「初日の出と共に悟りを開こう」
愉快な一年宜しくお願いしましたな前置き。
えー、今回は藻太郎(冬の葬列)http://suzume888888.web.fc2.com/さんところのフリーゲーム、ドグマシリーズの感想をつらつら書きますね。実は全作はやっておらず、一部のみの感想です。レビューっぽく見えてしまうところもあるかも。
VIPRPGというちょっと独特のジャンルになります。直接的な下ネタ鬱ネタが多めです。
あとこの記事初めは自分用に書いていたのがどんどん長くなって楽しくなってきたので晒すことにした、という経緯があるので、いつもの文章と比べて感想がザクザクしてます。色々と雑な感じで宜しければ。
『ドグマの箱庭』
起動画面から電波でやばい感じ、かと思いきや鬱要素はあるものの明るく締めてくれるRPGだった。
[ストーリー]
主人公サイドには感情移入しにくかったなあ。なんでか考えてみたけど、たぶん、パーティメンバー同士の会話が少なめ(複数人が一緒に話したのはドクオと閉じ込められた時くらい?)だったからじゃないかと。
逆に、敵側の気合いの入れっぷりがすごかった。ともだち欲しがりさんはこう、心にクる。後々行ってみたら軽くトラウマ物だった。創作の家も、ブラックユーモア風にしてはあるものの、やっぱり鬱展開だった。真に迫る感じ。
[戦闘]
デフォ戦闘、難易度もわりと低め。喪神だけちょっとてこずったけど、装備整えたら楽だった。ラスボス戦は良い意味で鳥肌物。にやってするの超怖い。グラフィックの気合いの入りっぷりと、独特のセンスが忘れられない。
[探索]
朝~夜と時間の移り変わりがあって、それによってイベントが変わるのが面白い。住民の台詞パターンがかなり豊富で驚いた。事件解決前、解決後、ラスボス前、ラスボス後、これに朝夜のパターンが加わって多いキャラクターで8種類?改めて考えるととんでもなく手間がかかってる。
例えば神話の本の10冊目がああいうところに配置してあるセンスはすごく良いと思うし、絵本をプレゼントできるのも嬉しかった。小さなメダルとか好きな人はドハマリすると思う。
[その他]
目的地の情報が東西南北くらいなので、ところどころ行き先に困ったり、世界地図がアイテム欄にあることに気づいてなくてしばらく彷徨ったりはした。占いちゃんもうちょい頑張って欲しい。でも、ところどころの演出は好みだった。
ハンパー好きだよ。
『引き裂かれたバダール』
上記ドグマの続編だけど、一部のキャラがゲスト出演してることと世界観がほんのり一緒なくらいだから単品でも楽しめると思う。「夜明けの口笛吹き」っぽいって話をよく見かけるけど、あれより下ネタ(というかグロエロ)要素が強いので苦手な人は注意。
[ストーリー]
前作で主人公側の要素が弱いなあと思っていたところをがっつり挽回してくれた。OPとEDが繋がる作品大好きなんですよ、はい。ひたすら塔を登るって言う大義名分と開門条件と各地の事件が上手いこと噛みあってたから今作では違和感なく迷うこともなくプレイできた。
各地の事件も鬱展開好きにはたまらないし、解決具合が絶妙だった。ご都合じゃないし、胸糞だけでもないしって感じで、余韻が残って良い。
ハーピィのところが特に印象的だったな。住人が固まったり石になったりってのはよく見かけるけど、解決後のこの発想はなかった。
[戦闘]
仲間がたくさんいて、好みで選べるのがまず楽しい。会話ポイントも多いから周回プレイもしたくなる。装備によって使えるスキルが増えるから、使い道なさそうだけど連れて行きたいタイプのキャラクターもしっかり活用できるのが嬉しい。
バージル、ブライアン、アーシアという我ながら無難な人選でクリア。敬語キャラ好きなので案の定バージルを贔屓してしまうなど。
[探索]
モンスター図鑑集めが楽しい。隠し場所も親切めで、うっかり見逃さない限りはコンプリートもしやすいかと。しっかり集めたらチェックして扉から出ていくことも忘れずに。短い文章で濃いモンスターを説明しきってるのもすごい。
ザコモンスター蹴散らしシステムが導入されたのは大きい。ありがたい。会話変化が多いのも相変わらず。手が込んでるし、前作以上に尖った、身につまされる台詞が多くてどきっとした。影のところの「俺を味方だと思ったか?」みたいな台詞とか。
[その他]
肯定ペンギンとの会話で泣いた。
クリアしきる前にいっぺんゲームオーバー画面は見ておくべき。
『アリスの標本箱』
上2作の続編。独特の死生観みたいなものが大きく前に出てきていて興味深かった。下ネタ系のぐろい敵キャラは相変わらず。
[ストーリー]
仲間の台詞も多め、主人公の意思も選択肢で決められるし、次の目的地もしっかり明示されてる。それなのにどうも主人公パーティへ気持ちを寄せにくいのは相変わらず。なんでか考えてみたんだけど、生活保護→世界救うの間が飛び抜けてることもそうだし、何より共感よりも傍観者な立場をプレイヤーに求めてるのかなーと考えた。今さら過ぎる気付きだ。
ところどころに登場するチェシャや、隠者達の哲学な台詞など、NPCの台詞回しの魅力がさらに増し増し。思索に耽れるRPGとは新しい。色々考えつつプレイしたかったけど、勢いに呑まれて一気にクリアしちゃった。なんやかんや言って楽しかった。
精神を病んだ人達の革命、の一連イベントが好き。
[戦闘]
デフォ戦。アンドリュー戦だけてこずったけど、レベルさえ上げてればぬるくなっていくのでプレイヤーのお好みでレベル上げすればいいと思う。イシュタムさんが回復してくれるところでさんざん戦ったので以降はけっこう楽楽だった。
[探索]
図鑑集めにポテチ集めと回収要素が多めなので探索好きさんも大満足ではないかと。ポテチの味が全部違ってて笑った。図鑑の記述もシリアスなところはしっかり決めてくれてて、ラスボス・隠しボスの項目とかどきどきした。
ファンは本棚をしっかり調べるべき。予想外の写真に涙出た。
[その他]
クリア後もプレイできるのって古き良きRPGな感じがして大好き。特にこの作品は、カタルシスっていうのかな、全ての要素を回収した後のイベントがすごく解放的で素敵だった。ファンが嬉しいゲストキャラも入れてくれてとても嬉しい。ハンパー見つけた時の台詞が私の内心と一緒で面白かった。
クレアス好き。
『シューニャの空箱』
[ストーリー]
タイトルからして仏陀、らしい。実存とは、合理的精神とは、かなしみとは。正直言うと私にはちょっと難しくて、理解しきれていない。でもラストの締め方はすごくすっきりしたし、これぞ完結編って言いたいくらい綺麗にまとまってるから、シリーズやったならこれもやって損は無いと思う。
[戦闘]
防具は買っとくべき。後々買えなくなる。シリーズ通りのデフォ戦で、しっかりレベル上げしといて回復を惜しまなければだいたいなんとかなる。やっぱり下ネタ系の敵ばっかりでグロかったから長時間続けてプレイする気にはなれなかったけど、これも煩悩どうこうの関係で仕方ないのかね。素直に気持ち悪い。けどラスボスの背景にはぐっとくるものがあった。
[探索]
住人の台詞が良い。全員に話しかけたくなる台詞回しだった。パターンが多いのも相変わらず凝ってて素敵。今までと比べて、何を言わんとしてマップを回らせているのかが伝わってきたような気がする。
ラスボス前に一度は各扉を一周して来るべき。ストーリー進行に合わせて街の様子が変わるのって実装するのはむちゃくちゃ手間なんじゃないかと思うんだけどそれを惜しまないのは本当凄いと思う。
廃図書館が好き。多重人格って卓司様…?なんてね。
[その他]
いやあ、やってよかった。哲学とかの知識が私にもっとあればより楽しめたのかもしれないと思うとちょっともったいない。わかるのが仏陀とヴィトゲンシュタインくらい(しかも用語だけしか知らないにわか知識)だったので。これはまた起動して一気にプレイしたくなるかもなーと思った。
EDすごいよなあ。四人でたき火囲んでるシーンはどれも好きだった。
とまあ、こんな感じで。
単品でプレイも勿論できるけど、是非通してやってみて欲しいというシリーズものでした。
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