「鬼は鬼でも天の邪鬼」
ツンデレは攻略するまでが厄介な前置き。
えー、今回は冬のいもうとさんところのフリーゲーム「糖衣」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
ルート分岐ありのBLノベルゲーム。攻略自体もシンプルに選択肢総当たりと二周目からで迎えられます。
というわけでさっそく魅力的な点など。
・ジャンル名ホラーにたがわぬヒヤリ感
7年ぶりの帰郷、閉鎖された集落、不可解な殺人事件等々。現代日本ホラーもので外せない要素を土台に持ってきつつ、家庭不和や学校でのいじめなどが取り入れられて、全体的にどことなくきな臭い雰囲気を味わえます。
あの真っ赤な落書きのスチルにはひゅっと息を飲みましたねぇ。
一方、滲み出る雰囲気からある程度先が予想できるところもしばしば。なのでサスペンス的なぞくぞく感や得体の知れない恐怖などとは少し方向性が違う気がします。ホラー苦手な方でもこれは大丈夫、とかあるんじゃないのかなあ。推測ですが。
この作品の怖さはどちらかというと、狂気やドロドロした感情、強敵に会った時の鳥肌などの怖さかも。BLと銘打ってあるからにはある意味求めている通りのものが見れて、私としてはしっくりきました。ヤンデレはいいものだ……。
・ツンデレ、ギャップ萌え、女装、あけすけドM
この作品のBL的な推しポイントは上記かなと思います。女装とMに関してはわりと全作共通な気もしますね!
この作品はタイトルがタイトルなこともあって、どのキャラにも意外性がありました。また、どのキャラも自分の信じる愛を一直線に貫いているのも流石の一言。心情描写はドロドロしつつ行動と展開は爽快に、このバランス感覚が実に良かったです。
蘇芳がわりと欲求一直線なのもさりげなく萌えました。男らしい誘いっぷり、ありがとうございます!
・巧みなバトル描写と豊富な知識
どのルートでも見れる熱いバトル描写も推しポイントとしては欠かせません。どのバトルも気迫や緊迫感が圧倒的でした。ヤンキーっぽい泥くさい戦い方ときちっと型にはまった戦い方で差があるのもまた良いです。
そして、その戦い方の描写にしてもそうですし、現代日本の民族ホラーな要素にしてもそうなのですが、描写からうかがえる知識量もかなりのものです。真面目な知識だけでなくさりげないパロディや小ネタを捻じ込んでくる辺りにも注目したいところ。
なお、一部ルートでは、この作者様の他のゲームをプレイしているとにやりとくる展開が見られます。私は思わずガッツポーズしました。あのお兄ちゃん好きなんだよなあ!
とまあこんな感じで。
BL要素は勿論ですが、それだけでなく他の部分もしっかりとした文章で語られ、かつ読みやすい良作でした。
爽快なバトルや潔いキャラ、ヤンデレ、民族ホラーなどにピンとくる方へオススメです。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
追記からはネタバレ込みのキャラクター感想など。
以下はネタバレあり注意。
ネタバレ込みの攻略キャラ所感です。
・悦史
何かあるんだろうなあとは思っていたんですよ。この作者様の他ゲーをやっていたので、ただのピュアでは収まらないだろうなあと。
いやー、蓋を開けてみれば実にスカっとする性格で良かったです。執着心やツンデレという意味では良い具合にこじらせてくれているのですが、下僕への一喝や別ルートで蘇芳が手に入らないと悟った瞬間の言い訳しない外道っぷり、そして何よりハッピーエンドでの潔さ! 見ているこっちが気持ち良いくらいでした。
余談ですが、彼の下僕にはこう、とても共感するところがありました。ありがとうございますぅ!って叫ぶのがよく似合うその姿とか、ド変態なはずなのにむしろ胸を張って尽くしている狂信者っぷりとか。サブキャラナンバーワンってくらいには輝いてたと思います。
あと、尊也ルートでの下僕君にはこう、攻め様をあえて受けに回したくなる腐女子の業みたいなものを感じました。わからんでもない。聖人を汚す背徳感にぞくぞくきてるマゾ野郎ということなのだろうとは思いますがつい変な方向にスイッチ入ってしまいました。ごめんな!
・尊也
拷問中や戦闘中の静かなヒャッハァ具合にどきどきします。
あと「うん」はずるいですよね。あのスーパー攻め様っぽいキャラを見せておいて「うん」はずるいですよね。ギャップ萌えですよね。たにしパンのくだりは本当ずるい大人ですよね。良かったです。
このルートを見てから改めて悦史ルートを思い返してみると、あれもこれも全部嫉妬その他、愛情の裏返しだったんだろうなあとしみじみします。
・ヤシロさん
大本命です。大本命です。彼のルートがあって本当に良かったです。心から感謝しました。
もうね、序盤の「完全なる野郎仕様~」の台詞で萌えてたところはあったんですよ。それでハンマーぶん回す姿に二度惚れですよ。さらに彼のルートでのプライベートな姿に、もう、もう、やられました。
あのシーンはスチルも素敵ですよね! 横顔になると魅力的な垂れ目がいっそうよくわかって、なるほどこれは道行く人が見惚れるのも納得です。
元々口調変化が萌えツボなのもあり、あのルートは好み直撃でした。にゅふふ。