「死ぬのは怖いが死なずも嫌だ」
骸骨ならばいかほどかな前置き。
えー、今回はshirokuro さんところのフリーゲーム「骸RPG」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
序盤はバトルの難易度が高めな一本道RPG。
必読には(没)と書かれていますが、きっちりエンディングまで楽しめます。私がプレイした時はバグも無く、没だなんてもったいないと声を大にしたくなるほどでした。
というわけで魅力的な点から。
よりどりみどりの人外キャラ達
まずゲームを始めて、主人公レコーヴェの姿に驚かされました。そうですまさかの骸骨です。
操作キャラ・NPC・敵キャラ、どれもが人外なのでそういった趣味の方は嬉しいのではないかと。
また、ストーリーを進めると皆がこういった見た目であることにも納得がいくはず。慣れてきた頃に「なるほど」と改めて思わされました。
あと単純に、私レコーヴェのキャラがめちゃくちゃ好きなんですよ! 敬語キャラで淡々としていてユーモアもあって、知将っぽいのにそこそこアタッカー。素敵です。
主人公が冷静なぶん展開としては淡々と進むところもありはしますが、キャラクター同士の掛け合いが混ざるとテンポよく楽しめます。特に終盤は「多くを語らずして分かり合う」みたいな、静かながらも熱さを感じる会話が増えるのでこちらも盛り上がれました。
随所に見られる独特の言語センス
キャラの会話もさることながら、説明文やシステムメッセージなど、あちこちで見られる文章がどれも独特です。あのセーブポイントのセンスは絶対唯一無二ですよ……!
装備品の説明や名称の一つ一つがツボで、最強武器を手に入れているのに説明見たさで弱い武器を買い集めてしまう、なんてこともしてしまいました。へへへ。
敵キャラの名前もあまりメジャーではない気がするのですが、主人公たちに由来があるように敵にも何か一定のもじりや法則があるんでしょうか。気になるところです。
他にもピンポイントで語りたいところがあるんですが、ネタバレ不可避なので詳しくは追記にて。
インパクトのあるグラフィックと癖になるBGM
注目したいのは文章面だけでなく、グラフィックも勿論です。
レコーヴェにまず度肝を抜かれたというのは上述のとおりですが、敵キャラデザインも無機質なのにどこか目を引かれます。また、ステータス強化画面などはゲーム慣れしていれば見るだけでピンと来るような構成。白黒赤が基調のマップも退廃的な世界観づくりに一役かってくれています。
それだけではなくなんとBGMも自作とのこと。ああいった曲はアンビエントやドラムンベースと呼んだらいいのかな。どれも長く聞いていたいBGMばかりで、しばらくの間癖になりました。
そして何よりも痺れたのはおまけ画面の演出!
クリアして良かったと心から思いましたし、ニクイことしてくれるぜ!と号泣しました。ありがとうございました。
死生観が特徴的な終末世界
導入はとてもシンプルですが、中盤になると霧が晴れたように設定が明かされていきます。この設定がこれまた好みでした。
そもそも私は後作の「missdeather」を先にプレイしていて、世界観の一部がこちらと共通しているという噂を聞いてこの「骸RPG」をDLしたという経緯がありまして。片方を語れば片方のネタバレになる感じなので上手く書けませんが……逆に言えばどちらからでも気になったほうをプレイしてみて、ピンときたらもう片方もプレイして見るとより深みが増すかもしれません。
とにかくこの終末的な世界観はとっても好みです。
選べる楽しみ、ステータスアップ
ゲームシステムとして特徴的なのがキャラの育成方法。レベルや経験値の概念はありますが、上がったレベルをそのままポイントとしてスキルやステータスに自分で振り分けるシステムになっています。
私個人としては長所を伸ばす極振りスタイルが好みなんですが、このゲームにおいては頭打ちになるところも。クリア時にどんな感じになったのか、他プレイヤーさんの状態も見てみたいなーと思わされます。
一方、ここは惜しいなあと思う点もありまして。
序盤のセーブポイントとアイテムの制限
まず、序盤にアイテムの補給ポイントが無いので入手できる回復アイテムが限られています。きちんと探索をすれば余るほど手に入りはするのですが、序盤は先の長さがわからないのでうかつに使えず、かといって回復なしで乗り切れる難易度でもなく、少々悩まされた覚えがあります。
一番困ったのはボス戦直後の強制移動です。1マップだけではあったのですが、なにせ雑魚戦も歯ごたえがあったので、セーブが気になってイベントに集中できませんでした……w
とはいえこれらは、私が最強武器を目指して序盤に一切ステアップをしなかったことや、もったいない病プレイをしがちなところも影響していると思います。ただ、RPG初心者に勧めるものでないのは確かです。
没として引っかかった理由もここの、バトル難易度の調整の関係じゃないかなあと推測しているのですが、うーん。どうなんでしょうね? いずれにせよ、レベリングすればなんとでもなるので、気負うことはないかなーとも思います。
とまあ、こんな感じで。
万人にオススメするタイプの作風ではないかもですが、私個人としては世界観や演出がとっても好みな、推したい一作でした。
追記ではネタバレ感想など。
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ネタバレ注意!
【バトルについて】
序盤は最強武器を目指してレベルを溜めていたんですが、ヴリガンテ前辺りのボスで流石に行き詰まり、HPを上げました。仲間キャラが増えるとまずHP上げるのが定番の流れになっていた気がします。
最強武器を取ってからは敵に与えるダメージがケタ違いになったので、かなり楽になりました。むしろ武器無しでボス戦を切り抜けるのはかなりきついのではないかと思うのですが……ATK上げまくったらそうでもないんでしょうかね。
悩んだのがヴリガンテ! 脳筋好きな私としてはATKガン上げしようと思っていたんですが、いやあ攻撃がまったくもって当たらない。当たらない大砲に意味はない。というわけで急遽AGIアップに切り替えました。ジヴァクレも同様、放っておくと1ターンキルされるのでHP優先。
というわけで最強武器取った後はひたすら、
レコーヴェ=HPとATK交互アップ
ヴリガンテ=AGI
ジヴァクレ=HP
を上げまくっていた気がします。
【世界設定・ストーリーについて】
何よりも真っ先に言いたい、レコーヴェの敬語変化が最高でしたね!!!!!
あの世界のシステムやINOAを巡る話と見せかけて、レコーヴェっていう一個人の話に焦点が当たる、あの流れが凄く気持ち良かったです。ずっと冷静でプレイヤーからかい離した存在だったレコーヴェがようやく、“主人公”として動いて、話を魅せてくれた感じが。
あと、理解不能に見える天才がその実、誰しも共通で抱いているような俗っぽい不安に襲われていた……みたいな展開って良いですよね。急にそのキャラが人らしく見えて好きです。
あと特筆しておきたいのはバトルメッセージでしょうか。
あの勝利時のシステムメッセージ、「消滅しました……」の一文。あれ、初めての戦闘の時にも変わった言い回しだなあと思って印象に残っていまして、こういうところで雰囲気出してくる辺り好みだなあと感じていたんですね。
しかしながら、そんなフレーバー的な意味合いだけではなかったという。良い意味でゾクっときました。倒したとか殺したとかよりもある意味インパクトが強い……。
あのシステムメッセージはもしかしてINOAが言っている、みたいなところまで考えたんですが、それは流石に深読みでしょうか。でもそういう想像が膨らむくらいには味の効いてる一文で好きです。
最後に言いたいのがおまけ画面!
もうこれはクリアしたならぜひ見て下さい!全部読んで!プリーズ!
私ああいう演出大好きなんですよー。アーカイブを自分のペースで読み進める感じが、こう。特にこのゲームは世界観に惹かれたのもあって、終盤で重要そうなイベントの前でセーブ集を作っていたので、ああいう形で総まとめがあってたいへん助かりました。
いやもう、これだけ痺れる展開とイベントを用意したうえで没って言うのが本当しみじみともったいないというか、じたばたします。
ダークな世界観とドライな展開が好きな人に是非お伝えしたい一作でした。