うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「よもやまセレクト」感想

「君と出会えて良かったと一瞬だけでも言えれば満足だ」

直後に最悪と吐き捨てる前置き。

 

 

 

えー、今回はTeToriapot(てとり)さんところのフリーゲーム「よもやまセレクト」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ティラノ製、六つのお話が詰まった短編集ノベル。各話は1000文字以内で、好きな話だけ読むこともできる、フリーで気楽な仕様です。ただし公式曰く、倫理はあんまりありません

 

www.freem.ne.jp

 

というわけで、良かった点など。

 

 

 

ちょっと不思議でドロッとした物語

 

お話自体は、ほのぼのラブコメから残虐リョナまで幅広く。こういう雰囲気と断言するのが難しいですが、あえて共通点と言うなら、ちょっと変わった設定のキャラがメインに据えられることでしょうか。

公式の各種注意書きを見ればどことなく察せられるかと思いますが、エグイものもあります。でも、どことなく当然のことのように描かれるので、味わいは比較的あっさりめ。共感というよりは、興味深い民話や伝記を読んでる感じだったかなあ。

中には、おまけに書かれた一言に、背筋がひやりとすることも。設定だけでも妄想が大長編ばりに膨らみそうなものもあり、短編の奥に広がる世界に想いを馳せたくもなりました。

個人的に惹かれたのはSFっぽさかも。でも、宇宙とかそういう系かと言われると全然違うという……ぬぬぬ、表現が難しいですがとにかくこの倫理具合好きです。

 

 

 

六つの物語、六つの関係性

 

主人公の姿や名前が用意されていないので油断していましたが、メインキャラのみでなく、視点主のこちら側にも設定や過去が用意されています。語り手だからこそ相手に指摘されないと気づけない、気づかせない面白さも味わえました。それこそミステリっぽくもあるかも。

エンド名にハッとする話がいくつかあって、気持ち良かったですね~。読み終えてハッとなる話はいいものだ……。

物語それぞれにメインキャラが1人いるのですが、その彼(彼女)(各種中性概念)との関係性もガラッと変わります。恋人、友達、神様、加害者、などなど。何が出てくるかわからないのはストーリーだけでなく、キャラクターの感情についても同様。なのに不思議とまとまりがあって、それこそ一冊の短編集を読み終えた時のような満足感がありました。

 

 

 

読み手の心構えができる並び順

 

もちろんオムニバスな短編集なので、どの順番で読んでも問題ない仕様です。加えて上手いなと思うのが、左から読んでも右から読んでも、後味が良い物語の並び順になっているところ。

個人的にはドロッとした後味で終わってもそれはそれで余韻が楽しめるので好きなんですが! いかんせんそういうのにものすごく拒絶感を抱いてる方がいるのも知ってはいるので……。マイルドな要素もある作品だからこそ、そちらが損なわれないような構成にされているのは良いなあと感じました。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

さくっと読めて、じっとりとずっと残る、良質な短編集でした。

追記ではネタバレ感想。

 

 

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

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フリーゲーム「ヌシアルハナ・ハルノヨ」キャラ別感想※ネタバレあり

さて、今回はいつもの前置きを省略しまして!

既プレイ前提ネタバレ感想版の記事を投稿しますね。

 

取り上げるのは、

露骨(あきばれ)さんところのフリーゲームヌシアルハナ・ハルノヨ」。

 

未プレイの方は先にこちらの記事からどうぞ↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

では、以降はネタバレ注意!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全エンドで何やるかどういう結末かまでたぶん全部書いてしまっていますので、改めてネタバレ注意です。

 

 

 

 

カツラ

 

プレイ初めの頃は、カツラってすごく馬の合う主人公(ヒロイン)だな~と思っていたんですよ。

私自身がまずは流されたり言うとおりにしたりする選択肢を選びがちなのが一点。

カツラの反応が基本的に消極的なのも一点。

 

ですが、きっちり全部プレイして寸話まで見ると、いやとんでもねえなと。そんな、「カツラと私が似てる~♡」とか口が裂けても言えねえなと。猛省しました。

そしてこの私の印象がそのまんま、作中のブンケのモブの皆さんの感じ方と同じなのかなと思います。

一見、消極的で虐められてばっかりの御しやすく愚かな女。でも蓋を開けてみると……。という、ね。防衛上手というか。虐げられる女性が取らざるを得ない生き方というか。彼女にとっては相手を消したり叩き潰したりすることよりも受け流して気分よく見逃がして頂く方が重要、みたいな。

 

ちゃんと、自分のずるさや醜い感情にも気づいている聡さが好きです。しなやかな強さを感じます。

 

本作は明確な敵意を投げつけてくる人が多く、そういう人たちにはひたすら耐えればいいんですが、だからこそ一辺倒じゃないツバキ様は怖く感じるのかなあとも思います。いや、やってることからしてツバキ様が一番憎いし怖いのはわかっちゃいるんですけども!! あの方はなまじ一色じゃないから質が悪いというか、対応がわかんなくなっちゃうなあという感じです。

 

 

にしても、彼女視点の寸話は、遺書ですね。

1ページ分と言えばいいのかな? 画面切り替えに至る初めの文を読んだ瞬間、オートモードを止めて静かに泣きました。そうか。そうかあ……。

 

 

 

 

ツバキ

 

 

~キャラクター~

 

初めに攻略しました。最推しです。

彼、カツラへの好感度はあるし、反応もわかりやすいし、これをやれば地雷を踏むぞというのも明示してくれるので、やりやすい人ではあるはずなんですよね。でもカツラ視点では「何故カツラが好きなのに酷いことをするのか」が徹底的に秘められているので、ひどく不気味に見えました。

何と言っても喜んでくれるし何と言っても鬱陶しがられてしまう、読めなさを感じました。媚びも逃避も嫌う人。怖い人。好きだ……。

 

チガヤルートだったかな、ツバキ様がお父上に「あんまり私怨で動くなよ」と諫められているシーンがあったと思うんですよ。

あ、ツバキ様は根底にこれがあるのか!!!

と。

 

だから、カツラを囲う時も守る時も淡々としてて、好き好きアピールは皮肉まじりだったり遠回しだったりしてるんだなと!

ずっと、ツバキ様も自分の血に則ってツバキ様である以上に当主の息子として動いている部分があるんだなと!!

 

そしてそれって、被虐の血として扱われその通りに身を縮こめているカツラとそう変わりなくないか?とも思いました。この二人わりと似たとこある気もするんだよなあ。

だからなんか、初対面が顔への好印象から始まって顔だけで終わらなかったのはそのへん気にいっちゃったからなんじゃないか……。とか。ここまでいくと妄想かもですが。

 

 

~エンディングについて~

 

特殊エンドでカツラの言う「わからない」「こわい」が彼の全てだなーと思います……。ノーマルエンドにせよ、ベストエンドにせよ、どうあがいても彼の勝利。怖すぎる……。逃げたい……そしてそれを彼は一等嫌う……。

 

そしてもちろん、エンド3つの中でも特殊エンドが大好きです! こちらの頭がどんどんバグらされていく感じがする……。

というか、初めに攻略したのもあってこのエンドこそをベストエンドだと勘違いしていました。たはー。

 

さて。

ここでふとツバキのことをツバキ様と書き続けていることに気付きました。いや~! 毒されてると言えばいいのかお慕いしていると言えばいいのかわからん!

 

 

 

 

カズラ

 

 

~キャラクター~

 

「妹かあ……いや弟? え、いややっぱり妹かあ……弟だあ!!!」になりました。大歓喜

わかってから、モブの会話の「俺にそんな趣味はない」で合点がいきましたね~。あのシーン、気づく前はプレイヤーが女性モブの視点で、気づいた後は男性モブの視点で読めるという、さりげなく巧みなワンシーンだと思います。

 

一番好きなのは「戦ってくれない」のところ。

お姉ちゃんを守るためにがんばる、と、どうして僕ばっかり、の板挟みを感じてなかなかに良い意味でしんどかったです。自己矛盾でぐちゃぐちゃになっちゃってる感じ。

優しい子だからこそ、お姉ちゃんを壊すんじゃなくて、自分が壊れる方向に走っちゃったんだろうな……。他面子と比べて、やってることはまあえげつないはえげつないけど、少なくとも他人は巻き込んでないしな……。

 

 

~エンディングについて~

 

一発でベストエンド行けたのが嬉しかった子でもあります! カツラの笑顔立ち絵の登場頻度が高いのもめちゃくちゃ良い……。

ずっとカズラに甘々な台詞ばかりなのもツボでした。「仲直り」や「少しだけワガママ」という、子どもに言うような言葉の中身が、えげつない程重々しいところが大好きです。

 

ノーマルエンドと特殊エンド自体はあっさり味に感じましたねえ。いや直前にクリアしたのが“あの”ツバキだったからかもしれませんが……!

やってることがやってることなだけに、ベストエンドが一番えげつないからというのもあるかもしれない。

いずれにせよ、ノーマルと特殊の一枚絵の対の構図が、実に刺さりました。

 

 

 

 

サツキ

 

 

~キャラクター~

 

スーパーヒーロー……。

女性なのも百合要員なのもわかっちゃいるんですが、

す、スーパーヒーロー……!!!

 

カズラがあくまで「逃げる」手段しか取ろうとしなかったこととの対比もすごいですよね。サツキは、カツラのしあわせ以外、優しさも罪悪感もぜぇんぶいらない。ひたすら全力パワー型。末恐ろしや……。

しれっとカズラが蚊帳の外へ追いやられているところも含め、手腕も頭脳も度胸も上級だなと思わされました。ひぃ……。

まさに血の似合うひと。鮮烈、烈火。素敵でした。

 

 

~エンディング~

 

相思相愛が想定外で一番驚いたキャラでもあります。いや、あれはあのエンドだからこそかもしれませんが。

そしてベストエンドの頼もしさとその描写がもうたまらん大好きです。あそこまでされたらそりゃもう惚れるし依存するよ。もはやカミサマだもんな。

エピローグの髪の毛お揃いもいいですよね。女性同士ならでは。

 

とかいいつつ、ワンシーンの美しさではやはりノーマルエンドが光ります。あのスチル、目に焼き付いたなあ……。

 

特殊エンドのドロッドロえっぐい仕打ちも大好きです。

これ、ツバキは一生イライラし続けるんだろうなあ。直前で、ツバキカツラを身に寄せるシーンにときめいてしまっていたのでなおさら、うわ~~~(良い意味で)エグイ~!と湧いてしまいました。エグイ……。好き……。

 

 

 

 

チガヤ

 

~キャラクター~

 

BGM良い~~~!! 

まずここなんです、はい。賑やかなのにすんごい不協和音じみてて落ち着かない感じが。

 

そしてどのエンドでも、「カツラが(恋愛的に)好き」じゃなくて「カツラが(玩具として)好き」なのがめちゃくちゃツボでした~!! もうね、このくらいのドライでエゴい感情大好き。

 

なんか、カツラがこのチガヤについて来たくなっちゃうの、わかる気もしました。

だって執着がない分憎悪もなくて、裏表も余計な回りくどさもなく真正面から罵倒してくれるので、なんかすごい楽なんですよねこの人。闇深いけどこじれてないというか。やればいいことが明確なので困らないというか。

 

チガヤはアザミとの距離の取り方もそうなんですが、積極的に殴りかかりにはこないところもなんとなく好きです。

破滅願望持ちに合う人なんだろうなあ……。

 

 

~エンディング~

 

ちなみに初手共通ノーマルエンド行きで、ルート入り失敗しました。いやそりゃそうなる。

逃げようと思えば全然追ってこない人なの、いっそう怖いです。何ならチガヤはカツラよりもツバキに執着して見えるなあと思っていたので、ノーマルエンドの方がある意味カツラを見てくれている感じがして嬉しかったです。

 

あ、でも、ベストエンドのチガヤの「お前を守ってやってる」セリフそのまんまいつぞやツバキルートで聞いたセリフだったのは、粋で好きでした。

勝ったと思ってるチガヤツバキの後真似をしてるようなもんだと思うとピリリと辛く感じます。へへ……。

 

勝てない男が勝ったと思った瞬間に井の中の蛙とわかる展開が好きなのでついちょっとひねくれて解釈してしまう。

何気に、ツバキの閨でのお姿が見れたり、カツラの庶民衣装?が見れたり、立ち絵差分的にもおいしいルートでした。

 

 

 

 

アザミ

 

 

~キャラクター~

 

虐められてる描写を出さずに「かわいそう」をここまで巧みに描けるの、本当にすごいなあと。ときめきや感情移入というより、技量への感嘆が多いルートだったように思います。

「必死さ」ってあればあるほど、高みの見物をしている側からすると滑稽なんですね。

 

あとアザミルートはツバキ様に庇ってもらうシーンが多かったのも嬉しかったです。

カツラからしたらとんでもない板挟みで胃が痛いでしょうけれども。

 

なんだかんだアザミはチガヤほど自己中ではないツバキほど達観してないカズラサツキほど悪童にもなれない、生真面目な人だからこうなっちゃったんだろうなあと思います。生きづらい、環境がああでなかったとしても生きづらい生き方してそう。そこも含めて、いやもう悲しいくらいに、かわいそうだなあと実感できてしまう人でした。

 

 

~エンディング~

 

襲うシーンのカツラのモノローグがものすごく、柔らかい残酷があって、好きです。アザミのセリフだけでどうしたらいいのか戸惑っている姿が目に見えるの、マジでもう、えぐい。好き。

 

彼は地雷がめちゃくちゃわかりやすい分、ベストエンドが乗り越えた感ありました。

憐れむな!ってピリピリ棘を張ってたのがようやく、変わったような。受け入れと言うのか乗り越えと言うのか諦めと言うのか、どれが適切なのか掴みあぐねてはいますが。

 

“あの”敬愛するツバキ様に見破られていないという優越感も、彼が憐れみの目を自分のものとできるだけの余裕につながったのかもしれませんね。罪悪感も、しぬほどあるでしょうが。そして、本当に見破られていないのかもまた、謎ですが。

 

 

 

 

総括

 

と。

いうのがとりあえずの感想です。

そしてここから18禁パッチを購入して色々と自分の見当違いな部分などがわかるんですが、その内容まで書いてしまうと有料ネタバレになってしまうのでこの辺で切っておきます。

上記はあくまで本編プレイ時の1プレイヤーの解釈または妄想ということでね。ご容赦くださいませ。

気になる方は是非公式をチェックだ!

 

 

 

 

最後に、プレイ当時の感想をおまけとして投げておきますね。ほとんど内容に変わりはない、と、思っているんですが……。備忘がてら。

fusetter.com

 

 

 

 

総括としては、コンプした後もまた読み返してしまうくらいに読みごたえと深みがあるノベルゲーでした!

フリーゲーム「ヌシアルハナ・ハルノヨ」感想

「刺した一瞬は気持ち良い、愚鈍はその後どうする気?」

後先考えてこその復讐な前置き。

 

 

 

えー、今回は露骨(あきばれ)さんところのフリーゲームヌシアルハナ・ハルノヨ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

エンドもおまけも満足度たっぷりの、病み・鬱・暴力・禁忌・全部盛りなダーク乙女ゲー。そのぶん注意書きや要素は公式サイトにガッツリと記載がされていて、パスワードまで設定されている徹底ぶりです。だからこそ、私のようにこの手の作品が大好きな方には是非ともなんとか届いて欲しい気持ち……!

黒くて暗い話が好きな方には是非ともプレイしてほしい!! と初手で熱く主張しておきますね。

 

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

 

絶対的な階級制度と虐げられるヒロイン

 

望まない結婚、血筋が全ての世界、虐待の日々。

どろどろと濁って行き詰まった、閉塞的な状況から本編はスタートします。憎悪のセリフが飛び交うのは日常茶飯事、どころか、正面からぶつかりに来てくれる方が気が楽なほど、根は陰湿です。

ヒロインの立ち絵にはビンタを受けた時用の差分まであり、心身ともにガッツリ暴力を受けます。

 

というとドM向けのように誤解されてしまいそうですが、そういうライトな言い回しだとまた違うと主張したくなってしまう気持ち……!!

なんだろうな、確かに一方的かつ理不尽に虐げられることのほうが多いんですが、そこにそれぞれの矜持や生き様を感じて、単に面白おかしく暴力を扱っているわけでは決してないんですよ。

また、舞台設定が濃厚なので、受ける非道な展開にも凄みと説得力があります。

 

上手いなあと思うのは、物語の進行中にモブのセリフが挟まれること。このモブキャラたちの噂話のおかげで、第三者から見た彼らがわかるのも良い。カツラのホンケの人達からの見られ方や肩身の狭さ、不穏さが伝わってくる仕様が好きです。

とにかく、この世界観がもう私は大好きです!!

 

 

 

禁忌を隠さない近親婚

 

さて、本作の近親婚についてですが、ガッツリガチです。

義理の兄妹ですよ~とか、実は拾われっ子ですよ~とかいったごまかしは一切ありません。おまけページに家系図が用意されている時点でその本気っぷりは伺えることでしょう。

 

中でも、すごいな!?と思ったのは、近親相姦のメリットデメリットまできっちり描かれているところ。

私はどのフリゲもDLの際にキャラクター紹介ページはネタバレ防止でほとんど見ずにDLするため、サツキと初めて対面したシーンでの会話に思わずヤバイ声が出ました。才能の多寡にこだわるところもそうですね。ウワッと気づいてしまった時のエグさが好きです。

また、生まれつき相手が限られているという点が「運命」「生贄」「身代わり」どれとも成り代わるのも、巧みですさまじかったです……。

 

 

 

悪意や含みのある物言いをごまかさない文体

 

さすが良いところの血筋と言うべきか、キャラのセリフには婉曲的なものも多くあります。

皮肉に秀でていらっしゃる方が非常に多い! おっそろしい! 会話がどれも知的! 最高!

水面下の蹴り合いもあれば、真正面から言葉の刃で切りかかるシーンもあり、実に背筋の凍る想いを味わえます。

 

そんな中で着目をしたいのが「ごまかさない」ところ。

自分の感情に言い訳をしてしまっているな、という場面ではきっちりモノローグが回収をしてくれます。その場しのぎの選択肢は、聡いキャラ達が鋭く見抜き、こちらを精神的に刺しにかかってきます。

登場人物全員が、悪意に敏感で、かつそれらを取捨選択していく賢さを持っているんですよ。だからこそ、話が早く、プレイヤーに対して誠実で、そしてどうしようもなく救いようがない。

この辺なんだか、生々しくて好きなんです~……。

 

日常でもあるじゃないですか、「この人今ちょっと思うところがあったんだろうな」って感じる嫌な表情を目にしちゃう場面とか。

で、リアルだとそういうのって流さざるを得ないというか、毎度拾って気を使ったり食って掛かったりしてたら身が持たないと思うのですが。

本作はそこら辺のリアルな機微を交えつつも、爆発する時は最悪の形で爆発するという、フィクションだからこそできる崩壊と退廃を見せてくれて、ものすごく良かったです。さじ加減が絶妙なんじゃ~~~!

 

 

 

専用衣装や立ち絵差分の多さ

 

つい舞台やストーリーにばかり注目してしまいますが、いやあグラフィック面も素晴らしいんです。

 

何がって、立ち絵の多さが!!

 

ルートごとに専用衣装があったり、

幼少期と少年期で別の立ち絵があったり、

微笑みと笑顔で細やかに表情が違っていたり。

とにかく種類が豊富です。

しかも全員分。髪型チェンジまで実装されてるのがまたおいしい。

 

そしてしかもセンスが良いんだこれが!!!

 

和服と中華服が混ざってる感じ? でいいのかな? 好みの衣装ばかりでものすごく眼福でした……。好き……。どの服が好きか訊かれたらマジで悩むし決めるまで数日お時間頂きたいくらいにはどれもほんっとに好きです。

 

 

 

画面構成とフォント

 

起動してまず驚いたのが、タイトルのフォント。

あれは有名な「数式フォント」なるフォントなんですが、和の花が咲き誇るこの作品であの硬質で幾何学的なフォントを起用するの、すごい斬新で驚かされました。違和感ないのがすごいんだよな……。

 

さて、フォントに限らず本作はあちこちの画面構成が最高。最高です。

キャラごとに家紋が決まっているのもポイントですね。様々な花でダウナーに彩られるこの画面が大好きなんだ……。

攻略対象の多いゲームってイメージカラーでキャラ分けされるイメージが多いのですが。本作の家紋という差別化は世界観がより濃厚になって大好きです。

 

あとBGMがキャラごとに変わるのも大好きで!

ツバキ様以外、本編中は攻略対象同士がほとんどお互いに顔を合わせることがないので、いっそう「今のお相手はこの人」という意識が高まって好きでした。

とか言いつつタイトル画面のBGMが一番好きですが!

シーン切り替えでSEが入るのもさりげなく引き締まって良い演出でした……。

 

 

 

驚きボリュームのおまけ要素

 

そして、この濃厚でえげつない最高の物語を味わった後に開放される、クリア後ページですよ。

こ、このボリュームをさらに噛み締められるなんて良いんですかと!!!!!!!

 

さらには有料の18禁パッチの存在ですよ。

もう、この、このボリュームをまさかのワンコインで本当に宜しいんですかと!!!!!!

 

カツラと攻略対象のみならず、それぞれのキャラ同士、お家同士の確執因縁憎愛すれ違いその他諸々がたっぷりと浴びれて、とても幸せでした……。嬉しい……。

 

あっ、とはいえ! 

有料の追加パッチについては公式サイトに内容物や文量などはきちんと記載があるので、そちらをまずはご参照ください。くれぐれも私の喜びを受けて過度に期待を膨らませて突撃してしまったりすることのないようにお願いいたします。ワンコインとはいえ、この辺はお金も関わることなので、きちんとしておかねばね。

そしてもちろん、本編だけでも大ボリュームでとんでもない満足感があります! 私の主観ではありますが、だからこそ胸を張って言い切れるので、全力で主張しておきます。

 

ちなみに私はもう本編楽しんだ時点で「サイコー!」と速攻で購入を決めたのですが! ははは!

やはりドハマリした身としては、全力で楽しんで頂きたい気持ちはあるので……。1プレイヤーはもう大満足しましたということで、ご参考までに。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

テキストもグラフィックも最高至高、特に好きなルートは何度もプレイしてしまった濃密な作品でした……。ダークな乙女ゲーをお求めの方、公式の注意書きがむしろ大好きだという方は是非是非!

 

 

普段ならネタバレ感想はこのまま追記に投下するのですが、今回は長くなってしまうので別記事にて。

既プレイの方はよろしければお付き合いくださいませ!

shiki3.hatenablog.com

 

 

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shiki3.hatenablog.com

「spell」(シナリオ担当)

 

フリーゲーム「ホシワリ×ヨイザナイ」感想

「よわよわでもぐうたらでもカワイイんならそれは正義!」

もちろんカワイイだけで終わらないように頑張りますよな前置き。

 

 

 

えー、今回はpsycho02さんところのフリーゲーム「ホシワリ×ヨイザナイ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

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ルート分岐有、元気いっぱいショタいっぱいの短編RPG。ボスラッシュだけどゆるいフィールド探索はあり、謎解きはなし。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

キラキラできゅるるんなハイセンスグラフィック

 

「しいたけ目が好きな民、プレイしろーーッ!!」

そう言いたくなってしまった本作。

しいたけ目に限らずなんですが、ハイライトの描き方がどの子も違っててすごくかわいいんですよ~! まさに「星」で「魔法」なキラキラかわいいグラフィックが多くてとってもかわいかったです! どのキャラもデザインセンスが天井突破していて眼福でした~!

 

けっこうどの子も装飾や色使いなどかなり緻密?要素が多い?と思っているのですが、それでも視線があちこちいかずすんなりと見れるんですよねえ。これは戦闘画面や、カットインのデザインでも感じます。

ボスラッシュなので敵のグラフィックがババンと大映しで見れるのも嬉しいところ。

 

しかも登場人物のほとんどがショタ! 好きな方はそれこそヨダレが垂れるレベルで嬉しいはず。

 

 

 

いつでもどこでもよく喋るキャラクター

 

掛け合い重視と記載のある通り、キャラのセリフがかなり多めです。メインストーリーとしての会話もさることながら、戦闘中やマップを歩いている最中でも会話があちこちに発生したのは驚きました。

画面の邪魔にならない位置でぱっと表示されるのも、スマートかつオシャレでいいなーと感じます。

ただ、ごく一部のシーンででマップ名表示と会話文が思い切り被ってたのはもったいなかったかなー、なんて。でもちょっとした一・二文ですし、読もうと思えば読めるレベルなのでご安心を。

特にバトルでは、スキルを使う時に反応してもらえるのがなんだか親しく思ってもらえてる感じがして嬉しかったですし。ボスの行動に攻略ヒントがもらえるのも実用的で助かりました。

 

 

 

実はこっそり隠し要素

 

途中まではアドベンチャーに近いプレイ心地だなーと感じていたのですが。隠しボスの存在や、戦闘結果による物語のルート分岐などを考えると、やっぱりRPGだなーと感じました。

戦闘でもバフデバフがかなり重きを占めています。しっかりスキルを使って戦おうという方針が強調されていてGOOD。

道具屋などがない代わりに、スキルやアイテムは探索(NPCとの会話)で入手できます。背景に紛れて見逃がしてしまう方もいそうな気はしますが、一応オブジェクトはしっかり用意してくれているので、RPG慣れしている方はしっかりキャッチできるかと。

しかも公式に攻略が用意されている親切設計です。

 

 

 

シンプルにスリム化されたシステム

 

本作の一番の特徴でありパワフルなポイントはずばり、

ときめき☆パワーアップシステム!!

レベルの概念がない代わりに、ひたすらスキルを使うことでステータスが上がっていくという。この仕様名のはっちゃけっぷりからして好きです。

レベリングがないので雑魚戦もなし。短編にふさわしくスリムな構成になっているなーと感じました。

 

スキルやアイテムの説明、用語集などがぎゅっと一項目にまとまっているのも斬新でしたね~。敵図鑑がアイテム化しているのはよく見ますが、取扱説明書・スキル・アイテム・キャラ紹介・攻略情報、が全て一つになっているのは流石に初めて見ました。でもTIPS内に小項目が用意されているので、意外とすっきり見やすいんですよね。この辺り、さすがデザインセンスのある方は違うなあと感じさせられました。

 

 

 

だめだめアラサー魔女とよわよわ弟二人

 

さて、ストーリーとしてはギャグまっしぐらな本作。アラサーな魔女様がよわっちい弟たちのために奮起しつつも、やっぱりだらだら過ごしたいお話です。

せっかくルート分岐するのに、肝心の最終戦でセリフ部分がほぼ同じだったのは惜しい点だったかなあ。でもグラフィックはかなり差分多めの豪華仕様なので、そっちが目的の方は十分満足できるはず。

闇堕ちやヤンデレっぽい描写もあって、性癖合致ありがてぇ~ってなりました。セリフ一個一個がおいしいこと! 

 

公式注意書きの通りメタギャグもあり。まあ世界観やストーリーよりはキャラを見て欲しいタイプの作品なんだろうなあとは思うので、割り切ればそこまで目くじら立てるほどではなかったかな。

ツッコミどころにババンとSEが乗っかってくるのも特徴的でしたね~。ハイテンションギャグな雰囲気がガッツリでした。

 

 

余談・まさかのデータ配布

 

なんと本作、公式から素材として画像データが無料配布されております!!

psycho02.booth.pm

使っていい画像といけない画像について等々あるので、で、詳しくはきちんとDL後の規約を読んで頂きたいのですが……。使用範囲も使用条件もかなりゆるく、とてもありがたい仕様でした~! 

ゲーム内だと表示後すぐに消えてしまうカットインなどを、舐め回すように鑑賞できるのも嬉しい!

絵柄好きだよって方は是非是非、要チェック!

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

ド派手な戦闘とギャグストーリー、おねショタおねでカワイイ要素をたっぷり摂取したい方向けです。

フリーゲーム「ヘイトフル・ナイン」感想

「偽悪が害悪になり醜悪になりそうして私が引き金を撃つ」

かくして私は大悪党な前置き。

 

 

 

えー、今回はあーりんのゲームづくり。さんところのフリーゲーム「ヘイトフル・ナイン」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

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エンド2種、ワンマップの試行錯誤バトルゲー。これはもう公式の紹介文が最高なので、ゲーム内の必読から引用してしまいますね。

 

悪党集団【ヘイトフル・ナイン】を全員倒し、無残に殺された息子の復讐を果たしてください。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

血と硝煙を嗅げる作品

 

これでもかとあちこちにぎゅっと情報量の詰まったワンマップに放り出されるところから、本作は始まります。未プレイの頃はスクショだけ見て、物語性よりもシステム重視っぽい印象を抱いていました。

しかし! 

すごいのが本作は、この記号的なマップの中でなお「血」と「硝煙」を感じられるところ! 

アニメーションしまくるとかそういう類ではないんですよ、むしろ逆。初めたての時は背景として流していたマス1つ、説明メッセージの一文に込められた重みに、どんどん気付いていくんです。

だって見えてくるんだもん、血塗れのドロシーがほうほうの体で、しかし確固として歩みを進める姿が! 幻覚じゃないんだ! いや幻覚かもしれないが!

そのくらい、濃厚で殺伐とした空気感をひしと感じられる作品でした……。

 

 

 

あらゆるシーンのテンポの良さ

 

さて、これだけ夢中になれるのはやはり、システムのテンポの良さがあるからでしょう。

小難しい説明はゲーム内に押し込んで、触ってわからせる簡明さ! 連打OKで戦闘開始も流れるようにスムーズ、回復アイテムはわざわざメニューを開かなくてもキーを一回押すだけ。どこまでもプレイヤーに優しい! 高難易度ゲーだからこそ、こういうところで丁寧なのが信頼できます。

これぞまさに死に覚えゲー

倒れては即NEWGAMEで、少しずつ進むの範囲を増やしていけるのが楽しかったです。

 

 

 

数値に踊らされる気持ち良さ

 

ゲーム開始時点で血濡れの主人公・ドロシー。

このインパクト最大な始まりにまず胸を鷲掴みにされました。歩くだけで減っていくコストと睨み合いっこする、この焦燥感よ!

 

さらにポイントは、圧倒的に緻密な数字管理について。

いやもう、掌の上なんですよ!! いけそうと思えばあと10足りない、あちらを売ればこちらが足りず、そういったジレンマの波を幾度も感じました。この手のゲームで一番楽しいの、歩き始めですよね。

これらが運要素とかじゃなくて、きっちりかっちり数字として管理されている美しさが気持ち良かったです。

攻撃アイテムに基礎ダメージ量が載ってるのも明快で嬉しい!

 

ただ失礼ながら一点、不満だったのは属性関係かな。ヒントをくれるNPCはきちんといましたが、それぞれの属性の弱点が不明瞭でもやもやしました。

属性関係が中盤~終盤に出てくるので試行錯誤するのにためらいが出てくるのと、セーブにコストを払わないといけないという2点で、いかんせん引っ掛かりを感じやすかったのかなー、なんて。

 

とはいえ繰り返す通り、試行錯誤の楽しみが存分に味わえます!

やろうと思った動きにまんまとストップがかかった時の、「作者様に読まれている……!」感がめちゃくちゃ気持ち良かったです。

 

 

 

しっかり濃密なストーリー

 

オープニングなしで始まり、淡々と進む本作。一見すればかなり簡素に思えますが、それがとんでもない思い違いであることは、プレイした方ならわかる通りです。

ここでそう来るとは!というね!!

初めはシステムに背を押されながらガンガン進んでいたところ、脳汁ドパドパな興奮をフッと鈍器で止められ、そこに高濃度なストーリーを押し込まれる……。「やられた!!!」って叫びました。

そしてこちらも、やはり数字できちんと納得が示されているんですよ。システムとストーリーとプレイ体現が全部繋がってて、カッコよかった!

 

具体的にはネタバレありとして追記で語るとして。

冷たくヒリつく空気感が好きな方には、是非、本作にこもった多くの感情も味わってほしい気持ちです。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

トライアンドエラー詰将棋が好きな方はもちろん、ヒリつくストーリーやハードボイルドな雰囲気に惹かれる方にもオススメです。

 

追記ではネタバレ感想

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

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フリーゲーム「カミサマモウデ」感想

「良かれと思ってやりました、やり方は私が決めました」

価値観の違いは不幸の始まりな前置き。

 

 

 

えー、今回は六月晴さんところのフリーゲームカミサマモウデ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

www.freem.ne.jp

 

複数エンドあり、ホラー、BLノベル。攻略対象は2人ですが、登場キャラは男女共に多めです。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

男女しっかり絡んでくるストーリー

 

BLではありますが女性キャラも多く登場し、特に序盤は学生グループのわいわいがやがやを楽しめます。主要キャラには男女カップルも普通にいて、ホラーの王道な雰囲気。

なんなら惚れたのなんだのの話が出てくるまで、BLであることは頭からすっぽ抜けてしまっていたくらいです。

これの何がすごいって、女性キャラをうまいこと生かしてるところなんですよ!

不自然に排除されるわけでもなけば、理由なく登場するわけでもなくて、いやあ納得です。中でもとあるエンドでは“女”がいるからこそ業が深まる良い鬱展開もあって、実に性癖でした~……。

 

 

 

内面が特徴的なキャラ達

 

まずは少し難点から。登場人物が多く一気に集まるため、読み始めは人物把握に若干苦労しました。キャラの呼び方も、先輩後輩・名字・名が入り乱れるのでいっそう難儀でしたね~……。

でもそれはかなり序盤だけ。みんな個性的でキャラが立っているので、終盤には「アイツ」だけでもピンときてしまうほどにお馴染みとなりました。

ちなみに、公式サイトに人物紹介もばっちり載ってます。サイトには立ち絵もついているので、キャラの外見を想像するのがかなり苦手な自分にはとってもありがたかったです!

せっかくなら本編にも立ち絵があれば……と一瞬頭をよぎったのは確か。でも、立ち絵を使った小話はおまけで読めますし、何より本編の雰囲気づくりとしても立ち絵なしの純サウンドノベルな形式が似合うよなあとも思います。

 

 

 

文章だけで怖さを作れるこの構成力

 

そう、特筆したいのはやはり、怖さ

得体のしれないものがひたひたと……といった怖さから、異常行動を取る人間にヒいてしまうような怖さ信用できない隣人といった油断を殺す怖さまで、手を変え品を変えで様々な恐怖を味わえました。ホラーノベルと言うジャンルとしてもオススメしたい作品です!

凄まじいのが、文章だけでこの恐怖を醸し出しているところなんですよ……。爆音でびっくりさせるとか、画面が血でドバドバとか、そういう演出ではないんです。ただただ、一文一文追うごとにのめり込み、ゾクリと冷や汗の垂れる恐怖を味わえます。

「手で握手をする」みたいな悪文がごく稀に出てきはしますが、むしろそれでもガッツリ怖がれるほど雰囲気作りが上手いという点に着目するべきでしょう。三人称視点で読みやすく、さくさく読み進められるからこそ夢中になって引き込まれるというのもありかもしれません。

 

 

 

それぞれ違う関係性のルート

 

BLといえばやはり着目したいのはお互いの関係性。

この点、二つのルートの差別化がうまかった!

 

尾崎ルートは、お互いが踏み込めないもどかしさ。二人きりで閉じている、親しいからこそ崩せない想い……。ホラーとしても、怪異のほとんどはあっさり解決されます。ただし、たった一つの巨大な恐怖がじわじわと常に足首を掴んできますが。

誠実寡黙な彼と向き合い続け、コツコツじっとりと想いを明かされるようなルートでしたね~。

 

真生ルートは、一方通行のもどかしさ。色んな人に声をかけ、あっちこっちへ奔走し、その中で特別なのはやっぱり……という展開です。こちらはなかなか怪異の全貌が見えない分、「次は一体何が起こってしまうんだ……」というスリルを楽しめました。

チャラで陽キャな彼のギャップにガツンとやられる、ジェットコースター的なルートだったように思います。

 

どちらも距離感や展開の対比が絶妙でした~……! これでどちらも楽しめちゃうんだからすごい。

全体像を把握しやすいという意味では、個人的に真生ルートからのプレイを勧めたいかな? とはいえエンド分岐が単純なのは尾崎の方ですし、もちろんお好みで遊べますのでご安心を。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

夏の青春と怪異のぞわぞわ、そしてBL的な執着と独占を楽しめる良ゲーでした!

 

追記ではネタバレ感想。

 

 

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フリーゲーム「儚き灯火」感想

「許しも終わりもないけれど、手を繋ぐ時間は無限にある」

せめて二人で身を寄せ合っていたい前置き。

 

 

 

えー、今回はエムアイネットさんところのフリーゲーム「儚き灯火」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

www.freem.ne.jp

 

死後が舞台の短編SRPG。ほんのりとおねショタ。同作者様の他ゲームと世界観は共通ですが、登場キャラやストーリーはまったく別個です。単品でこの作品からでも十分楽しめます!

一応クリア時間は3時間でしたが、私は難しい難易度でプレイしたので、思考時間やリトライを含めるともっとかかったかも。

 

というわけで、良かった点など。

 

 

 

ユニットは召喚し生き延びさせるもの

 

マップが始まると多数の味方キャラの中から出撃ユニットを選んでいくのがSRPGの主流だと思うのですが……。本作はぽつんとたった一人、主人公だけが配置されるところから始まります。

そう、本作のユニットは育てるものではなく、その場限りで召喚するもの!

普段はあれこれ気を揉む、味方ユニットへの経験値の配分や、とどめを誰で刺すか……等々を考える必要はありません。同作者様恒例のシステムではあるのですが、短編ならではの手間暇カットという感じがして好きですね~。

当然ながら、ユニットの召喚にはコストが必要です。そして本作は「マップ終了時生存している召喚ユニットはそのままコストを返してもらえる」という利点があります。考えなしの物量戦はできず、きちんと生き延びさせつつ展開していかないといけないという。この頭を悩ませる感じが楽しかったです!

 

 

 

難易度はカジュアルとクラシック

 

スタッフルームが解放されるとのことだったので、自分はクラシックでプレイ。結果、かーなーり手強い難易度でした!

ただ、コスト(霊気)が次マップへの引継ぎアリとのことで、極力最小人数のユニット&全員生存を意識してプレイしていたので……。プチ縛りプレイしてた感じになるのかな? なので、実際のところはもうちょっと気楽にプレイできるかもしれません。

なお、スタッフルームは実質スチル鑑賞です。作者様のあとがきなどはなかったので、そこらへんにこだわりがなくてかつ悩んでいる方はカジュアルでもいいかも。

マップ開始時の「この人数差無理だろ!」という絶望が、「あれっわりといけるのでは?」に変わる感じは気持ち良かったです~。

 

 

 

 

引き寄せ弾いて範囲攻撃

 

さらに着目したいのが、ユニットを動かすことのできる攻撃について。敵を引き寄せたり、あるいは攻撃後に突き飛ばしたり。このおかげでかなり詰将棋な要素が高まっていたように思います。

それに合わせて、敵の攻撃範囲がぱっと一目でわかったり、特殊能力の効果範囲が見やすかったり、リトライがほぼノータイムできたりするシステム面の親切さも光りましたね! ストレスフリーでありがたい限りです……。

 

さて、まずは突き飛ばしから。「直接攻撃での反撃を喰らわなくなる」というのがかなり斬新なプレイ感でした! 慣れるまで、それこそ終盤くらいまでかかったかも。

続いて引き寄せ。この攻撃の何が良いって、集団戦や長距離攻撃の敵を一匹だけ孤立させてボコれるところ。クラシックだと一発敵から喰らうだけで自軍半壊になることも多かったので、とてもお世話になりました。

この二つの要素を用いて、最終的に到達するのが「範囲攻撃」です。飛ばして寄せて一か所にまとめて、あとは一発デカいのをどかーん! どことなく倉庫整理っぽさもあるかもしれませんね。

 

そんなわけで、一番使っていたのはシルフとイフリートでした。

集めて火属性強化して範囲攻撃で燃やし尽くす! わかりやすいし使いやすくて好きです。

 

 

 

メランコリーお姉さんと無力な少年

 

さて、ゲームの中身だけでなくストーリーやキャラにも着目したいところ。同作者様のフリゲの中で私がプレイしたことあるのは「死後の世界に触れた彼女は(シゴカノ)」と「レクイエム」の2作だったのですが、それらと比べてかなりコンパクトかつ綺麗にまとまった作品だったように思います。

主眼はとにかく、ナナミとチサトの二人! 自己肯定感の低いナナミと、弱き存在であるチサトが共に出会うことで進展するお話でした。

激動というよりはじんわりと沁みる感じかな? 雨の最終面とそこからのエンドがこの作品の雰囲気の全てを物語っていると感じました。

 

モブもほどよく悪役で、好戦的なキャラと消極的なキャラがいることも嘘くささのない展開を感じて良かったです。

私、ナナミみたいなキャラクター大好きなんですよね~! ちょっとネジが外れてみえる、憂鬱メランコリーなキャラ。チュートリアルでのお姉さん感もあいまって、とてもツボでした。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

難易度はしっかり手堅く、ストーリーは二人のこれからに思いを馳せたくなる、良短編でした!

 

 

 

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