「薄皮剥がせば悲劇の始まり」
人体も同じことな前置き。
えー、今回は猿合想海(http://ryohsargassum.web.fc2.com/index.html)さんところのフリーゲーム「オヒルギメヒルギ」「狢アウトサイド」「輸送艦ちぐさ殺人事件」「はてしない与太話」の感想を書きますね。一部レビューっぽいかも。
感想文記事としては一気にアップしてしまいますが、どれも単独で遊べます。システムが斬新だったり、お話がトリッキーだったりするものが多い印象。
というわけで、さっそく各作品について。
『オヒルギメヒルギ』
【概要】
選択肢型の短編ノベルアドベンチャー。要素はコズミックホラー、ジャングルサバイバル、鬱展開、生物などなど。あんまりクトゥルフ知らなくても「狂気を引き起こすヤバイもの」って認識があればたぶん大丈夫。
【感想】
星、定義、ヒトゴロシ等々。
初めにキーワードをどんと持ってきて、探索が進むと共に意味がわかってくるこの流れが気持ち良かったです。段階を踏ませるのが上手で、次のプレイヤーの動きを読まれてる感じにぞくぞくしました。ED3とかね、ちょうど問い詰めに行こうとしたところであれだからね。震えます。
探索時間の配分も絶妙でしたね! ちょうど全部のピースを揃えたところで時間切れ!って時があって、いやーあれは熱かったです。
個人的に好きなのはED5。ああいう、どうしようもない暴力衝動にふらっとくる展開に萌えます。
そして、何よりも私が推したいのはおまけ部分!特に生物図鑑のあのノリがめっちゃ好きです。蟹さんの説明文にもう笑うしかなかったです。好き! また、おまけではノベル調でエピソードも見れます。キャラ重視心理描写大好きな自分には涎ものでした…! わぁいヤンデレヤンデレ。
【小ネタ?】
このゲームは何周もうろうろして掴んでいくのが楽しいゲームだと思うので、これを書くのは無粋な気もしますが……。見つけてちょっと楽しかったので書かせて下さい。以下反転注意。
・特定の殺伐行為をし、かつ記憶が全然戻っていない状態でイヴに会うと、お世話を焼いてもらえる。わぁいおねえちゃーーーん!
・記憶が戻っていない状態で起こる山でのイベントはランダム?
・やまねこの解説を聞いておくと文章が追加されるポイントがいくつか
・やまねこをやっちゃっても灯りは手に入る
以上ネタバレ終わり。
【一言】
虫好きさん、狂愛好きさん、ゲームブックな感じの探索ゲー好きさん向け。
『狢アウトサイド』
【感想】
さくっと終わる一本道ホラーノベルゲーム。実は元ネタをまったく知らないまま挑んでしまいました。が、粋な感じの語り口調と薄闇広がる画面、雰囲気が出ていて良い具合のぞくっと感を味わえました。さりげなく“お嬢さん”の性格付けが感じられるのもにまにまします。
『輸送艦ちぐさ殺人事件』
【概要】
犯人当てありの一本道ミステリノベル。要素は宇宙船、人造人間、連続殺人などなど。
【感想】
何より推したいのが、犯人当てのバリエーションです。トゥルーエンドに行った後、好奇心で色々試してみたら想像以上にがっつりと反応が返ってきて驚きました。
登場人物こそ多いですが、それぞれ個性づけがはっきりしているのですぐ馴染めます。キャラだと竜美君が好きです! ネジの外れた陽気キャラは良いものだ……。
事件どうこうも勿論ですが戦闘種族の価値観等々も興味深くて、色んな方面のツボを突っつかれまくりでした。
立ち絵はポーズ違いのもの含め全キャラ数種類用意されています。一応シルエット表示にもできますが断然立ち絵表示がオススメです。寧子の立ち絵が特にお気に入りでした。表情豊かさな子は立ち絵変化が映えますよね。ただ、あえて言うなら実里だけウィンドウに隠れちゃうのが惜しかったかなあ。
肝心の事件についてはネタバレに抵触しそうなので次項目で伏せ字にしますね。
【ネタバレ】
以下伏せ字。
タイトル!まさにタイトル!思わず拍手しました!
肝心の犯人当てについてはチャプター9辺りでようやく「犯人はまさか…!?」ってなったんですが、遅すぎかなぁw この手のゲームは他の既プレイの人にどこで気付いたのか聞きたくなりますね!
本編でキャラたち自身が論議して少しずつ可能性を狭めていって、キャラを通じてメタな説明を受け取りつつ唯一解へ辿りつく感じがとても気持ち良かったです。
あと展開としては、なんというか、見事に気に入ったキャラから退場していったのでぞくぞくしました。
子宮に脳を~等々、よくよく読みこむとえげつないSF兵器要素もあって、これがまた後々効くという。書籍の選択肢で見れる戦闘種族の情報や世界背景にも想像が膨らみました。
以上伏せ字終わり。
【一言】
ミステリ好きさんや、軍事兵器案などにうきうきする方へオススメ。
『はてしない与太話』
【概要】
“プレイヤー”が世界を救うメタフィクションノベル。
【感想】
なんというか、妖精が隣人で魔法があって魔王が居て勇者はいない、その手の王道ファンタジーが好きな人に(斜め上の方向から)勧めてみたい一作です。物語のおやくそく、みたいなものにピンと来る方向け。
システムとストーリーがパーフェクトに噛み合っていて、これぞゲームだよなあという感じがしました。プレイヤーの選択にお話が答えてくれるというか。難易度としては人によりけり、自分は即気付いた派ですが一切の事前知識無しで挑むとなると難しいのかも。
それでも飽きさせないようになっているのが、日付ごとにリセットされる会話と選択肢分岐の多さだと思います。全部の選択肢を試してみたかったので、なんだかんだとクリアを先延ばしにしてしまうなど。ごめんよ村長!
主人公のクーリート君が最後までしっかりとチョイ役らしいところもまた、味があって良かったですねぇ。ラストは泣くやら笑うやらで顔面が大騒ぎになりました。まったくもう! 時間かけてクーリートと話したかいがあったよなあとも思います。クーリート珍道中好評連載中。
具体的な魔法語が具体的過ぎるところや、幼女ステーキ、破壊的リズミカルノックなど、到底忘れられそうにないスペシャルワードやが飛び交うのも見どころです。尖った文章が叩きこまれるこの快感、これだからフリゲはやめられませんね!
【一言】
物語が好きな方、世界を救いたい奇特な方へ。
とまあ、こんな感じで。
気持ち良い!と思えるゲームばかりで楽しかったです。
余談ですが『少年と少女の真実』があまりに難しくって未クリアだったりします……我ぞクリアせし者、という方の感想をお待ちしてます。