは難しいです。一方で、救済措置もきちんと用意してあるのでご安心! 勝てない戦いは何度もリベンジを繰り返すことで、どんどん敵が弱体化していきます。また、多少の手間はあるものの、攻略を中断して装備品を変えに舞い戻ることも可能ではあるので、よほどのことがない限り詰みはしないはずです。

 

親切だなーと感じたのが、ゲーム初めの難易度設定。「中級者はノーマル推奨」この言葉があったおかげでものすごく助かりました……! というのも、私も一応そこそこフリゲはやってきているのでさすがに初心者は名乗れないんですが、かといって上級を名乗るほど戦略ゲーが得意なわけでもなくてですね……。中途半端な者にもこっちと割り振ってくれる基準があるのは、ものすごく助かりました。

実際、B11Fあたりからはノーマルでもかなりきつかったので、広告に偽りなしの難易度だったように思います。

単に倒すだけじゃなくて、ターン数を短縮しないといけないのが難しい&燃える点なんだよな~!

 

 

 

 

激情と陰鬱、そして爽快が待ち受けるストーリー

 

最後に、かるーくストーリーについて。

地下迷宮に閉じ込められたというところから物語が始まる通り、基本的には陰鬱な雰囲気と共に物語が進んでいきます。ですが、不思議とあまり気落ちするような感覚はありませんでした。

というのもたぶん、(設定上の説得力を持ったうえで)アノがだいぶ漢らしい性格をしているので、わりと見ている側としてはさっぱり見れるんですよ。物語もテンポよく進みますしね。おひめさまという称号を冠した、クールに熱い主人公だったように思います。

何より、タイムリープすればするほど初見の情動が消えていく、という設定自体がものすごく斬新で面白かったです。

 

細かいところだと、「ソレイユ」なのに和風建築なのか!?と驚かされました。内装が出たのがそこそこ後だったので、衝撃も大きめ。そのおかげか、ちょっとした点なのにかなり印象に残っている気がします……。

日の出づる国みたいなノリからだろうか。

 

また、エンディングだと「えっそれ国大丈夫なんですか」と引っかかってしまう点が若干……? とはいえ、あれはロマンティックだと盛り上がる人も多い展開だとも思います。

あとは、兄との、年の差があるからこそぎこちなくなる感じがリアルで好きでした。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

他にも、

色合いを統一しかつ重要な魔法陣や宝箱は一目でわかるマップ作り、一筋縄ではいかないダンジョンギミックなど、魅力は様々。

隅々までプレイヤーを楽しませてくださる作品だったように思います。

 

 

歯応えのあるバトルや、頭を使った攻略を存分に楽しみたい方向けの一作です。

フリーゲーム「帰らぬ少女のバラッド」感想

「死んでからも労働か、あるいはぶっ生き返してもう一回か」

少なくとも休みは遠い先な前置き。

 

 

 

えー、今回はVIPRPG紅白2017のフリーゲーム帰らぬ少女のバラッド」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

中盤の選択肢によってエンド分岐あり、死後の世界で権力闘争に巻き込まれるRPG

個人的に主役級だと思われるメインメンバーは、わてり、血わてり、ダーブラ、ヘル、ワールド辺り。その他にも多数出演。詳しくはURL先のスクショで。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

 

ロウでカオスでニュートラルなエンディング

 

Twitterでの評判だけでバトル重視かと思いこんでいたのですが、ストーリーもしっかり味のある作品でした!

キャラはもしもキャラ達ですが設定などはオリジナル寄り。魔法具現化などのセオリーを全く知らなくても気軽に手を付けれます。

エンド分岐の条件はとても簡単です。二大勢力のどっちにつくか。重要な選択肢はSE付きで表示されるので悩むこともまずないはず。

周回プレイ要素はありませんが、どれも見れて良かったエンドでした~! 満足。詳しくは追記に格納します。

 

 

 

好きな子贔屓のBPシステム

 

さて、本作の特徴の一つがBPシステム。レベルアップの概念とは別で、好きなキャラの強化ができるポイントです。

個人的にステータスドーピングがリセット不可の仕様なのは苦手な性質なんですが……。本作は難易度設定がとてもしっかりしているので、その点まったくストレスなく、ただただ斜視子を贔屓するためだけにポイントをつぎ込むことができて幸せでした!

 

ちなみに自分は1周目で、ノーマル・BP不使用・雑魚戦ほどほど、な感じにプレイ。結果ちょっとぬるかったので、2周目以降はハード・雑魚戦多め・BPラスボス戦前だけ使用、でクリア。結果としてすごく心地よい難易度で楽しめました!

難易度はさらに上段階が二つと下段階が一つあるので、実際はもっともっと広い層が遊べる作品だと思います。この間口の広さがあってこそ、不可逆ポイントシステムも楽しめるってもんだなーとしみじみ。

 

 

 

毒は最強、いいね?

 

一番特徴的だなと感じたのが、状態異常について。

コマンドバトルだと状態異常が複数ついたり、パズル風に耐性装備で固めないといけなかったりするイメージがあるのですが、本作の状態異常はなんと上書きされます。厄介な状態異常ほど残りやすいこの仕様。シンプルさがものすごく肌に合いました~!

状態異常が1種類に絞られることで、戦闘画面が見やすいのもありがたかったですね~。かかったらものすごくわかりやすくバンッと表示されるのも素敵。

バフデバフは画面に出ませんが、こちらもかけた瞬間にSE付きのエフェクトがガッツリ表示されるので、困ることはありませんでした。重要な要素が何よりもわかりやすく表示されるの、ほんと信頼できて好きです。

 

また、毒は必ず入るという確約が取れているのも嬉しい点です。毒が強いゲームは良いゲームだ!

おかげで1周目は延々と毒を撒きまくって戦ったように思いますね~。集団戦だと毒だけではやりきれないところもまた、一筋縄ではいかなくて楽しかったです。

 

 

 

入れ替え自由のパーティメンバー

 

パーティメンバーはいつでも入れ替え可能。特に本作は魔法主力の敵と物理主力の敵が二極化されているようだったので、味方の使い分けを活用する場面も多めです。

 

この入れ替えシステムを魅力的にしているのが、スキルについて!

各キャラ固有のスキルがあって、そこに装備品でスキルを1つ足せるような構成になっています。この装備品だけで奥行きが深まるのなんの。

例えばアンデッドナイ毒を猛毒に強化するスキルを持っていますが、肝心の毒を付与するスキルは持っていません。毒付与を他キャラで補えば済みますが、そうなると3つのパーティ枠のうち2つを状態異常のために潰すことになってしまいます。

こういう時に! 役立つんですよね、装備スキルが!

他にも、「このキャラのこのスキルは使いたいけど耐久力が……」なんて時も装備品で補えます。逆に、好きなキャラだけを延々と使い続けたい方には少し厳しくなるのかな? でも前述のBPシステムがあるので、やっぱり受け皿は広いゲームだと感じました。

 

さりげにメンバー編成と装備全外しが同じ画面でできて、しかもボタン一つで済ませられるの、ものすごく快適。

 

 

 

ゲームオーバーだぞ気を付けろ!

 

さて、本作は道中雑魚戦などにおいてはゲームオーバー無しのさくさく仕様です。おかげで試行錯誤もしやすく、独自要素があるバトルでもとっつきやすい印象でした。

一方で、ちょっと気を付けておきたいのが、イベント戦について。

ゲームオーバーありのボスバトルがたまーに挟まるんですが、直前セーブがないので、状況によってはかなり厳しいことになるんですよねー。自分はメモスト戦でどえらい目に逢いました。なので、これからプレイする予定の方は、油断しすぎずにセーブはこまめに取ることをおススメします。

 

あっでも、ゲームオーバーが存在すること自体はすごく好きです! しかも、本作のゲームオーバーする場所としない場所の違いはきちんとストーリーと絡んでいます。それが某エンドの説得力を増していて、素敵でした~!

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

他にも、

  • 常に操作説明を表示してくれる画面構成
  • 世界樹の迷宮シリーズを感じさせるスタイリッシュなバトルグラフィック
  • ヒントも掛け合いも小粋なNPC

など色々な面に魅力のある良ゲーでした~!

厨二心掻き立てられるかっこいいダンジョン名好き。

 

 

バトルを愉しみたい方はもちろんのこと、質の高いRPGをやりたい方も是非。

 

 

 

追記では少しだけネタバレ感想。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

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フリーゲーム「ほしくずスチール」感想

「盗られた分だけ捕り返してやれ」

大義名分をありがとうな前置き。

 

 

 

えー、今回はTeToriapotさんところのフリーゲーム「ほしくずスチール」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

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本作は公式によるふりーむ説明文が最も的確であり秀逸なので引用。

物騒な人たちから、ものを集めるだけのADV

です。

エンディングは複数で、エンドを見るだけならプレイ時間数分。アイテムを全回収して全員分のコメントを見るなら1時間未満くらいの短編です。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

個性豊かなキャラクターたち

 

まず注目したいのが、キャラクターの圧倒的な個性とエピソードについて!

どのキャラも、語るエピソード一つで作品が一つできてしまいそうなくらいの濃さと魅力があります。本作、色んなキャラに話しかけていくだけのゲームではあるんですが、それがこんなにも面白く感じるのはやはりそのキャラにどっぷりとストーリーが煮詰めてあるからなんだろうなと思いました。

 

さらに嬉しいのは、キャラクター別に専用のBGMが用意されている点!

15+αになるので、作品のボリュームで考えると曲数はかーなーり多めです。そしてその曲がどれも良いんだこれが! キャラクターが個性的だからこそ、BGMもこれぞと感じる曲ばかり。相乗効果で印象に残りました。

 

 

 

濃い世界観

 

同作者様の別作品と共通した世界で、土台はどっしりしています。それこそ宗教・文化・政治・etc.。一方で本作はあくまでそのうちの『道』という一か所にスポットが当たっているので、初見でも入りやすいかと。

とにかく、アングラでイリーガルで、お薬も性行為も凶器も狂気もなんでもありのヤベー奴らが集合する場所! と書けば性癖にぶっ刺さる方も多いことでしょう。私です。言ってることがしれっとエグいことも多くて、それが当然まかり通ってるんだと感じさせられる自然さがまたゾクゾクしました。変に露悪的だったりイキってたりするんじゃなくて、あくまで当然のように異様なところが好きなんですよね……。

 

そもそも、『道』では本名ではなく漢字で成り立つ偽名を名乗るという設定の時点で既にヤバイレベルに好きです。設定の時点でもはや最強。

 

 

 

 

不憫で不幸?な主人公と、不穏で不遜なパートナー

 

物語の鍵を握るのは二人。

まずは主人公の流聖から。

状況が状況だけにヘコヘコしている流聖ですが、プレイしていくうちにけっこう“イイ”性格してそうなところが垣間見えるんですよ。「ビジネス従順は好みじゃない」などなど。

特に初見では顔色を窺ってゴマをするキャラのように見えていたので、なかなかに強かそうな一面にニヤつきました。小悪党とも裏ボスとも取れるキャラ好き……。

 

続いて星売

なんだろうな、“読めない”キャラです。矮小でもなくカッコつけでもなくただただひたすらにこの読めなさを出せるのがすごいな……と感じました。率直に言うことは言うし、不満や呆れを見せる人間らしいところもあるし、流聖に対してだって好意が見られるように思うんですが、それでもどことなく得体のしれない不気味が漂います。

目を付けられたくないキャラ第一位……と言いたいですが……本作のキャラを考えると軽率に一位を付けられない、むしろ同率最上位が多々居そうなのがおそろしい(好きな)ところです。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

追記では、エンドと気に入ったキャラについてかるーくネタバレ感想。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

 

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フリーゲーム「僕だけがこの世界の」感想

「気づいてしまったようだな、その壁が通り抜けられることに!」

バグなんでご報告お願いしまーすな前置き。

 

 

 

えー、今回はまやさんところのフリーゲーム「僕だけがこの世界の」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

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基本は一本道、収集要素ありのRPG

いわゆる、ネタバレがもったいないタイプのゲームです。

ですがやはり触れねば語れまい!ということで、この記事ではそこそこ書き切ってしまうので、察しの良い方はご注意を。

 

 

というわけで、良かった点など。

ネタバレ注意!

 

 

お約束をぶった切れ!

 

なんで勇者はタンスのものを持って行っても怒られないの? そんなあるあるの疑問から始まり、町でも船でもダンジョン内でも、いたるところでツッコミが巻き起こります。

要は、王道展開を逆手に取ったメタゲー

しかしながら本作、ただの一発ネタだけで終わらせない工夫が随所に見られました。気になるヒキを入れたり、熱い展開が差し挟まれたり、等々。ツッコミネタゲーを回収作業ゲーで終わらせるのではなく、しっかり一捻りを加え続けていたところに、完成度の高さを感じます。

どこもポイント高いですが、中でも一番は魔王視点。気になるタイミングで肝心の勇者がいない、ここが一番笑いました。ツッコミてぇ~! あのときほど勇者を待ち望んだ時はなかったろうと思います。

 

 

 

ヒントばっちりの「突っ込み帳」

 

収集要素である「突っ込み帳」。これは探索や行動で得られるツッコミを集めたもので、いわゆるトロフィーみたいなものになります。おそらく未収集でも進めはしますが、やっぱりこういうのは用意されていたら埋めたいところ。

まずこのツッコミの並び順がストーリー進行に合わせてあるので、取り逃がしがすぐ気づけて集めやすかったです。親切。

また、発見する前はヒントが表示されて、発見した後はツッコミがババンと載せられる、二度おいしく有用なシステムでした。さすがツッコミをメインとするだけあって、プレイヤー側がツッコミたい部分はしっかりと事前にカバーが効かせてあるというね。

 

また、ヒントと言えば、エンドについても秀逸。一つもそれとは言っていないのに、あのエンドロゴ一つで「おや」と思わせるのが巧みでした。そういえば四天王の名を知った時もさりげなく良い会話だったなあ。

 

 

 

細やかなタイトル画面と顔グラ

 

基本的に各種デザインはデフォルトで、ツクールゲーをプレイされる方ならよく見かけるものばかり。ですが、主役の顔グラフィックには素材を多用し、表情がくるくると変わります。また、度肝を抜く顔グラが一部紛れ込んでいるところも注目。

さらには本作、進行度によってタイトル画面が変わります!

そこまでド派手な違いではないものの、この一見ネタゲーにぴったりのチープさが、後々じわじわと効いてくる仕様です。しかもその変化がボスを倒す度なのでけっこう細かい。短編ゲーなのでもしかすると一気に駆け抜けてプレイできるやもしれませんが、個人的にはちょこちょこ休憩をはさみつつ、この演出を楽しんでみてほしいなーと思います。常に叫び通しでツッコむ彼も大変かと思いますしね。

 

 

 

これしかないタイトル

 

プレイする前は「せっかくのネタゲーなんだしもっと突き抜けたタイトルにしてもよかったのでは」と思っていたんですよ。偉そうにも。

ですが、エンドを見るとなるほどこのタイトルしかない。気持ち良かったです。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

ネタゲーだけに留まらない、丁寧さと驚きが見られる一作でした。

 

追記ではネタバレありきで、取り逃がしやすそうなところのメモだけちょこっと。

 

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

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