うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「ヤミノウツツ」感想

「真っ白を汚す快感よりも、眺める癒しを求めたくなる時がある」

こちらが漆黒ならばなおさらの前置き。

 

 

 

えー、今回は露骨(あきばれ)さんところのフリーゲームヤミノウツツ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

読了まで10分少々の一本道ノベルゲーム。

世界観を共有している「ヌシアルハナ・ハルノヨ」から先にプレイするのをオススメします。逆に、ヌシアルハナをプレイ済の方については、特にキャラクターの関連性やゲスト登場はないため、別物と考えたほうが良いかと。

したがって、感想もヌシアルハナを前提としております。ご了承をば。

 

というわけで、特徴的な点など。

若干エンド内容の匂わせをする程度のネタバレを含みます。ダイレクトな書き方はしていないつもりですが、未プレイの方は要注意。

 

 

 

 

花で表現されるキャラクター

 

本編中にキャラの立ち絵はありません。代わって、誰が話しているかは花で表現されます。画面構成がオシャレ! 

メインキャラが3人、かつ基本は一対一の掛け合いということもあり、立ち絵はなくともすんなり読み進められます。そもそも名前表示がありますしね。

ヌシアルハナの時からずっと、家紋の取り入れ方や画面構成の綺麗さに惚れ惚れしていたので、こちらでも堪能できて嬉しかったです! こっちは青基調なのも対比があって好き。

 

 

 

近親婚をテーマにした話

 

さて、ヌシアルハナのほうもガッツリ近親婚ではあるものの。全員がそれを避けがたく成されるべき業だと認識してる、というか、もはや諦めてると思うんですよね。

一方で本作ヤミノウツツは、特に主人公のアオイの抵抗感がはっきり表現されるので、改めてこのホンケの歪さを客観的に感じられたような気がします。

物語自体は甘くとろりと闇へ堕とされるような雰囲気でしたね……、本作のこのテーマを踏まえたうえで、かつヌシアルハナが生まれたことを考えると、だいぶ鬱展開だよなあとも思います。

 

 

 

聡くも愚かなあの子

 

公式の紹介文にもありますが、ヒロインポジションのタマキはとにかく無知です。一方で、色んな物事を察して気を配ろうとするだけの賢さはあります。このアンバランスさが、もう、絶妙でした。いじらしいと痛ましいって両立するんですね……。

目が見えないという設定もまた私の好みぶっ刺さりでした! もしかしたら、だからこそ立ち絵が無いという演出でもあるのかな……?

展開もまた、無知という属性がよくよく響くんですよ……。不穏な導入からどんどん、うっとりと蕩けていく展開に変わっていくのがすごくゾクゾク来ました。好きだ~……!

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

最後に留意点としては、コンフィグがないことかな? 短編ですし特に不便はないのですが、ヌシアルハナから入るとおや?となるので一応。

ヌシアルハナの世界観が好きなら合わせてプレイしてほしい一作でした。

 

 

 

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shiki3.hatenablog.com

 

フリーゲーム「幸福の塔」感想

「登れば空気は薄くなり、下れば空気は汚れていく」

そしてちょうどよい場所は既に奪われている前置き。

 

 

 

えー、今回は稲海さんところのフリーゲーム「幸福の塔」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

www.freem.ne.jp

 

エンド分岐有り、恋愛要素はなし、非人道的な行為やいじめ、文章だけのグロテスク表現あり。ファンタジー世界で務める子どもたちの話。粛々と世界の歪みを見届けるノベルゲーム。

 

今年(2021年)にプレイしたフリゲの中で一・二を争うレベルで好きです。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

 

容赦なく静謐に綴るマルチバッドエンド

 

とにもかくにも、筆力です。

描写は生々しく、しかし読みやすく滑らかに、心の芯へサクリと差し込んでくるような文章が綴られています。

基本的には会話で進行していくんですが、このセリフ選びがまた絶妙なんですよ!

「ああ、そういう境遇だったらこう言っちゃうよなあ」「あのセリフはこういう根っこがあったからなんだなあ」そういう納得が一つ一つ積み重なっていくような感覚でした。

 

 

 

リアル調の絵柄

 

どういう感じと言えばいいのかな、絵柄がかなり写実的? リアルっぽい? です。

立ち絵形式ではなく、遠景と表情のみを使いこなしているところもまた良き。モブはすぐにそうとわかるし、シルエットしか見えない大人たちからはどことなく、腫れもの扱いを感じます。

ネタバレに抵触するので追記に伏せますが……特にメイン3人の子どもの顔つきが素晴らしい! 個性の出し方とはこういうところにあるんだなと改めて思わされました。

人物のみでなく、美しい建築物や画面ウィンドウの装飾など、全体的に中世?めいた雰囲気。濃い世界感を感じさせてくれるグラフィックでした。

 

 

 

生々しい感情の動き

 

追い詰められたときにふっと出てきてしまう悪意の表現がとても上手い作品だなと感じました。

別に、底意地の悪い話ではないんです。登場人物みんな、イジワルでもなく善人でもなく、ただただ普通の人達なんですよ。

でも、だからこそ、舞台設定が絶妙に上手い。否が応でも滲み出てしまう余裕のなさ、やってしまえと魔が射す気持ち、それらが出ざるをえない環境。

丁寧な下地作りによる地獄が形成されているなあとしみじみしました。とても苦しくて、響きます。

人間の心って、そう強くないんですよねえ……。悲しいほどに。

 

 

 

ちょっと独特のバッグログ

 

興味深いなーと思ったのは、バックログについて。

文章のみでなくグラフィックまでセットで見返せるので、シーンを丸ごと再上映されるような感覚です。私がプレイするタイプのノベルゲームは、テキスト部分だけ読み返せるようなシステムだったので、なおさら新鮮でした。

表情もノベルゲーにおけるポイントの一つだと思っているので、こういう仕様は素敵ですね~。

 

また、システムとは少し違いますが、BGMも注目したいポイント。よく聴くクラシックが讃美歌めいて、時に美しく、時に重く、時に畏ろしく響く……。

じっくりと余韻を味わえました。この世界観にぴったりです。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

閉鎖的な空間で追い詰められる子どもたち、救いとは何か考えたくなるストーリー、鬱展開が好きな方におススメです。

 

 

追記ではガッッッツリ長めにネタバレ感想。

 

 

 

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フリーゲーム「シノビハリセンボ・秘」感想

「叶わないとわかっているこの想い、捨てられないならどうするか?」

無理に捨てたら歪んだ形で戻ってきちゃった前置き。

 

 

 

えー、今回はspice+さんところのフリーゲーム「シノビハリセンボ・秘」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

novelgame.jp

 

 

姫と忍の嘘と想いを巡る、恋愛ノベルゲー。全クリアまで30分くらいの短編です。

ちなみに本作、昔は吉里吉里製のノベルゲーとして公開されたそうなのですが、私は過去作一気DLセットからDLしてきたので、リメイク版のティラノ製verをプレイしています。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

 

 

テンポよく気持ち良い画面転換

 

ゲームを起動した時点ですでにアッと驚かされました。クリックと、画面の動きと、カカンッと鳴る拍子木の音がそりゃもう気持ち良いんですよ!

ストーリーにしても、ささっと舞台設定を示しつつ、ややこしいところはスッと省いて本題へ。とにかく読みやすくテンポ良し、短編にピッタリのプレイ感でした。

公式で「ほろ苦」とある通り、ルートによってはシリアスなムードが流れることもあるのですが……。明るいエンドへ進むと、これまたカカンッ!と小気味よい音が鳴って、雰囲気ががらりと変わります。この「ここからギャグなんだな」とパッと察せられるのも強みだな~と感じました。

 

 

 

しっかり和と時代を感じる文体

 

いやもう随所の言葉選びがすごい! 和! しかも格式高い!

ガッチガチに小難しいんじゃなくて、ちょっとした単語に教養滲み出てるところがまた良いんですよねえ……。本筋は読みやすく、でも雰囲気はしっかり和風。乱世の雰囲気や嫁入りの籠運びなど、さりげないところに時代を感じさせるエピソードもあって、舞台づくりが上手いな~と惚れ惚れしました。

グラフィックも勿論和風。あちこちの装飾や背景画像、システムグラフィック、どこを取ってもオシャレでした~……!

 

 

 

読み手にありがたい回想機能

 

このうえなく嬉しいのが、回想機能!

しかもすごいのが、エンドだけでなく共通ルートや分岐後のシナリオも見返せるところ! 表情差分が細やかな本作、ピンポイントでここを見返したい!と思うことも多かったので、すごくありがたかったです。

 

その他おまけ機能としては、後日談の厚みも要注目。どちらも同じ締め方で、しかしここまで対極の雰囲気を出せるものなのかと……。圧巻でした。

カラッと明るかった真エンドは、おまけで姫の覚悟がより伝わり、シリアスハッピーな味わいに。ドキッと仄暗さを感じさせた偽エンドは、よりいっそう堕ちが深まる闇深い展開に。やっぱり私はヤンデレや暗いものが好きなので、偽エンドが実に最高でした~!

 

 

 

ヤンデレ?いやいや忠義です!

 

絶妙なのが、攻略対象である狐陀の人物像。

この作者様、他ゲーでも感じるんですが、キャラの性格がいわゆるテンプレから1ミリずれて、絶妙に人間らしいリアルな性格付けをされてるんですよねえ。チャラオ(女好きと見せかけて盛り上げ上手の気遣い屋)とか、レオマサ(俺様系と思いきや王様系)とか。

本作もそのキャラ像の巧みさは健在。具体的に書くとネタバレになってしまうので避けますが、こう、そうきたかー!というもどかしさに胸をぎゅうと悶えさせつつもサムズアップしました。すごい。

 

主人公ことヒロインのほむら様にしても、なんだ、いじらしいんですよ!

姫という責務をしっかりと自覚していて、凛としていて。一方で、少し子どもっぽく、うっかり言いくるめられてしまうような隙の見える一面もあったりして。

メインキャラ二人ともが良い個性づけをされていて、素敵でした~!

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

「基本的には元気いっぱい、でも踏み外すと……?」な味わいと深みのある良作でした! 糸目キャラ好きや開眼にときめく方は特に必見です。

 

 

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

フリーゲーム「EpinephrineDrive!シリーズ」感想

「どうか世界をより善きものに」

しかし我と手段と力が問題である前置き。

 

 

えー、今回は池田(たんち)さんところのフリーゲームEpinephrineDrive!シリーズ」(「EpinephrineDrive!」
「UGO」「傷だらけの蝶が飛ぶとき」「気狂い風船 -CRAZY BALOON-」「デリカテッセン-窓から見る戦争について-」「魂心裁判」)の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

VIPRPG、見るゲ・読むゲのシリーズもの。時系列はそれぞれ同梱テキストにありますが、公開順でプレイする方がすんなりわかりやすい気がします。

共通して登場するのはセイントⅡですが、多くのキャラが登場します。

 

 

というわけで各作感想。

元々メモで終わらせるつもりだったので、いつもの記事と比べて文体などなどフランクですがご了承ください。

 

 

 

『EpinephrineDrive!』

 

全ての始まり。30分くらい。世紀末世界で光を伝播させていく二重人格記憶喪失少女セイントⅡの話。アクションシーンかっけ~!

 

 

『UGO』

 

5分くらい。ト書き文台本。モンスターも人間も同じで悪い奴は悪いし良い奴は良いぜ~的な流れをやりたかったのかなって思う。「傷だらけの蝶が飛ぶとき」にある要約セリフ見とけばOK。

 

 

 

『傷だらけの蝶が飛ぶとき』

 

[概要]

1時間くらい。魔法具現化が俘虜となって、理不尽に処刑されたり暴力を振るわれたりする世界。

 

[感想]

 男女カプ厨私大歓喜。ノックアウト×ウィンドⅠが展開もキャラもめちゃくちゃ良かった……。絶望も希望も両方受け取れるCPだった。

 王様という巨悪は確かにいるんだけれども、ソイツさえ倒しときゃよい問題ではなく、過去の恩や国家という信仰を持ち込んでるのが上手いなと思った。Epinephrineの時から、死が問題なのではなく「その人が何を託すか」「誰の心を動かせるか」を重要視しているのがこの一連のシリーズなのかなと思う。

 

 ダークネスⅠの動機、魔-ミンというわかりやすい過去エピソードをしっかり尺取って語る一方で、お姉ちゃんとお兄ちゃんに関してはたった一言で終わらせてるのがものすんごい痺れた。

 行をする皆に食べ物持ってくるくだりもそう。ヘラヘラ馬鹿なことばっか言うのに、肝心要はがんと口を噤んで、必要なたった一つの覚悟だけきっぱりと言うのがすごく良い。特にブライアンの前で茶番をしてた時の、「なんだこいつ」になってから、直後のハッとする瞬間がたまらん。あのワンシーンのために読み進めていたと言ってもいいかもしれない。 

 

[一言]

起こった事実だけを見ればバッドエンドだし報われないキャラも多々いるんだけど、ハートの部分はなんだか爽やかになれる、不思議な読了感だった。

 

 

 

 

『気狂い風船 -CRAZY BALOON-』

 

[概要]

30分くらい。悪の道化師ブロウと、歌姫妖精さんと、ヒーロークロの演劇。

 

[感想]

 なるほど私は中華丼。30分くらいのはずなのに、ものすごい濃厚だった。シラノ履修済で良かった~と思ったけど、知らなかったらもっと「???」ってなってたのかなと思う。でも最後のアーディスの優しい嘘の話もあるから、やっぱり大筋はわかるようにはなってるのか。

 

 悪役を謳うブロウとヒーローに憧れるクロが交差する展開、やっぱり熱かったなあ……。最後にシロが覚悟について語ってくれたからなんとかついていけたようなところもあった。ブロウ側に当てはめると、「誘拐」「脅迫」「暴力」っていう悪らしいことはやってるんだけど、それすらも「笑われる」に収まってしまう彼の天性がようやく最後の最後になって、覚悟と魂をかけたものに成った、悪のガワを被ったただ一生懸命の男が誕生したということなのかなあと思う。

 真と偽善と悪の対比とモチーフについて。初めはピエロとブロウなのかなと思っていたんだけど、シラノの演劇が始まってやっと、今までのブロウ≒ピエロみたいなもんで、どっちかというとピエロとシラノが対比だったのかなあと……? で、シラノもこれまた影役者なキャラなわけで、だからブロウは悪役として輝きたかっただけではないというエピローグに繋がるのかなと……。

 

 なんかとんちんかんなことを書いてそうでやだなあ。

 各視点ごとの展開もしっかりしていて、混乱せず先が読めるような構成にもなっているのになお、混沌と爆発を感じた。

 

 

[一言]

魂が燃えている話。

 

 

 

デリカテッセン-窓から見る戦争について-』

 

[概要]

時間を忘れて読み切ったのでプレイ時間覚えていない。今までの集大成および結論って感じ。

 

[感想]

 区切りながらやろうと思っていたのに気づけば一気に駆け抜けてしまった。

 群像劇なのに見やすいのすごい。たぶん、シーンごとにメインとして登場するキャラがそう多くないから、くるくる入れ替わっても見やすかったのかなーと思う。

 

 みんながみんな「わからない」と言うのがなんだか印象的だった。平和とは強さとはって正解がない問題だとは感じるんだけど、この話の各々キャラ達は各々の答えや信念を持って進んでいるとも思っていて……。だから、答えが「わからない」というより、最善なのか全員が取るべき最適解なのか相手の葛藤を切り捨ててなお選ぶべきものなのかが「わからない」なのかなあとか。最期に自分が納得できるかどうかがその「わからない」を明かすキーで、それって極論人生を歩むことと同じだよなあとか。つまりデリカテッセンは人生。うーん?

 どのキャラも、それこそアラマキみたいな悪のキャラも一貫してて好きだし、自らを決め切れていないザックみたいなキャラもそういう迷いを持ってるキャラとしてブレずに描かれてたのが好きだった。それぞれ個性が光る、ってやつだ。

 

 サモンの、「俺は他者の生き死にを決めれる程偉くねーんだ」がそのまんま、アレックスの生き様に跳ね返っていくな~と思った。だからこそサモンは勇者の「補欠」なんだなあとも思った。

 世界の膿を出しきって自らの信念を貫き通したという意味でアレックスの生き様は本当に、言い訳のしようなく見事なんだろうとは思うし、讃えたいんだけど、ヒーローと言い難いのもわかるし、いやでもなんか社会とか集団とかそういうもはやどうにもならないほど巨大な怪物に同化しながらも戦った孤闘の生き様を一刀で「だってあいつクズじゃん」ってなるのは違うと思ってて、あ~~~~~ってなる。

 

 気狂い風船でのアーディスとクロの会話がめちゃくちゃ好きだったから、ぐぅう……ってなってしまったな……。

 

[一言]

この方の作品は、なんかもっと、こんな私みたいな回りくどい言い方じゃなくてもっと簡明で熱い言いようがあるはずなのになあ!!ってなる。私には語彙力がない。もどかしい。

 

 

 

『魂心裁判』

 

[概要]

セーブ1か所、他と比べると次セーブタイミングまでガッツリボリュームあり。腰を据えて。

デリカテッセンの前日譚だけど、文脈としてはデリカテッセンの後にプレイする方が読みやすいと思う。

 

[感想]

 「我々の存在意義とは」「キャラクターに魂はあるのか」辺りがテーマになるのかな……。他作品よりもメタいというか、「勇者」「悪役」といった役割に殉ずるキャラクター、みたいな要素が多かった。

 

 これまでのシリーズでは「種を蒔く」という表現が多かったように思うんだけど、この作品はそれが実るまで見届けられなかった、見届けることを目的としてはいなかった人たちの話って印象……? 

 今まではシロみたいに見届ける、受け止める人たちがいて、それでエピローグが成り立ってたように思うんだけど、本作は名を残されなかった勇者の話なので、今までとちょっと違った後味になってた。それでも各個人が、「ここにいる」と叫んだ、存在意義を断定されたことはやっぱり救いだし次代へ繋がれる何かだったなあ、そうであってほしいなあと思う。

 

 ナイ軍との戦い、変則魔法との戦い、どちらも演出と戦い方がマジでかっこいい……! アーマーブレスみたいな達人の静の戦いと、ナイみたいなド派手全力闘争と、両方魅せられるのほんとすごい。惚れ惚れ。

 

 

[一言]

記載の通りデリカテッセンの補足、余韻に浸った勢いでプレイして良かった。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

元々は『魂心裁判』の名前をTwitterのTLで受動喫煙して、プレイするならシリーズ履修しておくべきだよな~と思って進めた。結論、きちんと履修してほんとに良かった、感慨深かった……!

DLできなくてプレイできてない作品もいくつかあるけど、現状でメインどころは堪能できたし、満足してるからオッケー。

 

思想やセリフは冷静に、演出や主張は魂を燃やして行われる、とても良いシリーズでした!

フリーゲーム「参道のオーバード」感想

「夜明けを見に行こう、あなたの旅路を祝して」

幸あらんことをと祈る前置き。

 

 

 

えー、今回は騙り部の影(卜部)さんところのフリーゲーム「参道のオーバード」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

www.freem.ne.jp

 

 

ストーリーも進む道も一本道、ノンフィールドゲー。短編RPG。和風。いわゆる雪道ゲーです。

……この言い方で通じる方はどのくらいいるんだろうか。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

カスタム可能な主人公

 

主人公の立ち絵やセリフについては、自作のものを実装できます。やり方もフォルダに一つファイルを入れるだけ。

セリフ改変できるゲームって一つ一つ設定しないといけなくて面倒なイメージがあったんですが、本作はメモ帳にセリフを並べるだけでできるので、すごくお手軽でした。

デフォルトのものも用意されているのが嬉しい。特にキャラの立ち絵は、デザインも画風もバリエーション豊か!

そういった「うちのこ」を持っていない自分でも安心して楽しめました。

 

 

 

シンプルな操作感

 

基本操作は矢印キーのみ。戦う時もややこしいコマンドや装備はなし。スキルや回復をどのタイミングを使うか、という一点のみが戦いの鍵を握ります。

このサクサク進んでコストと相談しながら行ったり来たりする感じが楽しかったですね~。シンプルだからこそ夢中になりやすく、気づけば時間を忘れてる感じ。

クリア時の記録は追記にて。

 

 

 

あっさりながらもハッとさせられるストーリー

 

ほぼバトルのみでストーリーもあっさり味。

その分、エンディングの解放感が美しい余韻を感じさせてくれるゲームでもあります。

私自身、事前情報からストーリーはないと思い込んでプレイしたゲームだったので、思わぬ綺麗な畳み方に拍手してしまいました。神々しいエフェクトの乗ったゲーム画面がまた、綺麗さの後押しをしてるんですよね……。

また、ゲーム進行中に出てくるテキストも、一文でシンプルながら味があって好きです。白い光に飛び込むアレ、SEも含めて神々しくて好き。

 

 

 

自動生成のクリア要素

 

驚いたのが、クリア後要素について!

あとがきやクリアリザルトなど、フォルダ内に自動生成されるのがものすごく新鮮でした。どういう技術なんだろ~……。

しかも嬉しいのが、ツイートできるURLまで完備してあるところ! もはやこういったブログよりTwitterが主流になりつつある昨今、お手軽に同プレイヤーと戦果を共有できるのは嬉しいですね~。

好きゲーを元に同好の士と出会えるの、まさにWINWINの関係って感じがしてわくわくしました。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

神々しい清浄な空気に触れながら粛々と進む、不思議と背筋を伸ばしたくなる一作でした。来る新年に是非。

 

 

追記ではネタバレ記録。

 

 

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フリーゲーム「ポイズナッポパイ」感想

「プロット通りに動かないのは製作者あるある」

まあどうあがいても詰んでるので問題なしな前置き。

 

 

 

えー、今回はあきのぽんぽり(松あきの)さんところのフリーゲーム「ポイズナッポパイ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

www.freem.ne.jp

 

エンド分岐あり、攻略を見てフルコンプまで30分強くらいのADV。毒と死が漂い続ける、良質な鬱ゲーです。

 

 

というわけで、特徴的な点など。

 

 

全てが死に収束するストーリー

 

基本的に本作の登場人物の目的は大半が「死」です。

他の鬱ゲーと違う本作独自のポイントは、憎悪よりも想い合いによる死の方が多いところ。「はやく終わらせてあげたい」「望みを叶えたい」「みんなのところに行きたい」……。願い自体はネガティブなはずが、動機がポジティブなんですよね。

なので、陰鬱なエンドは多けれど、納得も多かったように思います。凹む鬱と言うより、これからもこの人たちはこういう風にやっていくんだろうな……と余韻に浸りながら何度も見返すような感じ。

 

 

 

一癖あるキャラクター

 

そもそもこのゲームのDLを決めたのが、トキシの見た目です。右目が剥き出しのあの顔グラ! いやあ、釣られて大正解でした。だってもう世界観が好き!

その後モズが出てきてこれまた、好き……となってしまいましてね……。この作者様のキャラデザ自体が合うのかも。絵の、タッチ?線?もなんだか、沼底へ引き込まれる感じがして好きです。

 

さて気になる内面はと言えば、これもまた強烈。死に向かって進んでいくゲームなので、淡々とはしているのですが、その裏にある想いの強烈さや執念の深さなどがちらりと見え隠れします。

中でも“あの”ヤンデレズは最強です。狂信型を浴びたい方は是非。

 

 

 

血と毒の絡む世界観

 

ダークと注意書きのある通り、人体実験・受胎・改造・食人などなど、あれこれヤバげな展開が飛び交います。が、ポイントはこれらが淡々とお出しされるところ! 露悪的な面がなくて、ここはこういう世界観ですと静かに殴られる感じがします。自分は大好きです!

中でも驚かされたのが魔女の発想。ポエムな文体のOPで雰囲気ゲーかと思いきや、ここで身が引き締まりました。

魔の者、というファンタジーな要素はありながらも、ファンタジーの一言だけでふわっと流しはしない、しっかりした舞台設定を感じます。

 

 

 

 

斬新文字入力システム

 

探索やイベントは文字入力によって進みます。キーワードは色付き文字で表示されるので、何を入れればいいかはわかりやすいかと。

ただしこちら、不満に感じるところも何かとあります。ざっくり下記の通り。

・反応語句が少ない

・入力に手間がかかる

・語句が、図鑑への入力・モズの入力・コトノの入力、どれに対応するか不明

特に図鑑とコトノは紛らわしかったように思いますね~。

いや、コトノから手に入れられるアイテムなど、分岐条件自体はすごくしっかりしているんですよ! なので、一部は選択肢だけにしてしまったとしてもしっかりゲームとして成り立ってはいたんじゃないかなーなんて。

 

また、きらきら光る探索ポイントと全然光らないポイントがあるので、紛らわしかったです。ここは攻略難易度に関係なく、統一してほしかった点ですね~……。

 

とはいえ!

本作、なんとしっかり攻略メモが同梱されています!! なので詰むことはありません。何よりやっぱりストーリーや世界観がめちゃくちゃ好きなので、最終的には大満足でした。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

ダークな世界観、激重感情、死を目指す人たちの淡々とした鬱展開が見たい方におススメです。

 

 

追記ではネタバレ感想。

 

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映画版スラムダンク「THE FIRST SLAM DUNK」感想

「良い試合だった? いいや今、彼らは試合をしている」

思い出が今に追い付いてきた前置き。

 

 

 

えー、今回は珍しくフリーゲームではなく、映画!

「THE FIRST SLAM DUNK」の感想をつらつら書きますね。

 

公開してそこそこ経つかなと思いますし、伏字なしのネタバレ全開な記事となります。これから見たいと思っている方は要注意願います!

 

なお、私の前提はこんな感じ。

・アニメ版スラムダンクは未視聴

・原作(漫画版)スラムダンクは全巻所持、読んだのは5年前くらい

・全員好きだけど中でも宮城リョータが特に好き

・バスケのルールは全然知らない&覚えてない

 

 

 

 

 

まさかの主人公と1試合

 

予告などは一切見ずに映画館へGO。

ポスターだけ知っていたので、「ある程度原作が進んだところから始めるのかな?」「ざっくり総集編っぽく作るのかな?」とあれこれ楽しい予想をしながら座席につきました。

 

そして見終わって、やっぱり語りたいのは2点。

「りょーちんが主人公!!」と、

「あの山王戦をよくぞここまで……!」です。

 

そんでもって、ひょっとすると当たり前かもだし、それが当たり前であることがすごいのかもなんですが、

「原作が動いてる…………!!!!!」

で胸がいっぱいでした。あの絵が、あのシーンが、あの大事な大事な1秒が、そこにあって動いているんですよ。じんと来ましたね~……。

 

 

 

泥啜ろうが平然と立ち上がる系男子りょーちん

 

というわけで、まずはリョータについて。

エンドロールのキャラ一覧もリョータが一番上で、見事にリョータへスポットを当てている構成でしたね~……。好きキャラとは言えここまでメインに来るとは思っていなかったので、混乱の方が大きかったです。

「そ、そんな、こんなにも尺をいただいていいのか……!?」みたいな。いや私いったい誰視点やねんって話ですけど。

言ってしまえば花道が主役の物語はそれこそ漫画で見れる、ってことなのかな? 実際、ただの焼き直しや総集編でもなく、同じ物語を違う切り口で見れたという感じがしました。斬新でよき。

 

ドリブルこそチビの生きる道、が生で聞けたのも嬉しい。

いや、映画に生って変かもなんですが、自分が知ってるのは漫画版だけなのでやっぱりこういう感想になっちゃいます。へへ。

 

あとあと、ノールックパス!!!

リョータのプレイで私の中に印象深く残ってるのは、このパス回しや状況判断のクレバーさなので、そこが映像として滑らかに見れて本当に嬉しかったですね~。

私はバスケ慣れしていないので、原作を読んでいるときはどうしてもボールの位置やなぜその動きになったのかがわかっていなかった時もあったんですが、映像になるとコマとコマの間の空白が繋がれてわかりやすかったです。

 

漫画を読んだのが昔だったからか、だーいぶ忘れてるところもあり。

リョータはキャプテンになってるところで記憶が止まってたんですが、そうか、海外進出まで行ってたんですね……。

トイレのシーンが挟まれることで、相変わらずなんだなと思える演出がすごく好きでした。プレッシャーでゲロることもある、けど、さも平気なフリでコートに立つ。それが宮城リョータってヤツなんだよな……。頷き……。

 

 

 

全てを込めた山王戦

 

まさかこの試合だけをピックアップしてくれるとは……。

厳密には回想シーン等々も合間に交えているので、だけというわけではないですが。試合としては1試合分ということでね。

本当に”命”がこもった試合だと思っているので、ここまで丁寧にこの1試合を描いてくれたことが本当にありがたかったです……。

 

原作のあの緊張感溢れたページを、完全再現してくれたのがマジで嬉しい~……!

OPもそうだったんですが、ところどころで漫画の世界と映像が交じり合うのもなんだか心に響きました。

 

試合の展開も知ってるはずなんだけど固唾をのんで見守ってしまう、没入感がったんですよね~……。隣に座ってるお嬢さんが、指先でボールがかすったシーンで「あっ……!」って声を上げてて、なお刺さりました。

あー、私は今、映画館の席じゃなくて試合の観戦席にいるんだな。

そんな感じの体験ができて、最高でした。

 

 

 

初見さん的にはどうなの?

 

桜木が敵を応援したりルカワにパスを回さなかったりするシーンは、初見さんからするとちょっと説明不足なのかも? 花道がルカワを毛嫌いしてる部分がぽろっと抜けてるので。

三井がスタミナ切れ早い件もたばこのくだりを知らないと難しそう。で、そういうのを言い出したらけっこう気になるところはあり……。

 

でも、まずもって、この映画を見に行く方の中にスラムダンク初見の方がまずどれだけいるのか!?という気持ちもあるんですよね。国民的名作なので……。

加えて、尺やスポットライトの当て方的に、全てのキャラの背景事情や小ネタを入れていくのは難しいだろ~というのも感じはするんですよ。

その点、スポットライトはリョータ、かつ、最低限大事なポイントや逃がせないシーンは入れるとなると、うん確かにそうだよねという気持ち。

 

むしろ、フリースローで桜木が念を送ってたり、3人でポーズ決めてたり、欲しい小ネタをしっかり拾っていってくれてたところがめちゃくちゃ満足でした!

(ぴょん……?)のくだりマジで好き。

 

 

興味深かったのは、彩ちゃん周りですね。

リョータメインなのに彩ちゃんLOVEなシーンはそんなに無い。ここ、かなり驚きでした。原作好きゆえの先入観があらわになったような感じ。映画内の情報だけだと、見る人によってはあくまでマネージャーと軽くフラグ立ってるっぽい、くらいの塩梅に見えたんじゃないかな?

それでいてしっかり手のひら文字のシーンは入れてくれてたのも嬉しかったです。ここは欠かせないよな~!

 

 

 

今、試合をしている音

 

映画になるにあたってやっぱりポイントは映像美だと思っていたんですが、いやー、耳。音でした。

ボールのドリブル音、バッシュがキュッと鳴る音、そしてみっちゃんのスリーポイントのあの音!!

あれらがずっと響いて、でも時には演出で絞られて、最高潮のシーンでは原作通りすべての音が消失する……。

もうね、素晴らしかったです。今そこで試合をしていてそれを私が見ていた。こうとしか言えないし、こう言えるのがすごかったです。音って本当に大事なんだな……。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

結論から言うと、大満足!

スラムダンクを改めて好きだなと感じられてよかったです。