「桜が落ちるころまた思い出してください」
見ようと思ったその時には散っている前置き。
えー、今回はBjorn & Bjorn(http://bb.mrvica.net/)さんところのフリーゲーム「開耶姫の季節」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
ジャンルは乙女向けフリゲ。傾向としては明るめな現代学園物、ルートによって少し切ない展開が見られます。
というわけでさっそく魅力的な点など。
とにかく細かい会話分岐
乙女ゲーと言えばやっぱり見たいのは攻略キャラの台詞や反応。その点、この作品は驚くほどの細かな会話分岐が楽しめます。
本編の選択肢分岐は勿論のこと、直接の攻略には関係しないメールパートの返信バリエーションも4種類×数日間×攻略キャラ人数でかなりの多さがあります。メールだと口調の変わる例の2人はギャップ萌えでしたねぇ。
加えて、二周目以降になると攻略済のキャラが他キャラ攻略中に出てきてくれるのも面白いシステムです。
つい試したくなるミニゲーム
中盤になるとスピーチ作りかお昼ごはん作りのイベントが始まります。選択肢を選ぶだけなので操作も簡単。そして何よりの楽しみは、完成後の総評タイムです。ずばっとダメだしをしてくるキャラから言葉を選んでやさしく諭してくれるキャラまで、反応が幅広いのも特徴的。
全種類を見ようと思ったり、狙ってそのキャラの好きそうな結果を出したりと、周回プレイ中のちょっとしたお遊び要素としても優秀でした。
さりげなく行きとどいたシステム
上記のようなミニゲームやメール、もちろんプレイしていて楽しい要素ではあるのですが、2周目からはお急ぎの方用の「徹底攻略モード」も存在します。なのでさくさくプレイ派もご安心。
また、立ち絵が瞬きしたり起動画面で桜が散ったりと、さりげなく凝った点が多いのも魅力の一つです。
攻略後のキャラが登場する攻略キャラ視点パート
好きなものは後に食べたい派の方にも、このゲームに限ってはぱっと見好みのキャラを真っ先に攻略することをオススメしたいです。
何故かと言うと、2周目以降に他キャラを攻略しに行くと、攻略済みのキャラがゲスト出演してくれるからです。中にはヒロインに見せないドギツイ一面を剥き出しにするキャラもいて、たいそうにやにやしました。
逆に惜しいなーと思った点は、
隠しキャラのストーリーがやや超展開
タイトルにもなっている隠しキャラ関連の話がちょっと急でびっくりしました。
コンプしても真相は匂わす程度で終わってしまったので、続きがあるのかなーと気になっていたのですが……。聞いた話だとどうやら別ゲーからのゲスト出演だったとのこと。副読本なども読んでみるとまた印象が変わってくるのかもしれません。
とまあ、こんな感じで。
ゲーム開始時から皆仲良しで進むので、糖度よりほのぼのさのほうが強い気もします。とはいえ、スチル付きのときめきシーンはしっかりありますよ!
わきあいあいとした雰囲気が好き、青春らしさを感じたい、そんな方にオススメです。
追記からはもう少し突っ込んだ感想など。
【各キャラクター感想】
・小嶋聡司
優等生はヘタレな法則! 良い子で収まるのかと思いきや、エピローグが予想以上に独占欲むき出しでぞくぞくしました。下手すると春夏秋冬よりも危ないのかも…? エンド後が真髄と言っても良いかもしれません。
男性パートと言えば良いのかな、メッセージウィンドウが青色の時に闇を輝かせてくれる良いキャラでした。人間味があって好きです。
・菊池希望
彼の専用BGMが急にエレクトロニックで、穏やかな学園の背景とのミスマッチに毎回吹いていた覚えがありますw この型破りっぷりも彼らしさかも。
ヒロインに対する感情は観察対象くらいのもんだろうなあと思っていたので、しっかり将来設計までお膳立てする惚れっぷりに驚かされました。
・春夏秋冬文詠
ともすればBLにまで行きそうな博愛っぷり。口説き男はよいものですね。
電池の話や王子様の話など、印象的なたとえ話が多かったように思います。詩人枠。
・七枷神威
安牌だと思って一番に攻略しました。会話のテンポといい曖昧な恋愛感情といい、かなり自然体な雰囲気なのが良かったですねぇ。リアルでもこういうくっつき方するカップルいそうだなあと思います。
・高倉知章
一推しです。敬語が苦手ってのも珍しい、たどたどしい感じとメールでの饒舌さのギャップにやられました。内に秘める想いが激しいのもツボ。バイト先の先輩や友人たちなどがさらっとエピソードに絡んでくるのも微笑ましいですよね。何かと可愛がられている様が見て取れてにやにやしました。
・北原白
作中でも言われている通り、一番のイケメン! 初めこそ古風な言い回しにぎょっとしましたが、陰口を言う子達に名乗り上げをしたあのシーンは惚れ惚れでした。あのキャラで妹かつシスコン属性なのもおいしい!
・壬生契
物語のキーキャラっぽかったので最後に攻略しました。2種類のエンドを見て、さらに追加のエピソードまで見てスチルも埋めたのにお話としてはちょっと急展開で消化不良……と思っていたのですが。どうも彼はそもそも他作品からのゲストキャラだったそうです。それで雰囲気が彼のルートだけずいぶん違っていたんですねぇ。
・ヒロイン
元気で明るくて、どのキャラに対してもさっぱり気持ち良い反応をしてくれましたねー。糖度という意味では少し物足りないかもしれないけど、これくらいのナチュラルな雰囲気のほうが好感持てていいかも。
【ネタバレ込みの雑感】
やっぱり菊池ルートでの小嶋君にガツンとやられましたね! 好きです!
実は菊池君を先に攻略していたのでこのシーンを見ずにコンプすることになるところだったんですが、クリア後に他感想ブログを見ていたら「小嶋がやばい」等々の感想を見かけて大慌てでもう一度菊池ルートをやり直し。いやあ良いもの見れました。見逃さずに済んでよかったー!
毒を吐く優等生は良いものです。あの後めちゃくちゃ罪悪感が出ただろうなあと思うとなお妄想が滾ります。
でもあの流れを見ると、なんだかんだで白と付き合っちゃうのもありなんじゃないかなあと思ったり。相性は良い気がします。
あと、ゲームタイトルについて。やっぱり契ルートを想起させるためのネーミングなんでしょうかね。高倉君がサクヤなのもちょこっと絡んでるのかなあ。高倉家は間接的ながら真相に近いっぽくて、高倉推しの私としては嬉しかったです。
小嶋君に長い長い本名があるのも何かの伏線だったのでしょうか。自分が何かを見落としているような気もしてなりません。
キャラ同士で呼び名がかなり異なるのも気になりますよね。独特のあだ名や下の名前呼びなど。印象的な名前が多いのでなおさらでした。
元々、昔ながらのフリゲの名作と聞いてこちらをDLしたのですが、いやー当時から目パチ機能搭載であれだけの細かい会話分岐があったなんて、凄い話ですよねぇ。しみじみしちゃいました。
つれづれですがこんなところで。
名作と名高いだけあって、乙女ゲーらしさと会話分岐等の細かさが凝っている一作でした。