「抱きしめ心地が第一です」
見た目二の次な前置き。
えー、今回はAnkracheさんところのフリーゲーム「おとうとぬいぐるみ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
女性向け短編姉弟ノベルゲーム。ブラコンシスコンで噛み合ってる二人のマイペースな会話を聞く、ほのぼのほろ苦な一作です。
というわけで、さっそく特徴的な点など。
ゆるゆるゆんゆんな会話劇
見どころはやはり会話劇。ちょこっとズレたお姉ちゃんの台詞に鋭く突っ込んで返す弟のやりとりが面白く、時には話題が大暴投して予想外のほうへ転がっていきます。まさかの選択肢に吹き出すこともしょっちゅう。
会話のテンポがとても自然なので、文章を“読んで”いるはずなのに、まるで人のお喋りを“聞いて”いるかのような気分にさせられるのも面白いところです。
一方で、ふと会話のテンポが変わる時があり、「うん?」と思わされるシーンも。作中の二人はゆるっとスルーして話を続けますが、いやあ、これが後になって痺れるほど効いてくるんですよねぇ。
あらゆる面に絡んでくる演出
繰り返される「きのう・きょう・あした」の表記、初回でのセーブロード禁止、ゲーム中の画面構成などなど。さりげないデザインが最後になって意味を持つ、あの展開はまさに震えました。
この作者様のゲームをするとどれも思うんですが、本当、視覚面での演出とBGMとお話が噛み合ってて最高の雰囲気が出来てるんですよね……。どの作品もずっと浸っていたくなります。
一周目をクリアした時のあの衝撃は、忘れられそうにありません。
周回でわかるさりげないオシャレ
システムデザインのみならず、立ち絵にも勿論魅力たっぷりです。ぽてぽてと丸みを帯びたおとうとぬいぐるみが可愛いのなんのって。おねーちゃんあれ欲しい買ってー。
姉貴のほうも無表情系なキャラかと思いきや、細かく表情が変わっていきます。目の色変わる時の立ち絵が好きだなあ。
なお、周回プレイを続けていくと、姉・弟共にさりげなくオシャレさんなのがわかります。あれはランダムで変わっていってるのかな? ちょっとした変化を楽しみながら周回プレイができました!
かゆいところに行き届くシステム
視覚面での演出に凝っているこのゲーム、中にはフラッシュ点滅に近いものや赤色ブシャーなものもあります。で、これらを演出調整してオンオフすることもできちゃいます。私は気にならずに済みましたが、敏感な方もこれで安心。
また、トゥルーエンドを見るための攻略ヒント機能もついています。淡々と選択肢を提示するだけでなく、ところどころのヒントに混ざった遊び心がおちゃめです。
とまあ、こんな感じで。姉弟もの好きな方やマイペースなキャラが好きな方、はっとするオチが好きな方にオススメです!
追記にはネタバレ感想をちょこっと。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
フリーゲーム「corral_girl」「SIBLINGS OBLIGE」感想
ネタバレ注意です!
この作品は特にネタバレせずにやったほうが楽しいと思うのでよろしくお願いします。
いやー、情報の出し方が本当上手ですよね!
初めは学校と思わせておいて、じわじわ弟の居場所に気づかせて、確信がもてたところで一気にジェットコースター。たまりませんでした。震えました。
前述しましたが会話のテンポが本当に好きで、あの遮ってる感じがすごくリアルでした。
あと姉貴の喋り方めっちゃツボです。
しかしそうか、今時の子はビデオテープ知らないのか……そうだよな……。
なお、一周目では普通の姉貴なお手紙でエンドを迎えました。
あの電車の表現もまた、沁みるんですよね……。鬱展開好きな私としてはやっぱり、あのまま姉貴のあしたも無くなったよ、と解釈したいところなのですが。単に姉貴はあの場から立ち去っただけ、と思えるぶんの余地を残して下さっているのが、救いになってありがたいよなあとも思います。
エンドはぶっちゃけおまけにあるあの展開だろうなと予想してました!違った!読まれていた!弟一人エンドも見たかった!
イラスト系のおまけが多くて嬉しかったです。この作者様の絵柄本当好きなんだ。えへへ。
ゆるっと和む雰囲気に合わせて、あったかいエンドも用意して下さっているのが嬉しいところですね。
転・結の流れがかなり印象に残る一作でした。