「夢をいつまで夢にしておける?」
ひどくしんどい前置き。
えー、今回は、禁飼育さんところのフリーゲーム「キナナキノ森」の感想をつらつら書こうかと思います。例のごとくレビューっぽいかも。
一本道の長編ノベルゲーム。軽快な導入から一転、重く深い話に時を忘れて読みふけりました。女性向けに近いところはありますが、恋愛より人生メインな感じです。
鬱展開好き!を自称する自分には、色々と思わされる展開の作品でした。バッドエンド万歳、な人には是非プレイしてみて、考えてみてほしいなあと思います。
というわけでさっそく色々。匂わせる程度のネタバレ注意。
特徴としては、
ギャルゲちっくな立ち絵と顔芸
立ち絵は可愛くかっこよく、しかし容赦なく顔芸を繰り出す、このギャップが凄いです。「ヒロインがそんな顔したらあかんw」と思わず突っ込んでしまったり、まさかの豹変っぷりにぞくぞくしたり。話の長さに合わせて、スチルも豊富です。起動画面にもご注目あれ。
しいたけくんのキャラデザが好みです。
ファンタジーかと思いきや、現実的なシナリオ
魔王、森、願い事、とくればとってもファンタジーな展開を予想するかと思います。しかし、そう甘くない、予想の斜め上を行く展開にびっくりでした。油断していたところに水をぶっかけられたかのようなインパクトです。素敵です。あれで一気にのめり込みました。
正直、かなりリアルなところを抉ってくる作品でもあるので、読むのが辛かったところもあったんですけども。それでも読む手が止まらなくなる辺り、流石の筆力を感じます。ギャグにせよシリアスにせよ、読ませる展開が上手な作品です。伏線の回収が華麗です。
うおおおおどこまで言ったらネタバレになっちまうのかわかんねえよおおお
とにかく、必死に生き抜く彼らの叫びがビリビリ伝わってくる一作でした。まさに痛烈!
個性的すぎるキャラクター
カオスな面々です。自信を持って言えます、登場人物は皆カオスな面々です。あとすっごく人間臭いです。そこが良いです。
リコロさんの「まおーくん」「つーこーくん」の呼び方が好きです。この二人に限らず、この作品のキャラ同士の関係性はどれも絶妙なものが多かったように思います。冷たいけど居心地いい感じというか……信頼とか背中を許す関係とか書くと全然違ったものに感じてしまうんですが、とにかく二人だけに通じる距離感みたいなのがあってめちゃくちゃ好きです。
あと一番印象に残ったのはあづささん。素直に好きとか萌えとかではなくて、おそらくおともだちにはなれないだろうなあと思うし目につく不器用さがもどかしい時もあるんですけど、そういう部分を含めて気になるというか……。その人物像に想いを馳せたくなる子でした。
ましてメイン二人は言わずもがな、キャラクターが本当リアルに感じられました。あとこの二人は掛け合いが微笑ましくて好きです。
豊富な補足集
話の展開に合わせて、補足の小話が読めるようになります。すぐ読んでも良いし、あとでまとめて読んでも楽しめるかと。私はすぐ読む派でした。こういうおまけは話が広がるし嬉しいですねぇ。
とまあ、本当語り過ぎるのがもったいないので、惜しいですがこの辺で。
OPをうっかり飛ばしていたことにクリア後気付いたのは内緒。……ごめんなさい。これからプレイする人は是非ともお見逃しなく。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
フリーゲーム「昭和シンデレラ」「煮込みシンデレラ」「残業シンデレラ」感想
フリーゲーム「この世で最も残酷なキス」「家畜おじさん」「枯れぬ黒薔薇」感想