うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「××をください!」感想

「しつこさ増せば粘り勝つ」
一種のストックホルム症候群な前置き。



えー、今回は、へもへもさんところのフリーゲーム××をください!」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。


女性向け短編恋愛もの。勢いに呑まれて読み進め、不意にくる乙女要素にどきっとさせられる、まさにラブコメな一作でした!



というわけで、魅力的な点をいくつか。

どの選択肢も生かされる、さりげない伏線が上手いシナリオ

ストーリー面で、ネタバレになりそうなところは追記に畳むとして。糖度ありコメディ要素高めなラブコメですとだけ。
内容ではなく構成として挙げたいのが、伏線についてです!
普通に読み進めていくと、序盤では洋風世界観かなと思わされるのですが、ヒロインの婚約者の話でさりげなく「この作品では勇者や魔王がいる世界観ですよ」ってことが明かされるんですよね。公式サイトを見てしまえばわかる話なんですが、きちんと作品内でそれを説明できるのが凄い。かつ会話がくどくなくてとても自然。いやー、上手かったです。

また、選択肢面でも注目したいのが伏線部分。ベストエンドではない選択肢を選んだ場合でも、それが別の展開のさりげない伏線になっているパターンが多く、無駄のないシナリオ作りに思わずうならされました。シナリオの長さも選択肢も手ごろな量だったのでセーブロードでつい全部見てしまうなど。
決してミステリというわけではないので伏線自体はあくまで軽い形ではありますが、こういう細やかな情報の出し具合に惚れぼれしました。
明るく元気なシナリオの裏に、かなりの構成力が伺えます。

 

安定したクオリティのグラフィック

まず立ち絵について、表情豊かなのは勿論のこと、特に台詞がなくてもひっそり表情を変えているシーンがあって、キャラの内心が細かく伝わってきました。

時々女王様がデフォルメ顔グラになるのも可愛らしい!好きです。
背景については素材を使用されているようですが、この使い方がまた上手です。モブキャラを添えて活気のある街並みが演出されていたり、背景をただ大写しにするだけでなくズームや動きが加えてあったり。色々と工夫されているのが見て取れる良作でした。

スチルも綺麗で、コメディなシーンにもかっこいいシーンにも出てきてくれたのが嬉しかったです。本漁りのスチルがお気に入り!光の具合が美しい…!

怖い顔だけど中身は乙女なヒロイン

とにかく主人公が印象的でした!雰囲気は美人さんですが、そのガタイと顔つきから男と誤解されてしまうことも……。
何がすごいって、女王様がきちんと男顔なところ! ……と書いちゃうと怒られそうですが。あっあっごめんなさい蹴らないで。
いや、こういう乙女ゲーのグラフィックって一部信用できないことが多くて、例えば「ぶさいく」「ぽっちゃり」「男っぽい」な属性の主人公でもスチルでは大半がきゃるるん可愛く描かれているパターンがほとんどなんですよね。しかしこの作品ではそういう偽り美化100%がなく、しっかり本人のコンプレックス通りの外見で描かれていて、なおかつ可愛らしいんです!! これは凄い、本当素晴らしい。ここを誤魔化したらコンプレックスが成り立ちませんものね。改めてスチルを見直してしみじみと感じ入りました。

中身はきちんと乙女らしく、気にしているところを指摘されてしょんぼりしたり、可愛いものにときめいたりする様にはとっても共感できました。恋愛ゲーに求める糖度やときめき成分が補給できたのも嬉しかったです。照れ顔にきゅんとさせられることも。
個性あり魅力たっぷりのヒロイン様だったと思います!


とまあ、こんな感じで。
明るく元気な恋愛ものや、コンプレックス持ちのヒロイン、残念なイケメンなどにピンとくる方へオススメです!

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com




追記ではネタバレ込みの感想など。

 

 





ネタバレ注意。




[エンディングについて]

初めに到達したのは世界エンドでした。やったぜ。どうしてこうなった。
よくよくプレイし直してみると、選択肢一つも間違えずストレートでここに到達した模様です。やはり私には乙女成分なんてなかったんや……! とはいえ、やると言って本当にできちゃう辺りには大変ときめきを感じました。

次に行ったのがバッドエンド。これすごい辛かったです……。女王様にかなり好感を持ってプレイしていたので、かなりぐっさり来ました……。
で、失礼ながら、母上嫌い!ってなりかけたのですが。

ベストエンドに辿りついてなるほど納得、あんだけ罵倒された理由はここにあったのか!と驚かされました。
この辺りのキャラヘイトコントロールが本当上手だなと思います。
エゴマゾに見える魔王様も、乙女としての女王様を気遣ってくれるシーンのおかげでかっこよく見えますし。母上様も理由がわかればあの冷たい態度にも納得できますし。アイタタ性癖なロジオンさんも、あの母上様とのちょっとした会話でぐんと株が上がってくれました。逆に可愛い子として描かれてた弟君は、ばっちり腹黒な本性を見せてくれてこれまたギャップ萌えです。
癖のあるキャラも魅せ方によってかなり印象が変わってくるんだなあということを改めて感じました。

糖度としても大満足! 女王様がマゾ調教をとことん嫌がっていたからこそ、あの一言が生きるんだろうなあと。彼女本人は気づいてませんでしたが、大喜びする魔王様の気持ちがよくよくわかってすっごくにやにやしました!



[キャラについて]


だいたいは上で語ったのでシンプルに。

女王様。お胸が絶壁なところがとてもそれらしくて好……蹴らないで蹴らないで。

魔王様。残念なイケメン!これに尽きます!もう!
更衣室でばったりスチルの目の泳ぎようがたまらん好きです。マゾ男として輝いている彼も生き生きしていて素敵ですが、大半のSな貴婦人が苛めたくなるのはああいう表情のほうじゃないかなー、なんて。

ボリス君。まさかの殺菌消毒立ち絵に笑いました。台詞のキレが秀逸すぎます。「アンモナイト取り外して~」発言が忘れられません。

ロジオンさん。幼女を差し出せばあの瞳も光を取り戻すのでしょうか。私気になります。

母上様。合法ロリは素晴らしい、と思うのだけど。ロジオンさんの真性具合が伺えます。誤解してごめんね。




とまあこんな感じで。
笑いあり乙女要素ありで、楽しくプレイさせて頂いた一作でした!