うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「ダンス・マカブル」感想

「神は常に光を背負って立つ」
バックライト完備な前置き。

 

 

 

えー、今回は小麦畑さんところのフリーゲームダンス・マカブル」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

もはやフリゲー界の大御所と言っても過言ではないくらいの作者様の新作。膨れ上がる期待をさらに上回ってくれる素晴らしい一作でした!すごく好き!


ということで、軽い紹介から。

探索・考察メインの短編ホラーゲームです。同じ作者さんの「マヨヒガ」「オシチヤ」が和製妖怪民話ホラーっぽかったのに対して、この「ダンス・マカブル」は西洋、キリスト神話ホラーな感じだと感じました。事前にペスト等の知識があるとさらに楽しめるかも?

 


ではさっそく見どころをば。

 

 

考察好きにはたまらないギミック

 

前述の通り、ペスト・キリストなどを根幹に据えて、随所にそれらのモチーフがちりばめられています。マップやギミック、操作説明まで余すところなく凝っているのがもうたまらない。ここまで見事に全ての要素に意味があるホラゲーには初めて出会ったような気がします。
ダメージというか、狂気に触れるとじわじわ追い詰められるシステムになっているんですが……単にHP表示が消えるだけでなく、画面背景に影響が出るのもまた良い具合に危機感を煽られます。

 

 

 

救済と恐怖の入り混じるストーリー

 

起動時の聖書(?)の一節を見た時にもぞくぞくっときたのですが、こう、幽霊怨念びっくり的なホラーではなくて、荘厳な神に対する畏敬に近い恐怖が味わえるゲームだったなーと思いました。
ゲームの全体像が見えない間は、得体の知れない恐怖がホラーとして良い味を出してくれますし、真相に感づいた後はこれまた、気づいてしまった恐怖が訪れます。隙をみせぬ二段構えです。


それこそ聖句みたいに何度も見返したくなるような台詞が終盤に多く出てくるのもお気に入りでした。
詳しい考察などは追記にて。プレイしながら色々と考えたくなる一作でした。

 

 

 

ぬるぬる動くドットと立ち絵

 

グラフィック面のクオリティも驚くほど高いです。
まず立ち絵が動く。瞬き口パクだけじゃなく、全体的に。うごイラみたいな感じと言えば伝わりやすいでしょうか。序盤で驚くアルエットに私も驚きました、はい。
んでもってドットもやっぱり動く。起き上がる動作がすごく自然で、これまたびっくりしました。
マップのギミックや、さりげない文字列などなど、視覚的にも楽しめて考察も深まる面白みがあります。

 

 

 

かゆい所に手の届くシステム

 

何度かクリアすると、現状でそれぞれのエンドに行けるかどうかの可否がセーブロード画面から見られるようになります。また、おまけ画面で立ち絵や動きの確認もできるほか、回想も見られます。さらに、苦手な方は鬼ごっこイベントを回避することもできます。


とにかくアクション要素が苦手な私としては、鬼ごっこ回避がありがたかったですねぇ。


グラフィックもかなりクオリティが高いので、全クリした後はひたすら舐めるように回想を弄ってました。

「はっ」の立ち絵が好みです。

 

 

 

雰囲気に会ったBGMとSE

 

元々、lilliumとかクラシックとかその手の曲も好きなので、好みドツボの選曲が多くて嬉しかったです。エンドロールの曲は思わず必読ファイルから探して聞きに行ってしまいました。
??のイベントは曲の不気味さも相まってぞくぞくと。アルエットの曲は耳から離れません。アイテム手に入れた時の祝福みたいなSEも好きです。

 

 

 

余談

 

さて、実はこの作品、商業からの依頼を受けて製作したものだそうで。やっぱフリーホラゲーは熱があるんですねぇ。


そんな経緯があっても、この作品は流行りに身を委ねるんじゃなくて、がっつり個性的な色をつけて作られていたのがすごくお気に入りです。

少年×少女や人外×少女も流行りの傾向ではあるんですが、べたべたせずにあくまでキャラクターが役割に徹していたのが好ポイント。


つまるところやっぱり、必要十分を見事に満たしていて、あらゆる要素が完璧にまとまっている作品だなあってことを思いました。完成度たけぇ!

 

 

 

気になったらとにかくDLしてみてください!と声を大にしたくなる一作でした。


追記からはネタバレ感想などが始まりますので、未プレイの方はご注意ください。既プレイの方のみ追記よりどうぞ。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

フリーゲーム「デンシャ」感想

 

 

 

 


伏せ字なども一切無しです。

ネタバレ注意。

 

 

 

 

攻略メモ

神父様エンドは薬を最優先で作らないと正気度が詰む。ラザールイベントは極力後回しにするのが吉。

 

 

 

神の視点について

プレイヤー=神、導き手であるという設定にやられました。ええやられました。船を出さない選択肢を選んでようやく気付いて、鳥肌が立ちました。

で、初めから改めてプレイしてみると――最初っからアルエットは私に従うと誓いを立ててくれていたんですね……。鈍感な神ですまない。


システムメッセージにびくっと驚くモーションが入った時は確かに気になったんですよ。でもまさかこんなにナチュラルにメタ視点が許容されている世界だとは思いもしませんでした。


察しの良い人はやっぱり一番初めから、アルエットがプレイヤーを認識していると気づいてたんでしょうかね?  下手するとネタバレになるので聞くに聞けない。よければ閲覧者様の気付いたタイミングも教えてもらいたいですw
何にせよ、プレイヤーが介在できる余地のあるゲームってなおいっそう思い入れが深まって良いなーと感じました。

 

 

 

エンドについて

全貌が見えていなかったプレイ中は、ラザール病んでておいしいなあえへへとばかり思っていたんですが、全て終わって考察を進めるとなんというか、結婚エンドがあまりに残酷で胸が痛いです。この手で二人を見捨てたようなもんじゃないですか、やだー……。


伝道師エンドはまだ良いんです、二人だけじゃなくて、全人類を諦めたような感じなのでまだ。悪堕ちした魔王のような気分で楽しめました。


でもやっぱり救済の道が一番ですねぇ。テーマの関係もあるとは思うんですが、“浄化”するホラーゲームばっかりやってきたので、ここまで正しく字義通りの“救い”を感じたのはこの作品が初めてでした。

 

 

 

デンシャ以上に人を選びそう

 

ただまあ、今までの作品以上に、一見様お断り感はあると思います。ハマる人はハマるけど、わからないって投げ出す人も多そうなイメージ。なんでだろう、どうしても小難しい、ように思っちゃうんですよね。完成度が高い分、愉しむのにエネルギーをかなり持っていかれると言うか。


一気にやると思考停止しちゃいそうになったので、逸る気持ちを押さえこんでじわじわプレイしてました。結果、かなり興味深く楽しいゲームだと再認識できたので、正解だったなー、なんて。


もし、面白くはあったけどなんか入り込めなかったなーという方がいれば、エンド1だけでも休憩をはさみながら、じっくり話を咀嚼しつつプレイしてみるのをオススメします。ちょっと見方が変わるかもしれません。

 

 

 

萌え

 

お医者様の萌えポイント、ハーブ集め。超好きです。
ラザールの萌えポイント、挙動不審バージョンの立ち絵。初めて見た時、場面的にはホラーなはずなのですが不覚にもときめきました。なんか最近ヤンデレだけじゃなくて危ない男子好きになってきてる気がする。

 

 

 

考察しきれていないこと

ここからは自分が解釈しきれていないことをメモ程度に残しておきますね。作中の正解を探るというよりは、個人的にこういう考えだったら楽しいよねくらいの気持ちで書いてます。思考整理。


さて。

1.釘に使用済みのものと見覚えあるものがある
 どこでどう使ってるの?っていうのと、どこで見たんだろう?っていうのが問題。順当に考えたら村の教会で見たキリスト像とかかなって思うんだけど、あれは杭だろうからちょっと違うかなと。

 

2.神父の申し訳ない役割云々とは
 エンド確定したぐらいのタイミング、船の近くに佇んでいる神父さんに話しかけるとアルエットが言う台詞。申し訳ない役割にしちゃった、って部分から、あの世界はアルエットが役割を割り振れる(世界の主導権をアルエットが握っている)ことに繋がると思う。名前付きの部屋もあったし。
 じゃああの世界での神父の役割は何かって言ったら、アルエットの過去を目覚めさせる、誘惑に勝てるよう導く、邪悪なものを祓うくらいかな。こうやって挙げると客観的に見れば別に申し訳ないと感じるほど酷いことする役ではないと思うんだけど……。
 自分のすべきことに気づいていなかった時点でのアルエットからしてみれば、神父は得体の知れない怖い人なわけで、だからこそ初めのうちは名前表記も??だったのだと思う。そう考えると、アルエットが真実を知るにあたって避けては通れない怖くて嫌なこと(ペストの真実)を思い出させる、嫌な役にあてがっちゃったことを申し訳なく思ってるのかなーと考えた。
 神である私視点で見ると神父の役割はむしろ正しいしあるべきものなんだけど、アルエットからすると怖い存在に位置づけられていたから、ごめんねって気持ちであの台詞を言ったんじゃないかなあ、という結論。

 

3.あの世界はどこなのか。精神世界か死後の世界か。
 言ってしまえば曖昧にしておいた方が良いだろうし蛇足かもしれないが一応。
 2で書いた通り、アルエットを中心としてアルエットの身体をモチーフとした架空世界であることは確か。で、単純にそれをアルエットの精神世界(アルエットがいなくなれば消える世界)と取るべきか、もっと大きな枠組み、つまりアルエットから見た地獄的なもの(アルエットがいなくなっても形を変えて存続する世界)がああいう風に表現されているだけなのかが気になった。
 神父様はエンド後も違和感なくアルエットと共に居て、エンド2では神の遣いの手助けをするようなポジションに居る訳だけれども。もしあの世界が単なる精神世界だとしたら、エンド2で出てきた神父はいわゆる妄想なわけであって、アルエットが奇跡を起こして蘇ったとしても神の絶望の日のために神父様が協力するのかなあという疑問が。
 あったんだけど、書きながら、神父様なんだから神の意向に従うのは当たり前かと思い直した。せっかく書いたから削除せずに残しておこう。
 話を戻す。もしあそこが単純にアルエットの精神世界だとしたら、神の介在する余地は無いと思うんだよなあ。アルエットが一人で病に勝ちました、っていう、プレイヤーが入り込めない閉じた箱庭になってしまうと思う。
 なので、個人的にはあの世界は地獄的サムシング、死後世界をアルエット視点で見たものだと取りたい。死後=人智を超えた世界なら神がいてもおかしくないし、神の意思を受信して再び現世に降り立った聖人アルエットの構図も成り立つ、気がする。
 最近のホラーだと最終的にお化け屋敷を燃やしたりラスボスをぶっ潰したりして、悪や恐怖を浄化する方向に動くと思うんだけど、この作品の場合は地獄を滅ぼすなんてことはできない(というか信仰を破った者を咎める場所が必要だから地獄を無くすことはむしろしちゃいけないはず?)。そのためにあの世界は教会かつアルエット自身としての形を取って、壊すことはタブーであると言う雰囲気を醸し出しているのではないだろーか。だからこそ結局世界の破壊は行われないまま、船出だけしてアルエットは脱出する。
ある意味ラザールは誘惑してくる悪魔ポジションだと思うんだけど、彼が苦しむことなく救われる展開になるのもまた、救いの概念が感じられて良いよなーと思う。
 あれ、なんかストーリーのおさらいみたいになってしまった。まあでもこうやって文にしなくても視覚的にしっかり演出してくれてるのでやっぱり必要十分な表現してくれてるよなあと再確認。うむうむ。
 要は、あのダンマカの舞台は理由なく唐突に生まれた単なる不思議空間ってわけじゃなくて、人智を超えた世界なんじゃないかなってことが書きたかった。

 

4.黒い手、黒いもやもやは何か
 ネズミの他に、黒いもやとか手がちょくちょく出てくる。ネズミは明らかにペストだからわかるとして、わざわざ別の形の脅威として黒いもやが出てくる意味は何なのかなと考えてみた。
 神父様が綺麗にしてくれたように、穢れみたいなものだとは思うのだけど。アルエット自身が病気で悪くしていたところ? それとも、骨がたくさん埋まっていたことと3の解釈を合わせると、死そのものが穢れであるって概念の隠喩なのかね。でもこれってキリスト教にはあったっけ……。


とりあえず現状はここまで。そのうち増えたり減ったりします、たぶん。