「殺すのではないから安心して欲しい」
無理な前置き。
えー、今回は夜天地図さんところのフリーゲーム「こちゅうの夏」の感想をつらつら書きますね。例のごとく、一部レビューっぽいかも。
一周に30分かからないくらいの短編、でも鮮烈に印象が残る作品でした。
こちらの作者様のゲームはヤンデレが多いイメージでしたが、この作品はこう、一人の女の子の成長を見守る側面が強いように思います。そういう意味では一般向けでも十分通ずるなあと。
さて、良いなあと思ったところをば。
痛ましくも美しいストーリー
わりと鬱展開です。痛い描写もあります。けれど、トゥルーエンディングを見ると読後感はかなり良いです。
しっかりと痛みを描写してくれる分、そこから出す結論も素敵に見えました。幸せになって欲しいなあ。
伏線を各所にちりばめているのも上手いです。ダイレクトなものもあればさらっとぶっちゃけてるところもあり、真相に気づいた後はなおさら面白く感じました。
一工夫のCGモード
立ち絵のダウナーな感じがまず好きでして。これはサイト見てもらえればわかるかと思うのですが、ヒロインの髪の色合いが良いなあと思うのです。あとヒロヤの目つきの悪さな。ぱっと見怖そうな人がデレるの最高ですね。
で、本題CGモードなんですが。コンプすると、各イラストにコメントがついてきます!これは嬉しい、すごく嬉しい。初めは特に意識しなかったスチルも、改めて見るとしみじみ思うところがあります。
印象が変わったのは、ソファで寝転んでるあのスチルですね……ついてるコメントがすごく、こう、ぐっとなります。
ED曲のタイミング
トゥルーエンド、と言っていいのかな、特定のエンドではエンディングが流れます。この曲のタイミングがまた凄く良いんですよ! ああここからエピローグなんだなーというのもわかるので、プレイヤーとしても助かります。心構えができます。
とまあ、こんな感じで。
鬱展開に耐性があって、シリアスものをプレイしたい方へ特におすすめしたいゲームでした。
追記ではお気に入りのエンドについてなどなど。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
ネタバレ全開です注意!
エンディングについて
どれも良いエンドで、一番好きってのを選びきれないくらいでした。
良い意味でぞくぞくっとしたのはED5です。こういう、結局どうにもならなかったエンド大好きです。
虚しかったのはED4。エンド名が印象深かったです。鬱展開要素が一番濃いのもこのエンドですよねぇ。
後日談が気になるのはED3でした。逃避行がどこまで続くのか……。
ある意味で究極のナルシスな展開ですが、だからこそヒロヤが自分は個だと主張している意味も映えるんだろうなあとも思いました。
こうやって挙げているとヒロヤばっかりに焦点がいってるような気がしますが、キャラとしてはお二人とも本当同じくらい好きなんですよ。特にあの、書生さん風の口調がお気に入りです。
あとトゥルーの、ホテルのくだりはすごく現実的で耳が痛い話でした。なまじ三人に感情移入していたもんで、統合なんていらない!って思ってしまっていましたので……。説得力のある展開です。
どれもありうるルートで、そして切なさが込められていて、心に残る作品でした。