うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「四月馬鹿達の宴」感想

「残り数ページで終わってしまう」

寂しいような楽しみなような前置き。

 

 

 

えー、今回は西高科学部さんところのフリーゲーム「四月馬鹿達の宴」(http://www.vector.co.jp/soft/winnt/game/se485729.html)の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

白状すると実はこのゲーム、一度詰んでました。いかんせん根が小心者なもので、説明なしで何でもできる導入にビビってしまい、ついつい後回しにしてしまっていたんですよね。

ですがあちこちで「名作」「望む物語がここにある」「クソッタレー!」と聞き改めてプレイ。するとこれがまた、とんでもなく面白くって! もう過去の私は何をしていたのかと!

 

なお大前提として。環境によってはひょっとするとマニュアルが開けないかもしれませんが、ネット検索するとページは出てきます。アドレスが変わったのかな? 非公式で便利なwikiもあるので、攻略見る派の方は合わせてどうぞ。

あとメニューはボタン長押しで開けるので、初めの第一歩から詰まってる人はググっと強く指先に力を込めてみてくださいね!

 

 

 

心ゆくまで“旅”ができるフリーシナリオ

 

初めこそ戸惑いはしましたが、蓋を開けてみるとストーリーは一本道。なので序盤何がなんだかでも、とりあえずは気楽に流されるまま旅を楽しんでみるのがいいんじゃないかなと思います。

なお、あちこちでサブイベントも起こるので、自分でうろつく楽しみも存分に味わえます。私はRPGだとその場で起こるイベントやアイテムを全回収したうえで進みたい派なので、マイペースに進めれて嬉しかったですねぇ。マップがかなり広いので迷子にもなりましたw

行き先がわからなくなったらトランシーバーである程度のヒントがもらえるのもありがたいところ。基本的にいつでもどこでも自由行動ができるうえ、ストーリー進行のタイミングも融通が効くので、プレイヤーによってクリアまでの道のりがかなり異なるのではないかなあと思います。

また、食べ物アイテムにものすごくバリエーションがあったり、観光案内をラジオで聞けたりするのも“旅”らしさが出ている理由の一つ。ついつい全部の食べ物を一個ずつ袋に忍ばせておいてしまうコレクターさんは、きっと私だけではないはず。

 

 

 

ゆるかわで個性的なグラフィック

 

柔らかくゆるめのタッチで描かれるグラフィックも見どころの一つ。画風が個性的かつ魅力的なので、別ゲーをプレイしてちょっと間が空いても、このキャラ達を見るだけで「ああこの作品に戻ってきたなあ」という感じがします。特に戦闘画面の構成はまさにオンリーワン。敵キャラの外見も含めてぎょっとさせられました。

自作マップも可愛かったですねぇ。お菓子の国にいるとついつい現実でも何か食べたくなってしまって、いやはや。月の国の薄暗さと魔法が絡み合う雰囲気も大好きです。そこの住人が案外俗っぽいのもまたツボ。

同時に語りたいのが演出面! 各章の入り方、背景や敵の外見で黙して語らせるこのスキル、そして何よりあの最終戦! 文章も音楽もグラフィックも見事に噛み合って震えました。これはもう、「いいからやってみてくれー!」と叫ぶしかないのがもどかしいほどです。

 

 

 

プレイヤーの数だけ勝ち方があるバトル

 

けっこう戦闘自体の難易度は高めでした。というのも、スキル説明がアイコン表示だったり敵がパターンで強技を使ってきたりするので、ある程度自分で推測して作戦を練る必要があるからです。

それでもなんとかなるのは、どんなに強い敵であっても基本的に数種類の攻略方法が用意されているから。これ本当助かりましたし、楽しかったです!

 

マ反動で技を跳ね返すもよし、地道にイツキで斬りつけるもよし、誰よりも早く駆け抜けるもよし。一応ステータスをガン上げして強行突破もできますが、それよりは戦闘のやり方を工夫するほうが早いですし、何よりこのゲームならではのやり方で勝ってる感じがしてテンションが上がります。強敵を無理やり頑張って倒すと、会話が変わったりアイテムがもらえたり、激強な延長戦に突入するのも嬉しいところ。

敵グラの秀逸さもあって、くるくる隊列を変えるのが楽しかったです。やりすぎてうっかり落し穴にドボンすることもしばしばでしたw

 

装備ごとにスキルが変えられる、というシステムは他でも何度か目にしたことがあるのですが、装備を消費してスキルを永続的に覚えれるようにするっていうのは新鮮でしたねー。どんどんスキル欄が充実していくのでコレクター魂が燃えました。このスキル名もまたいいんだな。

 

 

 

センスある選曲とまさかのSEセンス

 

曲自体は素材屋さんのものが使われているのですが、この使いどころと曲選びがもう凄かったです! フリーゲーマーの間で「四月馬鹿達の宴と言えばワンダーデュエル」と言われているようなのですが、プレイし終わるとなるほどまさにと言わざるを得ませんでした。場面場面で使われる曲がどれも印象的なんですよねぇ。

そんな感動的な中、看破のジャッジャン!なSEが容赦なく入ってきたり、走馬灯駆のおさるさん影が登場したりと、ゆるく独特なノリを挟んでくれるのも“らしさ”を感じてついつい笑ってしまいますw

 

 

 

心を貫く台詞回し

 

そしてこれら全ての魅力的な点を合わせてなお、何よりも強く推したいのがここ。台詞・シナリオ・文章面です!

プロローグの文章がピンと来る人は絶対合う――と言い切ってもいいくらい。独特のノリが強いので初めのうちはびっくりし通しでしたが、マンホール移動にこなれた頃には逆に待ってましたと言いたくなるようになりました。好きな台詞を挙げろと言われると両手指でも足りなくなるくらい、いっそ語録を作って欲しい。とか思ってたらツイッターbotを発見したので嬉しかったのですがそこは置いとくとして。

傍から見るととんちきに見える展開も、蓋を開けてみるとハッとさせられる、かなり中毒性のある文章ばかりでした。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

冒険が好きな人、現実にちょこっとお疲れの人、物語やフィクションを愛している人にぴったりのRPGかなあと思います。ここまで書いといて何ですが、「やればわかる」感のかなり強いゲームなので、気になった方は是非DLして自分の手で掴んでみてください!

 

ネタバレ込みの感想は追記にて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ注意。

 

 

 

作中まんまの引用なども含みますのでご注意を。

 

 

 

 

 

 

 

よくわからないままに進み、よくわからないままに熱くなり、そしてお話の全貌に手が触れかけた時、ぶわっと全てのピースが繋がるようなプレイ感覚でした。五章辺りからはもうプレイの手が止まりませんでしたね!

六章の流れは正直辛すぎて、いやキャラがどうとか物語がどうとかじゃなくて本質的なところを突っ込まれてしまって泣きそうになったんですが、そこを熱くひっくり返してくれて本当に本当に嬉しかったです。

終盤の展開に危機感が出るのは、「あの頃には戻れない」のシステムメッセージがあるからこそという感じもします。終わりがあることや時が動くことを否定するのではなくて、抜け道を教えてもらった感じがまた優しくて好きでした。

 

あとものすごく強いメッセージ性がある一方でシリアスになりすぎず気楽に進ませようとしてくれているのも救いでした。どんよりしても何も動かないんだよクソッタレーな感じが潔くて素敵!

技名を見ただけで涙ぐみそうになるゲームっていうのも初めてです。ついつい「ばいばいアース」買ってしまいましたとも。

 

 

 

好きな台詞は、

・桃子の「女の子は~」みたいな啖呵

・うさみちゃんの「手が三本あったらいいのに」

・洞窟に居る人の「間合いを詰めて愚直パンチ」

・あなたの食べ物の好みについて

・「Happy Tree Friends 的な事にならない」

辺りです。うん、なんかこういうところすごくツボでして。

 

会話分岐もかなり細かいですよねぇ。あなたと出会った後、墓守姫に会いに行くと台詞が増えていて驚きました。他にもマンホールで帰還する前におやじに会ったらちょっとコメント違ってたり、魔法の精製覚えた状態でこれの情報をくれた女の子にしゃべりかけると面白かったり。挙げていくとキリがありませんね!

 

 

 

 

キャラやストーリー自体についても色々と考えてみたいところはあるのですが、まだまだ考えも足りないので、ひとまずお気に入りのイツキについてのみ。

呟きに載せた内容と一部重複します。

 

イツキはバッドエンド?を見て大好きになったんですよねぇ。あの語り口がすごく響いたのです。

それで、彼?の一番の謎はやっぱり性別だと思うのですが。このバッドエンドを見る限り、イツキは第二のあなたになる可能性を残すために性別が決まってないのかなーと思いました。「祭りが終わってからのこと」を避ける感じとか、ロマンチストとかも、一番あなたやそうぞうとの親和性が強そうですし。何より、一番にあなたを呼んだのはイツキじゃないかなあと思っているんですよね。3人はあなたが呼んでくれたって言っていたけど、プロローグとか見ていると。

 

そこから、

イツキ=あなたになりうる人

マナみちゃん=あの子

だとしたらテツローの役は何なのかなあとか。やっぱりアマシロさん、からの忘却王に連なる人員ってことでしょうか。

何にせよ、一人がそうぞうしたことだからきっとお話のテーマは同じで配役も決まってて、でも物語の中身はそれぞれ違うのかなと思います。

と、ここまで書いていて気付いたんですがそもそもこれって、このゲーム自体がこういう構図でしたね。フリーシナリオで皆ストーリーの進め方は違ってて、あなたの名前も違ってて、でも根本は共通で。

 

 

 

語りたいことはたくさんありますが、ひとまずこの辺りで。

痛いことを直視しているはずなのに優しくてあったかい作品でした!